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到底
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たうてい
ふりがな文庫
“
到底
(
たうてい
)” の例文
「
私
(
わたくし
)
の
樣
(
やう
)
なものには
到底
(
たうてい
)
悟
(
さとり
)
は
開
(
ひら
)
かれさうに
有
(
あ
)
りません」と
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
めた
樣
(
やう
)
に
宜道
(
ぎだう
)
を
捕
(
つら
)
まへて
云
(
い
)
つた。それは
歸
(
かへ
)
る
二三日
(
にさんち
)
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかもその名前なるものが、
甚
(
はなはだ
)
平凡を
極
(
きは
)
めてゐるのだから、それだけでは、いくら賢明な車夫にしても
到底
(
たうてい
)
満足に帰られなからう。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もう貴様も
到底
(
たうてい
)
村では一旗挙げる事は難しい身分だから、一つ奮発して、江戸へ行つて皆の衆を見返つて遣らうといふ気は無いか。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
コロボツクルは
何
(
いづ
)
れの仕方に
從
(
したが
)
つて火を得たるか。
直接
(
ちよくせつ
)
の
手段
(
しゆだん
)
にては
到底
(
たうてい
)
考ふ可からず。コロボツクルの
遺物中
(
ゐぶつちう
)
には石製の錐有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
例令
(
たとひ
)
品物
(
しなもの
)
が
有
(
あ
)
つた
處
(
ところ
)
で、
自分
(
じぶん
)
の
現在
(
いま
)
の
力
(
ちから
)
では
到底
(
たうてい
)
それは
求
(
もと
)
められなかつたかも
知
(
し
)
れぬと
今更
(
いまさら
)
のやうに
喫驚
(
びつくり
)
して
懷
(
ふところ
)
へ
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
さう
思
(
おも
)
へば
益〻
(
ます/\
)
居堪
(
ゐたま
)
らず、
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
つて
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
へと
歩
(
ある
)
いて
見
(
み
)
る。『さうしてから
奈何
(
どう
)
する、あゝ
到底
(
たうてい
)
居堪
(
ゐたゝま
)
らぬ、
這麼風
(
こんなふう
)
で一
生
(
しやう
)
!』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
鋼索
(
こうさく
)
、
化學用
(
くわがくよう
)
の
諸
(
しよ
)
劇藥
(
げきやく
)
、
其他
(
そのほか
)
世人
(
せじん
)
の
到底
(
たうてい
)
豫想
(
よさう
)
し
難
(
がた
)
き
幾多
(
いくた
)
の
材料
(
ざいりよう
)
を
蒐集中
(
しうしふちう
)
なりしが、
何時
(
いつ
)
とも
吾人
(
われら
)
の
氣付
(
きづ
)
かぬ
間
(
ま
)
に
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
隱
(
かく
)
しぬ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何分
(
なにぶん
)
此頃
(
このごろ
)
飛出
(
とびだ
)
しが
始
(
はじ
)
まつて
私
(
わし
)
などは
勿論
(
もちろん
)
太吉
(
たきち
)
と
倉
(
くら
)
と
二人
(
ふたり
)
ぐらゐの
力
(
ちから
)
では
到底
(
たうてい
)
引
(
ひき
)
とめられぬ
働
(
はたら
)
きをやるからの、
萬一
(
まんいち
)
井戸
(
ゐど
)
へでも
懸
(
かゝ
)
られてはと
思
(
おも
)
つて
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『事実?
到底
(
たうてい
)
其様なことは有得べからざる事実だ。』と銀之助は聞入れなかつた。『何故と言つて見給へ。学校の職員は大抵
出処
(
でどこ
)
が
極
(
きま
)
つて居る。 ...
