たく)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
ハツ/\うも御親切ごしんせつ有難ありがたぞんじます、何卒どうか貴方あなたたくかへつてくださいまし。金「かへらんでもいからおあがりな、わつしの見てめえで。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「きみは、どうしてそんなにおこってんだい? ぼくたちはお城のことなんかききゃしないよ。きみのおたくのことをおたずねしたまでさ。」
時に文月ふみづき廿八日の入相頃いりあひごろ金兵衞の子分八田掃部三加尻茂助練馬藤兵衞等三人打連立うちつれだつて畔倉重四郎がたくへ入來り先生は御宅かと聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
然し、それでも私気に懸つて、かうして上るのは、でございます、たくへおいでになつた御帰途おかへりみちにこの御怪我おけがなんでございませう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
けれどもかれ自身じしん家主やぬしたく出向でむいてそれをたゞ勇氣ゆうきたなかつた。間接かんせつにそれを御米およねふことはなほ出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
丁度通り掛つたのは、おたくの前で御座います。捕物の名人と言はれながら、滅多に人を縛らないといふ義にいさむ親分にお願ひして、この急場を
手本てほんもとにして生意氣なまいきにも實物じつぶつ寫生しやせいこゝろみ、さいは自分じぶんたくから一丁ばかりはなれた桑園くはゞたけなか借馬屋しやくばやがあるので、幾度いくたびとなく其處そこうまやかよつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「おたくのこまどりは、まえからおいになっているのでございますか?」と、小僧こぞうは、たずねました。仕事しごとをしていたおじいさんは、あたまって
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いいや、それはなりません。おかみさんは、たしかっておいでなされたはず。もう一手前てまえと一しょに、白壁町しろかべちょうのおたくへ、おもどりなすってくださりませ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
憶起おもひおこす。……先生せんせいは、讀賣新聞よみうりしんぶんに、寒牡丹かんぼたん執筆中しつぴつちうであつた。横寺町よこでらまちうめやなぎのおたくから三町さんちやうばかりへだたつたらう。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
サア翌日よくじつから教頭けうとうたく葉書はがきさかんにひこむ。はじめは二十まいか三十まいだつたが、追々おひ/\五十まいとなり、百まいとなり、二百まいとなり、三百まいとなつた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
萬世橋よろづよばしまゐりましたがおたく何方どちらかぢひかへてたゝず車夫しやふ車上しやじやうひとこゑひくゝ鍋町なべちやうまでとたゞ一言ひとこと車夫しやふきもへずちからめていま一勢いつせいいだしぬ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もしかの女が私はやなぎの娘ですからたくへ届けてくださいといったなら、おかみさんはふた返事へんじで応ずるのであった、ところが文子にはそれができなかった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
滝田くんはじめてったのは夏目先生のおたくだったであろう。が、生憎あいにくその時のことは何も記憶きおくのこっていない。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「お気毒きのどくさまですがね、たくはお花なんか習っているひまはないんですから、今日きりわたくしからお断りいたします」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「弟が伯爵家はくしゃくけへ若様のお学友にあがりますのよ、それで奥様がわざわざおいでくださいましたの。たくの母と五つしか違いませんのよ、お若いんでございますのよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「師匠なんて呼ばれちゃあ赤面します。おたくさまには長い間、居候していた厄介者の李忠に過ぎない」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さア——来た以上、仕方がない。不本意ながら、おたくを血だらけに致すよりほか、まず、みちはござるまい。斬合きりあいには、ざんバラがみが一番邪魔じゃまでござる。手拭いを一本——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
丑之助君が何々有志諸君の万歳を呼ぶ。其れから丑之助君をたくへ送って、いよ/\飲食のみくいだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
予が新銭座しんせんざたくと先生のじゅくとは咫尺しせきにして、先生毎日のごとく出入しゅつにゅうせられ何事も打明うちあけ談ずるうち、つね幕政ばくせい敗頽はいたいたんじける。もなく先生は幕府外国方翻訳御用がいこくかたほんやくごよう出役しゅつやくを命ぜらる。
「あら、着物きものなんかいらなくつてよ。——さうね、あたしの今一番しいのは上とうの乳母ぐるまよ。ほらキルビイさんのおたくにあるやうな。あたしれい子をあんなのにせてやりたいわ。」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
『オヽ、濱島はまじまさん⁈ よくぞんじてをりますよ、雇人やとひにんが一千にんもあつて、支店してんかずも十のゆび——ホー、そのたくですか、それはつて、あゝつて。』とくち手眞似てまねまどからくび突出つきだして
神樣かみさまたくののんべえ ですがね。もうあきれてものへません。わたしがあなたに、あのさけむやうにつておねがひしたのは百ぺんや二百ぺんではありません。けれどむどころか、あのとほりです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
