手傳てつだ)” の例文
新字:手伝
うすもころがしてました。おもちにするおこめ裏口うらぐちかまどしましたから、そこへも手傳てつだひのおばあさんがたのしいきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
狹衣子さごろもし手傳てつだひにては、つい、しや時間じかんわすれたことや、佛骨子ぶつこつしあななか午睡ひるねをしたことや、これ奇談きだんおもなるもの。
借て手傳てつだはせしにふけまゝ其夜そのよは下女事私し方へ泊り翌朝よくてうきやく給仕きふじなどを仕舞て立歸り候處右の騷動さうどうゆゑ大いに驚き候由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以前いぜん少年せうねん手傳てつだつて、これからつゝみいて、人參にんじん卓子テエブル一杯いつぱい積上つみあげる。異香いかう室内しつない滿つ——で、たふとさが思遣おもひやられる。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから、彼女は私に長コートを着せ、ボンネットを冠るのを手傳てつだつて呉れた。さうして、彼女がショールをかけて、私と一緒に子供部屋を出た。
小六ころくは四五日前にちまへとう/\あにところうつつた結果けつくわとして、今日けふ障子しやうじ張替はりかへ手傳てつだはなければならないこととなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
きくのおりき土方どかた手傳てつだひを情夫まぶつなどゝ考違かんちがへをされてもならない、それむかしのゆめがたりさ、なんいまわすれて仕舞しまつげんとも七ともおもされぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
甲給仕 ポトパンは何處どこせた? かたづける手傳てつだひをしをらぬ。かたづけやくくせに! 拭役ふきやくくせに!
簡單かんたん普請ふしんには大工だいくすこのみ使つかつただけその近所きんじよ人々ひと/″\手傳てつだつたので仕事しごとたゞにちをはつた。なが嵩張かさばつた粟幹あはがら手薄てうすいた屋根やねれも職人しよくにんらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞ二ヶげつに一け、理髮師とこやのセミヨン、ラザリチばかこゝる、其男そのをとこいつつてニコ/\しながらつてて、ニキタに手傳てつだはせてかみる、かれえると患者等くわんじやら囂々がや/\つてさわす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
旅行りよかうして旅宿やどいてこのがつかりするあぢまた特別とくべつなもので、「疲勞ひらう美味びみ」とでもはうか、しか自分じぶん場合ばあひはそんなどころではなくやまひ手傳てつだつてるのだからはなからいきねつ今更いまさらごとかん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その通りですよ、親分。目黒在の順八の親の家へ行つて聽くと、先月の末十日ばかり、順八は不意に家へ歸つて來て、要りもしないのに、百姓の手傳てつだひなんかして行つた相です。何だつて、そんな事を
とうさんのおうちにも出入でいりのお百姓ひやくしやうがありまして、おもちをつくとか、おちやをつくるとかいふには、屹度きつと手傳てつだひにれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
殺せし時手傳てつだひて共々とも/″\殺したで有うなと故意わざと疑ひのことばまうけられしかば彌十はおもてたゞ否々いや/\私し儀は其節喧嘩けんくわの聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こゝまたきいちやんととなへて、もと、其處そこうち内藝妓うちげいしやをしてたのがある。いま堅氣かたぎで、手傳てつだひにる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此年このとしをして人樣ひとさま口入くちいれやら手傳てつだひやら、老耻おひはぢながらもせんまする、れどもしに苦勞くらう出來できぬもの、つく/″\おまへ夫婦ふうふはたらきをるに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヂュリ 乳母うばや、一しょに部屋へやて、明日あすねばならぬいっ似合にあ晴衣はれぎ手傳てつだうてえらんでくりゃ。
「なんだら一つ手傳てつだあなんちやりやしめえし、それからはあ、此方こつちたのんもしねえが」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うちでは祖母おばあさんや伯母をばさんやおひなまで手拭てぬぐひかぶりまして、伯父おぢさんやぢいやと一しよはたらきました。近所きんぢよから手傳てつだひにはたらひともありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いと忠實まめ/\しくはたらさま如何にも孝子と見えけるゆゑ九助も不便ふびんに思ひ勝手元迄かつてもとまで手傳てつだひて少しなが母公はゝごに何ぞまゐらせられよと錢一貫文くわんもんやりければ母子は有難なみだを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かつて、木下きのしたさんの柏木かしはぎやしきの、矢張やつぱにはいけかへるとらへて、水掻みづかき附元つけもとを(あか絹絲きぬいと)……とふので想像さうざうすると——御容色ごきりやうよしの新夫人しんふじんのお手傳てつだひがあつたらしい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うぞ世間せけんひとけぬやうに、一ッぱしのゑらかたつてくだされ、後生ごせう御座ござんす、わたし其爲そのためになら内職ないしよくなりともして御菜おさいもののお手傳てつだひはしましよ、うぞ勉強べんきやうしてくだされ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
カピ長 なにさ/\、乃公おれ馳驅奔走かけずりまはるわさ、さすれば、大丈夫だいぢゃうぶ、どうにかなるわさ。そなたは、ヂュリエットのとこて、もの手傳てつだうてやりゃ。乃公おれ今夜こんややすむまい。はて、まかせておきゃ。
「そんぢやいそがしいときにやちつたあ手傳てつだつてもらへてよかんべな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一人はかならず手傳てつだはするとふてくだされ、さてさて御苦勞ごくらう蝋燭代ろうそくだいなどをりて、やれいそがしやれぞひま身躰からだ片身かたみかりたきもの、おみね小松菜こまつなはゆでゝいたか、かずあらつたか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからむすめが、手傳てつだつて、女房かみさんは、それをその、むねところへ、兩手りやうていた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとらば可笑をかしかるべきうぬぼれも手傳てつだひて、おぬひのことといへばことのようによろこびもしいかりもしてつるを、すてゝいま故郷こきようにかへらばのこれるこゝろぼそさいかばかりなるべき
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まくらもとの煙草盆たばこぼんなんか、むすめさんが手傳てつだつてと、……あゝ、わたし大儀たいぎだ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一トつきおなしよくくて霜月しもつきよりはるへかけては突羽根つくばね内職ないしよくなつ檢査塲けんさば氷屋こほりや手傳てつだひして、呼聲よびごゑをかしくきやくくに上手じやうずなれば、ひとには調法てうはうがられぬ、去年こぞ仁和賀にわか臺引だいひきにいでしより
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もと藝妓げいしやのきいちやんが、もう一人ひとり手傳てつだひにむかつて
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これが荷物にもつるもあり、御懇命ごこんめいうけまするお出入でいり人々ひと/″\手傳てつだひ手傳てつだひとて五月蠅うるさきをなかばことはりてあつまりしひとだけにかめのぞきのぬぐひ、それ、とつてたまへば、一どう打冠うちかぶ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此雜沓このざつとうなかといひれもおもらぬことなれば日暮ひくれよりはにもつまじと思案しあんして、晝間ひるま花屋はなや女房にようぼう手傳てつだはせ、りては自身みづからをりたちよびたつるに、よくなれやいつしかはづかしさもせて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゆきこそふれはまだそれほどに御座ござりませねばとかへ支度じたくとゝのへるにそれならばたれともにおつれなされお歩行ひろひ御迷惑ごめいわくながら此邊このほとりにはくるま鳥渡ちよつとむづかしからん大通おほどほちかくまで御難澁ごなんじふなるべし家内うちにてすら火桶ひをけすこしもはなされぬに夜氣やきあたつておかぜめすな失禮しつれいなにもなしこゝよりすぐにお頭巾づきんれぞお肩掛かたかけまをせと總掛そうがゝりに支度したく手傳てつだ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)