トップ
>
時節
>
じせつ
ふりがな文庫
“
時節
(
じせつ
)” の例文
宿し奉りし處
御部屋住
(
おんへやずみ
)
の
儀
(
ぎ
)
成
(
なれ
)
ば後々召出さるべしとの御約束にて
夫迄
(
それまで
)
は何れへ成とも身を
寄
(
よせ
)
時節
(
じせつ
)
を待べしとの上意にて
御墨附
(
おんすみつき
)
御短刀
(
おたんたう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
冬
(
ふゆ
)
になっても、
娘
(
むすめ
)
のきた
地方
(
ちほう
)
は、
雪
(
ゆき
)
も
降
(
ふ
)
りませんでした。いつもあたたかないい
天気
(
てんき
)
がつづいて、
北国
(
ほっこく
)
の
春
(
はる
)
の
時節
(
じせつ
)
のような
景色
(
けしき
)
でした。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しばらく、
雨
(
あめ
)
ながら
戸
(
と
)
に
敷
(
し
)
いたこの
青
(
あを
)
い
葉
(
は
)
は、そのまゝにながめたし。「
晩
(
ばん
)
まで
掃
(
は
)
かないで。」と、
留
(
と
)
めたかつた。が、
時節
(
じせつ
)
がらである。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
來年
(
らいねん
)
また
歸
(
かへ
)
つて
來
(
く
)
る
迄
(
まで
)
は
會
(
あ
)
はないから、
隨分
(
ずゐぶん
)
氣
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて」と
云
(
い
)
つた。
其
(
その
)
歸
(
かへ
)
つて
來
(
く
)
る
時節
(
じせつ
)
には、
宗助
(
そうすけ
)
はもう
歸
(
かへ
)
れなくなつてゐたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ちょうど
雌
(
め
)
ひつじが子どもに
乳
(
ちち
)
を飲ませる
時節
(
じせつ
)
で、ひつじ
飼
(
か
)
いのうちには、ひつじの乳をかってにしぼって飲むことを
許
(
ゆる
)
してくれる者もあった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
いつか
時節
(
じせつ
)
が
来
(
き
)
たら、あなたにはきっと
何
(
なん
)
ぞ
大事
(
だいじ
)
のお
仕事
(
しごと
)
が
授
(
さず
)
けられますよ。
何
(
ど
)
うぞそのつもりで、
今後
(
こんご
)
もしっかり
修行
(
しゅぎょう
)
に
精
(
せい
)
を
出
(
だ
)
してください。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
沫雪
(
あわゆき
)
の
条
(
くだり
)
にいへるごとく、冬の雪は
軟
(
やはら
)
にして
足場
(
あしば
)
あしきゆゑ、熊を
捕
(
とる
)
は雪の
凍
(
こほり
)
たる春の土用まへ、かれが穴よりいでんとする
頃
(
ころ
)
を
程
(
ほど
)
よき
時節
(
じせつ
)
とする也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
武士の娘が茶屋女に——とは思ったが、それも
時世
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
でしかたがないとあきらめたお艶は、田原町の喜左衛門からこうして毎日三社前に通っているのである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「またの
時節
(
じせつ
)
があります。もう、すこしも、ご
猶予
(
ゆうよ
)
は危険です。さ、この城から逃げださねばなりませぬ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「気をつけていらっしゃい。こういうとき、あたしなら十三号車に乗りますわ。こういう
時節
(
じせつ
)
のわるいときには、わるい番号の車に乗ると
反
(
かえ
)
って魔よけになるのよ」
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「だが、これも
時代
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
というもの、そのうちにはまたいいことも
運
(
めぐ
)
ってきましょう。あまりきなきな思って、あなたまで煩わぬようにされるがようござりましょうぞ」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
お
豊
(
とよ
)
