先祖せんぞ)” の例文
日本にほんのむかしの武士ぶしで一ばんつよかったのは源氏げんじ武士ぶしでございます。その源氏げんじ先祖せんぞで、一ばんえらい大将たいしょうといえば八幡太郎はちまんたろうでございます。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あおたまは、ずうっとむかし先祖せんぞのだれかが、このうみべのすなのなかからほりして、それが代々だいだいいえにつたわったのだということでありました。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
もつと先祖せんぞ武家出ぶけでであらうが、如何いかにもくだんの、ならばが、ともだちのみゝさはつて聞苦きゝぐるしい。自然しぜんにつきあつてあそぶものもすくなくなる。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひらいてみらるゝに小判にて金百兩あり大岡殿心中にはなはだ感じられ是は全く由緒ゆゐしよある武士なり兎角零落に及んでも萬一の時のためにと先祖せんぞの意を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こういう日の食物は、まず神々にそなえ、先祖せんぞれいにすすめ、それと同じ物をわれも人も、ともどもに食べるから、ことに楽しかったのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
百年ばかりまえに、リビア人の帆船はんせんからマルメーに上陸じょうりくした、あわれな移住いじゅうネズミの夫婦ふうふがその先祖せんぞになっているのです。
左様さよう先祖せんぞといえば先祖せんぞであるが、むし人間にんげん遠祖えんそ人間にんげん創造者つくりぬしったがよいであろう。つまり竜神りゅうじんがそのまま人間にんげん変化へんげしたのではない。
おれ先達せんだつ先祖せんぞ計算けいさんをして、四十代前だいまへおれ先祖せんぞすうが、一まん九百九十五おく二千一百六十二まん五千七百七十六にんだといふ莫大ばくだい數字すうじ發表はつぺうしたときには
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
さりながら先祖せんぞたいいへたいするかう二人ふたりいのちなりてゝはえあるぞとおもへば何處いづくのこ未練みれんもなしいざ身支度みじたく
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまでは自分があいし愛される母親や兄弟があるだけではない、その国で名誉めいよのある先祖せんぞ名跡みょうせきをついで、ばくだいな財産ざいさん相続そうぞくする身の上になったのである。
あんまりなまけたのでむかしわたくし先祖せんぞ神様かみさまなぐられまして、ごらんのとほ身体中からだぢうこぶだらけになりました
アヽ華族くわぞくいへうまれたが、如何いか太平たいへい御代みよとはまうせども、手をそでにして遊んでつてはまぬ、えわが先祖せんぞ千軍萬馬せんぐんばんばなか往来わうらいいたし、きみ御馬前ごばぜんにて血烟ちけむり
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これをむずかしくいうと、第四期の洪積世こうせきせいであって、旧石期時代きゅうせっきじだいにあたる。そのころ、われらのごとき人類の先祖せんぞのもう一つその前の原始人類げんしじんるいがすんでいたころのことである。
氷河期の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きてゐるやうなら……ときときところところはかはかとし埋葬所はふむりどころなんねん其間そのあひだ先祖せんぞほね填充つまってあり、まだ此間このあひだめたばかりののチッバルトもまぶれの墓衣はかぎのまゝで
東京とうきやういへたゝむとき宗助そうすけ先祖せんぞ位牌ゐはいひとのこらずたづさえて、諸所しよしよ漂泊へうはくするのわづらはしさにえなかつたので、あたらしいちゝ分丈ぶんだけかばんなかをさめて、其他そのたこと/″\てらあづけていたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ボスといってね、いまのうし先祖せんぞで、むかしはたくさんいたのさ
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「これには、ご先祖せんぞのたましいがはいっているんです。」といっておかあさんがこのあおたまをだいじにしたのも、ふしぎではありません。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
とすると、先祖せんぞへはともかく、友達ともだちかほにかゝはる……とたん廊下らうかつてくと、女中ぢよちう案内あんないされたのは、これまた心易こゝろやすい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
学問がくもんてることはおもいもよらないので、せめてりっぱな子供こどもんで、その子を先祖せんぞけないえらい学者がくしゃ仕立したてたいとおもちました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もっとわたくし先祖せんぞなか立派りっぱ善行ぜんこうのものがったおかげで、わたくしつみまでがよほどかるくされたともうすことで……。
下りて屏風びやうぶのうちへ入置いれおき平左衞門は入牢じゆらう申渡されしが主税之助儀は交代かうたい寄合よりあひ生駒大内藏へ御預けとさだまりたり此生駒家の先祖せんぞ讃州さんしう丸龜まるがめ城主じやうしゆにして高十八萬石を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
加藤清正公かとうきよまさこう朝鮮征伐ちようせんせいばつにいらしたときわたくし先祖せんぞ道案内みちあんないをしたので、そのおれい清正公きよまさこう紋所もんどころをこうして身体からだへつけてくだすつて代々だい/\まあこうして宝物ほうもつにしてゐるやうなわけですよ
張がね、君たちの旅行の安全のために、ご先祖せんぞさまから伝えられている水晶のたまを拝んで占ってみたんだとさ、すると今いったとおり、二日以内によくないことが起ると分ったんだ。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここでは、むかしから灰色ネズミの先祖せんぞたちが、ずいぶん討死うちじにしたものです。
もとむることはせずとそれ平生へいぜいことばなるもの盡未來じんみらいこの不和ふわなかけるはずなし數代すだいつゞきし兩家りやうけのよしみ一朝いつてうにしてやさんこと先祖せんぞ遺旨ゐしにもたがふことなりひとともわらはんとも
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ちがはいでをられうか? 先祖せんぞしゅうあしやを玩具もてあそびにはしはすまいか? 手傷てきずだらけのチッバルトをみどろの墓衣はかぎから引出ひきだしゃせぬか? 狂氣きゃうきあまり、きこえたさる親族うからほね取上とりあ
