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来
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き
ふりがな文庫
“
来
(
き
)” の例文
旧字:
來
「わたしは
新羅
(
しらぎ
)
の
国
(
くに
)
からはるばる
渡
(
わた
)
って
来
(
き
)
た
天日矛命
(
あまのひぼこのみこと
)
というものです。どうぞこの
国
(
くに
)
の中で、わたしの
住
(
す
)
む
土地
(
とち
)
を
貸
(
か
)
して
頂
(
いただ
)
きたい。」
赤い玉
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
が、
道行
(
みちゆき
)
にしろ、
喧嘩
(
けんくわ
)
にしろ、
其
(
そ
)
の
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
処
(
ところ
)
が、
遁
(
に
)
げるにも
忍
(
しの
)
んで
出
(
で
)
るにも、
背後
(
うしろ
)
に、
村
(
むら
)
、
里
(
さと
)
、
松並木
(
まつなみき
)
、
畷
(
なはて
)
も
家
(
いへ
)
も
有
(
あ
)
るのではない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
始めのうちは
音信
(
たより
)
もあり、
月々
(
つき/″\
)
のものも
几帳面
(
ちやん/\
)
と送つて
来
(
き
)
たから
好
(
よ
)
かつたが、此
半歳許
(
はんとしばかり
)
前から手紙も
金
(
かね
)
も丸で来なくなつて仕舞つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、
海蔵
(
かいぞう
)
さんがいいました。そばに
来
(
き
)
てみると、それはこの
附近
(
ふきん
)
の
土地
(
とち
)
を
持
(
も
)
っている、
町
(
まち
)
の
年
(
とし
)
とった
地主
(
じぬし
)
であることがわかりました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
ラプンツェルは、まだ一
度
(
ど
)
も、
男
(
おとこ
)
というものを
見
(
み
)
たことがなかったので、
今
(
いま
)
王子
(
おうじ
)
が
入
(
はい
)
って
来
(
き
)
たのを
見
(
み
)
ると、
初
(
はじ
)
めは
大変
(
たいへん
)
に
驚
(
おどろ
)
きました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
▼ もっと見る
昼
(
ひる
)
すこし
前
(
まえ
)
にはもう
二人
(
ふたり
)
の
兄
(
にい
)
さんが
前後
(
ぜんご
)
して
威勢
(
いせい
)
よく
帰
(
かえ
)
って
来
(
き
)
た。
一人
(
ひとり
)
の
兄
(
にい
)
さんの
方
(
ほう
)
は
袖子
(
そでこ
)
の
寝
(
ね
)
ているのを
見
(
み
)
ると
黙
(
だま
)
っていなかった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
其跡
(
そのあと
)
へ
入違
(
いれちが
)
つて
来
(
き
)
たのは、
織色
(
おりいろ
)
の
羽織
(
はおり
)
、
結城博多
(
ゆうきはかた
)
の五
本手
(
ほんて
)
の
衣服
(
きもの
)
に
茶博多
(
ちやはかた
)
の
帯
(
おび
)
を
締
(
し
)
めました人物、年齢四十五六になる
品
(
ひん
)
の
好
(
よ
)
い
男
(
をとこ
)
。客
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
畑
(
はたけ
)
を
越
(
こ
)
え、
牧場
(
ぼくじょう
)
を
越
(
こ
)
えて
走
(
はし
)
って
行
(
い
)
くうち、あたりは
暴風雨
(
あらし
)
になって
来
(
き
)
て、
子家鴨
(
こあひる
)
の
力
(
ちから
)
では、
凌
(
しの
)
いで
行
(
い
)
けそうもない
様子
(
ようす
)
になりました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼
(
かれ
)
は
捕
(
とら
)
えられて
家
(
いえ
)
に
引返
(
ひきかえ
)
されたが、
女主人
(
おんなあるじ
)
は
医師
(
いしゃ
)
を
招
(
よ
)
びに
遣
(
や
)
られ、ドクトル、アンドレイ、エヒミチは
来
(
き
)
て
彼
(
かれ
)
を
診察
(
しんさつ
)
したのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
細い
釘店
(
くぎだな
)
の往来は場所
柄
(
がら
)
だけに
門並
(
かどな
)
みきれいに掃除されて、打ち水をした上を、気のきいた
風体
(
ふうてい
)
の男女が忙しそうに
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
していた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「食えない者は、誰でもおれに
尾
(
つ
)
いて
来
(
き
)
な。晩には
十銭銀貨
(
わんだら
)
二
(
ふた
)
ツと白銅の五銭玉一ツ、みんなのポケットに悪くねえ音をさせてやるぜ」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こいづば
鹿
(
しか
)
さ
呉
(
け
)
でやべか。それ、