は
今戸橋
(
いまとばし
)
まで歩いて来て
時節
(
じせつ
)
は
今
(
いま
)
正
(
まさ
)
に
爛漫
(
らんまん
)
たる春の四月である事を始めて知った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
段々
(
だん/\
)
に
喰
(
た
)
べへらして
天秤
(
てんびん
)
まで
賣
(
う
)
る
仕義
(
しぎ
)
になれば、
表店
(
おもてだな
)
の
活計
(
くらし
)
たちがたく、
月
(
つき
)
五十
錢
(
せん
)
の
裏屋
(
うらや
)
に
人目
(
ひとめ
)
の
恥
(
はぢ
)
を
厭
(
いと
)
ふべき
身
(
み
)
ならず、
又
(
また
)
時節
(
じせつ
)
が
有
(
あ
)
らばとて
引越
(
ひきこ
)
しも
無慘
(
むざん
)
や
車
(
くるま
)
に
乘
(
の
)
するは
病人
(
びやうほん
)
ばかり
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
年忌
(
ねんき
)
とはいっても、
時節
(
じせつ
)
がら客をまねいたり、坊さんをよんだりするのではない。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
其
言葉
(
ことば
)
の一々を雲飛は心に
銘
(
めい
)
し、やゝ
氣
(
き
)
を
取直
(
とりなほ
)
して
時節
(
じせつ
)
の
來
(
く
)
るのを
待
(
まつ
)
て
居
(
ゐ
)
た。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
先生の
本旨
(
ほんし
)
は、右二氏の
進退
(
しんたい
)
に関し
多年来
(
たねんらい
)
心に
釈然
(
しゃくぜん
)
たらざるものを記して
輿論
(
よろん
)
に
質
(
ただ
)
すため、
時節
(
じせつ
)
を
見計
(
みはか
)
らい世に
公
(
おおやけ
)
にするの考なりしも、
爾来
(
じらい
)
今日に至るまで深く
筐底
(
きょうてい
)
に
秘
(
ひ
)
して人に示さざりしに
瘠我慢の説:01 序
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
往来
(
おうらい
)
にはつめたい風が吹いているし、今はもう
暮
(
く
)
れの
売出
(
うりだ
)
しの
時節
(
じせつ
)
です。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
其節
(
そのせつ
)
申上
(
もうしあげ
)
候通り、
何
(
いず
)
れ
是
(
これ
)
は
時節
(
じせつ
)
を
見計
(
みはからい
)
、世に
公
(
おおやけ
)
にする
積
(
つもり
)
に
候得共
(
そうらえども
)
、
尚
(
なお
)
熟考
(
じゅくこう
)
仕候
(
つかまつりそうろう
)
に、書中或は事実の間違は
有之間敷哉
(
これあるまじきや
)
、又は
立論之旨
(
りつろんのむね
)
に付御意見は
有之間敷哉
(
これあるまじきや
)
、
若
(
も
)
しこれあらば
無御伏臓
(
ごふくぞうなく
)
被仰聞
(
おおせきけられ
)
被下度
(
くだされたく
)
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
今月
一
(
いっ
)
ぱいで店を
畳
(
たた
)
んで、はあ、ツール在の土となるまでの巣を見つけて買い取りましたよ。巴里にも三十年、まあ三十年もまめに働けばもう、楽に穴にもぐって行く
時節
(
じせつ
)
が来たというものですよ。
巴里の秋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
季
(
とき
)
時節
(
じせつ
)
の心付けを貰つて、水商賣の用心棒を兼ねてゐたのもあつたのですから、お秀は親分の平次に頼んで、ガラツ八を用心棒に雇ひきり、
晦日
(
みそか
)
にでもなつたら、二朱か一分も包んでやらうといつた
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
百姓
(
ひやくしやう
)
は
此
(
こ
)
の
頃
(
ごろ
)
の
時節
(
じせつ
)
に
餘計
(
よけい
)
な
暇
(
ひま
)
なんざねえから
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
流し何事も是皆前世の
因縁
(
いんえん
)
づくと
斷念
(
あきらめ
)
居
(
をれ
)
ば必ず御心配は下さるまじ併しながら
時節
(
じせつ
)
來りて若旦那の御
家督
(
かとく
)
と成れなば其時には此久八を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ほんとうに、お