いく年か、それはずいぶん長い月日が短くぎた。そのあいだしじゅう楽しい幸福な日がつづいた。わたしはいまでは、わたしの先祖せんぞからのやしきであるイギリスのミリガン・パークに住んでいる。
「じつは、先祖せんぞ時代じだいから、もう一つほかにおな仏像ぶつぞうつたわっています。そのほうなら、完全かんぜんでございます。」と、おとこはいいました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この人の何代なんだいまえ先祖せんぞ阿倍あべ仲麻呂なかまろという名高なだか学者がくしゃで、シナへわたって、こうの学者がくしゃたちの中にまじってもちっともけをとらなかった人です。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ててもかれず、うしたとくと、「どうもへんなんですよ。」と不思議ふしぎがつて、わるく眞面目まじめかほをする。ハテナ、小倉をぐら色紙しきしや、たか一軸いちぢく先祖せんぞからないうちだ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
頼み其のち先祖せんぞ菩提ぼだいの爲とて旦那寺だんなでらに於て大施餓鬼おほせがきを取行ひ杉戸屋富右衞門世話人がしらなり修行しゆぎやう致しけりさて富右衞門は隱居いんきよなし家督かとく親類しんるゐより相應さうおうなる者を呼入て杉戸屋の家名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先祖せんぞ代々つたわって居ります永正寺えいしょうじ墓地ぼちへ持って参りほうむったのでございます
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たヾねかしとすてものにして、部屋へやよりそとあしさず、一心いつしんくやめては何方いづかたうつたふべき、先祖せんぞ耻辱ちじよく家系かけいけがれ、兄君あにぎみ面目めんもくなく人目ひとめはずかしく、我心わがこヽろれをめてひる
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もちろん、白いはねのノロこうなどはもんだいにもされませんでした。カラスたちは、口ぐちに、ノロ公は先祖せんぞにはちっともていない、とうていおかしらになるがらではない、と言いました。
「なんて、わたしたちの先祖せんぞは、ばかだったのでしょう。わたしは、だれにられなくてもいいから、平和へいわらしたいのでございます。」
すみれとうぐいすの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし源氏げんじ武士ぶしいくさに出るとき氏神うじがみさまの八幡大神はちまんだいじんのおとなえるといっしょに、きっと先祖せんぞ八幡太郎はちまんたろうおもして、いつも自分じぶんかって行く先々さきざきには
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
畜生ちくしやう畜生ちくしやう——と口惜くやしさうにわめ調子てうしが、立派りつぱ同一おなじ先祖せんぞらしい、おたがひの。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかはさるべくはつかはしたけれど、七萬石ひちまんごく先祖せんぞ勳功くんこうたひし、皇室くわうひつ藩屏はんべいといふたいし、このことばかりはなしがたきに表立おもてだちてはひめやしきおきがたけれど、れには一人ひとりいもと、ことに兩親りやうしん老後らうごにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこに先祖せんぞの用心があったかもしれないのだった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おまえさんの先祖せんぞも、やぶや、はやしなかで、あかをつついてんでいたものだ。そして、いつもこえわるいのをなげいたものだ。
すみれとうぐいすの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それこそ先祖せんぞ八幡太郎はちまんたろうけないほどのつよ大将たいしょうというのは、八なん鎮西八郎為朝ちんぜいはちろうためともでした。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このふえもやはり、おじいさんのころからつたわっていましたので、これにも先祖せんぞのたましいがこもっていると、おとうさんはしんじていました。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
保名やすなはそれを残念ざんねんなことにおもって、どうかして先祖せんぞ仲麻呂なかまろのような学者がくしゃになって、阿倍あべいえおこしたいとおもいましたが、子供こどもときからうまったりゆみたりすることはよくできても
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたしたちの先祖せんぞは、ちょうどここにいなさるからすさんのご先祖せんぞといっしょに、日輪にちりんたにから、つなしばってそらげるときに、ほねをおったのです。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じゃあおまえたちはおにか。それとも先祖せんぞおにだったのか。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれど、まごは、先祖せんぞから大事だいじにしていたさかずきであるということだけはっていましたので、これをだれかに、鑑定かんていしてもらいたいとおもいました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よくよく先祖せんぞをお調しらべさせになりました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして、いままでの自分じぶんたちの先祖せんぞわるかったことを、真心まごころこめておわびをするのでありました。これについて、ここに、あわれなはなしがあるのであります。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いくら先祖せんぞえらくても、あとをつぐものに、そのりっぱな精神せいしんがなければ、みんなこんなようになってしまうのだ。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あなたたちの先祖せんぞは、そのとき、やはりはたけや、野原のはらびまわっていて、べつに手助てだすけをしなかったから、のちのちまでも平凡へいぼんらしていなさるのです。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)