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保
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たも
ふりがな文庫
“
保
(
たも
)” の例文
タ! タ! と二、三あし、履物を棄てて草を踏みつつ、栄三郎の前へ進み出た長剣の士、月輪の道場にあって三位を
保
(
たも
)
つ轟玄八だ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けれど、もはや
水
(
みず
)
すら十
分
(
ぶん
)
に
飲
(
の
)
むこともできなかったので、この
後
(
のち
)
、そんなに
長
(
なが
)
いこと
命
(
いのち
)
が
保
(
たも
)
たれようとは
考
(
かんが
)
えられませんでした。
千代紙の春
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かの天を
司
(
つかさど
)
るもの、またその徳をあまたにしてこれを諸〻の星に及ぼし、しかして自ら
一
(
いつ
)
なることを
保
(
たも
)
ちてめぐる 一三六—一三八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
數年の後忠義者の猿芝居を打つた喜三郎は、
醜
(
みにく
)
いが人柄の良いお駒と夫婦になつて、僅かに加島屋の店を
保
(
たも
)
つて行つたといふことです。
銭形平次捕物控:161 酒屋忠僕
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
そ
)
の
菜種油
(
なたねあぶら
)
のやうに
櫟林
(
くぬぎばやし
)
と
相
(
あひ
)
接
(
せつ
)
しつゝ
村落
(
むら
)
の
西端
(
せいたん
)
に
僻在
(
へきざい
)
して
親子
(
おやこ
)
三
人
(
にん
)
が
只
(
たゞ
)
凝結
(
ぎようけつ
)
したやうな
状態
(
じやうたい
)
を
保
(
たも
)
つて
落付
(
おちつい
)
て
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
「——以上の面々は、外に出て、敵が近づいたら、命を
保
(
たも
)
って、ただちにここを退散いたせ。そしておのが国々へ落ちのびて行くがいい」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肴は丈夫なものだと説明しておいたが、いくら丈夫でもこう焼かれたり煮られたりしてはたまらん。多病にして
残喘
(
ざんぜん
)
を
保
(
たも
)
つ方がよほど結構だ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
燃える樣な新しい煉瓦の色の、
廓然
(
くつきり
)
と正しい輪廓を描いてるのは、
何樣
(
なにさま
)
木造の多い此町では、多少の威嚴を
保
(
たも
)
つて見えた。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
山
(
やま
)
の
高
(
たか
)
さも
谷
(
たに
)
の
深
(
ふか
)
さも
底
(
そこ
)
の
知
(
し
)
れない一
軒家
(
けんや
)
の
婦人
(
をんな
)
の
言葉
(
ことば
)
とは
思
(
おも
)
ふたが、
保
(
たも
)
つにむづかしい
戒
(
かい
)
でもなし、
私
(
わし
)
は
唯
(
たゞ
)
頷
(
うなづ
)
くばかり。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「しかしまあ、二百名にしろ、決死隊員の
頭数
(
あたまかず
)
が揃ったは何よりであります。本官の名誉はともかくも
保
(
たも
)
たれました」
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
其他
(
そのた
)
利己心
(
りこしん
)
多
(
おほ
)
き
人々
(
ひと/″\
)
の
覬覦
(
きゆ
)
から、
完全
(
くわんぜん
)
に
其
(
その
)
秘密
(
ひみつ
)
を
保
(
たも
)
たんが
爲
(
た
)
めに、
自
(
みづか
)
ら
此樣
(
こん
)
な
孤島
(
はなれじま
)
に
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
ばせて、
其
(
その
)
製造
(
せいぞう
)
をも
極
(
きわ
)
めて
内密
(
ないみつ
)
にして
居
(
を
)
る
次第
(
しだい
)
だが——。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
資本主
(
しほんぬし
)
と
機械
(
きかい
)
と
勞働
(
らうどう
)
とに
壓迫
(
あつぱく
)
されながらも、
社會
(
しやくわい
)
の
泥土
(
でいど
)
と
暗黒
(
あんこく
)
との
底
(
そこ
)
の底に、
僅
(
わづか
)
に其の
儚
(
はかな
)
い
生存
(
せいぞん
)
を
保
(
たも
)
ツてゐるといふ
表象
(
シンボル
)
でゞもあるやうな
此
(
こ
)
の
唄
(
うた
)
には
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
つれなき人に操を守りて知られぬ
節
(
ふし
)
を
保
(
たも
)
たんのみ、思へば誠と式部が歌の、ふれば憂さのみ増さる世を、知らじな雪の今歳も又、我が破れ垣をつくろひて
