とな)” の例文
新字:
だからとなごとのうちにも、かみのお言葉ことばがあり、ものがたりのうちにも、かみのお言葉ことばはさまれてゐるもの、とかんがしたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
わがおちいらんとする罪を洗ひて我を淨むるが故に知るべし、長く約し短く守らば汝高きくらゐにありて勝利かちとなふることをえん —一一一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
むかしよりして界隈かいわいでは、通寺町とほりてらまち保善寺ほぜんじ一樹いちじゆ藁店わらだな光照寺くわうせうじ一樹いちじゆ、とともに、三枚振袖みつふりそで絲櫻いとざくら名木めいぼくと、となへられたさうである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
阿蘇あそ火山灰かざんばひはこの地方ちほうで『よな』ととなへられてゐるが、被害ひがいたん阿蘇あそのみにとゞまらずして、大分縣おほいたけんにまでもおよぶことがある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ぎに富山縣とやまけん高岡市たかをかし末廣町すゑひろちようにある七本杉しちほんすぎは、地上ちじよう五尺ごしやくのところで幹廻みきまは六十六尺ろくじゆうろくしやくたか二十餘間にじゆうよけん樹齡じゆれい一千年いつせんねんとなへられてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
宇宙人生のかくれたる意義を掻き起すととなへながら、油乾ける火盞ほざらに暗黒の燈火ともしびを點ずるが如き痴態を執るものではなかつた。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
自分が自分の崇敬する明治大正の一大藝術家泉鏡花先生の作中の人物の姓名を無斷借用して水上瀧太郎ととなへたのは、別段深い意味はない。
「だがな八、——若い娘の檢屍は罪が深いぜ——ことにお前なんか獨り者だから目の毒だ。眼をつぶつて有難い念佛でもとなへて居るが宜い」
彼は何かぶつ/\のゝしつてゐたらしいが、私にはわからなかつた。がとにかく咒文じゆもんのやうなものをとなへてゐたので、直ぐには返辭をしなかつた。
近頃ちかごろ石匕いしさじの名行はるる樣に成りしが、是とても决してとなへには非ざるなり。イースタアアイランド土人及びエスキモーはげん此石器このせききを有す。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
寐屋ねや燈火ともしひまたヽくかげもあはれさびしや丁字頭ちやうじがしらの、はなばれし香山家かやまけひめいま子爵ししやくおなはらに、双玉さうぎよくとなへは美色びしよくかちめしが、さりとて兄君あにぎみせきえず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夏と旅とがよく結び付けられてとなへらるゝ樣になつたが、私は夏の旅は嫌ひである。
さうして、このふたつながら、ならんでおこなはれてゐました。そのとなごとが、今日こんにちでも、社々やしろ/\神主かんぬしさんたちのとなへる、祝詞のりとなのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
蓮根はす蓮根はすとははず、蓮根れんこんとばかりとなふ、あぢよし、やはらかにして東京とうきやう所謂いはゆる餅蓮根もちばすなり。郊外かうぐわい南北なんぼくおよみな蓮池はすいけにて、はなひらとき紅々こう/\白々はく/\
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そはかしこにては、我等の所有もちものとなふる者愈〻多ければ、各自おの/\くるさいはひ愈〻多く、かの僧院に燃ゆる愛亦愈〻多ければなり。 五五—五七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「惡い事をしたには相違ないが、可哀想だよ。——手前てめえも繩をかけた因縁いんねんがあるから、思ひ出したら念佛でもとなへてやれ」
たとへば阿蘇山あそざん活動かつどう中心ちゆうしんたる中岳なかだけ南北なんぼくなが噴火口ふんかこうゆうし、通常つうじよう熱湯ねつとうたゝへてゐるが、これが數箇すうこ區分くぶんせられてゐるのできたいけ阿蘇あそ開祖かいそとなへられてゐる建磐龍命たけいはたつのみこと靈場れいじようとし、なかいけ
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
とほければ木犀もくせいかをりたか横町よこちやうなり。これより白山はくさんうらでて、天外君てんぐわいくん竹垣たけがきまへいたるまでは我々われ/\これ間道かんだうとなへて、よるいぬゆる難處なんしよなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かの一の聲のとなへし名はかれらみな我と等しくえたるものなればかれら我をあがむ、またしかするは善し 九一—九三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「あつしもそれに氣が付いて、いきなり飛込みましたよ。すると、大時代の婆アが一人、念佛をとなへ乍ら商賣物の姫糊ひめのりを拵へてゐるぢやありませんか」
ですから、となごと全體ぜんたいが、もと命令めいれい意味いみつてゐました。そのなが命令めいれい言葉ことばのうちに、それをしつめたものが出來できたことは、すでまをしました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
其頃そのころふうをなしておこなはれた試驗しけん間際まぎは徹夜てつや勉強べんきやう終夜しうやとなへて、つた同志どうしあかしに演習おさらひをする、なまけものの節季仕事せつきしごとふのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
となへる人達も、それに何んの意味があるか、何んの功徳があるのかも知らず、母親とか乳母から口移しに教へられたのを、そのまゝ傳へるだけで御座います。
あゝ汝はアゴッビオのほまれ巴里パリージにて色彩しきさいとなへらるゝわざの譽なるオデリジならずや。 七九—八一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