父
(
とう
)
さんのおっしゃったように、
時節
(
じせつ
)
がわるいのだ。こんなに
暑
(
あつ
)
くなったので、すぐ
根
(
ね
)
が
乾
(
かわ
)
いて、
枯
(
か
)
れるかもしれない。」
僕のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
はま
鍋
(
なべ
)
、あをやぎの
時節
(
じせつ
)
でなし、
鰌汁
(
どぢやうじる
)
は
可恐
(
おそろ
)
しい、せい/″\
門前
(
もんぜん
)
あたりの
蕎麥屋
(
そばや
)
か、
境内
(
けいだい
)
の
團子屋
(
だんごや
)
で、
雜煮
(
ざふに
)
のぬきで
罎
(
びん
)
ごと
正宗
(
まさむね
)
の
燗
(
かん
)
であらう。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
又
鮏
(
さけ
)
の
時節
(
じせつ
)
にて、
小千谷
(
をぢや
)
の
前川
(
ぜんせん
)
は海に
朝
(
てう
)
するの大河なれば今
捕
(
とり
)
しをすぐに
庖丁
(
はうちやう
)
す。
味
(
あぢ
)
はひ江戸にまされり。一日
鮏
(
さけ
)
をてんぷらといふ物にしていだせり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかし
良人
(
おっと
)
は
私
(
わたくし
)
よりも
先
(
さ
)
きに
歿
(
なく
)
なって
居
(
お
)
り、それに
又
(
また
)
神
(
かみ
)
さまが、
時節
(
じせつ
)
が
来
(
く
)
れば
逢
(
あ
)
わしてもやると
申
(
まう
)
されましたので、そちらの
方
(
ほう
)
の
断念
(
あきらめ
)
は
割合
(
わりあい
)
早
(
はや
)
くつきました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
其内
(
そのうち
)
定期
(
ていき
)
の三
週間
(
しうかん
)
も
過
(
す
)
ぎて、
御米
(
およね
)
の
身體
(
からだ
)
は
自
(
おのづ
)
からすつきりなつた。
御米
(
およね
)
は
奇麗
(
きれい
)
に
床
(
とこ
)
を
拂
(
はら
)
つて、
新
(
あた
)
らしい
氣
(
き
)
のする
眉
(
まゆ
)
を
再
(
ふたゝ
)
び
鏡
(
かゞみ
)
に
照
(
て
)
らした。それは
更衣
(
ころもがへ
)
の
時節
(
じせつ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから春になってルミ、またいっしょに出かけようよ。まあ当分は
勇気
(
ゆうき
)
と
忍耐
(
にんたい
)
が
必要
(
ひつよう
)
だ。わたしたちはこれまでちょうどつごうの悪い、
間
(
あい
)
の
時節
(
じせつ
)
ばかり通って来た。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「いや
顧雍
(
こよう
)
。それは気が小さいことばだぞ。むかし漢の高祖は
項羽
(
こうう
)
から封を受けたこともあったが、後には漢中の王になられたではないか。みな
時世
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
と申すものだ」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
豊
(
とよ
)
は
今戸橋
(
いまどばし
)
まで歩いて来て
時節
(
じせつ
)
は
今
(
いま
)
正
(
まさ
)
に
爛漫
(
らんまん
)
たる春の四月である事を始めて知つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さなくて
卒爾
(
うちつけ
)
に
文
(
ふみ
)
など
參
(
まゐ
)
らせたるを
如何
(
いか
)
に
厭
(
いと
)
はしと
思
(
おぼ
)
しながら
返
(
かへ
)
しせざらんも
情
(
なさけ
)
なしとて
彼
(
あ
)
れよりは
夫
(
それ
)
となく
御出
(
おいで
)
のなきか
此頃
(
このごろ
)
のお
哥
(
うた
)
の
心
(
こゝろ
)
は
如何
(
いか
)
に
茂
(
しげ
)
るわか
葉
(
ば
)
の
今
(
いま
)
こそは
闇
(
く
)
らけれど
時節
(
じせつ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そういう
時節
(
じせつ
)
に、僕がこの本を
上梓
(
じょうし
)
することが出来たのは、たいへん意義のあることだと思う。この本は、良きにも悪しきにも、科学小説時代を迎えるまでの捨て石の一つになるであろう。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