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
余
(
よ
)
は
現時
(
げんじ
)
人
(
ひと
)
より
羨
(
うらや
)
まるゝ
程
(
ほど
)
の
健康
(
けんかう
)
を
保
(
たも
)
ち
居
(
を
)
れども、
壯年
(
さうねん
)
の
頃
(
ころ
)
までは
體質
(
たいしつ
)
至
(
いた
)
つて
弱
(
よわ
)
く、
頭痛
(
づつう
)
に
惱
(
なや
)
まされ、
胃
(
ゐ
)
を
病
(
や
)
み、
屡
(
しば/\
)
風邪
(
ふうじや
)
に
犯
(
をか
)
され、
絶
(
た
)
えず
病
(
やまひ
)
の
爲
(
ため
)
に
苦
(
くるし
)
めり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
いや
静
(
しず
)
かに。——ただ
今
(
いま
)
、
脈
(
みゃく
)
に
力
(
ちから
)
が
出
(
で
)
たようじゃと
申上
(
もうしあ
)
げたが、
実
(
じつ
)
は
他
(
た
)
の
方々
(
かたがた
)
の
手前
(
てまえ
)
をかねたまでのこと。
心臓
(
しんぞう
)
も、
微
(
かす
)
かに
温
(
ぬく
)
みを
保
(
たも
)
っているだけのことじゃ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
漢人のふうをあくまで
保
(
たも
)
とうとするなら、胡地の自然の中での生活は一日といえども続けられないのである。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
サラリーマンとしては文字通りに日が浅い。しかし得意の
度合
(
どあい
)
はそれに反比例を
保
(
たも
)
っていた。もう一人前だと思うと、何となく
尾鰭
(
おひれ
)
がついたような心持がする。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
美くしくもなく
勝
(
すぐ
)
れた頭を持って居ると云うでもない京子と気まずい思い一つしずにこの久しい間の
交際
(
つき合
)
が
保
(
たも
)
たれて居るのは不思議だと云っても好い事だった。
千世子(二)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
都会もその活動的ならざる
他
(
た
)
の一面において極力伝来の古蹟を保存し以てその品位を
保
(
たも
)
たしめねばならぬ。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
社会は進歩して行くほど規律的また軍隊的にならねばならん。社会の害毒になるようなものは一令の
下
(
もと
)
に排斥して社会の空気を清潔に
保
(
たも
)
たしめなければならん。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
だが精神的には、なほも私は自分の魂を失はず、それあるが爲めに最後の安全さの確實性をも
保
(
たも
)
つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
なぜなら、土とともに
働
(
はたら
)
く者のみが、その地方の
評判
(
ひょうばん
)
をいつまでも
保
(
たも
)
っていくことができるのですから。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
産
(
うま
)
せいよいよ
榮
(
さか
)
え行けるに母のお勝も大いに
安堵
(
あんど
)
し常に
念佛
(
ねんぶつ
)
三
昧
(
まい
)
の
道場
(
だうぢやう
)
に遊び
亡
(
な
)
き庄兵衞が
菩提
(
ぼだい
)
を
弔
(
とむら
)
ひ
慈悲
(
じひ
)
善根
(
ぜんこん
)
を事としたれば九十餘
歳
(
さい
)
の
長壽
(
ちやうじゆ
)
を
保
(
たも
)
ち
大往生
(
だいわうじやう
)
の
素懷
(
そくわい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
老人の
頻
(
しき
)
りに愛惜する昔風は、いわば彼ら自身の当世風であって、真正の昔風すなわち千年に
亘
(
わた
)
ってなお
保
(
たも
)
たるべきものは、むしろ生活の合理化単純化を説くところの
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
貧福をいはず、ひたすら善を
積
(
つ
)
まん人は、その身に来らずとも、子孫はかならず
幸福
(
さいはひ
)
を
得
(
う
)
べし。
一〇三
宗廟
(
そうべう
)
これを
饗
(
う
)
けて子孫これを
保
(
たも
)
つとは、此のことわりの
細妙
(
くはしき
)
なり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
纔
(
わづ
)
かに五六
年
(
ねん
)
で
地上
(
ちじやう
)
は
此變化
(
このへんくわ
)
である。
地中
(
ちちう
)
の
秘密
(
ひみつ
)
はそれでも、三千
餘年
(
よねん
)
の
間
(
あひだ
)
保
(
たも
)
たれたと
思
(
おも
)
ふと、これを
攪亂
(
くわんらん
)
した
余等
(
よら
)
は、
確
(
たし
)
かに
罪惡
(
ざいあく
)
であると
考
(
かんが
)
へずには
居
(
ゐ
)
られぬのである。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかし一種の秩序を
保
(
たも
)
