とも)” の例文
その金魚きんぎょともだちもなく、おやや、兄弟きょうだいというものもなく、まったくのひとりぼっちで、さびしそうに水盤すいばんなかおよぎまわっていました。
水盤の王さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、そこには、緒方先生おがたせんせいのところでいっしょに勉強べんきょうしていたことのある原田水山はらだすいざんというともだちがたっているではありませんか。
いったんのいきどおりはなすであろうと思われる細川藤孝も、わが娘のしゅうとたり、年久しき刎頸ふんけいともでもある。嫌とはいうまい、協力しよう。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もつと先祖せんぞ武家出ぶけでであらうが、如何いかにもくだんの、ならばが、ともだちのみゝさはつて聞苦きゝぐるしい。自然しぜんにつきあつてあそぶものもすくなくなる。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この家へきたときからこのくらいか、あるいはいつごろから調子ちょうしがよくなったかとうのであった。安藤はしんの花前のともである。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
『これがわたくしつま春枝はるえ。』とわたくし紹介ひきあはせ、さら夫人ふじんむかつて、わたくしかれとがむかしおなじまなびのともであつたことわたくし今回こんくわい旅行りよかう次第しだい
とも二人ふたりでブラリといへた。もとより何處どこかうといふ、あてもないのだが、はなしにもきがたので、所在なさに散歩さんぽ出掛でかけたのであツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
これわたし竹馬ちくばとも久我くがぼう石橋いしばしとはおちやみづ師範学校しはんがくかう同窓どうそうであつたためわたし紹介せうかいしたのでしたが、の理由は第一わたしこのみおなじうするし
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
五人の仲間なかまはそんなとおくまでは行きません。けれども、おともだちのジャンのいえへ行くのには、たっぷり一キロは歩かなければならないのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
「おお、どうしてそんなことができよう——ともだちのしんらいをうらぎるなんて……。だが……たとえ友だちであっても——」
そこへおともだちがておはなしをしてゐると、どこから這入はいつてたものか、また椽側えんがはた、わたしあわてゝ障子せうじ締切しめきつた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
平凡へいぼん會話くわいわじやアないか。平常ふだんなら當然あたりまへ挨拶あいさつだ。しか自分じぶんともわかれて電車でんしやつたあとでも氣持きもちがすが/\して清涼劑せいりやうざいんだやうながした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
やまかへると、親兄弟おやきやうだい勿論もちろんともだちもおどろいてしまひました。そしてかわいさうにうさぎは一しやうわらはれものとなりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そこで僕自身のことを鳥渡ちょっとお話して置かねばならないが、僕は元来、柿丘と郷里の中学を一緒にとおりすぎてきた、いわゆる竹馬ちくばともというやつで
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
アンドレイ、エヒミチはうんざりして、長椅子ながいすうへよこになり、倚掛よりかゝりはうついかほけたまゝくひしばつて、とも喋喋べら/\しやべるのを詮方せんかたなくいてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
むかしともといふうちにもこれはわすられぬ由縁ゆかりのあるひと小川町をがはまち高坂かうさかとて小奇麗こぎれい烟草屋たばこや一人息子ひとりむすこいま此樣このやういろくろられぬをとこになつてはれども
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
四面しめんみな山にて老樹らうじゆ欝然うつぜんとして翳塞おほひふさぐなかこの美人びじんを見ること愕然びつくりし、是たぬきにあらずんばかならず狐ならんといひければ、岩居がんきよともだちと相顧あひかへりみうつわらふ。
追拔おひぬけて上達しければ政太夫も大いにかんじ是より三味線をもならはせんとて相三味線の鶴澤つるざはとも次郎へはなして此事をたのみけるに友次郎も早速さつそく承知しようちなし其後は三味線を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
成功せいこうした其時そのときうれしさも思出おもひいでるが、しかおほくは其時そのとき一處いつしよつたともの、んだのや、とほざかつたのや、いろ/\それを懷出おもひいだして、時々とき/″\へん感情かんじやうたれもする。
そらつてゐるあきつき。その月光つきかげのさしてゐるそら遠方えんぽうからやつてかりが、れつをなしてきとほつてく。こんなばんには、いつしょにしたしむともだちの訪問ほうもんたれる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
つねにしたひむつべるともにしあればことにうれしくてなほつがののいやつぎ/\にたゆみなく千枝ちえ八千枝やちえにしげりて木高こたかきかげとなりたまはんことをかつはしゆくしてたゝ一言ひとこと
うもれ木:01 序 (旧字旧仮名) / 田辺竜子(著)
さるが行ってしまったあとへ、そのときちょうどうら小川おがわともだちとあそびに行っていた子がにがかえってました。るとかきの木の下におやがにが甲羅こうらをくだかれてんでいます。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おっかさんはきょうはかえれないよ。そのかわりともさんをつけてやるから、いいだろう。」
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
