見合みあは)” の例文
だから突然とつぜんこの小舅こじうと自分じぶんあひだ御櫃おはちいて、たがひかほ見合みあはせながら、くちうごかすのが、御米およねつては一種いつしゆ經驗けいけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だから横町よこてう野蕃漢じやがたら馬鹿ばかにされるのだとひかけてよわいをはづかしさうな顏色かほいろ何心なにごゝろなく美登利みどり見合みあはつまの可愛かわゆさ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
若旦那わかだんな氣疲きつかれ、魂倦こんつかれ、ばうとしてもつけられず。美少年びせうねんけたあとを、夫婦ふうふ相對あひたいして見合みあはせて、いづれも羞恥しうちへず差俯向さしうつむく。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
村落むら人々ひとびと好奇心かうきしんられてづ/\も棺臺くわんだいをそつとげてた。へび依然いぜんとしてだらりとよこたはつたまゝであつた。人々ひとびとみはつた見合みあはせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
メァリーはだまつて讀むと兄に返した。三人顏を見合みあはせて、そして等しく微笑ほゝゑんだ——まつたく暗い寂しい笑ひであつた。
ば見て驚きかほ見合みあはする計りなり就ては大藤武左衞門の家も未だに戸が開ねば是さへもしやと一同が疑ふ餘り彼方あなたへ至り戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今暫らく発表を見合みあはし呉れよ、今郷里の両親に御身おんみ懐胎くわいたいの事を報ぜんには、両親とても直ちに結婚発表を迫らるべし、発表は容易なれども、自分の位地として
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
昨晩跡部からの書状には、たしかな与力共の言分いひぶんによれば、さ程の事でないかも知れぬから、かねて打ち合せたやうに捕方とりかたを出すことは見合みあはせてくれと云つてあつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
と、武村兵曹たけむらへいそうわざ元氣げんきよく言放いひはなつて、日出雄少年ひでをせうねん首筋くびすぢいだいた。二名にめい水兵すいへいさびかほ見合みあはせた。
着流きなが散髪ざんぱつの男がいかにも思ひやつれたふう足許あしもとあやふあゆみ出る。女とれちがひに顔を見合みあはして
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
水谷氏みづたにしかほ見合みあはせて『なにないでもいです。大森おほもり貝塚かひづか一鍬ひとくわでもつたといふことが、すでほこるにるのですから』など負惜まけをしみをつてたが、如何どうもそれではじつところ滿足まんぞく出來できぬ。
みな寒竹かんちくでございます、はい、おしなよろしうございます、五圓六十錢ごゑんろくじつせんねがひたうぞんじます。兩人りやうにんかほ見合みあはせて思入おもひいれあり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたし不運ふうん御座ござりますとて口惜くやしさかなしさ打出うちいだし、おもひもらぬことかたれば兩親ふたおやかほ見合みあはせて、さては其樣そのやうなかかとあきれて暫時しばしいふこともなし。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
宗助そうすけ御米およねたいして永久えいきう天氣てんき保證ほしようするわけにもかなかつた。御米およねらないまへ是非ぜひ屏風びやうぶれともひかねた。二人ふたりかほ見合みあはしてわらつてゐた。やがて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しながいひらぬうちにおつぎはにはた。ぐにあらつたなべ手桶てをけつてくら庭先にはさきからぼんやり戸口とぐち姿すがたせた。しきゐ一寸ちよつと手桶てをけいておしなかほ見合みあはせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見合みあはせ文藏樣は只一人の御子と云那程までに御執心ごしふしんの事なれば彼女を請出うけいだし御よめになされて然べし欠替かけがへのなき御子の事萬一もし不了簡抔ふれうけんなどあらば何となされ候やこゝの所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人ふたり同時どうじりよ一目ひとめた。それから二人ふたりかほ見合みあはせてはらそこからげてるやうな笑聲わらひごゑしたかとおもふと、一しよにがつて、くりやしてげた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
一同いちどう飛立とびたつて、四方しほう見廻みまわしたが、なにえない。さてこゝろまよひであつたらうかと、たがひかほ見合みあはとき、またも一發いつぱつドガン! ふと、大空おほぞらあほいだ武村兵曹たけむらへいそうは、破鐘われがねのやうにさけんだ。