鹿
(
しか
)
、
来
(
き
)
て
喰
(
け
)
」と
嘉十
(
かじふ
)
はひとりごとのやうに
言
(
い
)
つて、それをうめばちさうの
白
(
しろ
)
い
花
(
はな
)
の
下
(
した
)
に
置
(
お
)
きました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大久保
(
おほくぼ
)
が
出発
(
しゆつぱつ
)
してから
間
(
ま
)
もなく、
彼女
(
かのぢよ
)
がまたやつて
来
(
き
)
た。その
顔
(
かほ
)
は
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つて
明
(
あか
)
るくなつてゐた。
話
(
はなし
)
も
前
(
まへ
)
よりははき/\してゐた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ふん。
昔
(
むかし
)
も
今
(
いま
)
もあるもんじゃねえ。
隣近所
(
となりきんじょ
)
のこたァ、
女房
(
にょうぼう
)
がするに
極
(
きま
)
ッてらァな。
行
(
い
)
って、こっぴどくやっ
付
(
つ
)
けて
来
(
き
)
ねえッてことよ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
するとある
時
(
とき
)
、ライオンが
猟人
(
かりうど
)
に
捕
(
つかま
)
つて
縛
(
しば
)
られたとこへ
例
(
れい
)
の
鼠
(
ねづみ
)
が
来
(
き
)
て「おぢさん、
待
(
ま
)
つといで」と
言
(
い
)
つて
縛
(
しば
)
つた
縄
(
なわ
)
を
噛切
(
かみき
)
つてやりました。
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
しばらく
馬
(
うま
)
と一
緒
(
しょ
)
に
遊
(
あそ
)
んで、
私
(
わたくし
)
は
大
(
たい
)
へん
軽
(
かる
)
い
気持
(
きもち
)
になって
戻
(
もど
)
って
来
(
き
)
ましたが、その
後
(
ご
)
二
度
(
ど
)
と
行
(
い
)
って
見
(
み
)
る
気
(
き
)
にもなれませんでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
先
(
ま
)
づ
検疫船
(
けんえきせん
)
が
来
(
き
)
て
検疫医
(
けんえきい
)
が
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
む。一
等
(
とう
)
船客
(
せんかく
)
一
同
(
どう
)
大食堂
(
だいしよくだう
)
に
呼
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
められて、
事務長
(
じむちやう
)
が
変
(
へん
)
な
所
(
ところ
)
にアクセントをつけて
船客
(
せんかく
)
の
名
(
な
)
を
読
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げる。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
そんなことをしているところへ、船からつぎつぎに泳ぎついて
来
(
き
)
、二十日の間、苦楽をともにした
見張台
(
みはりだい
)
の上の人間の顔が
洩
(
も
)
れなく揃った。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
反絵は時々戸の隙間から中を
覗
(
のぞ
)
いた。薄暗い部屋の中からは、一条の寝息が絶えず
幽
(
かす
)
かに聞えていた。彼は顔を
顰
(
しか
)
めて部屋の前を
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
した。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「ちぇッ……藁が無けりゃ、藁の代りになりそうな、
麦稈
(
むぎわら
)
でも、
茅
(
かや
)
でも、それが無けりゃな、人の家の畳でもむしりこわして持って
来
(
き
)
ねえな」
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分
(
じぶん
)
が
内職
(
ないしよく
)
の
金
(
かね
)
で
嫁入衣裳
(
よめいりいしよう
)
を
調
(
とゝの
)
へた
娘
(
むすめ
)
が
間
(
ま
)
もなく
実家
(
さと
)
へ
還
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのを
何故
(
なぜ
)
かと
聞
(
き
)
くと
先方
(
さき
)
の
姑
(
しうと
)
が
内職
(
ないしよく
)
をさせないからとの
事
(
こと
)
ださうだ(二十日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それからまた、いつも
待
(
ま
)
ちがいのあるいいもの、
菓子
(
かし
)
とか
絵
(
え
)
とか
珍
(
めず
)
らしい玩具などを持って
来
(
き
)
てくれるから、
好
(
す
)
きだった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
絶えず機関車の
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
する音が聞え、時々はすぐ窓の外で、鋭い汽笛が鳴り響くのだが、そんな物音にも、雪子はビクッと身を震わせて驚くのだ。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は結婚した翌日に「