あのよねとかともとかいう変てこな兄いが、どうした間違えか役人にとっつかまって、ちょうさんてえ罪で、草津の辻で三日間のさらし、それが済むとやがて鋸挽のこぎりびきになろうてんだ。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
またきみたちのつくつたうたもぜひおくつてせてほしい。も一つ。このほん自分じぶんひとりではまないで、なるべくおともだちみんなにせ、ませ、してやるやうにしてもらひたい。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ぢいやはくりいて、ともさんやとうさんにけてれるのをたのしみにしてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
たとえば向こうの人がきみだとか親であるとか、てんであるとかであるとか、ともだちであるとか、あるいは従僕じゅうぼくであるとか、それぞれおんほどこしてくれた相手によりて区別したるに過ぎぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかして其中そのうちにも學海先生ガクカイセンセイ國民こくみんともかゝげられし評文ひようぶんこと見目立みめたちてえぬ。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
大尉たいゐが高きほまれにはけおされてなど口々くち/″\いふ、百ぽんぐひより石原いしはら河岸かし、車の輪もまはらぬほど雑沓こみあひたり、大尉たいゐとも露伴氏ろはんし実兄じつけいなり、また此行中このかうちうわが社員しやゐんあれば、此勇このいさましき人の出を見ては
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
東金君とうがねくんと僕は何の因果だろう? 小学校から一緒で竹馬ちくばともだ。現在も友情を誓っている。喧嘩一つしたことのない仲だけれど、昨今はお互に好かれと祈らない。始終競争意識にとらわれている。
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
牧之ぼくし老人は越後ゑちご聞人ぶんじんなり。かつて貞介朴実ていかいぼくじつもつてきこえ、しば/\県監けんかん褒賞はうしやうはいして氏の国称こくしようゆるさる。生計せいけい余暇よか風雅ふうがを以四方にまじはる。余が亡兄ぼうけい醒斎せいさい京伝の別号をう鴻書こうしよともなりしゆゑ、またこれぐ。
かねをおろすまえに、青年団長せいねんだんちょう吉彦よしひこさんが、とてもよいことをおもいついてくれた。長年ながねんともだちであったかねともいよいよおわかれだから、子供こどもたちにおもうぞんぶんつかせよう、というのであった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
紺青こんじやうを絹にわが泣く春の暮やまぶきがさねとも歌ねびぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あんな大きいやつともだちにしてゐる冠まつ
冠松次郎氏におくる詩 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
あだなりしわがともか、吹風ふくかぜ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「じゃ、失敬、昔のおきゅうともだち!」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
六 帰らぬ浪路なみじに ともよぶ千鳥ちどり
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
にかはりてもあゝとも
友に (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
うべ睦魂むつだまともとしも
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
なみこそきみともならめ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いへまづし、ともすくな
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
とりおどろともをよび
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いままで、小学校時代しょうがっこうじだいに、なかよくあそんだともだちが、それぞれうえ学校がっこうへゆくのをると、うらやましく、おかあさんにはおもわれました。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
おや大病たいびやうだか、ともだちが急病きふびやうだか、れたもんですか。……きみたちのやうにつちや、なにか、あやしいところへでも出掛でかけるやうだね。」
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(これは、一人ひとりではだめだ。おなじようななやみをもっているともだちをみつけて、いっしょに勉強べんきょうすれば、きっとすすむにちがいない。)
「生信房どの、水をおあがりなさい」取り囲んでいたわるのりともたちの背へ、粉雪こなゆきが、さやさやと光って降りそそいでいる。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アンドレイ、エヒミチはうんざりして、長椅子ながいすうえよこになり、倚掛よりかかりほうついかおけたまま、くいしばって、とも喋喋べらべらしゃべるのを詮方せんかたなくいている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
濱島武文はまじまたけぶみとはわたくしがまだ高等學校かうとうがくかうつた時分じぶん左樣さやうかれこれ十二三ねんまへことであるが、おなまなびのともであつた。
そんな恰好かっこうをして、おともだちのジャンのところへけるはずがないでしょう? 四人がお家へかえったら、みんなのおかあさんは、そのあしをごらんになって
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
四面しめんみな山にて老樹らうじゆ欝然うつぜんとして翳塞おほひふさぐなかこの美人びじんを見ること愕然びつくりし、是たぬきにあらずんばかならず狐ならんといひければ、岩居がんきよともだちと相顧あひかへりみうつわらふ。