夫婦ふうふかほ見合みあはして微笑ほゝゑんだ。もうすこらずにいて見樣みやうぢやないかとつて、らずにいた。すると道具屋だうぐやまたた。またらなかつた。御米およねことわるのが面白おもしろくなつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一門方いちもんがた幼君えうくん明智めいちかんじて、少時しばらくはたゞかほ見合みあはされしが、やがて御挨拶ごあいさつ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さては放蕩のらかと人々ひと/″\かほ見合みあはせておみね詮議せんぎかりき、かう餘徳よとくらず石之助いしのすけつみりしか、いや/\りてついでかぶりしつみかもれず、さらば石之助いしのすけはおみねまも本尊ほんぞんなるべし
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
問に只先生が參りしと申給へと云ば番人はかほ見合みあはせ先生と許ではなに先生せんせいなるや分り申さず御名前おなまへうけたまはりたしといふ左樣ならば方丈へ山内先生がまゐりしと申し給へとの事なれば早速さつそく其趣そのおもむきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
軍艦ぐんかんにしても、あんなにはや船脚ふなあし新式しんしき巡洋艦じゆんやうかんか、水雷驅逐艦すいらいくちくかんほかはあるまい。』と二とう運轉手うんてんしゆ非番ひばん舵手だしゆ水夫すゐふ火夫くわふ船丁ボーイいたるまで、たがひ見合みあはせつゝ口々くち/″\のゝしさはいでる。
意志の確かでない跡部は、荻野等三人のことばをたやすくれて、逮捕の事を見合みあはせたが、既にそれを見合せて置いて見ると、その見合せが自分の責任に帰すると云ふ所から、疑懼ぎくが生じて来た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
たゞたあおもへねえよ、勘次かんじさんもあゝいにねえでもよかんべとおもふのになあ」嘆聲たんせいはつしては各自かくじこゝろ伏在ふくざいしてあるものくちには明白地あからさまふことをはゞかやう見合みあはせてたがひわらうてはわづか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なにとせんとかうてゝ、垣根かきねひまよりさしのぞけば、いましも雲足くもあしきれてあらたにらしいだつきひかりに、見合みあはしてたつたるひと何時いつ此所こゝへはて、いままでかくれてゞもしものか
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
またるよ、とふられさうなさき見越みこして、勘定かんぢやうをすまして、いさぎよ退しりぞいた。が、旅宿りよしゆくかへつて、雙方さうはうかほ見合みあはせて、ためいきをホツといた。——今夜こんや一夜いちや籠城ろうじやうにも、あますところの兵糧ひやうらうでは覺束おぼつかない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして舞台に於ける芸術の意味を、役者の手腕しゆわんに就てのみ用ひべきものと狭義に解釈してゐた。だから梅子とは大いにはなしつた。時々とき/″\かほ見合みあはして、黒人くらうとの様な批評を加へて、互に感心してゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はなさかりにとまたあらぬこといだせば、一同いちどうかほ見合みあはせてなさけなきおもひなり。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
てたが、近々ちか/″\見合みあはせた、うらゝかひとみたてにもれとか。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一座いちざ老職らうしよくかほ見合みあはせ、年紀としはづかしくおもひしとぞ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ありし雛遊ひなあそびのこゝろあらたまらずあらたまりし姿すがたかたちにとめんとせねばとまりもせでりやうさん千代ちいちやんと他愛たあいもなき談笑だんせふては喧嘩けんくわ糸口いとぐち最早もう来玉きたまふななにしにんお前様まへさまこそのいひじらけに見合みあはさぬかほはつ二日目ふつかめ昨日きのふわたしるかりし此後このご
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ましてや他人たにんそこふかき計略けいりやくふちるべきならねばおとしいれられてのち一悔恨ひとくわいこんむなしくなみだくてりかゝる憂苦いうくつながるゝ情緒じやうちよ思慮しりよ分別ぶんべつ烏羽玉ぬばたまやみくらきなかにも星明ほしあかりに見合みあはせて莞爾につことばかり名殘なごり笑顏ゑがほうらさびしくいざとうながせばいざとこたへて流石さすがにたゆたは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)