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今頃
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いまごろ
ふりがな文庫
“
今頃
(
いまごろ
)” の例文
「あんた、
今頃
(
いまごろ
)
まで何しててん!」———と、そう云う声が
俄
(
にわ
)
かに耳のハタで聞えて、福子のイキリ立った剣幕がありありと見える。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
蘿月
(
らげつ
)
の
伯父
(
をぢ
)
さんの
云
(
い
)
つたやうに、あの
時分
(
じぶん
)
から
三味線
(
しやみせん
)
を
稽古
(
けいこ
)
したなら、
今頃
(
いまごろ
)
は
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
一人前
(
いちにんまへ
)
の芸人になつてゐたに違ひない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
左樣
(
さう
)
だ、
今頃
(
いまごろ
)
は
彌六
(
やろく
)
親仁
(
おやぢ
)
がいつもの
通
(
とほり
)
、
筏
(
いかだ
)
を
流
(
なが
)
して
來
(
き
)
て、あの、
船
(
ふね
)
の
傍
(
そば
)
を
漕
(
こ
)
いで
通
(
とほ
)
りすがりに、
父上
(
ちやん
)
に
聲
(
こゑ
)
をかけてくれる
時分
(
じぶん
)
だ
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの時
兄
(
にい
)
さんが
亡
(
な
)
くならないで、
未
(
ま
)
だ達者でゐたら、
今頃
(
いまごろ
)
私
(
わたくし
)
は
何
(
ど
)
うしてゐるでせう」と三千代は、其時を
恋
(
こひ
)
しがる様に云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
丁度
今頃
(
いまごろ
)
来るはずだった。こう思って柵の格子の間から、月の差している道を眺めた。
停車場
(
ていしゃじょう
)
の
側
(
そば
)
まで見えているのである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
▼ もっと見る
土瓶形
(
どびんがた
)
、
香爐形
(
かうろがた
)
、
洋人
(
やうじん
)
が
百圓宛
(
ひやくえんづゝ
)
で
買
(
か
)
つたらうか。
恐
(
おそ
)
らく
今頃
(
いまごろ
)
は、あの
男
(
をとこ
)
に、
十箇
(
とを
)
二錢
(
にせん
)
五
厘
(
りん
)
で
賣
(
う
)
つた
方
(
はう
)
が
好
(
よ
)
かつたと、
後悔
(
こうくわい
)
をして
居
(
ゐ
)
るであらうよ。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「よせやい。おどかしっこなしだぜ。あれほど探していなかったんだもの、
今頃
(
いまごろ
)
まで隠れているはずはないよ。ねえ君」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『
今頃
(
いまごろ
)
は
馬車
(
ばしゃ
)
にでも
乗
(
の
)
って、
郊外
(
こうがい
)
へ
行
(
い
)
ったらさぞいいでしょう。』と、イワン、デミトリチは
赤
(
あか
)
い
眼
(
め
)
を
擦
(
こす
)
りながら
云
(
い
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『
然
(
しか
)
し
妙
(
めう
)
だぞ、
今月
(
こんげつ
)
の
航海表
(
かうかいへう
)
によると、
今頃
(
いまごろ
)
此
(
この
)
航路
(
かうろ
)
を
本船
(
ほんせん
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ふて
斯
(
か
)
く
進航
(
しんかう
)
して
來
(
く
)
る
船
(
ふね
)
は
無
(
な
)
い
筈
(
はづ
)
だが。』と
小首
(
こくび
)
を
傾
(
かたむ
)
けたが
忽
(
たちま
)
ちカラ/\と
笑
(
わら
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「去年の
今頃
(
いまごろ
)
だったねえ、姉さんが行ったのは。あれからもう一年か。」と
呟
(
つぶや
)
き、何か兄さんから事件の情報を得ようと、たくらんだが、見破られた。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
千駄木
(
せんだぎ
)
の
奥
(
おく
)
の
此
(
こ
)
の
私
(
わたし
)
の
家
(
いへ
)
から
番町
(
ばんちやう
)
までゞは、
可也
