)” の例文
旧字:
おばあさんが川でぼちゃぼちゃ洗濯せんたくをしていますと、こうから大きなうりが一つ、ぽっかり、ぽっかり、ながれてました。
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一ツあの牡丹餅ぼたもちを引き出して、かへるいきたのをれておいたら小僧こぞうかへつておどろくだらうと
日本の小僧 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
きけばそのじいさんは深谷ふかだにひとで、ごんごろがねがこんど献納けんのうされるときいて、おわかれにたのだそうだ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
一人一人ひとりひとりちがったおんなこえが、かわがわりにきこえてる。このながらの極楽ごくらくだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とすた/\小走こばしりにけてて、背後うしろからたもと引留ひきとめた、山稼やまかせぎのわかをとこがあつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
王子おうじまたもりって、のうしろにってると、魔女まじょて、こういました。
頼んで置いた車がしとて此処ここからして乗り出せば、家中うちぢう表へ送り出してお出を待まするの愛想、御祝義の余光ひかりとしられて
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからまた、いつもちがいのあるいいもの、菓子かしとかとかめずらしい玩具などを持っててくれるから、きだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ことふ事はむかしの通りだねとつたのがはじまりで、こわした段々だんだんゆるんでた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
下毛野しもつけぬ安蘇あそ河原かはらいしまずそらゆとぬよこころれ 〔巻十四・三四二五〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
駅前えきまえ広場ひろばで、二人ふたりおんなはとなりあって、その新聞しんぶんを、ゆきひとっていました。
かざぐるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「食えない者は、誰でもおれにいてな。晩には十銭銀貨わんだらふたツと白銅の五銭玉一ツ、みんなのポケットに悪くねえ音をさせてやるぜ」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『おい、ペンペ、下界したろ。すばらしい景色けしきじやないか。おまへなんぞこゝらまでんでたこともあるまい。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
そのいでたちの異様なるにその声さへ荒々しければ子供心にひたすら恐ろしく、もし門の内に這入りなばいかがはせんと思ひ惑へりし事今も記憶に残れり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
それでかれつぶって、なおもとおんできますと、そのうちひろひろ沢地たくちうえました。
あの方とは、昨年お目にかかりましたのちは、お互にちょいちょいゆきはしておりますが、唯うたのお友達というだけ、それほど深い話もありません。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
初手しょては唯かりそめのちぎりとしぬれば人にいはれぬ深きわけ重なりてまことの涙さそはるる事もぬるなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
すると明方あけがた、まだうち女主人おんなあるじほう暖炉造だんろつくり職人しょくにんた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
がつらしいはる朝日あさひちゃ障子しょうじしてくるころには、とうさんは袖子そでこた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そういいすてると、彼は歩調ほちょうもゆるめず、大きなマスクの頭をふりたてて、ドンドンもとた道に引返ひきかえしていった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ちぇッ……藁が無けりゃ、藁の代りになりそうな、麦稈むぎわらでも、かやでも、それが無けりゃな、人の家の畳でもむしりこわして持ってねえな」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
はるたといつては莞爾につこりなにたといつては莞爾につこり元来ぐわんらいがあまりしつかりしたあたまでないのだ。
とお見物けんぶつむと、私達わたくしたちふたた岩屋いわや内部なかもどってました。
けど、奥はんが大層同情して、けっとどうぞしてやるさかいに又明日云うてやった。先の頃の事などパッキリ忘れて会うとくれやはったさかい、ほんに有難かった。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それで娘が奉公中はもちろんのこと、立派な家の嫁になった後までも、一つには娘のはじ、一つには自分たちの耻と思って、あまり往きをしなかったのであろう。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
思ひ出しても、身慄みぶるひのするあの頃——朝から晩まで、ひつきりなしの銃声、馬の蹄の音、負傷兵をのせた担架の、窓をかすめる飛行機の翼の影……。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
あわただしい将官たちのとソビエットに挟まれた夕闇ゆうやみの底に横たわりながら、ここにも不可解な新時代はもう来ているのかしれぬと梶は思った。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
隣家の女児と門口で別れて、まだ大戸も開けぬ内、二三人の足音と車の響が門口に止まった。車夫が提灯の光に、丈高い男がぬっと入ってた。つゞいて女が入って来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
例のわづらしき人は今日もつ、しかもあだならずこころめたりとおぼしき見舞物など持ちて。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのあさ学校で、おいのりの前に、講堂こうどうにいるシューラのそばへ、ミーチャ・クルイニンがってて、
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
が、短い日限内に、果すべき用向きの多かつた夫は、唯彼女の母親の所へ、匇々そうそう顔を出した時の外は、殆一日も彼女をつれて、外出する機会を見出さなかつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
細い釘店くぎだなの往来は場所がらだけに門並かどなみきれいに掃除されて、打ち水をした上を、気のきいた風体ふうていの男女が忙しそうにしていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そんな事があってから、私たちは、いよいよ親しくなり、彼が武蔵野町に綺麗な家を建て、お母さんと一緒に住むようになってからも、私たちは時々、往きしているのである。
リイズ (新字新仮名) / 太宰治(著)
税関附ぜいくわんづき官吏くわんりて、大蔵省おほくらしやうから桑港税関長さうかうぜいくわんちやうてた書面しよめんうつしれる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
六日——牧野雪子(雪子は昨年の暮れ前橋の判事と結婚せり)より美しき絵葉書の年賀状たる。△腫物はれもの再発す。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
すぎごけのやうにわけられるところまでたときは、太陽たいやうはもうよほど西にしれて、十本じつぽんばかりのあをいはんのきの木立こだちうへ
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
土堤の上も暗くなり、ときたまする人たちも、影絵のようにぼんやりと黒く、こころもとなげに見えた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
すると、わたしの父は、遠くのほうから、わたしと同じように面白がって、彼らの華やかな、血のような赤い、また硫黄いおうのように黄色い色の飛びかう様を眺めていた。
また言葉の称呼しょうこに、長少の別なく子供までも、上士の者が下士に対して貴様きさまといえば、下士は上士にむかってあなたといい、やれといえばいでなさいといい
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「ねツからいへんえな。こない待つてて、若し戻つて来いへなんだら、往生やな。鼻緒さへ切れてゐなんだら、何処ぞそこら辺、車通るとこまで歩いて行くんやに、辛気しんきくさ!」
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
さく明治四十二年の二月ごろより始めて夜分おりおりたずたりこの話をせられしを筆記せしなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おらはな、この女子を介抱しておぢやるさかいに、其方は早やう行て、寺の内に其方が子を捜してやれ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
戸は開かれて我は迎へ入れられしが、老畸人のおもてを見ず、之を問へば八王子にありと言ふ、八王子ならば車を駆つてぎりしものを、この時われは呆然として為すところを知らず。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
東京付近のクヌギ林の下などには、諸処に野生しているから、これを採集してえるとよろしい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「武どん、よう帰ったもった。——実はその、ちっと相談もあるし、是非ぜっひ帰ってもらおうと思ってた所じゃった。まあ帰ってくれたで、いい都合ッごあした。逗子——寄ってつろの?」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
娘のマダウが元気よく駆けて「パパア、ママン、晩飯が出来ました」と云ふので幕がりる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
外とのが不便でありましたから、凡てのものをこの国で作らねばならなかったでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
しらべ繁くなりまさるにつれて、あさがすみの如きいろ、姫が瞼際けんさいあらわつ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
昨日きんにょうなんしたげなの。わしゃちょうど馬を換えに行っとりましての」と、手を休めて、
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
はつと思つて見ると弟である、今朝の手紙で下女と弟とがわれを迎ひにたのであつた、
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)