くみ)” の例文
それは一つの科学であるといい、これを防ぐのにもまた科学的頭脳を要することを説いた。結局南博士もスパイ説にくみしたのである。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
引込ひつこませる、とみづのでばなとふのでも、おくみはさすがに武家ぶけ女房にようばう中間ちうげんはだいたものを無理むりようとはしなかつた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
佐藤さとうこたえは、ただそれだけでありました。先生せんせいは、こんど、小田おだをおさしになりました。かれは、くみじゅうでの乱暴者らんぼうものでした。
笑わなかった少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところがそのみやこに、四、五人でくみをなした盗賊とうぞくがいまして、甚兵衛の人形の評判ひょうばんをきき、それをぬすみ取ろうとはかりました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
今宵こよひ家例かれいり、宴會えんくわいもよふしまして、日頃ひごろ別懇べっこん方々かた/″\多勢おほぜい客人まろうどまねきましたが、貴下こなたそのくみくははらせらるゝは一だん吾家わがや面目めんもくにござる。
これが家中の大多数で、潮あい次第で、時にはかん阿諛あゆし、時にはせいくみし、流れにまかせていかださおさすようにうまくその日その日を渡ってゆく。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
扨も吉兵衞が宿やどりたる家の主人を何者なにものなると尋るに水戸中納言殿みとちうなごんどの御家老職ごからうしよくに藤井紋太夫もんだいふと云ふあり彼柳澤が謀叛むほんくみして既に公邊こうへんの大事にも及べき處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
美貌とわざの巧いのとで、一時両国の人気を攫った、本名おくみ芸名源女げんじょそういう女と妙な縁から、彼一流の恋をした。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼をかこめるくみをみよ、他はみないよ/\うるはしき奧深き歌をうたひつゝグリフォネのあとより昇る。 八八—九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
けてもいのさ、れは仕方しかたいとあきめるから、おまへなにないでいからたゞ横町よこてうくみだといふで、威張ゐばつてさへれると豪氣がうぎ人氣じんきがつくからね
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ガンのむれは、もういくくみもいく組も飛んでいきました。みんな空を高く飛んでいきましたが、それでも、「さあ、おかへいくんだ! さあ、丘へいくんだ!」
(本品は一くみ三円四十銭の見込。ゴムはときどき取り換えることを要する。ゴム一個二十銭なり。)
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
狐の人をばかす事、伝通院でんつういん裏の沢蔵稲荷たくぞういなり霊験れいげんなぞ、こまごまと話して聞かせるので、私は其頃よく人の云うこっくり様の占いなぞ思合せて、なかばは田崎のゆうくみして
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
「何を小癪こしゃくな! 殿様の碁の相手だけはまっぴらだが、貴公なら友だちずくにくみしやすい。来い!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
とにかくあんまりつよくもなく、かと言つてまた格別かくべつはづかしいほどよわわけでもなく、風も先づ正正堂堂どうどうとして至極しごくち着きはらつた方、正に兄たりかたく弟たりかたしのくみ合せだ。
私の家では柱をくみにして、その中へあり金を隠す方法を講じたが、隠すほどの財産もできず、また黒装束くろそうぞくを着けた泥棒も、それぎり来ないので、私の生長する時分には
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なアに、實は小唄の師匠のお園と、踊の師匠のおくみつかみ合ひで、いやその激しいといふことは、親分にも見せたいくらゐのものでしたよ。あつしも女と女の命がけの喧嘩といふのを
三つづゝ一くみになつたくりいがと一しよちたのをとうさんにひろはせてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
武村兵曹たけむらへいそう技倆ぎりようはまた格別かくべつで、何處どこ練習れんしうしたものか、てつやううでから九種こゝのつ魔球カーブひね工合ぐあひすさまじいもので、兵曹へいそう投手ピツチにすると敵手あひてになるくみはなく、また打棒バツトれて/\たまらぬので
山田やまだが四きふに入つて来たのです、実に這麼こんな意外なおもひをした事が無い、第二中学にた時はわたしより二きふうへ山田やまだが、予備門よびもんでは二きふしたくみに入つて来たのでせう、わたし何為どうした事かと思ひました、しか
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふん、また一孵ひとかえり、ほかくみがやってたよ、まるで私達わたしたちじゃまだりないかなんぞのようにさ! それにまあ、あのなかの一なんみょうちきりんなかおをしてるんだろう。あんなのここに入れてやるもんか。
二人ふたり少年しょうねんは、すすきのかげから、かおして往来おうらいほうをながめていました。おなくみ岡田おかだが、ぞうりぶくろをぶらさげながら、かえっていきました。
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふ、宗桂そうけいのあしらひより、番太郎ばんたらう桂馬けいまはうが、えらさうにえるならはしで、おくみ感心かんしんしたらしかつた。もさうずと千助せんすけ益々ます/\附入つけいる。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
といふを聞て天忠しばし兩手をくみ默然もくねんたりしがやゝ有て三人にむか拙僧せつそう少し所存あり夫は只今此所へ茶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
李逵はいている一つの机に向って本気で手習いをし始めた。それを見ると子供たちは忽ちくみしやすいおじさんだと見たか寄ッてたかってキャッキャッと笑い出した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くみはどうしたというのだろう? 病気には相違なさそうだが、何という変な病気なんだろう。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