(
かなり
)
遠
(
とほ
)
いのであるが、
出
(
で
)
てからもう
彼此
(
かれこれ
)
一
時間
(
じかん
)
も
経
(
た
)
つから、
今頃
(
いまごろ
)
は
父
(
ちゝ
)
と
母
(
はゝ
)
とに
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
から
笑顔
(
ゑがほ
)
を
見
(
み
)
せられて
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ここはどこだい。そして、
今頃
(
いまごろ
)
お日さまがあんな空のまん中にお
出
(
い
)
でになるなんて、おかしいじゃないか。」
さるのこしかけ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
オイお
熊
(
くま
)
どこへ
行
(
い
)
つたんだな、おくま、
手水場
(
てうづば
)
か、めつぽふけえ
降
(
ふ
)
りやアがる、
焚火
(
たきび
)
をしたまゝ
居
(
ゐ
)
ねえが
今頃
(
いまごろ
)
どこへ
行
(
い
)
つたのだらう、
女房
(
にようばう
)
は
堅気
(
かたぎ
)
にかぎると
云
(
い
)
ふが
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
置
(
お
)
いては
來
(
き
)
たれど
今頃
(
いまごろ
)
は
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
して
母
(
かゝ
)
さん
母
(
かゝ
)
さんと
婢女
(
をんな
)
どもを
迷惑
(
めいわく
)
がらせ、
煎餅
(
おせん
)
やおこしの
哆
(
たら
)
しも
利
(
き
)
かで、
皆々
(
みな/\
)
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
鬼
(
おに
)
に
喰
(
く
)
はすと
威
(
おど
)
かしてゞも
居
(
ゐ
)
やう
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「そう言えば、
今頃
(
いまごろ
)
は地理の時間だぜ、カイゼルが得意になって海洋奇談をやってる時分だね」
誰が・何時・何処で・何をした
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
今頃
(
いまごろ
)
、おっ母さんや、妹や、そいから新橋の店の連中? ああ、ああ、ああ! 私がこんなところで、こんな目にあっているなんて、とても、だあれも考えてはいないわ。
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
「どなたですか
今頃
(
いまごろ
)
戸をお叩きなさるのは?」と、爺さんは
睡
(
ねむ
)
い眼をこすり/\申しました。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
マーキュ
彼奴
(
あいつ
)
めは
怜悧者
(
りこうもの
)
ぢゃ、
一定
(
てっきり
)
とうに
拔駈
(
ぬけがけ
)
して、
今頃
(
いまごろ
)
は(
家
(
うち
)
に)
臥
(
ね
)
てゐるのであらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
余計
(
よけい
)
なお
接介
(
せっかい
)
のようだが、
今頃
(
いまごろ
)
太夫
(
たゆう
)
は、
帯
(
おび
)
の
行方
(
ゆくえ
)
を
探
(
さが
)
しているだろう。お
前
(
まえ
)
さんの
来
(
き
)
たこたァ、どこまでも
内所
(
ないしょ
)
にしておこうから、このままもう一
度
(
ど
)
、
持
(
も
)
って
帰
(
かえ
)
ってやるがいい
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
忙
(
いそが
)
しいとも
田
(
た
)
の
草
(
くさ
)
もまあだ
掻
(
か
)
きやしねえんだ、
土用
(
どよう
)
になつてからだつて
幾
(
いく
)
らも
照
(
て
)
りやしめえし、
降
(
ふ
)
つてばかし
居
(
ゐ
)
つから
見
(
み
)
ろうあれ、
隣
(
となり
)
の
旦那等
(
だんなたち
)
だつて
今頃
(
いまごろ
)
麥
(
むぎ
)
打
(
ぶ
)
つてる
騷
(
さわ
)
ぎだあ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
痛
(
いため
)
しとて
杖
(
つゑ
)
に
縋
(
すが
)
りて參りし處惡い
駕籠舁
(
かごかき
)
どもに付込れ
當底
(
たう/\
)
欺
(
あざむ
)
かれ乘て參りたるが
今頃
(
いまごろ
)
は此熊谷土手の
中程
(
なかほど
)
にて路金も女も定めし
奪
(
とら
)
れ給ひしならんアヽ思ひ出しても
可愛
(
かあい
)
