菓子くわし)” の例文
其所そこまで買物かひものたから、ついでつたんだとかつて、宗助そうすけすゝめるとほり、ちやんだり菓子くわしべたり、ゆつくりくつろいだはなしをしてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
卯平うへい屹度きつとガラスたて店臺みせだいから自分じぶん菓子くわしをとつてやる。それでも與吉よきち菓子くわしぢりながらそばへはらうともしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
祖母おばあさんがほほつゝんでくださるあつ握飯おむすびにほひでもいだはうが、おあししてつたお菓子くわしより餘程よほどおいしくおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
れるだらうから、此方こつちはいつたらからうとすゝめ、菓子くわしなどをあたへてうちに、あめ小歇こやみとなり、また正午ひるちかくなつた。
小石こいしゆかうへつたときに、それがのこらずちひさな菓子くわしかはつたのをて、あいちやんは大層たいそうおどろきました、がまた同時どうじことかんがへつきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
非常ひじやう甘味うま菓子くわし舌皷したつゞみちつゝ、や十五ふんすぎたとおもころ時計とけい午後ごご六時ろくじほうじて、日永ひながの五ぐわつそらも、夕陽ゆふひ西山せいざんうすつくやうになつた。
たひ味噌汁みそしる人參にんじん、じやが、青豆あをまめとりわんたひ差味さしみ胡瓜きうり烏賊いかのもの。とり蒸燒むしやき松蕈まつたけたひ土瓶蒸どびんむしかうのもの。青菜あをな鹽漬しほづけ菓子くわしいちご
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たくはへたる菓子くわしをかの三人の娘にもとらせければ、三人こしかけて箕居ふみはだかりあしはひのなかへふみ入れめづらしがりてくわしをくらふ。
御覽ごらん其所そこおけばお光は會釋ゑしやく行燈あんどう引寄ひきよせしきりに見るそばで茶を菓子くわしすゝめながら其の横顏よこがほをつく/″\とながめてこゝろおもふやう自分じぶんの方からふくるを待ちおや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ばうさんはおもけないいおきやくたらしく、にはかたゝいて小坊主こばうずちや菓子くわしとをつてさせた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
紙幣さつ菓子くわしとの二つりにはおこしをおれとしたるものなれば、いま稼業かげうまことはなくとも百にんなか一人ひとりしんからのなみだをこぼして、いておくれ染物そめものやのたつさんがこと
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だつてお菓子くわし
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
その與吉よきちみなみ女房にようばうから薄荷はくかはひつた駄菓子だぐわしを二つばかりもらつた。うら垣根かきねから桑畑くはばたけえてあるきながら與吉よきち菓子くわししやぶつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ては半燒酎なほしむらたのんでひにつて、それをみながら大氣焔だいきえんく。留守居るすゐ女中ぢよちうけむまかれながら、ちやれてす。菓子くわしす。
そのらない小母をばさんがたびふくろからお菓子くわしなぞをしまして、それをとうさんにおあがりとつてれたこともありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
主人しゆじんあやかりたいもとに、甘垂あまたるい金玉糖きんぎよくたう幾切いくきれ頬張ほゝばつた。これはさけみ、ちやみ、めし菓子くわしへるやう出來できた、重寶ちようはう健康けんかうをとこであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たしかに、これは大抵たいてい子供こども菓子くわしべるときおこることだが、あいちやんはなに素晴すばらしいことがおこるのをばかりのぞんでて、通常あたりまへみちすゝんでくのは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たべよ/\手前は一番利口者オヽかしこい奴だサア遠慮ゑんりよせずにたべよ/\と申さるゝに其處そこは子供ゆゑ菓子くわし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
船中せんちゆうあさ食事しよくじは「スープ」のほか冷肉れいにく、「ライスカレー」、「カフヒー」それに香料にほひつた美麗うるはしき菓子くわし其他そのほか「パインアツプル」とうきはめて淡泊たんぱく食事しよくじで、それがむと
このさるは、だれ持主もちぬしといふのでもない、細引ほそびき麻繩あさなは棒杭ばうくひゆわえつけてあるので、あの、占治茸しめぢたけが、腰弁当こしべんたう握飯にぎりめし半分はんぶんつたり、ばつちやんだの、乳母ばあやだのがたもと菓子くわしけてつたり
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ちやして大奧おほおくにもたかく、お約束やくそく聟君むこぎみ洋行中やうかうちうにて、寐覺ねざめ寫眞しやしんものがたる總領そうりやう令孃ひめさへ、垣根かきねさくられかし吾助ごすけ、いさヽかの用事ようじにて大層たいそうらしく、御褒美ごはうびたまはる菓子くわし花紅葉はなもみぢ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうして卯平うへい菓子くわしつたみぎひだり袖口そでくちからして與吉よきちせる、與吉よきちはふら/\とやうやあるいてつては、あたさう卯平うへいつかまつてたもとさがす。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この菓子くわしひとべたなら屹度きつとわたしおほきさがかはつてるにちがひない、大抵たいていおほきくなる氣遣きづかひはなからう。ちひさくなるにまつてる』とあいちやんはおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
菓子くわしくにたひらげてしまつて、其後そのあと持參ぢさん花竦薑はならつきやうを、びんから打明うちあけて、さけさかなにしてる。
喝采かつさいして、おもしろがつて、をかしがつて、散々さんざなぐさむで、そら菓子くわしをやるワ、蜜柑みかんげろ、もちをたべさすワツて、みんなでどつさりさる御馳走ごちさうをして、くらくなるとどや/\いつちまつたんだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くらひついてもらぬ惡魔あくまにお菓子くわしもらつたべてもいかとくだけがなさけない、きたなむさ此樣こん菓子くわしうちくのもはらがたつ、すて仕舞しまいな、すててお仕舞しまい、おまへしくててられないか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うも御苦勞ごくらうさま。つかれたでせう」と御米およね小六ころくいたはつた。小六ころくそれよりも口淋くちさむしいおもひがした。此間このあひだ文庫ぶんことゞけてやつたれいに、坂井さかゐかられたと菓子くわしを、戸棚とだなからしてもらつてべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
現在げんざい使つかひにとゝさんのこゝろうごかしによこる、なんといふてよこしたとへば、表通おもてどほりのにぎやかなところあそんでたらば何處どこのか伯父おぢさんと一しよて、菓子くわしつてやるから一しよにおいでといつて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わらふてむなぐるしさおもひにやせ手首たなくびりすがりておうらやましやおたかさまのおほそさよおめしあがりしか御傳授ごでんじゆきたしと眞面目まじめひと可笑をかしくはなくて其心根そのこゝろねうらやましくなりぬ人々ひと/″\かへてゝより一時間許いちじかんばかりつにはなが時間じかんながらくるまおとかどにもきこえずすてかれなばだしもなれどおちやまゐらせよお菓子くわしあがれ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)