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辛苦
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しんく
ふりがな文庫
“
辛苦
(
しんく
)” の例文
され共東天
漸
(
やうや
)
く白く夜光全く
去
(
さ
)
り、清冷の水は俗界の
塵
(
ちり
)
を去り
黛緑
(
たいりよく
)
の山は
笑
(
えみ
)
を
含
(
ふく
)
んて迎ふるを見れば、
勇気
(
いうき
)
勃然
(
ぼつぜん
)
為めに過去の
辛苦
(
しんく
)
を一
掃
(
そう
)
せしむ。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
そして
楼蘭
(
ろうらん
)
を中心とする一帯の発掘に
惨憺
(
さんたん
)
たる
辛苦
(
しんく
)
をなめた上に、更に楼蘭を起点とする古代支那路線をたずね、「塩の結晶の
耀
(
かがや
)
く
無涯
(
むがい
)
の
曠野
(
こうや
)
」
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
意富祁
(
おおけ
)
、
袁祁
(
おけ
)
のお二人を左右のおひざにお
抱
(
かか
)
え申しながら、お二人の
今日
(
こんにち
)
までのご
辛苦
(
しんく
)
をお察し申しあげて、ほろほろと
涙
(
なみだ
)
を流して
泣
(
な
)
きました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
顔は
蒼褪
(
あおざ
)
め肉は落ち、衣裳は千切れ
且
(
か
)
つ
穢
(
よご
)
れて、土牢の内で永い間苦しめられた
辛苦
(
しんく
)
の
態
(
さま
)
がまざまざとして現われている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
溜
(
ため
)
る
辛苦
(
しんく
)
の程察し入る呉々も
歡
(
よろ
)
こばしきことにこそ
而
(
して
)
其の
櫛
(
くし
)
は百五十兩の
形
(
かた
)
成
(
なれ
)
ば佛前へ
供
(
そな
)
へて御先祖其外
父御
(
てゝご
)
にも悦ばせ給へと叔母女房とも
口
(
くち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
以前はそれがために
類少
(
たぐいすくな
)
い女を一人、
犠
(
いけにえ
)
にしたくらいですから、今度は自分がどんな
辛苦
(
しんく
)
も決して
厭
(
いと
)
わない。いかにもしてその花が欲しいですが。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
露西亜
(
ロシア
)
と戦争が始まって若い人達は大変な
辛苦
(
しんく
)
をして
御国
(
みくに
)
のために働らいているのに
節季師走
(
せっきしわす
)
でもお正月のように気楽に遊んでいると書いてある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あなたのお疲れのお顔を見ると、私までなんだか苦しくなります。この頃、私にも少しずつ、芸術家の
辛苦
(
しんく
)
というものが、わかりかけてまいりました。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると、帰郷、分別、冷静、
辛苦
(
しんく
)
、
練達
(
れんたつ
)
などの考えは、かれの顔が肉体的なむかつきの表情にまでゆがめられたほどに、かれを不愉快でたまらなくした。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
晨
(
あした
)
に
星
(
ほし
)
をいただいて
出
(
い
)
で、
夕
(
ゆうべ
)
に月を踏んで帰るその
辛苦
(
しんく
)
も国家のためなりと思って
甘
(
あま
)
んずればよいが、なかなか普通人情として
甘
(
あま
)
んじてのみいるものでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ずつと
以前
(
いぜん
)
に
溯
(
さかのぼ
)
つて、
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
沈沒
(
ちんぼつ
)
當時
(
たうじ
)
の
實况
(
じつけう
)
。
小端艇
(
せうたんてい
)
で
漂流中
(
へうりうちう
)
のさま/″\の
辛苦
(
しんく
)
。
驟雨
(
にわかあめ
)
の
事
(
こと
)
。
沙魚
(
ふか
)
釣
(
つ
)
りの
奇談
(
きだん
)
。
腐
(
くさ
)
つた
魚肉
(
さかな
)
に
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
が