明智は如何にしても、その様ないまわしき使命にくみする気にはなれぬ。で彼は云うのだ。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのかへるつて生長せいちやうするうちに、いくくみいくくみこひ泥渠どぶなか成立せいりつする。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いつかの日本麻雀選手權大會にほんマアジヤンせんしゆけんたいくわいときのやうに百くみも百五十くみもの人達ひとたちが一だうあつまつてあらそふとなれば、紫檀したん卓子テーブルうへでぢかになどといふことはそれこそ殺人的さつじんてきなものになつてしまつて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
からつきりんなそでのぺら/\した、おそろしいながものまくあげるのだからね、うなれば來年らいねんから横町よこちやうおもてのこらずおまへ手下てしただよとそやすに、してれ二せんもらふと長吉ちやうきちくみるだらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いいとも、これ、おくみを呼んで来るがいい」
こうくみは、さすがに、自分じんたちのほうの時計とけいくるわないただしい時計とけいだと、いよいよその時計とけいのありがたみをかんじたわけです。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
初心うぶらしくわざ俯向うつむいてあかつた。おくみも、ほんのりと、いろめた、が、には夕榮ゆふばえである。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしから申し告げても、もしこんどの縁談も気がすすまず、種々いろいろと、泣いてなど、処女心おとめごころを申されると、女は女の気もちにくみしていてけとも云われなくなります
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
懷中くわいちうに入れし事なれば若し見咎みとがめられては大變たいへんと早々迯出にげいだす向ふより火附盜賊改め役奧田主膳殿おくだしゆぜんどのくみの與力同心を二三十人連て此處へ來らるゝ故喜八は夫と見るより一さん駈拔かけぬけんとしけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それから、やなぎのイスやテエブルを一くみと、ちやだんすのいいのをしいわね。」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
よきをんなもありをとこもあり、五にんにんにんくみおほたむろもあれば、一にんさびしき老爺おやぢ三味線ざみせんかゝへてくもあり、六つ五つなるをんな赤襻あかだすきさせて、あれはくにおどらするも
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしうちむすめとおぼっちゃんとは、学校がっこうおなくみだそうでございます。それで、今日きょうは、おねがいがあってがりました。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
こと炬燵こたつ出来できたからわたしそのまゝうれしくはいつた。寐床ねどこう一くみ同一おなじ炬燵こたついてあつたが、旅僧たびそうこれにはきたらず、よこまくらならべて、のない臥床ねどこた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それからもなく、忍剣にんけん蔦之助つたのすけくみも、伊那丸いなまるも、甲府表こうふおもてからすがたをかくして、あいかわらず、躑躅つつじさきのようすをうかがっているものは、龍太郎りゅうたろう小文治こぶんじの一組になっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かみさまのように、その時計とけい時間じかんしんじていたおつのほうのくみは、そのからくらになったように、まったく時間じかんというものがわからなくなりました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なぜでございますか。わたくしは、万千代まんちよさまのくみ小姓こしょうにちがいないのですのに」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くみになつてこれから押登おしのぼつて、やつとれてもどつたくらゐでがす。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こうなれば、おつくみのものも、こちらにしたがわなければならぬとおもっていました。それで、相談そうだんがあるときは
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こう二人ずつ三くみにわかれて、甲府こうふ城下じょうかへまぎれこみ、大久保家おおくぼけ内状ないじょうをさぐったうえにて、間隙かんげきをはかってたちのうちにらわれている咲耶子さくやこをすくいだす目的もくてきをしめし合わせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
としちゃんは、小山こやまのいったことをよっちゃんにききました。よっちゃんは、としちゃんよりは、一ねんうえくみです。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうちゃんはあたらしいボールをって、それに「二ねんくみ 山本正治やまもとしょうじ」ときました。しょうちゃんの帽子ぼうしにもハンカチにも、けしゴムにも、みんなそういてありました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小泉こいずみだ。」と、わらごえこりました。かれは、くみなかでも、つねにできなかったからです。みんなのわらいにおくられて、小泉こいずみは、教壇きょうだんへノートをっていきました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
学校がっこうへいく時分じぶんには、かぜはいくぶんおとろえたが、あたまうえそらには、まだものすごいくもあとからあとからけていました。正二しょうじは、途中とちゅうおなくみ年雄としおくんにあいました。
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほら、二ねんくみいてあるだろう。」と、いって、おかあさんにボールをもう一どせました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)