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人家
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じんか
ふりがな文庫
“
人家
(
じんか
)” の例文
広々
(
ひろ/″\
)
した
構
(
かま
)
への外には大きな
庭石
(
にはいし
)
を
据並
(
すゑなら
)
べた
植木屋
(
うゑきや
)
もあれば、いかにも
田舎
(
ゐなか
)
らしい
茅葺
(
かやぶき
)
の
人家
(
じんか
)
のまばらに立ちつゞいてゐる
処
(
ところ
)
もある。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
路
(
みち
)
の両側しばらくのあいだ、
人家
(
じんか
)
が
断
(
た
)
えては続いたが、いずれも寝静まって、
白
(
しら
)
けた
藁屋
(
わらや
)
の中に、
何家
(
どこ
)
も
何家
(
どこ
)
も人の
気勢
(
けはい
)
がせぬ。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これはもと
人家
(
じんか
)
に
栽培
(
さいばい
)
してあったものが、いつのまにかその球根が脱出して、ついに
野生
(
やせい
)
になったもので、もとより日本の原産ではない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
雪
(
ゆき
)
が
降
(
ふ
)
って、
田
(
た
)
や、
畑
(
はたけ
)
をうずめてしまうと、すずめたちは、
人家
(
じんか
)
の
軒端
(
のきば
)
近
(
ちか
)
くやってきました。もう、
外
(
そと
)
に
落
(
お
)
ちている
餌
(
え
)
がなかったからです。
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
掘
(
ほら
)
ざれば家の用
路
(
ろ
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ
人家
(
じんか
)
を
埋
(
うづめ
)
て人の
出
(
いづ
)
べき
処
(
ところ
)
もなく、
力強
(
ちからつよき
)
家も
幾万斤
(
いくまんきん
)
の雪の
重量
(
おもさ
)
に
推砕
(
おしくだかれ
)
んをおそるゝゆゑ、家として雪を
掘
(
ほら
)
ざるはなし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
斯
(
か
)
う
降
(
ふ
)
られては
野宿
(
のじゆく
)
でもしなければなるまい、
宿屋
(
やどや
)
は
此近所
(
このきんじよ
)
にはなし、うム
向
(
むか
)
うに
灯
(
ひ
)
が
見
(
み
)
えるが
人家
(
じんか
)
があるのだらう。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
草
(
くさ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれた
丘
(
をか
)
の
坂
(
スロープ
)
が
交錯
(
かうさく
)
し合つて
穏
(
おだや
)
かな
幕
(
まく
)
のやうに流れてゐた。
人家
(
じんか
)
はばう/\とした
草
(
くさ
)
のために
見
(
み
)
えなかつた。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
ただ
海
(
うみ
)
に一
艘
(
そう
)
の
漁船
(
ぎょせん
)
もなく、
又
(
また
)
陸
(
おか
)
に一
軒
(
けん
)
の
人家
(
じんか
)
も
見
(
み
)
えないのが
現世
(
げんせ
)
と
異
(
ちが
)
っている
点
(
てん
)
で、それが
為
(
た
)
めに
何
(
なに
)
やら
全体
(
ぜんたい
)
の
景色
(
けしき
)
に
夢幻
(
ゆめまぼろし
)
に
近
(
ちか
)
い
感
(
かん
)
じを
与
(
あた
)
えました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この
田舍
(
ゐなか
)
は
水
(
みづ
)
に
不自由
(
ふじいう
)
なところでした。
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
の
方
(
はう
)
まで
行
(
ゆ
)
けば
山
(
やま
)
の
間
(
あひだ
)
を
流
(
なが
)
れて
來
(
く
)
る
谷川
(
たにがは
)
がなくもありませんが、
人家
(
じんか
)
の
近
(
ちか
)
くにはそれもありませんでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
糢糊
(
もこ
)
たる
暁色
(
げうしよく
)
の中に
藍鼠
(
あゐねずみ
)
色をした円錐
形
(
けい
)
の小さい島の姿が美しかつた。山麓に
点点
(
てんてん
)
たる白い物は雪であらうと云つて居たが、望遠鏡で望むと
人家