鼻
(
はな
)
を
摘
(
つま
)
んだ
話
(
はなし
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
能
(
よ
)
く
自他
(
じた
)
の
分
(
ぶん
)
を
明
(
あきらか
)
にして
二念
(
にねん
)
あることなく、理にも非にもただ徳川家の主公あるを
知
(
しり
)
て他を見ず、いかなる非運に際して
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
なむ
)
るもかつて
落胆
(
らくたん
)
することなく
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
積もる日の
辛苦
(
しんく
)
に、たださえ気の弱いお艶、筋ならぬ人の慰め言と
空耳
(
そらみみ
)
にきいても、つい身につまされて熱い涙の一滴に……ややもすれば頬を濡らすのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小そのが永年の
辛苦
(
しんく
)
で一通りの財産も出来、座敷の勤めも自由な選択が許されるようになった十年ほど前から、何となく健康で常識的な生活を望むようになった。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
更
(
さら
)
に
其
(
そ
)
の
開墾
(
かいこん
)
に
第
(
だい
)
一の
要件
(
えうけん
)
である
道具
(
だうぐ
)
が
今
(
いま
)
は
完全
(
くわんぜん
)
して
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
に
提
(
さ
)
げられてある。
彼
(
かれ
)
は
恁
(
か
)
ういふ
辛苦
(
しんく
)
をしてまでも
些少
(
させう
)
な
木片
(
もくへん
)
を
求
(
もと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
人々
(
ひとびと
)
の
前
(
まへ
)
に
矜
(
ほこり
)
を
感
(
かん
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
同志の方々はそれぞれ仲間小者、ないし小商人に身を落して、
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
をされるのも皆お
主
(
しゅう
)
のためだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
身
(
み
)
につけよと、
上官
(
じょうかん
)
からいわれたのであるが、
何事
(
なにごと
)
にも
内気
(
うちき
)
で、
遠慮勝
(
えんりょが
)
ちな
清作
(
せいさく
)
さんは、
同
(
おな
)
じ
軍隊
(
ぐんたい
)
におって
朝晩
(
あさばん
)
辛苦
(
しんく
)
をともにした
仲間
(
なかま
)
で、
死
(
し
)
んだものもあれば、また
村へ帰った傷兵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
およそ
半年
(
はんとし
)
あまり縮の事に
辛苦
(
しんく
)
したるは此初市の
為
(
ため
)
なれば、
縮売
(
ちゞみうり
)
はさら也、こゝに
群
(
あつま
)
るもの人の
濤
(
なみ
)
をうたせ、
足々
(
あし/\
)
を
踏
(
ふま
)
れ、
肩々
(
かた/\
)
を
磨
(
す
)
る。
万
(
よろづ
)
の
品々
(
しな/″\
)
もこゝに
店
(
みせ
)
をかまへ物を
売
(
う
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかも
辛苦
(
しんく
)
の内に成長したればか、非常にませし容貌なりとの事を耳にしたれば、アア何たる無情ぞ何たる罪悪ぞ、父母共に人に
優
(
すぐ
)
れし教育を受けながら、己れの虚名心に駆られて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
これまでの
辛苦
(
しんく
)
をなめながら、いかで、手をむなしく引っ返すべき。梨ノ木峠を、西すれば、
吾妻野
(
あずまの
)
から
大海川
(
おおみがわ
)
——の北に出で、能登街道の加賀の口、
末森城
(
すえもりじょう
)
の、側面に出る。ようし。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この静かなる緑の島を独占し、無論幾多の
辛苦
(
しんく
)
経営の後とはいいながら、ついには山々の一滴の水、または海の底の一片の
藻
(
も
)
の葉まで、ことごとく子孫の用に供せしめ得たということは
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
