しゆ)” の例文
別に好い声ではないが、円みのある、落着いた温かい声である。『——しゆウのー手エにーすーがーれエるー、身イはーやすウけエしー』
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その理由は接吻に不便だと云ふのがしゆで、装飾としても野蛮時代の遺風であり、又むしこれあるが為に男を醜くして居ると云ふのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
小村も流石さすがにムツとした。「然し僕等は降誕や奇蹟を離れても基督を信ずる事が出来ます。しゆの生涯が既に絶大な詩です、宗教です。」
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
さい近廣津和郎氏が「さまよへる琉球りうきう人」といふさくしゆこうにした青年がどうもその青年と同一人らしいので、わたしはちよつとおどろいてゐる。
幼児をさなごたちはみな十字架クルス背負しよつて、しゆきみつかたてまつる。してみるとそのからだしゆ御体おんからだ、あたしにけてくださらなかつたその御体おんからだだ。
しか彼等かれらは一ぱういうして矛盾むじゆんした羞耻しうちねんせいせられてえるやうな心情しんじやうからひそか果敢はかないひかりしゆとしてむかつてそゝぐのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
主はこゝに、難くして且つむごき多くの他のしゆに就けるものを招き玉ふ。彼等は重きを負ふて長途を行きたれば痛く疲れてあり。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
いままでべた土器どきはなしは、しゆとして關東かんとうから奧羽地方おううちほうにおいて土器どきについてまをしたのでありますが、關西地方かんさいちほう、あるひはその地方ちほうから
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
偶〻「しゆ」が廊下傳ひに歩いてこられて、この囚人を熟視し給ひ、さて、「此の男を二度と監禁してはならぬ。此の男は余の許にべきものだ。」
しゆに於いて眠り給へる帝室評議員アントン・フオン・ヰツク殿の為めに祈祷せしめ給へ。主よ。御身の敬虔なる奴僕ぬぼくアントニウスに慈愛を垂れ給へ。」
祭日 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
しゆあはれめよ、しゆあはれめよ、しゆあはれめよ!』と、敬虔けいけんなるセルゲイ、セルゲヰチはひながら。ピカ/\と磨上みがきあげたくつよごすまいと、には水溜みづたまりけ/\溜息ためいきをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
〔譯〕人心のれいは、しゆとす。氣はたいに之れつるものなり。凡そ事を爲すに、氣を以て先導せんだうと爲さば、則ち擧體きよたい失措しつそ無し。技能ぎのう工藝こうげいも、亦皆かくの如し。
己を悦ばす事を聞くしゆが、しもべやがてもだすとき、その報知しらせにめでゝ、直ちにこれを抱くごとく 一四八—一五〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
一々いち/\名状めいじやうすべからず。大は口徑一尺餘。小は口徑一寸許り。たかあつさ亦區々なり。圖版中右の上に畫く所は形状けいじやうしゆとす、大小の比例は必しも眞の如くならず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
西の国からおしゆの使ひ、風せう々として易水寒し壮士一たび去つて又還らず、ならにや動かぬ武士の道
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
しゆは昔御力みちからを示して孟西モオゼを驚かし給ひぬ、されど、わが心には、罪なきいつ實有じつうとこそ見えたれ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
大陸たいりくしゆとして花崗岩質かこうがんしつのもので出來できてゐて、大體だいたい十里じゆうり程度ていどふかさをつてゐるようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しゆり、しゆれに宿やどときは我はつとめずして光をはなつなり、而してわれより出るしゆひかりわれしんぜずしてしゆしんずるにいたる、しんずる基督教的きりすとけうてき伝道でんだうなる者なり。
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
このたいにはしゆとして、白檜しらべ、とゞまつ、えぞまつ、あをもりとゞまつといつた常緑針葉樹林じようりよくしんようじゆりんでなりつてゐますが、本州ほんしゆうでは高山こうざんいたゞちかくにしらべやあをもりとゞまつがおほ
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ぶんいはく、『しゆわかうしてくにうたがひ、大臣だいじんいまかず、百せいしんぜず、ときあたつてこれぞくせんこれわれぞくせん』と。默然もくぜんたることややひさしうしていはく、『これぞくせん』
さう、其處に僕の光榮と喜悦きえつがあります。僕は全能のしゆしもべです。僕は人間の導きで——僕と同じ被造物の缺點だらけな法則と間違ひだらけな統御を受けて行くんぢやありません。
るくおあそばせばれまで、さりとは方圖はうづのなきおわがまヽとおもつてしかりつけしがれもしゆおもひの一なり、もとよりおそののあるではなくたゞおさなひとぎらひして
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
只だ御互に気を付けたいのは、斯様かやうなる紛擾ごた/\の時に真実、神の子らしく、基督キリストの信者らしく謙遜けんそん柔和にうわに、しゆの栄光をあわはすことです——私の名が永阪教会の名簿にると無いとは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
顫へる唇をあり/\見る事が出來、其れ等の人の云ふ言葉、「なむあみだぶつ」や、Pardonnez-nous, Seigneur(しゆよ許させ給へ)の聲を聞くやうに思つた。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