六年生の秋の修学旅行は、
時節
(
じせつ
)
がらいつもの
伊勢
(
いせ
)
まいりをとりやめて、近くの
金毘羅
(
こんぴら
)
ということにきまった。それでも行けない生徒がだいぶいた。働きにくらべて
倹約
(
けんやく
)
な
田舎
(
いなか
)
のことである。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「あの
先生
(
せんせい
)
がついていらっしゃいますから、だいじょうぶですし、まだ、
土用波
(
どようなみ
)
の
立
(
た
)
つ
時節
(
じせつ
)
でもありませんから。」と、
宿
(
やど
)
の
人
(
ひと
)
は、いいました。
海と少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いで、
戰場
(
せんぢやう
)
に
臨
(
のぞ
)
む
時
(
とき
)
は、
雜兵
(
ざふひやう
)
と
雖
(
いへど
)
も
陣笠
(
ぢんがさ
)
をいたゞく。
峰入
(
みねいり
)
の
山伏
(
やまぶし
)
は
貝
(
かひ
)
を
吹
(
ふ
)
く。
時節
(
じせつ
)
がら、
槍
(
やり
)
、
白馬
(
しろうま
)
といへば、モダンとかいふ
女
(
をんな
)
でも
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
がひと
通
(
とほ
)
り。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
又
鮏
(
さけ
)
の
時節
(
じせつ
)
にて、
小千谷
(
をぢや
)
の
前川
(
ぜんせん
)
は海に
朝
(
てう
)
するの大河なれば今
捕
(
とり
)
しをすぐに
庖丁
(
はうちやう
)
す。
味
(
あぢ
)
はひ江戸にまされり。一日
鮏
(
さけ
)
をてんぷらといふ物にしていだせり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私
(
わたくし
)
の
山
(
やま
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
は
随分
(
ずいぶん
)
長
(
なが
)
くつづきましたが、やがて
又
(
また
)
この
修行場
(
しゅぎょうば
)
にも
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
ぐべき
時節
(
じせつ
)
がまいりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
其
(
その
)
根方
(
ねがた
)
の
所
(
ところ
)
を、
草鞋
(
わらぢ
)
がけの
植木屋
(
うゑきや
)
が
丁寧
(
ていねい
)
に
薦
(
こも
)
で
包
(
くる
)
んでゐた。
段々
(
だん/\
)
露
(
つゆ
)
が
凝
(
こ
)
つて
霜
(
しも
)
になる
時節
(
じせつ
)
なので、
餘裕
(
よゆう
)
のあるものは、もう
今時分
(
いまじぶん
)
から
手廻
(
てまは
)
しをするのだと
氣
(
き
)
が
付
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其方
懷姙
(
くわいにん
)
のよし我等
血筋
(
ちすぢ
)
に
相違
(
さうゐ
)
是なし
若
(
もし
)
男子
(
なんし
)
出生に於ては
時節
(
じせつ
)
を以て
呼出
(
よびいだ
)
すべし女子たらば其方の
勝手
(
かつて
)
に致すべし
後日
(
ごにち
)
證據
(
しようこ
)
の爲我等身に
添
(
そへ
)
大切に致候
短刀
(
たんたう
)
相添
(
あひそへ
)
遣
(
つか
)
はし置者也
依而
(
よつて
)
如件
(
くだんのごとし
)
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いつまた、それが蛾次郎の手から、じぶんの手へ返ってくる
時節
(
じせつ
)
があるかわからない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
如何に幸福な平和な
冬籠
(
ふゆごもり
)
の
時節
(
じせつ
)
であったろう。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あるところにぜいたくな
人間
(
にんげん
)
が
住
(
す
)
んでいました。
時節
(
じせつ
)
をかまわずに、なんでも
食
(
た
)
べたくなると、
人々
(
ひとびと
)
を
方々
(
かたがた
)
に
走
(
はし
)
らしてそれを
求
(
もと
)
めたのであります。
