トップ
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谷
>
たに
ふりがな文庫
“
谷
(
たに
)” の例文
山
(
やま
)
や、
野
(
の
)
や、
谷
(
たに
)
に
食
(
た
)
べるものがなくなってしまうと、
人間
(
にんげん
)
の
村里
(
むさざと
)
を
襲
(
おそ
)
ってきます。そして、
人間
(
にんげん
)
を
食
(
た
)
べたり、
家畜
(
かちく
)
を
取
(
と
)
ったりします。
おおかみと人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
建續
(
たてつゞ
)
く
家
(
いへ
)
は、なぞへに
向
(
むか
)
うへ
遠山
(
とほやま
)
の
尾
(
を
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
其方此方
(
そちこち
)
の、
庭
(
には
)
、
背戸
(
せど
)
、
空地
(
あきち
)
は、
飛々
(
とび/\
)
の
谷
(
たに
)
とも
思
(
おも
)
はれるのに、
涼
(
すゞ
)
しさは
氣勢
(
けはひ
)
もなし。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
森
(
もり
)
の
奥
(
おく
)
の
住
(
す
)
まいには、
毎日
(
まいにち
)
木枯
(
こが
)
らしが
吹
(
ふ
)
いて、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
も
落
(
お
)
ちつくすと、やがて
深
(
ふか
)
い
雪
(
ゆき
)
が
森
(
もり
)
をも
谷
(
たに
)
をもうずめつくすようになりました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「人間には嬉し泣きってものがある。
松王
(
まつおう
)
に泣き笑いがあるように、
壺坂
(
つぼさか
)
の
谷
(
たに
)
の
沢市
(
さわいち
)
とお
里
(
さと
)
に嬉し泣きをさせたら何うだろうと思う」
心のアンテナ
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
鬼子の最も怖ろしい例としては、明応七年の昔、京の東山の
獅子
(
しし
)
が
谷
(
たに
)
という村の話が、『
奇異雑談集
(
きいぞうだんしゅう
)
』の中に詳しく報ぜられている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
もう
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つて、
谷
(
たに
)
がお
仕舞
(
しまひ
)
になつたかと
思
(
おも
)
ふ
時分
(
じぶん
)
には、また
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
の
谷間
(
たにま
)
の
板屋根
(
いたやね
)
から
煙
(
けむり
)
の
立
(
た
)
ち
登
(
のぼ
)
るのが
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
間
(
あい
)
の
谷
(
たに
)
を、わずか二つ三つの羽ばたきでさっとくるなり、投げあげられた棒切れを、パクリとくわえて、かれのそばまで降りてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またその
身體
(
からだ
)
には
蘿
(
こけ
)
だの
檜
(
ひのき
)
・杉の類が生え、その長さは
谷
(
たに
)
八
(
や
)
つ
峰
(
みね
)
八
(
や
)
つをわたつて、その腹を見ればいつも
血
(
ち
)
が垂れて
爛
(
ただ
)
れております
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
一日
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
に法然院を尋ねた後銀閣寺に入つてわたしは案内者の説明を聞いてゐる中、偶然以上のやうな事を感じて踵を囘した。
十年振:一名京都紀行
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あれはもう東の
白
(
しら
)
む
暁方
(
あけがた
)
頃でございましたろうか、……旦那様、手前、文麻呂様があの
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
にあるお母上様の御墓所の近くに
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
庭
(
にわ
)
へ
向
(
む
)
いた
縁
(
えん
)
ばな——
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
から六
尺
(
しゃく
)
ほどのへだたりがあつたが、その
縁
(
えん
)
ばなにウィスキイの
角
(
かく
)
びんと、九
谷
(
たに
)
らしい
盃
(
さかずき
)
が二つおいてあつた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
實
(
じつ
)
に
非常
(
ひじやう
)
の
手段
(
しゆだん
)
ではあるが、
※日
(
くわじつ
)
、
自動鐵車
(
じどうてつしや
)
が
砂
(
すな
)
すべりの
谷
(
たに
)
に
陷落
(
かんらく
)
した
時
(
とき
)
、
君等
(
きみら
)
を
救
(
すく
)
はんが
爲
(
ため
)
に
製作
(
せいさく
)
した
大輕氣球
(
だいけいきゝゆう
)
が、
今
(
いま
)
も
猶
(
な
)
ほ
殘
