せい)” の例文
見るなとかたせいせしは如何なるわけかとしきりに其奧の間の見まほしくてそつ起上おきあがり忍び足して彼座敷かのざしきふすま押明おしあけ見れば此はそも如何に金銀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「えゝから、よきげめさせろ」勘次かんじはおつぎをせいした。三にん他人ひといてない闇夜やみよ小徑こみちうして自分じぶんにはもどつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
主人は目で細君をせいす。勝手かってで子どもがきたったので細君はった。花前もつづいて立ちかけたのをふたたびになおって
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一同に下知げちしてバラバラバラッ! 庭へ跳び下りて追いかけようとする天童利根太郎を、造酒は、白刃を突き出してせいした。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
したがつて、今度のじつ力主の名人せい度は、たとへいく分えげつないかんじはあつても、たしかに棋界きかいしん歩といふべきであらう。何も勝負せうふだ、たゝかひだ。
宇治は手を挙げて高城をせいそうとしたが、思いなおしたように深い呼吸をし、そして先に立って部落の方へ歩き出した。靴がかつかつと鳴った。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
かべ天井てんじやうゆきそらのやうにつた停車場ステエシヨンに、しばらくかんがへてましたが、あま不躾ぶしつけだとおのれせいして、矢張やつぱ一旦いつたん宿やどことにしましたのです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そしてかるおどりあがる心をせいしながら、その城壁の頂きにおそる恐る檸檬を据ゑつけた。そしてそれは上出來だつた。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
したがって、為家以後二条家に生れたところの、よんでならぬせいことばのことなども、為兼などと同じ態度でいい破って、大切なのは心だといっている。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「さあ、御前達おまへたち此所こゝさわぐんぢやない。彼方あつちつて御出おいで御客おきやくさまだから」とせいした。其時そのときだれだかすぐに
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こいつはいけないと金太郎は思つた。兩足をもう一度ペタルにのせてそく度をせい御しようとしたが、ペタルの囘轉は速さを増すばかりで金太郎の足をせつけない。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
ゴルドンはこういって、ドノバンをせいした。そうして富士男を片すみにひいてゆきながらささやいた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
次郎は、父の本心がわかったうえに、ほめてまでもらったので、初陣ういじんにでも臨むような、わくわくする気持で立ち上りかけた。俊亮は、しかし、彼を手でせいしながら
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
一二きんせいするはにあり。を制するは其のをつと々しきにありといふは、にさることぞかし。
『イヤそれはもうしばらくってもらいたい。』とたき竜神りゅうじんさんはあわて気味ぎみははせいしました。
しかしです、新生活しんせいくわつあかつきかゞやいて、正義せいぎかちせいするやうになれば、我々われ/\まちでもおほいまつりをしてよろこいはひませう。が、わたし其迄それまでたれません、其時分そのじぶんにはもうんでしまひます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まつろう親爺おやじせいしているすきに、徳太郎とくたろう姿すがたは、いつか人込ひとごみのなかえていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
二箇所にかしよ火元ひもとゆきもつしにかゝつたが、祖母そぼいへよりも身體からだ大事だいじだといつて重幸少年しげゆきしようねんせいしたけれども、少年しようねんはこれをきかないで、幾度いくどゆきはこんでて、つひめたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
妙子たえこ様はおどろいてせいした。しかし照彦てるひこ様はもうききわけがない。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
松村は、私の機先きせんせいして、非難を予防する様に云った。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
すると、法師はおこったように寺男てらおとこせいして
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
一しょに立つと、民部はそれをせいして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せい凱歌かちどきこゑいさましく引揚ひきあげしにそれとかはりて松澤まつざは周章狼狽しうしやうらうばいまこと寐耳ねみゝ出水でみづ騷動さうどうおどろくといふひまもなくたくみにたくみし計略けいりやくあらそふかひなく敗訴はいそとなり家藏いへくらのみか數代すだいつゞきし暖簾のれんまでもみなかれがしたればよりおちたる山猿同樣やまざるどうやうたのむ木蔭こかげ雨森新七あめもりしんしちといふ番頭ばんとう白鼠しろねづみ去年きよねん生國しやうこくかへりしのち