北の国のはなし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……
最
(
も
)
う
恁
(
か
)
う
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
がせゝつこましく、
物價
(
ぶつか
)
が
騰貴
(
とうき
)
したのでは、そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
眞似
(
まね
)
はして
居
(
ゐ
)
られない。しかし
此
(
こ
)
の
時節
(
じせつ
)
のあの
聲
(
こゑ
)
は、
私
(
わたし
)
は
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
れず
好
(
す
)
きである。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「それには、
時節
(
じせつ
)
がわるい。そんなことがわからなくてどうする。」と、
父親
(
ちちおや
)
は、
不興
(
ふきょう
)
げにいって、かえって、
賢吉
(
けんきち
)
は、しかられたのであります。
僕のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『まだ/\、まだ/\、
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
の
約束
(
やくそく
)
は、
人間
(
にんげん
)
のやうに
間違
(
まちが
)
はぬ。
今
(
いま
)
は
未
(
ま
)
だ
時鳥
(
ほとゝぎす
)
の
啼
(
な
)
く
時節
(
じせつ
)
で
無
(
な
)
い。』
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
時節
(
じせつ
)
がら、みなさまの
身
(
み
)
にもなってみまして、てまえどもは、
食
(
た
)
べていければいいという
精神
(
せいしん
)
で、ご
奉公
(
ほうこう
)
をしています。』と、
主人
(
しゅじん
)
は、いった。
アパートで聞いた話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と
蜀江
(
しよくこう
)
の
錦
(
にしき
)
、
呉漢
(
ごかん
)
の
綾
(
あや
)
、
足利絹
(
あしかゞぎぬ
)
もものともしないで、「よそぢや、この
時節
(
じせつ
)
、
一本
(
いつぽん
)
お
燗
(
かん
)
でもないからね、ビールさ。
久
(
ひさ
)
しぶりでいゝ
心持
(
こゝろもち
)
だ。」と
熱燗
(
あつかん
)
を
手酌
(
てじやく
)
で
傾
(
かたむ
)
けて
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もはや、一
日
(
にち
)
ましに、
暑
(
あつ
)
くなる
時節
(
じせつ
)
であって、
街
(
まち
)
の
上
(
うえ
)
の
空
(
そら
)
は、
銀色
(
ぎんいろ
)
にうるんでいました。そして、
旅
(
たび
)
の
心細
(
こころぼそ
)
さをまさしめる、つばめが
鳴
(
な
)
いていました。
ガラス窓の河骨
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
竹屋
(
たけや
)
の
藤
(
ふぢ
)
は
時節
(
じせつ
)
にあらず、
金格子
(
きんがうし
)
の
東海樓
(
とうかいろう
)
は
通
(
とほ
)
つた
道
(
みち
)
の
青樓
(
おちやや
)
さの、
處
(
ところ
)
で
今日
(
けふ
)
の
腹工合
(
はらぐあひ
)
と、
懷中
(
くわいちう
)
の
都合
(
つがふ
)
に
因
(
よ
)
つて、
天利
(
てんり
)
といふので
午餉
(
ひる
)
にしよう、
其
(
ま
)
づ
其
(
そ
)
の
城
(
しろ
)
を
見
(
み
)
て
梅
(
うめ
)
とやれ
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「また、あのお
祭
(
まつ
)
りの
時節
(
じせつ
)
になった。ほんとうに
月日
(
つきひ
)
のたつのは
早
(
はや
)
いものだ。」と、お
母
(
かあ
)
さんはいわれました。
海ほおずき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“時節”の意味
《名詞》
時節(じせつ)
時候。季節。
時機。機会。チャンス。
情勢。時勢。
(出典:Wiktionary)
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
節
常用漢字
小4
部首:⽵
13画
“時節”で始まる語句
時節柄
時節若至