さうな事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
また書く上ばかりでなく、書くまでの段取を火鉢にあたりながら漫然と考へてゐるには
今頃
(
いまごろ
)
が一番いいやうだ。新年号の諸雑誌の原稿は
大抵
(
たいてい
)
十一月
一杯
(
いつぱい
)
または十二月のはじめへかかる。
一番気乗のする時
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
格子
(
こうし
)
の
開
(
あ
)
く音がした。茶の間に居た
細君
(
さいくん
)
は、
誰
(
だれ
)
かしらんと思ったらしく、つと立上って物の
隙
(
すき
)
からちょっと
窺
(
うかが
)
ったが、それがいつも
今頃
(
いまごろ
)
帰るはずの夫だったと
解
(
わか
)
ると、すぐとそのままに出て
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お母さんのところに、マイダーノフが坐り込んでいるのよ。わたしにって、自分で作った
叙事詩
(
じょじし
)
を持って来てくれたのに、ほっぽらかして来てしまったの。あの人も
今頃
(
いまごろ
)
は、きっと悄気てるわ。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「
不断
(
ふだん
)
は
今頃
(
いまごろ
)
もう
家
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
つてゐるんだらう。
此間
(
このあひだ
)
僕が
訪
(
たづ
)
ねた時は
大分
(
だいぶ
)
遅
(
おそ
)
かつた様だが」と聞いた。すると、平岡は
矢張
(
やはり
)
問題を
回避
(
くわいひ
)
する様な語気で
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
今頃
(
いまごろ
)
は
馬車
(
ばしや
)
にでも
乘
(
の
)
つて、
郊外
(
かうぐわい
)
へ
行
(
い
)
つたらさぞ
好
(
い
)
いでせう。』と、イワン、デミトリチは
赤
(
あか
)
い
眼
(
め
)
を
擦
(
こす
)
りながら
云
(
い
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
丁
(
ちやう
)
ど
今頃
(
いまごろ
)
だで——それ/\、それよ
矢張
(
やつぱ
)
り
此
(
こ
)
の
道
(
みち
)
だ。……
私
(
わし
)
と
忠蔵
(
ちうざう
)
がお
供
(
とも
)
でやしたが、
若奥様
(
わかおくさま
)
がね、
瑞巌寺
(
ずゐがんじ
)
の
欄間
(
らんま
)
に
舞
(
ま
)
つてる、
迦陵頻伽
(
かりようびんが
)
と
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
でや
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、
暫
(
しばら
)
く呼んでみたけれども、
今頃
(
いまごろ
)
こんな所に愚図々々している筈がないことは、分りきっていたのであった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
若
(
も
)
し
此樣
(
こん
)
な
禍
(
わざはひ
)
が
起
(
おこ
)
らなかつたなら、
今頃
(
いまごろ
)
は
既
(
すで
)
に
大佐
(
たいさ
)
の
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つて
居
(
を
)
つて、あの
景色
(
けしき
)
の
美
(
うる
)
はしい
海岸
(
かいがん
)
の
邊
(
へん
)
で、
如何
(
いか
)
に
愉快
(
ゆくわい
)
な
日
(
ひ
)
を
迎
(
むか
)
へて
居
(
を
)
るだらうと
考
(
かんが
)
へると
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
(
今頃
(
いまごろ
)
探鉱
(
たんこう
)
など来るはずあなぃな。)嘉吉は豆の
餅
(
もち
)
を口に入れた。音がこちこちまた
起
(
おこ
)
った。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
もう
今頃
(
いまごろ
)
はどっかへ行方をくらましてしまったに違いない。おい、誰か署へ帰って、非常線の手配を頼んでくれたまえ。それから消防だ。もうこうなってはわれわれの出る幕じゃない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何
(
ど
)
うでも
宜
(
よろ
)
しい、
何
(
なん
)
となり
遊
(
あそ
)
ばしませ、
私
(
わたし
)
は
私
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へ