何事なにごと自分じぶん勇氣ゆうきおこし、むづかしいことでもわからないことでもなんでも自分じぶんしゆなつてするでなければけつしてもの上達じやうたつしません。どうも今日こんにち女學生ぢよがくせいには兎角とかく自主獨立じしゆどくりつといふこゝろとぼしいであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
化物ばけもの分類ぶんるゐうちだい二の幽靈ゆうれいは、しゆとして人間にんげん靈魂れいこんであつてこれ生靈いきれう死靈しれうの二つにける。きながらたましひかたちあらはすのが生靈いきれうで、源氏物語げんじものがたりあをひまきの六でう御息所みやすみどころ生靈いきれうごときはすなはそれである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「あの女——といふのは御新造のことだらう。お前にはおしゆぢやないか」
女将 えゝ、この辺ぢやどうしてもね、その方がしゆになりますわ。
雅俗貧困譜 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
兄弟よ——悪魔の暗示には耳を傾けぬがよい。悪魔は、お前が永久に身をしゆに捧げたのを憤つて、お前のまはりを餌食を探す狼のやうに這ひまはりながら、お前を捕へる最後の努力をしてゐるのぢや。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
多くの師には逢つたが、一人のしゆには逢はなかつたのである。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いや、むしろ全能のしゆの憎しみの証拠とさへ思はれるであらう。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
萬物のしゆたりと名乘る、かくて其祖より離れぬ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
軍勢敵を屠る時、しゆとして君に捧げたる
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
美しく凄いアマゾンはおれ達のおしゆ
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
しゆたるなんぢかみこゝろむべからず。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その方がしゆになるのである。
三等車の中(スケッチ) (新字旧仮名) / 中原中也(著)
しちめんだうなしゆの宿を
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
しゆをかばふちゆうゆう
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
べて神聖しんせいものはてよろこびる。われらがしゆきみはこのあかいばらうへに、このわがくちに、わがまづしい言葉ことばにも宿やどつていらせられる。
絵がしゆであるけれど、彫塑や其他そのたの工芸美術品も対等の取扱を受けてがうも会自身に価値を定めようとする所が無く、まつたく観衆の批評に一任して居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
舞台ぶたいはいふまでもなくさくらそのの女しゆ人ラアネフスカヤの邸宅ていたく廣間ひろまで、時ははる、その方の名家もやがて沒落ぼつらくといふかなしい運命うんめいの前にあるのだが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
簡單かんたんながら一にちしきをはつたとき斗樽とだる甘酒あまざけ柄杓ひしやく汲出くみだして周圍しうゐつて人々ひと/″\あたへられた。しゆとして子供等こどもらさきあらそうてそのおほきな茶碗ちやわんへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
〔譯〕周子しうしせいしゆとす、こゝろ本體ほんたいを守るを謂ふなり。※説づせつに、「よく無し故にせい」と自註じちゆうす、程伯氏ていはくしこれに因つて天よくせつ有り。叔子しゆくしけいする工夫くふうも亦こゝに在り。
この月の日課なる馬太伝マタイでんうちには神の王国に就きて重要なる教へ多くあり。しゆのつとめは実にさかえあるものにして、之を守るものは、尤もさいはひにして尤もめぐみあるものとす。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
しゆよ、今君の奉仕者ほうししやと記入されたるわれらは鉛にあらず、石にあらず、朽木きうぼくのはしにあらず
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
基督きりすと兵卒へいそつなり、兵卒は其時そのとききたまでなにをなすべきかを知らず、しゆめいならん乎、高壇かうだんつ事もあるべし、官海くわんかいたうずるやもはかられず、基督信者は目的もくてきなき者なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
ゆゑしゆあいせらるればすなはあたりてしんくはへ、しゆにくまるればすなは(一一〇)つみあたりてくはふ。ゆゑ諫説かんぜいは、(一一一)愛憎あいぞうしゆさつしてしかのちこれかざるからざるなり。
貴女あなたが常に気を付けて過失あやまちの無い様にせねばならない、基督キリストの御弟子の中で一番悧巧であつたものが、しゆを三十両で売り渡したイスカリヲテのユダなのだからツてネ、ほんとに先生
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
とにかくしゆとしていしつくつた器物きぶつ使用しようした時代じだいながらくつゞいたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
男の仕事しごと鳥獸魚ちようじゆうぎよ捕獲ほくわく住居じうきよ建築けんちく石器せきき製造せいざう、舟の製造、發火等をしゆとし、をんなの仕事は植物性しよくもつせい食物原料及び貝類の採集、み物、織りもの、紐類、土噐の製造、調理てうり、小兒保育等ほいくとうを主とせしなり
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)