廣介がどの様な
辛苦
(
しんく
)
をなめたか、幾度事業を投げ出そうとしては、からくも思い止ったか、彼と妻の千代子の関係が如何に救い難き状態に陥ったか、それらの点は物語の速度を早める上から
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わずかの給料でみずから
食
(
く
)
らい、弟を養い、三年の間、
辛苦
(
しんく
)
に辛苦を重ねた結果は三十四年に至って現われ、五郎は技手となって今は東京芝区の
某
(
ぼう
)
会社に雇われ、まじめに勤労しているのである。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
飢餓
(
きが
)
と
冷遇
(
れいぐう
)
を
忍
(
しの
)
びながら、職を求めて漂泊し、人の世の
惨
(
さん
)
たる
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
な
)
めつくして、しかも常に魂の
充
(
み
)
たされない
孤独
(
こどく
)
に寂しんでいたヘルンにとって、日本はついにそのハイマートでなかったにしろ
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
我
(
わ
)
れ
聞
(
き
)
きたり
辛苦
(
しんく
)
さこそなるべけれど
奉公大切
(
ほうこうだいじ
)
に
勉
(
つと
)
め
給
(
たま
)
へと
仰
(
おほ
)
せられしが
耳
(
みゝ
)
に
殘
(
のこ
)
りて
忘
(
わす
)
られぬなり
彼
(
あ
)
れほどにお
優
(
やさ
)
しからずば
是
(
こ
)
れほどまでにも
歎
(
なげ
)
かじと
斷
(
た
)
ち
難
(
がた
)
き
絆
(
きづな
)
つらしとて
人
(
ひと
)
見
(
み
)
ぬ
暇
(
ひま
)
には
部屋
(
へや
)
のうちに
伏
(
ふ
)
し
沈
(
し
)
づみぬ
何
(
いづ
)
れ
劣
(
おと
)
らぬ
双美人
(
そうびじん
)
に
慕
(
した
)
はるゝ
身
(
み
)
嬉
(
うれ
)
しかるべきを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お
聞
(
き
)
きよ
此
(
これ
)
を!
今
(
いま
)
、
現在
(
げんざい
)
、
私
(
わたし
)
のために、
荒浪
(
あらなみ
)
に
漂
(
たゞよ
)
つて、
蕃蛇剌馬
(
ばんじやらあまん
)
に
辛苦
(
しんく
)
すると
同
(
おな
)
じやうな
少
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
があつたらね、——お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふの!
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
ふの?
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
殊
(
こと
)
に人夫は皆藤原村及小日向村中
血気
(
けつき
)
旺盛
(
わうせい
)
の者にして、予等一行と
辛苦
(
しんく
)
を共にし、
古来
(
こらい
)
未曾有
(
みそういう
)
の
発見
(
はつけん
)
をなさんと欲するの
念慮
(
ねんりよ
)
ある者のみを
選
(
えら
)
びたるなり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
というは、旅は
辛
(
つら
)
い、
難儀
(
なんぎ
)
である、
可愛
(
かわい
)
い子にはこの
辛苦
(
しんく
)
を
甞
(
な
)
めさせ、
鍛錬
(
たんれん
)
させよとの意味である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
中津
(
なかつ
)
に居る間は漢学修業の
傍
(
かたわら
)
に内職のような事をして多少でも家の活計を助け、畑もすれば米も
搗
(
つ
)
き飯も炊き、
鄙事
(
ひじ
)
多能
(
たのう
)
、あらん限りの
辛苦
(
しんく
)
して貧小士族の家に居り
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
乱れた白髪
穢
(
よご
)
れた
布衣
(
ほい
)
、永い
辛苦
(
しんく
)
を想わせるような深い
皺
(
しわ
)
と弱々しい眼、歩き方さえ力がない。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
早
(
はや
)
く、その
未知
(
みち
)
の
島
(
しま
)
にゆきたいものだとみんなは
心
(
こころ
)
で
思
(
おも
)
いました。どんな
困難
(
こんなん
)
や
辛苦
(
しんく