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
然
(
しか
)
し目に見えない将来の
恐怖
(
きようふ
)
ばかりに
満
(
みた
)
された
女親
(
をんなおや
)
の
狭
(
せま
)
い胸には
斯
(
かゝ
)
る
通人
(
つうじん
)
の
放任
(
はうにん
)
主義は
到底
(
たうてい
)
容
(
い
)
れられべきものでない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
(
此
(
この
)
あたりも、一
問
(
もん
)
、一
答
(
たふ
)
こと/″\く
口合式
(
パンニングしき
)
の
警句
(
けいく
)
にして、
到底
(
たうてい
)
、
原語通
(
げんごどほ
)
りには
譯
(
やく
)
しがたきゆゑ、
義譯
(
ぎやく
)
とす。)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「ですけれど、
私
(
わたし
)
はドウやら悩みに悩むで
到底
(
たうてい
)
、救の門の開かれる望がない様に感じますの」梅子は
只
(
た
)
だ風なくて散る
紅
(
くれなゐ
)
の一葉に、層々
擾
(
みだ
)
れ行く波紋をながめて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
何
(
なん
)
のためだと
思
(
おも
)
ふと、
氣
(
き
)
を
靜
(
しづ
)
める
妙法
(
めうはふ
)
で——
露骨
(
ろこつ
)
に、これを
説明
(
せつめい
)
すると、やきもち
靜
(
しづ
)
め——その
澁
(
しぶ
)
さ、
床
(
ゆか
)
しさ、
到底
(
たうてい
)
女人
藝術
(
げいじゆつ
)
同人
(
どうじん
)
などの、
考
(
かんが
)
へつく
所
(
ところ
)
のものではない。
長谷川時雨が卅歳若かつたら
(旧字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
成
(
なる
)
る
程
(
ほど
)
外部
(
ぐわいぶ
)
から
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
の
生活状態
(
せいくわつじやうたい
)
を
見
(
み
)
ると
至極
(
しごく
)
景氣
(
けいき
)
の
好
(
い
)
いやうに
見
(
み
)
えるけれども
其状態
(
そのじやうたい
)
がどれだけ
續
(
つゞ
)
くかと
云
(
い
)
ふことを
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると、
到底
(
たうてい
)
長
(
なが
)
く
續
(
つゞ
)
き
得
(
う
)
るものではない。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
夫
(
そ
)
れ
文学者
(
ぶんがくしや
)
を
目
(
もく
)
して
預言者
(
よげんしや
)
なりといふは
生
(
き
)
野暮
(
やぼ
)
一点張
(
いつてんばり
)
の
釈義
(
しやくぎ
)
にして
到底
(
たうてい
)
咄
(
はなし
)
の
出来
(
でき
)
るやつにあらず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
取分
(
とりわ
)
けて
申候迄
(
まうしさふらうまで
)
もなし実際に
於
(
おい
)
てかゝる
腑甲斐
(
ふがひ
)
なき生活状態の
到底
(
たうてい
)
有得
(
ありう
)
べからざる
儀
(
ぎ
)
となり
申候
(
まうしそろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
その
上
(
うへ
)
ならず、
馬
(
うま
)
の
頭
(
あたま
)
と
髭髯
(
しぜん
)
面
(
めん
)
を
被
(
おほ
)
ふ
堂々
(
だう/\
)
たるコロンブスの
肖像
(
せうざう
)
とは、一
見
(
けん
)
まるで
比
(
くら
)
べ
者
(
もの
)
にならんのである。
且
(
か
)
つ
鉛筆
(
えんぴつ
)
の
色
(
いろ
)
はどんなに
巧
(
たく
)
みに
書
(
か
)
いても
到底
(
たうてい
)
チヨークの
色
(
いろ
)
には
及
(
およ
)
ばない。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
僕等の
此
(
こ
)
の性格が
亡
(
ほろ
)
ぼされない以上、僕等は
到底
(
たうてい
)
幸福
(
かうふく
)
な人となることは出來ない。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
インドにおいては、
地理
(
ちり
)
歴史
(
れきし
)
の
關係
(
くわんけい
)
から、
北部
(
ほくぶ
)
と
南部
(
なんぶ
)