通
(
とほ
)
りな
事
(
こと
)
して、
惡
(
わる
)
ければ
惡
(
わる
)
くなれ、
萬一
(
まんいち
)
よければそれこそ
儲
(
まう
)
け
物
(
もの
)
といふやうな
無茶苦茶
(
むちやくちや
)
の
道理
(
だうり
)
を
附
(
つ
)
けて、
今頃
(
いまごろ
)
私
(
わたし
)
は
何
(
なに
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたか
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
室香に約束は
違
(
たが
)
えど大丈夫青雲の志
此時
(
このとき
)
伸
(
のぶ
)
べしと殊に血気の
雀躍
(
こおどり
)
して喜び、米国より欧州に前後七年の
長逗留
(
ながとうりゅう
)
、アヽ
今頃
(
いまごろ
)
は
如何
(
どう
)
して居おるか、生れた子は女か、男か、知らぬ顔に、知られぬ顔
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
マーキュ はて、
戀
(
こひ
)
が
盲
(
めくら
)
なら
的
(
まと
)
を
射中
(
いあ
)
てることは
出來
(
でき
)
まい。
今頃
(
いまごろ
)
はロミオめ、
枇杷
(
びわ
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
蹲踞
(
しゃが
)
んで、あゝ、
予
(
わし
)
の
戀人
(
おてき
)
が、あの
娘共
(
むすめども
)
が
内密
(
ないしょ
)
で
笑
(
わら
)
ふ
此
(
この
)
枇杷
(
びは
)
のやうならば、
何
(
なん
)
のかのと
念
(
ねん
)
じて
居
(
ゐ
)
よう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
いいえお
放
(
はな
)
しいたしませぬ。
今頃
(
いまごろ
)
お
出
(
で
)
まし
遊
(
あそ
)
ばしましては、お
身分
(
みぶん
)
に
係
(
かか
)
わりまする。もしまた、たってお
出
(
で
)
まし
遊
(
あそ
)
ばしますなら、一
応
(
おう
)
わたくし
共
(
ども
)
から
御家老
(
ごかろう
)
へ、その
由
(
よし
)
お
伝
(
つた
)
えいたしませねば。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
御馳走
(
ごちそう
)
には
季春
(
しゆん
)
がまだ
早
(
はや
)
いが、たゞ
見
(
み
)
るだけなら
何時
(
いつ
)
でも
構
(
かま
)
はない。
食料
(
しよくれう
)
に
成
(
な
)
る
成
(
な
)
らないは
別
(
べつ
)
として、
今頃
(
いまごろ
)
の
梅雨
(
つゆ
)
には
種々
(
さま/″\
)
の
茸
(
きのこ
)
がによき/\と
野山
(
のやま
)
に
生
(
は
)
える。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おゝ、お
皈
(
かへ
)
りになりましたとも、そして
今頃
(
いまごろ
)
は、あの
保姆
(
ばあや
)
や、
番頭
(
ばんとう
)
のスミスさんなんかに、お
前
(
まへ
)
が
温順
(
おとな
)
しくお
船
(
ふね
)
に
乘
(
の
)
つて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
していらつしやるでせう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それにしても米屋町の
美代
(
みい
)
ちゃんは
今頃
(
いまごろ
)
どうして居るだろう。
鎧橋
(
よろいばし
)
の船頭の
忰
(
せがれ
)
の鉄公はどうしただろう。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
なに
彼奴
(
あいつ
)
が
今夜中
(
こんやぢう
)
に
立
(
た
)
つものか、
今頃
(
いまごろ
)
は
革鞄
(
かばん
)
の前へ
坐
(
すは
)
つて考へ込んでゐる
位
(
ぐらゐ
)
のものだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
寢間
(
ねま
)
の
時計
(
とけい
)
の十二を
打
(
う
)
つまで
奧方
(
おくがた
)
はいかにするとも
睡
(
ねふ
)
る
事
(
こと
)
の
無
(
な
)
くて
幾
(
いく
)
そ
度
(
たび
)
の
寢
(
ね
)
がへり
少
(
すこ
)
しは
肝
(
かん
)
の
氣味
(
きみ
)
にもなれば、
入
(
い
)
らぬ
浮世
(
うきよ
)
のさま/″\より、
旦那樣
(
だんなさま
)
が
去歳
(
こぞ
)
の
今頃
(
いまごろ
)
は
紅葉舘
(
こうえうくわん
)
にひたと
通
(
かよ
)