って並んでいる風景は、田舎で育ってきた私にはまるで夢の世界です。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
わたしが
仲間
(
なかま
)
の間に
規律
(
きりつ
)
を
保
(
たも
)
とうとすれば、
罪
(
つみ
)
を
犯
(
おか
)
したものは
罰
(
ばっ
)
せられなければならない。それをしなかったら、つぎの村へ行って、今度はドルスが同じ事をするであろう。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
また「Mの都合あれば帰宅したけれど思いとまる。節約の結果三銭の
刻
(
きざ
)
み
煙草
(
たばこ
)
四日を
保
(
たも
)
つ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
また文壇的にもほぼそれに近い存在となつてゐた。仕事の上役としての小劍は、ほとんど下役との接觸を避けるやうな、一種の遊離性を意識して
保
(
たも
)
たうとしてゐたやうに見えた。
「鱧の皮 他五篇」解説
(旧字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
果
(
はた
)
して
心
(
こころ
)
の
平静
(
へいせい
)
が
保
(
たも
)
てるであろうか、
果
(
はた
)
して
昔
(
むかし
)
の、あの
醜
(
みぐる
)
しい
愚痴
(
ぐち
)
やら
未練
(
みれん
)
やらが
首
(
こうべ
)
を
擡
(
もた
)
げぬであろうか……
何
(
ど
)
う
考
(
かんが
)
えて
見
(
み
)
ても
自分
(
じぶん
)
ながら
危
(
あぶな
)
ッかしく
感
(
かん
)
じられてならないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
魚は水あればすなわち
活
(
い
)
き、水
涸
(
か
)
るればすなわち死す。
燈
(
ともしび
)
は
膏
(
あぶら
)
あればすなわち
明
(
めい
)
、
膏
(
あぶら
)
尽くればすなわち
滅
(
めっ
)
す。人は
真精
(
しんせい
)
なり、これを
保
(
たも
)
てばすなわち
寿
(
じゅ
)
、これを
戕
(
そこな
)
えばすなわち
夭
(
よう
)
す。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
其
(
そ
)
の
教頭
(
けうとう
)
は
隨分頑固
(
ずゐぶんぐわんこ
)
な
男
(
をとこ
)
で、こんな
不都合
(
ふつがふ
)
な
示威運動
(
じゐうんどう
)
に
讓歩
(
ぢやうほ
)
しては
學校
(
がくかう
)
の
威嚴
(
ゐげん
)
が
保
(
たも
)
たれないと
云
(
い
)
つて、
葉書
(
はがき
)
が
何
(
なん
)
百
枚
(
まい
)
來
(
き
)
ようと
見向
(
みむ
)
きもしなかつたが、
其
(
そ
)
の
状態
(
じやうたい
)
が
一月
(
ひとつき
)
ばかりも
續
(
つゞ
)
いて
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
曰ふ、
將
(
しやう
)
を
斬
(
き
)
り
旗
(
はた
)
を
搴
(
と
)
るは、氣盛なる者之を能くす、而かも
眞勇
(
しんゆう
)
に非ざるなり。
孤城
(
こじやう
)
を
援
(
えん
)
なきに守り、
孱
(
せん
)
主を衆
睽
(
そむ
)
くに
保
(
たも
)
つ、
律義者
(
りちぎもの
)
に非ざれば能はず、故に眞勇は必ず
律義者
(
りちぎもの
)
に出づと。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
何処
(
どこ
)
へ隠したか、何処へ置いて来たか、穴でも掘って
埋
(
い
)
けてあるのではないか、
床下
(
ゆかした
)
にでも有りはしないか、何しろ
彼奴
(
あいつ
)
の手に証書を持たして置いては、千円
遣
(
や
)
っても
保
(
たも
)
つ金ではない
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
尾瀬
(
おせ
)
が原を
経
(
へ
)
て
戸倉
(
とくら
)
に
帰
(
かへ
)
るべしと、
議
(
ぎ
)
忽
(
たちま
)
ち一决す、之に
依
(
より
)
て戸倉に
至
(
いた
)
るを得べき日数も
予
(
あらかじ
)
め
想像
(
さう/″\
)
することを得、衆心
初
(
はじ
)
めて安んじ、
犠牲
(
ぎせい
)
に供したる
生命
(
せいめい
)
は
辛
(
から
)
うじて
保
(
たも
)
つを得べからしめたり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
それは
例
(
たと
)
へば
堂塔
(
だうたふ
)
伽藍
(
がらん
)
を
造
(
つく
)
る
場合
(
ばあひ
)
に、
巨大
(
きよだい
)
なる
重
(
おも
)
い
屋根
(
やね
)
を
支
(
さゝ
)
へる
必要上
(
ひつえうじやう
)
、
軸部
(
ぢくぶ
)
を
充分
(
じうぶん
)
に
頑丈
(
ぐわんぜう
)
に
組
(
く
)
み
堅
(
かた
)
めるとか、
宮殿
(
きうでん
)
を
造
(
つく
)
る
場合
(
ばあひ
)
に、その
格式
(
かくしき
)
を
保
(
たも
)
ち、
品位
(
ひんゐ
)
を
備
(
そな
)
へるために、
優良
(
いうれう
)
なる
材料
(
ざいれう
)
を
用
(
もち
)
ひ
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