)
がこの
後
(
のち
)
あってもそれを
切
(
き
)
り
抜
(
ぬ
)
けてゆこうという
勇気
(
ゆうき
)
がみんなの
心
(
こころ
)
にわいたのであります。
明るき世界へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おつぎは
針
(
はり
)
持
(
も
)
つやうに
成
(
な
)
つてからはき/\として
俄
(
にはか
)
にませて
來
(
き
)
たやうに
見
(
み
)
えた。おつぎはもう十六である。
辛苦
(
しんく
)
の
間
(
あひだ
)
に
在
(
あ
)
る
丈
(
だけ
)
に
去年
(
きよねん
)
からでは
何
(
ど
)
れ
程
(
ほど
)
大人
(
おとな
)
びて
勘次
(
かんじ
)
の
助
(
たすけ
)
に
成
(
な
)
るか
知
(
し
)
れない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いま、積年の
辛苦
(
しんく
)
をかけたそちたち多くの軍士にわかれて、尊氏のもとへゆくのは、たえがたい悲しみと屈辱ではあるが、それをさえ
儂
(
み
)
は忍んで行くのだ。そちもまた、忍んでくれい。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
棄ても
歎願
(
たんぐわん
)
せねば第一
死
(
しん
)
だ母親の
位牌
(
ゐはい
)
の前へも言譯なし久左衞門とか云人の
情
(
なさけ
)
によりて
斯
(
かく
)
迄に
成人
(
ひとゝな
)
りたる者なるか親は無とも子は
育
(
そだ
)
つとの
諺言
(
ことわざ
)
も今知られけるとは云物の是迄は
苦勞
(
くらう
)
辛苦
(
しんく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私
(
わたくし
)
も
實
(
じつ
)
は、
此
(
この
)
使命
(
しめい
)
の十
中
(
ちう
)
八九までは
遂
(
と
)
げらるゝ
事
(
こと
)
の
難
(
かた
)
きを
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
る、また、
三年
(
さんねん
)
以來
(
いらい
)
馴
(
な
)
れ
親
(
した
)
しんで、
殆
(
ほと
)
んど
畜類
(
ちくるい
)
とは
思
(
おも
)
はれぬ
迄
(
まで
)
愛
(
あい
)
らしく
思
(
おも
)
ふ
此
(
この
)
稻妻
(
いなづま
)
に、
些
(
いさゝ
)
かでも
辛苦
(
しんく
)
は
見
(
み
)
せたくないのだが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
貴重
(
きちよう
)
の
尊用
(
そんよう
)
はさら也、
極品
(
ごくひん
)
の
誂物
(
あつらへもの
)
は其
品
(
しな
)
に
能
(
よく
)
熟
(
じゆく
)
したる上手をえらび、
何方
(
いづく
)
の
誰々
(
たれ/\
)
と
指
(
ゆび
)
にをらるゝゆゑ、そのかずに入らばやとて
各々
(
おの/\
)
伎
(
わざ
)
を
励
(
はげ
)
む事也。かゝる
辛苦
(
しんく
)
は
僅
(
わづか
)
の
価
(
あたひ
)
の
為
(
ため
)
に
他人
(
たにん
)
にする
辛苦
(
しんく
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
とて
取次
(
とりつ
)
ぐ
文
(
ふみ
)
の
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りても
涙
(
なみだ
)
ほろほろ
膝
(
ひざ
)
に
落
(
お
)
ちぬ
義理
(
ぎり
)
といふもの
世
(
よ
)
に
無
(
な
)
かりせば
云
(
い
)
ひたきこといと
多
(
おほ
)
し
別
(
わか
)
れしよりの
辛苦
(
しんく
)
は
如何
(
いか
)
に
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
はあらぬ
人
(
ひと
)
に
迫
(
せ
)
まられて
身
(
み
)
の
遁
(
のが
)
ればの
無
(
な
)
かりし
時
(
とき
)
操
(
みさを
)
はおもし
命
(
いのち
)
は
鵞毛
(
がもう
)
の
雪
(
ゆき
)
の
夜
(
よ
)
に
刄
(
やいば
)
手
(
て
)
に
取
(
と
)
りしことも
有
(
あり
)
けり
或時
(
あるとき
)
はお
行衛
(
ゆくゑ
)
たづね
詫
(
わび
)
て
恨
(
うら
)
みは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
要
(
い
)
らざる事だ。何もそんな困難な英書を
辛苦
(
しんく
)
して読むがものはないじゃないか。必要な書は皆