(
じんか
)
であつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
が、この
出來事
(
できごと
)
は
私
(
わたし
)
の
眠氣
(
ねむけ
)
を
瞬間
(
しゆんかん
)
に
覺
(
さ
)
ましてしまつた。
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
見透
(
みすか
)
すと、
人家
(
じんか
)
の
燈灯
(
ともしび
)
はもう
見
(
み
)
えなくなつてゐた。F
町
(
まち
)
は
夢中
(
むちう
)
で
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎてしまつたのだつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
人家が独立して周囲に
立木
(
たちき
)
がある為に、
人家
(
じんか
)
櫛比
(
しっぴ
)
の街道筋を除いては、村の火事は
滅多
(
めった
)
に大火にはならぬ。然し火の
粉
(
こ
)
一つ飛んだらば、必焼けるにきまって居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
『
病氣
(
びやうき
)
に
良
(
よ
)
くない、』『
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
りさうですから』など
宿
(
やど
)
の
者
(
もの
)
がとめるのも
聞
(
き
)
かず、
僕
(
ぼく
)
は
竿
(
さを
)
を
持
(
もつ
)
て
出掛
(
でか
)
けた。
人家
(
じんか
)
を
離
(
はな
)
れて四五
丁
(
ちやう
)
も
泝
(
さかのぼ
)
ると
既
(
すで
)
に
路
(
みち
)
もなければ
畑
(
はたけ
)
もない。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
渓流に架かっている
蔦
(
つた
)
のかけ
橋
(
はし
)
、そこを
渡
(
わた
)
ると部落の盆地、あなたに四、五
軒
(
けん
)
、
河
(
かわ
)
べりに七、八軒、また
傾斜
(
けいしゃ
)
の山の
背
(
せ
)
にも八、九軒、
煙
(
けむり
)
を立てている
人家
(
じんか
)
があった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
海
(
うみ
)
のつよい
風
(
かぜ
)
は
濱邊
(
はまべ
)
の
砂
(
すな
)
を
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばして、
砂丘
(
さきゆう
)
を
造
(
つく
)
つたり、その
砂丘
(
さきゆう
)
の
砂
(
すな
)
をまた
方々
(
ほう/″\
)
へ
吹
(
ふ
)
き
運
(
はこ
)
んで、
大事
(
だいじ
)
な
田
(
た
)
や
畑
(
はた
)
や、
時
(
とき
)
によると
人家
(
じんか
)
までも
埋
(
うづ
)
めてしまふことがあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
この村を通り過ぎると、次の村まではまた暫くの間
人家
(
じんか
)
が無かつた。次の村の入口には、
壞
(
こは
)
れた
硝子戸
(
がらすど
)
を白紙で
繕
(
つくろ
)
つた
床屋
(
とこや
)
があつた。其の村は前の村よりも貧しさうであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
見惚
(
みと
)
れるともなく見惚れながらぼんやり
彳
(
たたず
)
んでゐるのであつたが、ちやうど此のあたりは国道筋でも
人家
(
じんか
)
が
疎
(
まば
)
らになつてゐて、南側の方には食用蛙を飼ふ池があり、北側の方には
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
捨る
覺悟
(
かくご
)
なれども今
爰
(
こゝ
)
て
阿容々々
(
おめ/\
)
凍死
(
こゞえしな
)
んは殘念なり
人家
(
じんか
)
は無事かと
凍
(
こゞ
)
えし足を
曳
(
ひき
)
ながら
遙
(
はる
)
か向ふの方に人家らしき
處
(
ところ
)
の有を
見付
(
みつけ
)
たれば吉兵衞是に力を
得
(
え
)
て
艱苦
(
かんく
)
を
忍
(
しの
)
び其處を目當に
雪
(
ゆき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さりとて山の中に
人家
(
じんか
)
はない筈である。亭主は
不図
(
ふと
)
思ひあたつた。この女は
久圓寺
(
くえんじ
)
に住んでゐるに相違ない。山の
峠
(
とうげ
)
には
観音
(
かんのん
)
を
祀
(
まつ
)
つた寺がある。女はなにかの仔細があつて其寺に隠れてゐるか。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
普通の考えからいうとどういう困難な道でもまず