皆さまのその一大事のやうな御樣子では——私の母さまも一緒ですわ——これでもつてすつかりこのおたくにあの惡魔と親類筋の正眞正銘の巫女みこがゐるのだと思ひ込んでゐらつしやる御樣子ねえ。
しかしたくは必ずうかがわせますよういたしましょう、と請合うけあってくれた。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「青木さんは火事の時刻に私のたくに御出になったのですか?」
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
『常さんがしつかりして居るから、おたくでは仕合しあはせぢや』
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
お話変って、十二月五日の日暮方ひくれがた、江戸屋の清次が重二郎の居ります裏長屋の一番奥の、小舞こまいかきの竹と申す者のたくへやってまいり
村中へ知らせず日暮ひぐれて立出させし所に猿島さるしま河原迄いた火打ひうち道具を失念しつねん致したるを心付昌次郎はとり立戻たちもどる時私しは又たくにて心付子供等があと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先刻さつきたくから御使おつかいでした。手紙は書斎の机のうへに載せて置きました。受取は一寸ちよつとわたくしいてわたしてきました」と云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「伊八は六十近いくせに、死んだ女房の妹のお萬に懸想けさうして、うるさく言ひ寄るらしいが、お萬は若くて達者な按摩あんまたくの市とねんごろにしてゐる」
まえのおたくにくらべたら、物置小屋ものおきごやにもりない住居すまいでござんすが、ここばっかりは、邪間じゃまするものもない二人ふたり世界せかい
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
これはるから、打石斧だせきふおほあつめられたのである。玉川沿岸たまがはえんがんには打石斧だせきふおほい。其處そこ何處どこくのにもたくちか都合つがふい。
これ廿にぢう四年の六月が初刊しよかんであつたが、例の九号にもおよばずしてまためてしまつたのです、小栗風葉をぐりふうえふの会員のうちから出たので、たくに来たのは泉鏡花いづみきやうくわさきですが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どくなれど此處こゝれて眞直まつすぐゆきしゝと小路こみちりぬ、なんこと此路このみち突當つきあたり、ほかまがらんみちえねば、モシおたくはどのへんでと覺束おぼつかなげにとはんとするとき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「手前の方こそ、一杯たくで差上げなくっちゃならねえところを、こんなご散財をかけちゃって」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うまかほはすところで、無論むろん少年せうねんにはあま畫題ぐわだいであるのを、自分じぶんこのきよよつ是非ぜひ志村しむら打勝うちかたうといふ意氣込いきごみだから一生懸命しやうけんめい學校がくかうからたくかへると一しつこもつて
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「エルメンさん、おたくがどうかしたわけじゃないんでしょう?」と、アッカが言いました。
如何いかゞですか、られはしますまい。が、蚊帳かやへはくに引込ひつこみました。……おたくは?」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そうしないとあの人等はおたくへいっておかあさんになにをいうか知れませんよ、ねえ、毎日でなくても、たまにちょいちょい私達と遊びましょう、ね、お母さんに知れたら困るでしょう
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのすこし前に芥川龍之介さんのたくはじめておにかかつて想像そうぞうとはまるでちがつたじつ持のいい人からかんじ入つたものだつたが、球突たまつきあひ手としてあんな持のいい印象いんせうを留めてゐる人は先づめづらしい。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たくへくれば、おいもうとさんは大抵たいてい場合ばあひ玄関外げんくわんそとたしておくやうです。家内かないもいくらかおはなしうかゞつてるさうですが、うつかりしたことへば、たゝりがおそろしいんでせう、あまくちかれないさうで。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
これからたくかへつて支度したくをしてうち長家ながやの者も追々おひ/\くやみにる、差配人さはいにん葬式さうしき施主せしゆ出来できたのでおほきに喜び提灯ちやうちんけてやつてまゐ
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
連歸つれかへもとは此所の分限者ぶんげんしやなりしを盜賊に落さんも氣の毒に思ひ家主のたくへ寄合ひ四郎右衞門にわけを尋ぬるに前々の始末を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「近所の噂ですが、——あのたくの市は、飛んだ色男のノラクラ者で、評判ですよ。眼なんか見えないといふのは大嘘で、按摩あんまなんかぢやありませんよ」
「ええ、もう辛抱しんぼうがなりませぬ。手前てまえと一しょにもう一春信はるのぶさんのおたくまで、とっととおいでなさりませ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わたくしは月の末に東京へ帰った。先生の避暑地を引き上げたのはそれよりずっと前であった。私は先生と別れる時に、「これから折々おたくへ伺ってもござんすか」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
折角せつかく着込きごんでつた探檢服たんけんふくに、すこしもどろけずしてたくへと引揚ひきあげた。大學連中だいがくれんぢうみなとまみである。
たく物置ものおきかつ自分じぶんもちあるいた畫板ゑばんつたのつけ、同時どうじ志村しむらのことをおもひだしたので、早速さつそくひといてると、おどろくまいことか、かれは十七のとし病死びやうししたとのことである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)