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
安部忠良の家は十五銀行の破産でやられ、母堂と二人で、四谷
谷
(
たに
)
町の陽あたりの悪い二間きりのボロ
借家
(
しゃくや
)
に逼塞していた。
予言
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
けれど、それでも、
谷
(
たに
)
の
斜面
(
しゃめん
)
をのぼって、とっつきの
納屋
(
なや
)
へ出るまでは、やっぱり、おおかみをこわいこわいと思いながら歩いて行ったのです。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
京都に住むなら嵯峨辺か、南禅寺、岡崎、
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
方面に限ると云うような話になり、つい夜が
更
(
ふ
)
ける迄しゃべりつづけた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
谷中
(
やなか
)
と千駄木が
谷
(
たに
)
で出逢ふと、一番低い所に小川が流れてゐる。此小川を沿ふて、
町
(
まち
)
を左りへ切れるとすぐ野に
出
(
で
)
る。
河
(
かは
)
は真直に北へ通つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
坪井博士
(
つぼゐはかせ
)
や
八木氏等
(
やぎしとう
)
の
著書
(
ちよしよ
)
、
東京人類學會雜誌
(
とうきやうじんるゐがくくわいざつし
)
及
(
およ
)
び
考古界等
(
かうこかいとう
)
を
讀
(
よ
)
み、
又
(
また
)
、
水谷
(
みづたに
)
、
谷
(
たに
)
、
栗島
(
くりしま
)
諸氏
(
しよし
)
と
各所
(
かくしよ
)
の
遺跡
(
ゐせき
)
を
發掘
(
はつくつ
)
するに
至
(
いた
)
つて、
益々
(
ます/\
)
趣味
(
しゆみ
)
を
感
(
かん
)
じて
來
(
き
)
た。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
と、五六
間
(
けん
)
手前
(
てまへ
)
から
叱
(
しか
)
り付けた。
唖者
(
をし
)
の
子等
(
こら
)
は人の
気勢
(
けはひ
)
に
駭
(
おどろ
)
いて、手に手に
紅
(
あか
)
い
死人花
(
しびとばな
)
を持つた
儘
(
まヽ
)
畑
(
はたけ
)
を
横切
(
よこぎ
)
つて、半町も無い
鹿
(
しヽ
)
ヶ
谷
(
たに
)
の盲唖院へ駆けて帰つた
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
やがて、それが
横浜
(
よこはま
)
本牧
(
ほんもく
)
三ノ
谷
(
たに
)
だといふことがわかり、生憎電話はないが、夏の七八九、三ヶ月は
軽井沢
(
かるゐざわ
)
滞在として、その番地までちやんと名簿に出てゐた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
谷
(
たに
)
先生もほんとうに愉快そうだった。六班がみんな思い思いの計画で
別々
(
べつべつ
)
のコースをとって調査にかかった。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
また
谷
(
たに
)
や
濕地
(
しつち
)
や、
瀧
(
たき
)
や
湖沼
(
こしよう
)
の
附近
(
ふきん
)
には、
特殊
(
とくしゆ
)
な
草木
(
そうもく
)
がしげり、
高原
(
こうげん
)
にはそこにのみ
育
(
そだ
)
つ
植物
(
しよくぶつ
)
がはえてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
私
(
わたし
)
はくら
暗
(
やみ
)
の
谷
(
たに
)
へ
突落
(
つきおと
)
されたやうに
暖
(
あたゝ
)
かい
日
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
といふを
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
りませぬ、はじめの
中
(
うち
)
は
何
(
なに
)
か
串談
(
じようだん
)
に
態
(
わざ
)
とらしく
邪慳
(
じやけん
)
に
遊
(
あそ
)
ばすのと
思
(
おも
)
ふて
居
(
を
)
りましたけれど
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
僕
(
ぼく
)
は
又
(
また
)
してもおもい
出
(
だ
)
した、
吉彦
(
よしひこ
)
さんが
鐘
(
かね
)
をつくとき
言
(
い
)
った
言葉
(
ことば
)
を——「
西
(
にし
)
の
谷
(
たに
)
も
東
(
ひがし
)
の
谷
(
たに
)
も、
北
(
きた
)
の
谷
(
たに
)
も
南
(
みなみ
)
の
谷
(
たに
)
も
鳴
(
な
)
るぞ。ほれ、あそこの
村
(
むら
)
もここの
村
(
むら
)
も
鳴
(
な
)
るぞ。」
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
時に
峯
(
みね
)
谷
(
たに
)
ゆすり動きて、風
叢林
(
はやし
)
を
僵
(
たふ
)
すがごとく、
沙石
(
まさご
)
を
空
(
そら
)
に
巻上
(
まきあ
)
ぐる。見る見る
一二七
一段の
陰火
(
いんくわ
)
、君が
膝
(
ひざ
)
の
下
(
もと
)
より
燃上
(
もえあが
)
りて、山も谷も昼のごとくあきらかなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