人家
(
じんか
)
のある方には行かないのがよいのですけれども、しかし人家がないからといって全く道のない所に出てしまってはまた困難な場合に陥るから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
家
(
うち
)
のすぐ近くに宿屋が一軒と
人家
(
じんか
)
が二軒と、それから広っ
場
(
ぱ
)
の向う側に小屋が一つあるきりで、あとは
停車場
(
ていしゃば
)
へ行くまで
半道
(
はんみち
)
もの間
家
(
うち
)
一軒ありません。——私は商売で
定
(
きま
)
った期間だけ町に行きます。
黄色な顔
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
深藪に
人家
(
じんか
)
の
燈
(
あかり
)
あかあかと入りとどかねば啼かぬ雀か
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人家
(
じんか
)
の軒へあやめぐさ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
路
(
みち
)
の
兩側
(
りやうがは
)
しばらくのあひだ、
人家
(
じんか
)
が
斷
(
た
)
えては
續
(
つゞ
)
いたが、いづれも
寢靜
(
ねしづ
)
まつて、
白
(
しら
)
けた
藁屋
(
わらや
)
の
中
(
なか
)
に、
何家
(
どこ
)
も
何家
(
どこ
)
も
人
(
ひと
)
の
氣勢
(
けはひ
)
がせぬ。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
キキョウは
山野
(
さんや
)
の
向陽地
(
こうようち
)
に生じている
宿根草
(
しゅっこんそう
)
であるが、その花がみごとであるから、観賞花草として
能
(
よ
)
く
人家
(
じんか
)
に
栽
(
う
)
えられてある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そこ
此処
(
こゝ
)
に二三
軒
(
けん
)
今戸焼
(
いまどやき
)
を売る店にわづかな特徴を見るばかり、
何処
(
いづこ
)
の
場末
(
ばすゑ
)
にもよくあるやうな低い
人家
(
じんか
)
つゞきの
横町
(
よこちやう
)
である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
○吾が
郡中
(
ぐんちゆう
)
にて
小千谷
(
をぢや
)
といふ所は
人家
(
じんか
)
千戸にあまる
饒地
(
よきとち
)
なり、それゆゑに
斎
(
さい
)
の神の(斎あるひは幸とも)まつりも
盛大
(
せいだい
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
いままで、
生魚
(
なまざかな
)
でなければ
食
(
た
)
べなかった、ぜいたくなねこは、ふいに、
人家
(
じんか
)
もない
寂
(
さび
)
しい
場所
(
ばしょ
)
へ、ただ
独
(
ひと
)
り
置
(
お
)
かれたので、
驚
(
おどろ
)
いてしまいました。
小ねこはなにを知ったか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それはめったにない
位
(
くらい
)
の
大
(
おお
)
きな
時化
(
しけ
)
で、一
時
(
じ
)
は
三浦
(
みうら
)
三崎
(
みさき
)
一
帯
(
たい
)
の
人家
(
じんか
)
が
全滅
(
ぜんめつ
)
しそうに
思
(
おも
)
われたそうでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と、
左手
(
ひだりて
)
の
方
(
はう
)
に
人家
(
じんか
)
の
燈灯
(
ともしび
)
がぼんやり
光
(
ひか
)
つてゐた——F
町
(
まち
)
かな‥‥と
思
(
おも
)
ひながら
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
見透
(
みすか
)
すと、
街道
(
かいだう
)
に
沿
(
そ
)
うて
流
(
なが
)
れてゐる
狹
(
せま
)
い
小川
(
をがは
)
の
水面
(
みづも
)
がいぶし
銀
(
ぎん
)
のやうに
光
(
ひか
)
つてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
村
(
むら
)
の
人達
(
ひとたち
)
——
殊
(
こと
)
に
女
(
をんな
)
の
人達
(
ひとたち
)
の
通
(
とほ
)
る
裏道
(
うらみち
)
は
並
(
なら
)
んだ
人家
(
じんか
)
に
添
(
そ
)
ふて
村
(
むら
)
の
裏側
(
うらがは
)
に
細
(
ほそ
)
くついて
居
(
ゐ
)
ました。
父
(
とう
)
さんのお
家
(
うち
)
の
裏木戸
(
うらきど
)
から、
竹籔
(
たけやぶ
)
について
廻
(
まは
)
りますと、その
細
(
ほそ
)
い
裏道
(
うらみち
)
へ
出
(
で
