書物しよもつ)” の例文
居室へやかへつてると、ちやんと整頓かたづいる。とき書物しよもつやら反古ほごやら亂雜らんざつきはまつてたのが、もの各々おの/\ところしづかにぼくまつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかこれきたはなしとか、交際かうさいとかとふものとはまたべつで、あま適切てきせつれいではりませんが、たとへば書物しよもつはノタで、談話だんわ唱歌しやうかでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これも、えら婦人ふじん傳記でんきとほり、著者ちよしや讀者どくしや婦人ふじんだといふことは、かならずしも、書物しよもつよりも推奬すゐしやうすべき理由りいうにはなりさうもない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一人ひとりわかそうちながら、むらさき袱紗ふくさいて、なかからした書物しよもつを、うや/\しく卓上たくじやうところた。またその禮拜らいはいして退しりぞくさまた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ねこだとて王樣わうさまはいして差支さしつかへない』とあいちやんがひました。『わたし書物しよもつでそれをみました、何處どこであつたかおぼえてませんが』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これはたゞあの埴輪はにわいへや、そのほかの品物しなものあらはれてゐるいへかたちと、歴史れきしうた書物しよもついてあるところで想像そう/″\するほかには
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
まづ書物しよもつへば一をしへたところは二をしへない、熟讀じゆくどくさせてて、どうしてもわからなかつたならば、ときをしへやう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
へい、陰徳いんとくんとやら、と御酒ごしゆうへでは、御親父樣ごしんぷさまがおはなしになりましたが、なかことまをしますものは、書物しよもつとほりにはまゐりませんで。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このやくもたつなども、ふる書物しよもつ説明せつめいにさへ、いくすぢものくもかこんだところから、いはれたものとしてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
れはかね/″\書物しよもつんで、磔刑はりつけ獄門ごくもん打首うちくび、それらの死刑しけいけつして、刑罰けいばつでないといふことをかんがへてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
きみ立派りつぱ書物しよもつ出來上できあがる。きみはこのほんるのをたのしみにしてゐたといふではないか。きみはなぜ、せめては、このほんるまでつてはゐなかつたのだ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
浮加々々うか/\其所へ至り災難さいなんあふときは父母への不孝此上なし我は君子に非れどもあやふき事には近寄ちかよる可からず部屋へやのみ居て花のなき庭を眺て消光くらしなば書物しよもつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
へえーそれうも結構けつこうな事で。殿「別に師匠ししやうも取らず書物しよもついて独学どくがくをしたのぢやが、色々いろ/\な事を発明はつめいしたよ、まア見るがい、これだけ器械きかいを集めたから。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
燈火ともしびもと書物しよもつらき、ひざいだきてせ、これは何時何時いつ/\むか何處どこくにに、甚樣じんさまのやうなつよひとありて、其時代そのときみかどそむきしぞくち、大功たいこうをなして此畫このゑ引上ひきあげところ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これをせた書物しよもつ地震直後ぢしんちよくご出版しゆつぱんされた『千七百五十五年せんしちひやくごじゆうごねん十一月一日じゆういちがついちにちのリスボン大地震だいぢしん』とだいするもので、歐洲おうしゆうける當時とうじ知名ちめい科學者かがくしや十名じゆうめい論文ろんぶんあつめたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
此度このたび改暦かいれきにても其譯そのわけらずして十二月の三日が正月の元日ぐわんじつになるとばかりいふて、夢中むちうにこれを夢中むちうにこれをつたへなばじつおどろくべきことなれども、平生へいぜいよりひとむべき書物しよもつ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
読みきれないほどの書物しよもつ
ゆづり葉 (新字旧仮名) / 河井酔茗(著)
下宿げしゆくには書物しよもつたゞさつ『千八百八十一年度ねんどヴインナ大學病院だいがくびやうゐん最近さいきん處方しよはう』とだいするもので、かれ患者くわんじやところときにはかなられをたづさへる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此時このときいままでなに備忘録ノートブツクいそがしさうにいてられた王樣わうさまが、『だまれ!』とさけんで、やがて御所持ごしよぢ書物しよもつをおひらきになり