平家打倒の
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
の密議を真似て、学校当局糾弾の第一声を、月下の船中にあげたのだ……と、ものの本に書いてあるが、これは、少々、潤色がすぎるようである。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
少年時代に、
梅
(
うめ
)
ヶ
谷
(
たに
)
、
常陸山
(
ひたちやま
)
の角力を見た切り、さつぱり角力を見たことのない彼は、つまらなそうに土俵を見ていたけれど、幕内の土俵入りの時早くも彼は天竜を見て
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
谷
(
たに
)
の
奧
(
おく
)
には
墓場
(
はかば
)
もあるだらう、
人生
(
じんせい
)
悠久
(
いうきう
)
の
流
(
ながれ
)
が
此處
(
こゝ
)
でも
泡立
(
あわだた
)
ぬまでの
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
ゐて
居
(
ゐ
)
るのである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
大砲
(
おほづつ
)
は僕等の小学時代に、——
常陸山
(
ひたちやま
)
や
梅
(
うめ
)
ヶ
谷
(
たに
)
の大関だつた時代に横綱を張つた
相撲
(
すまふ
)
だつた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と無暗に手を引いて
渡場
(
わたしば
)
へ参り、少しの手当を遣って渡しを越え、此処から
笹沢
(
さゝざわ
)
、のり
原
(
ばら
)
、いぼり
谷
(
たに
)
、
片掛
(
かたかけ
)
、
湯
(
ゆ
)
の
谷
(
たに
)
と六里半余の道でござりますが、これから先は
極
(
ごく
)
難所
(
なんじょ
)
で
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いま
申
(
まを
)
しました
種々
(
しゆ/″\
)
の
巨石
(
きよせき
)
で
造
(
つく
)
つた
記念物
(
きねんぶつ
)
に
用
(
もち
)
ひられた
石
(
いし
)
は、
多
(
おほ
)
くは
山
(
やま
)
や
谷
(
たに
)
にある
自然石
(
しぜんせき
)
の
恰好
(
かつこう
)
良
(
よ
)
いものを
取
(
と
)
つて
來
(
き
)
て、そのまゝ
使用
(
しよう
)
したもので、
餘
(
あま
)
り
人工
(
じんこう
)
を
加
(
くは
)
へてありません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
俊頼朝臣
(
としよりあそん
)
に「
降雪
(
ふるゆき
)
に
谷
(
たに
)
の
俤
(
おもかげ
)
うづもれて
稍
(
こずゑ
)
ぞ冬の
山路
(
やまぢ
)
なりける」これらは
実
(
じつ
)
に越後の雪の
真景
(
しんけい
)
なれども、此あそん越後にきたり玉ひしにはあらず、
俗
(
ぞく
)
にいふ
哥人
(
かじん
)
は
居
(
ゐ
)
ながら
名所
(
めいしよ
)
をしるなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
梅ヶ
谷
(
たに
)
、
鳳
(
おほとり
)
、国見山、玉椿……「僕は常陸山だよ、だから僕には皆な負けるんだよ。」「君はづるいや横綱にばかりなるんだもの。」などと云つた思ひ出もある、絵葉書等も随分沢山集めた。
〔編輯余話〕
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
今朝も、
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
の会合の発頭人は誰だということで、俊寛は成経とかなり激しい口論をした。成経は、真の発頭人は西光だといった。だから、西光だけは、
平相国
(
へいそうこく
)
がすぐ斬ったではないかといった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
危岩
突兀
(
とつこつ
)
勢
将
(
まさ
)
に頭上に
落
(
お
)
ちんとす、進退
維
(
こ
)
れ
谷
(
たに
)
まり
敢
(
あへ
)
て良策を
案
(
あん
)
するものなく、一行叢中に
踞坐
(
こざ
)
して又一語なし、余等口を
開
(
ひら
)
きて曰く、
進
(
すす
)
むも
難
(
かた
)
く
退
(
しりぞ
)
くも亦
難
(
かた
)
し、難は一なり
寧
(
むし
)
ろ
進
(
すす
)
んで
苦
(
くるし
)
まんのみと
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
梅林寺
(
ばいりんじ
)
に紫海禅林の扁額あり
谷
(
たに
)
を持ちたるこの
仏林
(
ぶつりん
)
よ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
十一月二十二日 京都
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
。ミユーラー初子邸。
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ぬれにぞぬれし
深海
(
ふかうみ
)
の
谷
(
たに
)
隈
(
くま
)
の奥に
透入
(
すきい
)
れば
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
劔
(
つるぎ
)
岳、
立山
(
たてやま
)
、双六
谷
(
たに
)
、
黒部
(
くろべ
)
冠松次郎氏におくる詩