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しか彼等かれらは一ぱういうして矛盾むじゆんした羞耻しうちねんせいせられてえるやうな心情しんじやうからひそか果敢はかないひかりしゆとしてむかつてそゝぐのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
箱番所はこばんしよの者共よりせいさせける是則ち天一坊さまの御座所ととなへて斯の如く嚴重げんぢうかまへしなり又天忠は兩人の下男に云付る樣は天一坊御事は是迄は世を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分じぶんのすぐまへひとつたときは、いよ/\わがばんまはつてたと意識いしきせいせられて、一層いつそう落付おちつきうしなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
童謠どうえうは(おう)がはじめてきたりしやゝ以前いぜんより、何處いづこよりつたへたりともらず流行りうかうせるものにして、爾來じらい父母※兄ふぼしけいだましつ、すかしつせいすれども、ぐわんとしてすこしもかざりき。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とにかく舊式きうしきの名人せいはなはだいい。ただ問題もんだい棋界きかい功勞こうろうがあり、而もおとろへた老棋士ろうきしろう後の生くわつたいして同時に何等かの考慮こうりよはらはるべきである事をぼくは切言したい。
逡巡しゅんじゅんするはいたずらに時刻の空費と考えた栄三郎、躍動に移る用意に、体と剣に細かくはずみをくれだすと、機先きせんせいしてくるかと思いのほか、正体の知れない火事装束の武士
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
が、もう一たけろうが、はなあたまッこすって、ニヤリとわらったその刹那せつなむこうからかかった、八丁堀ちょうぼり与力よりき井上藤吉いのうえとうきちよういているおに七をみとめた千きちは、素速すばや相手あいてせいした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
礼子れいこは外からみさまに母に泣きすがった。いっしょけんめいに泣きすがってはなれない。糟谷かすやにつきながら励声れいせいつませいした。隣家りんか夫婦ふうふんできてようやく座はおさまる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しかしです、新生活しんせいかつあかつきかがやいて、正義せいぎかちせいするようになれば、我々われわれまちでもおおいまつりをしてよろこいわいましょう。が、わたしはそれまではたれません、その時分じぶんにはもうんでしまいます。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と奥様がおせいしになった。なにか問題があったとみえる。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
治良右衛門が機先きせんせいして怒鳴った。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
せいする事出來ずかへつて取持しは人外といひつべし是より家内の男女なんによ色欲しきよくふけりおつねは何時も本夫をつとしやう三郎には少しの小遣こづかひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじ什麽どんな八釜敷やかましくおつぎをおさへてもおつぎがそれでせいせられても、勘次かんじむら若者わかものがおつぎにおもひけることに掣肘せいちうくはへるちからをもいうしてらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
提灯ちやうちん一個ひとつ引奪ふんだくつて、三段さんだんばかりあるきざはし正面しやうめん突立つゝたつて、一揆いつきせいするがごとく、大手おほてひろげて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やますそひらいて、一二ちやうおくのぼやうてたてらだとえて、うしろはういろたかふさがつてゐた。みち左右さいう山續やまつゞき丘續をかつゞき地勢ちせいせいせられて、けつしてたひらではないやうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
主人しゅじんは、まあまあとことばしずかにふたりをせいした。秋のゆくというさびしいこのごろ、無分別むふんべつな若ものと気ちがいとのあらそいである。主人はおぼえずぶるいをした。花前はなまえ平然へいぜんたるもので
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
とおとうさんは祐助君をせいして
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ほりたくみなること、ひとつくるべきものにあらず。いざや、とこれかんとするに、ゆるやはらかに、ほそしろくして、しかくことあたはず。頭領陽知春とうりやうやうちしゆんせいしていはく、わいそれせと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんにしろひどいぞ、これは……どくもつどくせいすとれ。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)