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
唯有
(
とあ
)
る
人家
(
じんか
)
に立寄って、井戸の水をもらって飲む。
桔槹
(
はねつるべ
)
の
釣瓶
(
つるべ
)
はバケツで、
井戸側
(
いどがわ
)
は
径
(
わたり
)
三尺もある
桂
(
かつら
)
の丸木の中をくりぬいたのである。一丈余もある
水際
(
みずぎわ
)
までぶっ通しらしい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
日本
(
につぽん
)
の
狐
(
きつね
)
は
日本
(
につぽん
)
固有
(
こゆう
)
のもので
山
(
やま
)
の
穴
(
あな
)
に
棲
(
す
)
んでゐます。
體
(
からだ
)
は
二尺
(
にしやく
)
ぐらゐで
尾
(
を
)
が
長
(
なが
)
く、からだの
半分
(
はんぶん
)
以上
(
いじよう
)
もあります。
食物
(
しよくもつ
)
は
主
(
おも
)
に
野鼠
(
のねずみ
)
ですが、
人家
(
じんか
)
に
近
(
ちか
)
いところでは
鷄
(
にはとり
)
などを
掠
(
かす
)
めることもあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
亭主は再び眉を
皺
(
しわ
)
めた。山の入口に
人家
(
じんか
)
のある筈はない。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「おお、こんなところに
人家
(
じんか
)
がある」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あるいはまた、「煬帝
ノ
春游古城在。壊宮芳草満
ツ
二
人家
ニ
一
。〔
煬帝
(
ようだい
)
の
春游
(
しゅんゆう
)
せる
古城
(
こじょう
)
在
(
あ
)
り。
壊宮
(
かいきゅう
)
の
芳草
(
ほうそう
)
人家
(
じんか
)
に
満
(
み
)
つ。〕」
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
○吾が
郡中
(
ぐんちゆう
)
にて
小千谷
(
をぢや
)
といふ所は
人家
(
じんか
)
千戸にあまる
饒地
(
よきとち
)
なり、それゆゑに
斎
(
さい
)
の神の(斎あるひは幸とも)まつりも
盛大
(
せいだい
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
けれど、また
町
(
まち
)
の
人家
(
じんか
)
の
店頭
(
みせさき
)
に
巣
(
す
)
を
造
(
つく
)
って
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れるころになると、みんな
家
(
いえ
)
の
中
(
なか
)
の
天井
(
てんじょう
)
の
巣
(
す
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
って
休
(
やす
)
みます。
つばめの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一
(
ひと
)
つでない、
二
(
ふた
)
つでもない。
三頭
(
みつ
)
も
四頭
(
よつ
)
も
一齊
(
いつせい
)
に
吠
(
ほ
)
え
立
(
た
)
てるのは、
丁
(
ちやう
)
ど
前途
(
ゆくて
)
の
濱際
(
はまぎは
)
に、また
人家
(
じんか
)
が七八
軒
(
けん
)
、
浴場
(
よくぢやう
)
、
荒物屋
(
あらものや
)
など
一廓
(
ひとくるわ
)
になつて
居
(
ゐ
)
る
其
(
その
)
あたり。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今
人家
(
じんか
)
に
栽培
(
さいばい
)
している
蔓草
(
つるくさ
)
のアサガオは、ずっと後に
牽牛子
(
けんぎゅうし
)
として中国から来たもので、秋の
七種
(
ななくさ
)
中のアサガオではけっしてないことを知っていなければならない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
風
(
かぜ
)
はなかつた。
空氣
(
くうき
)
は
水
(
みづ
)
のやうに
重
(
おも
)
く
沈
(
しづ
)
んでゐた。
人家
(
じんか
)
も、
燈灯
(
ともしび
)
も、
畑
(
はたけ
)
も、
森
(
もり
)
も、
川
(
かは
)
も、
丘
(
をか
)
も、そして
歩
(
ある
)
いてゐる
我我
(
われわれ
)
の
體
(
からだ
)
も、
灰
(
はひ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな
夜霧
(
よぎり
)
の
海
(
うみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてゐるのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