私にとっていちばん自信のないことは、この赤ん坊が自分の生命と、もっともふかい関係を
保
(
たも
)
っていなければならない筈であるのに、それをしっかりと
把握
(
はあく
)
することのできないことだけである。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
万古不朽
(
ばんこふきう
)
の
洪福
(
こうふく
)
を
保
(
たも
)
つ㕝奇妙
不思議
(
ふしぎ
)
の天幸なれば、
実
(
じつ
)
に
稀世
(
きせい
)
の
珍物
(
ちんぶつ
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
またさきほどお
話
(
はなし
)
したように、
落
(
お
)
ち
葉
(
ば
)
や、
苔類
(
こけるい
)
が
水
(
みづ
)
を
多
(
おほ
)
く
含
(
ふく
)
み、したがつて、
地中
(
ちちゆう
)
にも
多量
(
たりよう
)
の
水分
(
すいぶん
)
をしみこませますから、たとひ
旱天
(
かんてん
)
が
久
(
ひさ
)
しく
續
(
つゞ
)
いても
森林
(
しんりん
)
はその
保
(
たも
)
つてゐる
水分
(
すいぶん
)
を
徐々
(
じよ/\
)
に
流
(
なが
)
し
出
(
だ
)
し
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
一
番
(
ばん
)
「
彼女
(
かのぢよ
)
」を
不幸
(
ふかう
)
にしたことは、
彼
(
かれ
)
の
性格
(
せいかく
)
が
普通社会人
(
ふつうしやくわいじん
)
として
適当
(
てきたう
)
な
平衡
(
へいかう
)
を
保
(
たも
)
つてゐないことであつた。
無論
(
むろん
)
こんな
仕事
(
しごと
)
へ
入
(
はい
)
つてくる
人
(
ひと
)
のなかには、
性格
(
せいかく
)
の
平衡
(
へいかう
)
と
調和
(
てうわ
)
の
取
(
と
)
れない
人
(
ひと
)
も
偶
(
たま
)
にはあつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
万物を
保
(
たも
)
たせて行くものであって見れば
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「
保
(
たも
)
ちゃん、今日はもう行ってね」
アパートの殺人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
再び
保
(
たも
)
ちがたしと樂しむなれ。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
微笑
(
ほほゑみ
)
を
保
(
たも
)
てよ
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
畑
(
はた
)
には
刷毛
(
はけ
)
の
先
(
さき
)
でかすつた
樣
(
やう
)
に
麥
(
むぎ
)
や
小麥
(
こむぎ
)
で
仄
(
ほのか
)
に
青味
(
あをみ
)
を
保
(
たも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。それから
冬
(
ふゆ
)
は
又
(
また
)
百姓
(
ひやくしやう
)
をして
寂
(
さび
)
しい
外
(
そと
)
から
專
(
もつぱ
)
ら
内
(
うち
)
に
力
(
ちから
)
を
致
(
いた
)
させる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こうして、この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は、みんなの
力
(
ちから
)
によって、
文明
(
ぶんめい
)
になり、つごうがよくゆき、そして
平和
(
へいわ
)
が
保
(
たも
)
たれてきたのでありました。
子供と馬の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わが今視し物をよくさとらむとねがふ人は、心の中に描きみよ(しかしてわが語る間、その描ける物を
堅
(
かた
)
き
巖
(
いはほ
)
の如くに
保
(
たも
)
て)
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
一個の浮沈にとどまらず、この国そのものが
保
(
たも
)
てるか、救いなき荒廃へ落ちて行くかの、真の国家の危機を、人は初めてほんとに気づいたようだ。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
有体
(
ありてい
)
なる
己
(
おの
)
れを忘れ
尽
(
つく
)
して純客観に眼をつくる時、始めてわれは画中の人物として、自然の景物と美しき調和を
保
(
たも
)
つ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“保”の解説
保(ほ/ほう)は、古代から中世の日本に存在した地域行政の単位。時代・地域によって異なる意味で用いられた。
古代律令制における末端行政単位。
平安京の都城制・条坊制の中に設けられた地割の単位。
平安時代後期以後に登場した所領の単位。
(出典:Wikipedia)
保
常用漢字
小5
部首:⼈
9画
“保”を含む語句
保姆
保証
保存
保羅
享保
天保
保護
大久保
正保
久保田万太郎
保證
保持
佐保
保有
保正
記録保持者
神保町
伊香保
保養
天保銭
...