ひつめて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
むゝ、
侍童
(
こわらは
)
めが
何
(
なに
)
か
來
(
き
)
たと
知
(
し
)
らせをる。いま/\しい、
何者
(
なにもの
)
であらう、
今頃
(
いまごろ
)
此邊
(
このあたり
)
へ
彷徨
(
さまよ
)
うて、
俺
(
おれ
)
が
眞情
(
まごゝろ
)
の
囘向
(
ゑかう
)
をば
妨
(
さまた
)
げをる。や、
炬火
(
たいまつ
)
を
持
(
も
)
って
來
(
く
)
るわ!……
夜
(
よる
)
よ、ちっとの
間
(
ま
)
、
俺
(
おれ
)
を
包
(
つゝ
)
んでくれい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
盛岡
(
もりをか
)
の電燈は
微
(
かす
)
かにゆらいでねむさうにならび
只
(
ただ
)
公園のアーク燈だけ高い
処
(
ところ
)
でそらぞらしい
気焔
(
きえん
)
の波を上げてゐる。どうせ
今頃
(
いまごろ
)
は無鉄砲な羽虫が沢山集ってぶっつかったりよろけたりしてゐるのだ。
秋田街道
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今頃
(
いまごろ
)
はおおかた、どこぞお
大名屋敷
(
だいみょうやしき
)
のお
厩
(
うまや
)
で、
好
(
す
)
きな
勝負
(
しょうぶ
)
をしてでござんしょうが、
文
(
ふみ
)
を
御覧
(
ごらん
)
なすった
若旦那
(
わかだんな
)
が、まッことあたしからのお
願
(
ねが
)
いとお
思
(
おも
)
いなされて、
大枚
(
たいまい
)
のお
宝
(
たから
)
をお
貸
(
か
)
し
下
(
くだ
)
さいましたら
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今頃
(
いまごろ
)
は
現代思潮
(
げんだいしてう
)
の
中心
(
ちゆうしん
)
となつてゐたであらうと
思
(
おも
)
はれます。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
俳諧
(
はいかい
)
には、
冬
(
ふゆ
)
の
季
(
き
)
になつて
居
(
ゐ
)
たはずだが、みゝづくは、
春
(
はる
)
の
末
(
すゑ
)
から、
眞夏
(
まなつ
)
、
秋
(
あき
)
も
鳴
(
な
)
く。……ともすると
梅雨
(
つゆ
)
うちの
今頃
(
いまごろ
)
が、あの、
忍術
(
にんじゆつ
)
つかひ
得意
(
とくい
)
の
時
(
とき
)
であらうも
知
(
し
)
れぬ。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
去年夫に白眼の黄色いのを発見されたのがちょうど
今頃
(
いまごろ
)
であったことを思い出すと、そのまま下りて行って、あの時夫がしたように平戸の花のよごれたのを一つ一つ
毟
(
むし
)
り始めた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あんな
気立
(
きだて
)
のいい女は日本中さがして歩いたってめったにはない。婆さん、おれの立つときに、少々
風邪
(
かぜ
)
を引いていたが
今頃
(
いまごろ
)
はどうしてるか知らん。先だっての手紙を見たらさぞ喜んだろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今頃
(
いまごろ
)
は
現代思潮
(
げんだいしちょう
)
の
中心
(
ちゅうしん
)
となっていたであろうと
思
(
おも
)
われます。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「又三郎さんは去年なも
今頃
(
いまごろ
)
ここへ来たか。」
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
初夜
(
しよや
)
過
(
す
)
ぎの
今頃
(
いまごろ
)
を
如何
(
いか
)
に
夏
(
なつ
)
の
川縁
(
かはべり
)
でも
人通
(
ひとどほ
)
りは
絶
(
た
)
えてない。
人
(
ひと
)
も
車
(
くるま
)
も、いづれ
列席
(
れつせき
)
したものばかりで、……
其
(
そ
)
の
前後
(
あとさき
)
の
車
(
くるま
)
の
中
(
なか
)
から、
彼
(
かれ
)
は
引外
(
ひきはづ
)
して、
此處
(
こゝ
)
に
入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
たのである。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
頃
常用漢字
中学
部首:⾴
11画
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今頃何処