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
今日
(
けふ
)
よりは、
野山
(
のやま
)
に、
谷
(
たに
)
に
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
萬丈
(
ばんぢやう
)
の
谷
(
たに
)
を
越
(
こ
)
え
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
「そんな
話
(
はなし
)
はどうだっていい。まあ、
早
(
はや
)
くいってこよう。」と、きつねがいったので、りすは、
一飛
(
ひとと
)
びに
谷
(
たに
)
の
方
(
ほう
)
へ
駆
(
か
)
けていきました。
深山の秋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そういう忠誠な臣下を犠牲にしながら、義景は、本城
一乗
(
いちじょう
)
ヶ
谷
(
たに
)
にこもって、祖先の地を死守しようという気ももたなかったのである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とうとう山がつきて
谷
(
たに
)
のような
所
(
ところ
)
へ出ました。ひょいと
見
(
み
)
ると、そこに一
軒
(
けん
)
うちらしいものの
形
(
かたち
)
が、
夜目
(
よめ
)
にもぼんやり
見
(
み
)
えました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
奧山家
(
おくやまが
)
の
一軒家
(
いつけんや
)
に、たをやかな
女
(
をんな
)
が
居
(
ゐ
)
て、
白雪
(
しらゆき
)
の
絲
(
いと
)
を
谷
(
たに
)
に
繰
(
く
)
り
引
(
ひ
)
く
絲車
(
いとぐるま
)
の
音
(
おと
)
かと
思
(
おも
)
ふ。……
床
(
ゆか
)
しく、
懷
(
なつか
)
しく、
美
(
うつく
)
しく、
心細
(
こゝろぼそ
)
く、
且
(
か
)
つ
凄
(
すご
)
い。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
なん
)
といふ
深
(
ふか
)
い
山
(
やま
)
や
谷
(
たに
)
が
父
(
とう
)
さんの
行
(
ゆ
)
く
先
(
さき
)
にありましたらう。
父
(
とう
)
さんは
木曽川
(
きそがは
)
の
見
(
み
)
える
谷間
(
たにあひ
)
について、
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
を
歩
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
くやうなものでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
砂
(
すな
)
すべりの
谷
(
たに
)
、
一名
(
いちめい
)
を
死
(
し
)
の
谷
(
たに
)
と
呼
(
よ
)
ばるゝ
程
(
ほど
)
で、
一度
(
いちど
)
此
(
この
)
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へ
陷落
(
かんらく
)
したるものは、
到底
(
とうてい
)
免
(
の
)
がれ
出
(
で
)
る
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ないのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それを考えると、この村を
去
(
さ
)
るのが
残念
(
ざんねん
)
でたまりませんでした。わたしは
打穀場
(
だこくば
)
のうらてをぬけて
谷
(
たに
)
へくだり、
荒
(
あ
)
れ地のほうへのぼって行きました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
其時代助は其絶壁の
横
(
よこ
)
にある白い空間のあなたに、
広
(
ひろ
)
い
空
(
そら
)
や、遥かの
谷
(
たに
)
を想像して、
怖
(
おそ
)
ろしさから
来
(
く
)
る
眩暈
(
めまひ
)
を、
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に再
現
(
げん
)
せずには居られなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
またその身に
蘿
(
こけ
)
また
檜榲
(
ひすぎ
)
生ひ、その
長
(
たけ
)
谷
(
たに
)
八谷
峽
(
を
)
八
尾
(
を
)
を度り
五
て、その腹を見れば、悉に常に
血
(
ち
)
垂り
六
爛
(
ただ
)
れたり
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
袖付や
衽
(
おくみ
)
の皺が、苔でも置いたようなしっとりした
青味
(
あおみ
)
の
谷
(
たに
)
をつくって、いうにいえないいい味わい。……
姦(かしまし)
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“谷”の意味
《名詞》
(たに)両側を高地とし、それに垂直に低地が長く続く地形。
(出典:Wiktionary)
“谷”の解説
谷(たに、en: valley)とは、山や丘、尾根、山脈に挟まれた、周囲より標高の低い箇所が細長く溝状に伸びた地形。
(出典:Wikipedia)
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
“谷”を含む語句
谷間
山谷
熊谷
水谷
谿谷
長谷
谷川
渓谷
大谷
茗荷谷
小谷
塩谷
谷々
ヶ谷
桃谷
谷中
深谷
峡谷
小千谷
空谷
...