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かように目録もくろくやそれ以外いがい書物しよもつ出版しゆつぱんせられて、研究けんきゆう結果けつか發表はつぴようされるようにならなければ、しん博物館はくぶつかん役目やくめたつせられないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
どんな書物しよもつでもといふことは、はなはだボンヤリしてゐるやうであるが、實際じつさい、一たい書物しよもつなり、書物しよもつ選擇せんたくといふものは、各人かくじん自由じいうまかせるほかはない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
同僚どうれうつよ緊張きんちやうした宗助そうすけかほすこぶおどろいた樣子やうすであつたが、いやらない、たゞなぐさ半分はんぶんにあんな書物しよもつだけだと、すぐげて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これなどは、まづ自然しぜんのものにたいして、緻密ちみつ觀察かんさつをしたものゝ、書物しよもつたはじめといつてよからうとおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし、無理むりだよ。……かねいてもるし、むかしの書物しよもつにもいてある。——松島まつしまるのはふねかぎる。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのやうやす書物しよもつむかつても意味いみ容易よういとれない、もつと直譯ちよくやくしてときはどうかわかつてるらしいが、あと如何どん意味いみかとたゞしてるとほとんわかつてないやうである。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
學士がくしはいよ/\可愛かわいがりしが、おそのすこしのかんじもなく、ありがたしうれしなどくちさきすどころかかほるさへやがりて、日〻にち/\稽古けいこにも書物しよもつことよりほかふことのきは勿論もちろん
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
半時間毎はんじかんごとくらゐかれ書物しよもつからはなさずに、ウオツカを一ぱいいでは呑乾のみほし、さうして矢張やはりずに胡瓜きうり手探てさぐりぐ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すると、裁縫さいほうほんとか、料理れうりほんとか、あるひまた育兒いくじくわんするほんとかいふものがある。ほどこれは、大抵たいてい場合ばあひ婦人ふじんのみにようのある書物しよもつである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
へやなかはたゞ薄暗うすぐららされてゐた。そのよわひかりは、如何いか大字だいじ書物しよもつをも披見ひけんせしめぬ程度ていどのものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ何分なにぶん書物しよもつ標題ひようだいが『博物館はくぶつかん』となつてゐますので、はじめにすこしばかり博物館全體はくぶつかんぜんたいのことをべてきます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つぎに名高なだかうた書物しよもつは、萬葉集まんにようしゆう書物しよもつになつてのち百年ひやくねん以上いじようつてからた、古今集こきんしゆうといふ歌集かしゆうであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あいちやんはかつ法廷ほふていつたことがありませんでした、たゞそれを書物しよもつんだばかりでしたが、それでも其處そこにある大抵たいていものることが出來できたので、非常ひじやうよろこんでゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
まづなによりも原書げんしよ讀書力どくしよりよくとぼしいのは意外いぐわいでありました。それでさづける讀本とくほんむづかしいのかといふのに、けつしてさうむづかしい書物しよもつではありません。西洋せいやうでは高等小學校かうとうせうがくかう程度位ていどぐらゐでせう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
學校がくかうみました書物しよもつ教師けうしからかしてれました樣々さま/″\ことは、それはたしかにわたしためにもなり、ことあるごとおもしてはあゝでつた、うでつたと一々いち/\かへりみられまするけれど
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まくらちか一脚いつきやくつくゑゑたるは、をりふし硯々すゞり/\び、書物しよもつよむとてあり學校がくかうのまねびをなせば、こゝろにまかせてかみいたづらせよとなり、あにといへるは何心なにごゝろなく積重つみかさねたる反古紙ほごがみりてれば
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
櫻町さくらまち殿との最早もはや寢處しんじよたまひしころか、さらずば燈火ともしびのもとに書物しよもつをやひらたまふ、らずばつくゑうへかみべてしづかにふでをやうごかしたまふ、かせたまふはなにならん、何事なにごとかの御打合おんうちあはせを御朋友おほういうもとへか
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)