来
(
き
)
匇々
(
そうそう
)
無駄費ひをしては困る」と彼の妻に小言を言つた。しかしそれは彼の小言よりも彼の伯母の「言へ」と云ふ小言だつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「霞ゐる富士の
山傍
(
やまび
)
に我が
来
(
き
)
なば
何方
(
いづち
)
向きてか妹が嘆かむ」(巻十四・三三五七)の、「我が来なば」も、「我が行かば」という意になるのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この話はすべて
遠野
(
とおの
)
の人佐々木鏡石君より聞きたり。
昨
(
さく
)
明治四十二年の二月ごろより始めて夜分おりおり
訪
(
たず
)
ね
来
(
き
)
たりこの話をせられしを筆記せしなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
貫之
(
つらゆき
)
の哥に「
潮
(
しほ
)
のぼる
越
(
こし
)
の
湖
(
みづうみ
)
近
(
ちか
)
ければ
蛤
(
はまぐり
)
もまたゆられ
来
(
き
)
にけり」又
俊成卿
(
としなりきやう
)
に「
恨
(
うらみ
)
てもなにゝかはせんあはでのみ
越
(
こし
)
の
湖
(
みづうみ
)
みるめなければ」又
為兼卿
(
ためかねきやう
)
「
年
(
とし
)
を ...
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
やがて
三
(
み
)
ノ
輪
(
わ
)
の
電車通
(
でんしやどほり
)
に
家
(
いへ
)
一
軒
(
けん
)
借
(
かり
)
ると、
男
(
をとこ
)
の
国元
(
くにもと
)
から一
度
(
ど
)
嫁
(
よめ
)
に
行
(
い
)
つたことのある
出戻
(
でもど
)
りの
妹
(
いもうと
)
に、
人好
(
ひとず
)
きのよくない
気
(
き
)
むづかしい
母親
(
はゝおや
)
とが
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たゝめ
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
あの方とは、昨年お目にかかりました
後
(
のち
)
は、お互にちょいちょいゆき
来
(
き
)
はしておりますが、唯うたのお友達というだけ、それほど深い話もありません。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『おい、ペンペ、
下界
(
した
)
を
見
(
み
)
ろ。すばらしい
景色
(
けしき
)
じやないか。お
前
(
まへ
)
なんぞこゝらまで
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
たこともあるまい。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
シューラは、新しい歌を
集
(
あつ
)
めた
本
(
ほん
)
を持って
来
(
き
)
てやると、きのうクルイニンに
約束
(
やくそく
)
したのを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
した。ポケットへ手を
突
(
つ
)
っこんでみたが、本はなかった。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
そういいすてると、彼は
歩調
(
ほちょう
)
もゆるめず、大きなマスクの頭をふりたてて、ドンドン
元
(
もと
)
来
(
き
)
た道に
引返
(
ひきかえ
)
していった。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これを決するためには終日終夜
心魂
(
しんこん
)
を痛め、あるいは
跪
(
ひざまず
)
いて神意を伺わんとしたり、あるいは思案に沈んで、ほとんど無意識に一室を
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
したという。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
六日——牧野雪子(雪子は昨年の暮れ前橋の判事と結婚せり)より美しき絵葉書の年賀状
来
(
き
)
たる。△
腫物
(
はれもの
)
再発す。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
この
時
(
とき
)
涙
(
なみだ
)
はらはらと
湧
(
わ
)
いて
来
(
き
)
た。
地面
(
ぢめん
)
に
身
(
み
)
を
伏
(
ふ
)
せ、
気味
(
きび
)
の
悪
(
わる
)
い
唇
(
くちびる
)
ではあるが、
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
接吻
(
せつぷん
)
して
大声
(
おほごゑ
)
に
叫
(
さけ
)
んだ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
土堤の上も暗くなり、ときたま
往
(
い
)
き
来
(
き
)
する人たちも、影絵のようにぼんやりと黒く、こころもとなげに見えた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「熱は大してないねんな。———ま、こじらすと悪いよってに臥てなさい。兎に角
櫛田
(
くしだ
)
さんに
診
(
み
)
に
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
おう」