和蘭
(
オランダ
)
人が飜訳するから、その飜訳書を読めばソレで
沢山
(
たくさん
)
じゃないかと
云
(
い
)
う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
唯
(
たゞ
)
一
筋
(
すぢ
)
でも
岩
(
いは
)
を
越
(
こ
)
して
男瀧
(
をたき
)
に
縋
(
すが
)
りつかうとする
形
(
かたち
)
、それでも
中
(
なか
)
を
隔
(
へだ
)
てられて
末
(
すゑ
)
までは
雫
(
しづく
)
も
通
(
かよ
)
はぬので、
揉
(
も
)
まれ、
揺
(
ゆ
)
られて
具
(
つぶ
)
さに
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
な
)
めるといふ
風情
(
ふぜい
)
、
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
は
姿
(
すがた
)
も
窶
(
やつ
)
れ
容
(
かたち
)
も
細
(
ほそ
)
つて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
明晩
辛
(
から
)
ふじて目的の地に
至
(
いた
)
るを得、其間の
辛苦
(
しんく
)
実
(
じつ
)
に甚しかりしものあればなり。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
深く感じ再度勸むる言葉もなく其意に
任
(
まか
)
せて打過けり斯て
光陰
(
つきひ
)
の
經
(
たつ
)
程に姑女お八重は是まで
種々
(
さま/″\
)
辛苦
(
しんく
)
せし
疲
(
つか
)
れにや持病の
癪
(
しやく
)
に
打臥
(
うちふし
)
漸次
(
しだい
)
に病氣差重りしにぞお菊は大いに心を痛め種々
療養
(
れうやう
)
に手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
辛苦
(
しんく
)
になれている竹童には、野に
伏
(
ふ
)
し
樹下
(
じゅか
)
にねむることも、なんのいとうところではなく、また
鞍馬
(
くらま
)
の
谷
(
たに
)
で
馴
(
な
)
らした足には、
近江街道
(
おうみかいどう
)
の
折所
(
せっしょ
)
や
東海道
(
とうかいどう
)
の
山路
(
やまじ
)
なども、もののかずにはならないので
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もと travail すなわち
辛苦
(
しんく
)
という字より起こったとかねて耳にし、東西人の旅に対する観念の一致せることを面白く思うが、
今日
(
こんにち
)
は旅行ほど愉快なものはなくなり、児童は見学に
出
(
で
)
かけ
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
加賀の金沢の
鈴木儀六
(
すずきぎろく
)
と云う男は、江戸から大阪に来て修業した書生であるが、この男が元来一文なしに江戸に居て、
辛苦
(
しんく
)
して写本で
以
(
もっ
)
て自分の身を立てたその上に金を貯えた。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ただ
一筋
(
ひとすじ
)
でも巌を越して
男滝
(
おだき
)
に
縋
(
すが
)
りつこうとする形、それでも中を
隔
(
へだ
)
てられて末までは
雫
(
しずく
)
も通わぬので、
揉
(
も
)
まれ、揺られて
具
(
つぶ
)
さに
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
な
)
めるという
風情
(
ふぜい
)
、この方は姿も
窶
(
やつ
)
れ
容
(
かたち
)
も細って
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「寒天の節、遠路
辛苦
(
しんく
)
の使い、何とも大儀であったよ。満足満足」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或は婦人が
漫
(
みだり
)
に男子の挙動を疑い、根もなき事に立腹して平地に波を起すが如き軽率もあらんか、是れぞ所謂嫉妬心なれども、今の男子社会の有様は
辛苦
(
しんく
)
して
其
(
その
)
微
(
び
)
を窺うに及ばず
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“辛苦”の意味
《名詞》
辛 苦(しんく)
辛く苦しいこと。
(出典:Wiktionary)
辛
常用漢字
中学
部首:⾟
7画
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
“辛苦”で始まる語句
辛苦艱難
辛苦的