誰が何時来て
拝
(
おが
)
むのか。
西行
(
さいぎょう
)
ならばたしかに歌よむであろ。歌も句もなく原を過ぎて、
崖
(
がけ
)
の下、小さな
流
(
ながれ
)
に
沿
(
そ
)
うてまた一つ小屋がある。これが斗満
最奥
(
さいおく
)
の
人家
(
じんか
)
で、
駅逓
(
えきてい
)
から
此処
(
ここ
)
まで二里。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
澤山
(
たくさん
)
な
燕
(
つばめ
)
が
父
(
とう
)
さんの
村
(
むら
)
へも
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
ました。一
羽
(
は
)
、二
羽
(
は
)
、三
羽
(
ば
)
、四
羽
(
は
)
——とても
勘定
(
かんぢやう
)
することの
出來
(
でき
)
ない
何
(
なん
)
十
羽
(
ぱ
)
といふ
燕
(
つばめ
)
が
村
(
むら
)
へ
着
(
つ
)
いたばかりの
時
(
とき
)
には、
直
(
す
)
ぐに
人家
(
じんか
)
へ
舞
(
ま
)
ひ
降
(
お
)
りようとはしません。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
土手
(
どて
)
へ
上
(
あが
)
つた時には
葉桜
(
はざくら
)
のかげは
早
(
は
)
や
小暗
(
をぐら
)
く水を
隔
(
へだ
)
てた
人家
(
じんか
)
には
灯
(
ひ
)
が見えた。吹きはらふ
河風
(
かはかぜ
)
に
桜
(
さくら
)
の
病葉
(
わくらば
)
がはら/\散る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
死
(
し
)
だ!
死
(
し
)
だ!」
A
(
エー
)
は、
口
(
くち
)
のうちでささやきながら、
急
(
いそ
)
いで、きた
道
(
みち
)
をもどると、
中途
(
ちゅうと
)
から、
人家
(
じんか
)
の
見
(
み
)
える
村
(
むら
)
をさして、
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
したのであります。
死と話した人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一面
(
いちめん
)
に
草
(
くさ
)
が
茂
(
しげ
)
つて、
曠野
(
あらの
)
と
云
(
い
)
つた
場所
(
ばしよ
)
で、
何故
(
なぜ
)
に
一度
(
いちど
)
は
人家
(
じんか
)
の
庭
(
には
)
だつたか、と
思
(
おも
)
はれたと
云
(
い
)
ふのに、
其
(
そ
)
の
沼
(
ぬま
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
拵
(
こしら
)
へたやうな
中島
(
なかじま
)
の
洲
(
す
)
が
一
(
ひと
)
つ
有
(
あ
)
つたからです。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
薬鑵
(
やくわん
)
土瓶
(
どびん
)
雷盆
(
すりばち
)
などいづれの家にもなし、秋山の
人家
(
じんか
)
すべてこれにおなじ。今日秋山に入りこゝにいたりて家を五ツ見しが、
粟
(
あは
)
稗
(
ひえ
)
を
刈
(
かり
)
こむころなれば家に
居
(
を
)
る男を見ず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
雪
(
ゆき
)
は、ちらちらと
降
(
ふ
)
りはじめました。
田
(
た
)
や
畠
(
はたけ
)
に、
餌
(
えさ
)
がなくなると、からすは、ひもじいとみえて、カアカア
鳴
(
な
)
いて、
人家
(
じんか
)
のある
方
(
ほう
)
へ
飛
(
と
)
んできました。
赤いガラスの宮殿
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
池にのぞむ
人家
(
じんか
)
にはもう
灯
(
ひ
)
がついている。それが美しく水に映る。自分はありあり友達夫婦の
額
(
ひたい
)
を照らす、ランプの
火影
(
ほかげ
)
を思い浮べた。火影は実に静かである。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
されども雪いまだきえざるゆゑ
食
(
しよく
)
にたらず、をりふしは夜中
人家
(
じんか
)
にちかより犬などとり、又人にかゝる事もあり、これ
山村
(
さんそん
)
の事なり。里には人多きゆゑおそれてきたらざるにや。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
“人家”の意味
《名詞》
人 家(じんか)
人の住む家。
(出典:Wiktionary)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“人家”で始まる語句
人家密集
人家必用