京傳きやうでん志羅川夜船しらかはよふねに、素見山すけんざんの(きふう)ととなへて、息子むすこなんぞうたはつせえ、といぬのくそをまたいでさきをとこがゐる。——(きふう)はだ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
念佛一つとなへるでも、拜むでもありませんが、中年男の眼からは、大粒の涙がボロボロとこぼれます。
八千八谷はつせんやたにながるゝ、圓山川まるやまがはとともに、八千八聲はつせんやこゑとなふる杜鵑ほとゝぎすは、ともに此地このち名物めいぶつである。それも昨夜さくや按摩あんまはなした。其時そのときくち眞似まねたのがこれである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
締めきつて蚊帳かやを吊つて線香を焚いてお念佛ばかりとなへてゐたんですもの。人なんか殺すどころか、物を言ふ力もなく弟子達を追つ拂つて、死んだやうになつてゐました
ひとつた……隧道トンネルもつてのほかチエインがある。普通ふつう我國わがくにだい一ととなへて、(代天工てんこうにかはる)と銘打めいうつたとく、甲州かふしう笹子さゝご隧道トンネルより、むしはうながいかもれぬ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次の聲に驚いて多勢の者が飛込んで來ましたが、死んで行く娘の命をどうする事も出來ません。平次は少し引き下がつたまま、兩掌りやうてを合せて靜かに/\念佛をとなへて居りました。
兩側りやうがは大藪おほやぶがあるから、ぞくくらがりざかとなへるぐらゐたけそらとざして眞暗まつくらなかから、烏瓜からすうりはな一面いちめんに、しろほしのやうなはなびらいて、東雲しのゝめいろさつす。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「でも、あの女は可哀想でしたよ。一寸燒跡に寄つて、念佛でもとなへて行きませうか」
こゝまたきいちやんととなへて、もと、其處そこうち内藝妓うちげいしやをしてたのがある。いま堅氣かたぎで、手傳てつだひにる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「馬鹿ツ、死ねば佛樣だ。念佛の一つもとなへて、その顏と裾のあたりを隱してやれ」
そのかははゞもつとひろく、まちもつとちかく、やゝせまところがう屋敷田畝やしきたんぼとなへて、雲雀ひばり巣獵すあさり野草のぐさつみめうなり。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「申松爺さんそれとは知らないから、念佛をとなへたり、魚の頭を撫でたり、心のたけをかき口説くどき乍ら、お鮒樣に獻上する氣で、大一番の獲物を持つて來るから可愛らしいぢやありませんか」
あとでくと、夜汽車よぎしやが、箱根はこね隧道トンネルくゞつて鐵橋てつけうわた刻限こくげんには、うち留守るすをした女中ぢよちうが、女主人をんなしゆじんのためにお題目だいもくとなへると約束やくそくだつたのださうである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何んて口をきくんだ。佛樣を見たら、念佛の一つもとなへて來い、馬鹿」
よゝつツと、宙外君ちうぐわいくんまらず奇聲きせいふのをげるにれて、一同いちどうが、……おめでたうととなへた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
作松は念佛をとなながら、百合の死骸の首に繩を卷いて見せるのでした。
以來いらい百家ひやくかしよんで、哲學てつがくしうする、ととなへて、別業べつげふ居續ゐつゞけして、まどぢて、かきひらいた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
となへても、こいつだけは極樂へ行けねえ人間だ
鉢肴はちざかなまたあらひとなへ、縁日えんにち金魚きんぎよどんぶりかせて——(こほりへてもいゝ)——のちにひきものにたせてかへす、ほとん籠城ろうじやううまあら傳説でんせつごとき、すご寸法すんぱふがあると仄聞そくぶんした。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さあ、あと一本だ。念佛でもとなへろ」
……新坂しんざかとか、見附みつけさかとか、勝手かつてとなへてはせるが、おほきなあたらしいさかである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
老公らうこうかさねて、「これよりのち汝等なんぢら一同いちどうもくしたがかれげんそむくことなかれ、此儀このぎしかと心得こゝろえよ」とおもひもらぬめいなれば、いづれも心中しんちうには不平ふへいながら、異議いぎとなふる次第しだいにあらねば
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上丸じやうまる上々丸じやう/\まるなどとなへて胡桃くるみいつもあり。一寸ちよつとつて、あめにてる、これはうまい。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
頃日このごろく——當時たうじ唯一ゆいつ交通機關かうつうきくわん江戸えど三度さんどとなへた加賀藩かがはん飛脚ひきやく規定さだめは、高岡たかをか富山とやまとまり親不知おやしらず五智ごち高田たかだ長野ながの碓氷峠うすひたうげえて、松井田まつゐだ高崎たかさき江戸えど板橋いたばしまで下街道しもかいだう
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
木槿むくげ木槿はちすにてもあひわからず、木槿もくでなり。やまいも自然生じねんじやうを、けて別々べつ/\となふ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これは界隈かいわい貧民ひんみんで、つい茗荷谷みやうがだにうへる、補育院ほいくゐんとなへて月謝げつしやらず、ときとすると、讀本とくほんすみるゐほどこして、其上そのうへ通學つうがくするの、ぐらしの親達おやたち父親ちゝおやなり、母親はゝおやなり
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)