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日
(
ひ
)
がほかほかと
当
(
あ
)
たってきました。しじゅうからが、
林
(
はやし
)
へ
来
(
き
)
て
鳴
(
な
)
いています。
空
(
そら
)
は、うす
青
(
あお
)
く
晴
(
は
)
れて、なんとなく
気持
(
きも
)
ちの
伸
(
の
)
び
伸
(
の
)
びとするいいお
天気
(
てんき
)
でした。
雪消え近く
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
思ひ出しても、
身慄
(
みぶる
)
ひのするあの頃——朝から晩まで、ひつきりなしの銃声、馬の蹄の音、負傷兵をのせた担架の
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
、窓をかすめる飛行機の翼の影……。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ある日の夕暮れなりしが、余は
獣苑
(
じゅうえん
)
を漫歩して、ウンテル・デン・リンデンを過ぎ、わがモンビシュウ街の
僑居
(
きょうきょ
)
に帰らんと、クロステル
巷
(
こう
)
の古寺の前に
来
(
き
)
ぬ。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのいでたちの異様なるにその声さへ荒々しければ子供心にひたすら恐ろしく、もし門の内に這入り
来
(
き
)
なばいかがはせんと思ひ惑へりし事今も記憶に残れり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
奥の
方
(
かた
)
なる
響動
(
どよみ
)
の
劇
(
はげし
)
きに紛れて、取合はんともせざりければ、二人の車夫は声を合せて
訪
(
おとな
)
ひつつ、格子戸を
連打
(
つづけうち
)
にすれば、やがて
急足
(
いそぎあし
)
の音立てて人は
出
(
い
)
で
来
(
き
)
ぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
客の食べ残りなどを貰ひに
来
(
き
)
い来いしてゐたのを、伯父がその親達に幾らかの金を与へ、二度とその辺へ顔を見せぬといふ約束で拾ひ上げたのだといふ話だつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
千代
(
ちい
)
ちやんひどく
不快
(
わるく
)
でもなつたのかい
福
(
ふく
)
や
薬
(
くすり
)
を
飲
(
の
)
まして
呉
(
く
)
れないか
何
(
ど
)
うした
大変
(
たいへん
)
顔色
(
かほいろ
)
がわろくなつて
来
(
き
)
たおばさん
鳥渡
(
ちよつと
)
と
良之助
(
りやうのすけ
)
が
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おど
)
かされて
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
祈念
(
きねん
)
を
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私たちは、その光の橋を渡っておたがいに
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
するんだ。ああ、なんという美しい景色だ。これは詩ですな。うん。そしてこの景色こそが、真実の愛のそれだ。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
住いが近くなったので、団子坂への
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
が繁くなります。観潮楼の広い二階は書斎と客室とになって、
金屏風
(
きんびょうぶ
)
が一双引いてありました。これも母の趣味なのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
『まさか』と
自分
(
おれ
)
は
打消
(
けし
)
て見たが『しかし都は各種の人が流れ流れて集まって来る底のない大沼である。
彼人
(
あれ
)
だってどんな具合でここへ漂って
来
(
き
)
まいものでもない、』
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
けど、奥はんが大層同情して、けっとどうぞしてやるさかいに又明日
来
(
き
)
云うてやった。先の頃の事などパッキリ忘れて会うとくれやはったさかい、ほんに有難かった。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そうでしょう、
道
(
みち
)
があるお
蔭
(
かげ
)
で、
方々
(
ほうぼう
)
の
土地
(
とち
)
に出来る
品物
(
しなもの
)
がどんどんわたしたちのところへ
運
(
はこ
)
ばれて来ますし、お
友
(
とも
)
だち
同士
(
どうし
)
も
楽
(
らく
)
に
往
(
い
)
ったり
来
(
き
)
たりすることが出来ます。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
貴方
(
あなた
)
。人殺しのあった
家
(
うち
)
チウて、あんまり評判が悪う御座いますけに誰も買いに
来
(
き
)
なざっせん。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
来
常用漢字
小2
部首:⽊
7画
“来”を含む語句
往来
出来
将来
入来
元来
以来
性来
帰来
従来
去来
御入来
後来
被来
生来
由来
雁来紅
在来
来歴
新来
旧来
...