とでは
根本
(
こんぽん
)
から
言語
(
げんご
)
がちがふので、インド
人
(
じん
)
同士
(
どうし
)
で
英語
(
えいご
)
を
以
(
もつ
)
て
會話
(
くわいわ
)
を
試
(
こゝろ
)
みてゐるのを
見
(
み
)
てインドが
到底
(
たうてい
)
獨立
(
どくりつ
)
し
得
(
え
)
ざるゆゑんを
悟
(
さと
)
つた。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
何
(
なん
)
と
難有
(
ありがた
)
い
信仰
(
しんかう
)
ではないか。
強
(
つよ
)
い
信仰
(
しんかう
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
る
法師
(
ほふし
)
であつたから、
到底
(
たうてい
)
龍神
(
りうじん
)
如
(
ごと
)
きがこの
俺
(
おれ
)
を
沈
(
しづ
)
めることは
出來
(
でき
)
ない、
波浪
(
はらう
)
不能沒
(
ふのうもつ
)
だ、と
信
(
しん
)
じて
疑
(
うたが
)
はぬぢやから、
其處
(
そこ
)
でそれ
自若
(
じじやく
)
として
居
(
ゐ
)
られる。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
到底
(
たうてい
)
、勝戦なきを思ひ
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空
(
むなし
)
く
戻
(
もど
)
るが如き事ある可し因て
到底
(
たうてい
)
治
(
なほ
)
らずとも藥の
功驗
(
きゝめ
)
で二月三月起らずにゐれば其後に
假令
(
たとへ
)
發
(
はつ
)
する事ありとも
早
(
はや
)
夫
(
それ
)
までには
夫婦
(
ふうふ
)
の中に
人情
(
にんじやう
)
と云が
起
(
おこ
)
り來れば
癲癇
(
てんかん
)
ありとて
離縁
(
りえん
)
には成る
氣遣
(
きづかひ
)
も有まいからと云れて見れば其やうな物とも思ひ
上治
(
うはなほ
)
して致してやらねば其親子が
折角
(
せつかく
)
得たる
出世
(
しゆつせ
)
の道の
妨
(
さまた
)
げ爲やう思はるれば先の家へは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
たゞ
唇
(
くちびる
)
があまり
厚過
(
あつすぎ
)
るので、
其所
(
そこ
)
に
幾分
(
いくぶん
)
の
弛
(
ゆる
)
みが
見
(
み
)
えた。
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
には、
普通
(
ふつう
)
の
人間
(
にんげん
)
に
到底
(
たうてい
)
見
(
み
)
るべからざる
一種
(
いつしゆ
)
の
精彩
(
せいさい
)
が
閃
(
ひら
)
めいた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼等
(
かれら
)
の
最初
(
さいしよ
)
に
踏
(
ふ
)
んだ
土
(
つち
)
の
強大
(
きやうだい
)
な
牽引力
(
けんいんりよく
)
は
永久
(
えいきう
)
に
彼等
(
かれら
)
を
遠
(
とほ
)
く
放
(
はな
)
たない。
彼等
(
かれら
)
は
到底
(
たうてい
)
其
(
そ
)
の
土
(
つち
)
に
苦
(
くる
)
しみ
通
(
とほ
)
さねばならぬ
運命
(
うんめい
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
何故
(
なぜ
)
かと云ふと夢中の出来事は、時間も空間も因果の関係も、現実とは全然違つてゐる。しかもその違ひ方が、
到底
(
たうてい
)
型には
嵌
(
は
)
める事が出来ぬ。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大革命
(
だいかくめい
)
とも
名
(
なづ
)
けられる
位
(
くらゐ
)
だ、
防腐法
(
ばうふはふ
)
の
發明
(
はつめい
)
によつて、
大家
(
たいか
)
のピロウゴフさへも、
到底
(
たうてい
)
出來得
(
できう
)
べからざる
事
(
こと
)
を
認
(
みとめ
)
てゐた
手術
(
しゆじゆつ
)
が、
容易
(
たやす
)
く
遣
(
や
)
られるやうにはなつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
氏
(
し
)
は
其
(
その
)
航路
(
かうろ
)
を
取
(
と
)
りて
支那海
(
シナかい
)
を
※
(
す
)
ぎ
印度洋
(
インドやう
)
の
方面
(
はうめん
)
に
進
(
すゝ
)
みしにあらずやとの
疑
(
うたがひ
)
あり、
元
(
もと
)
より
氏
(
し
)
が
今回
(
こんくわい
)
の
企圖
(
くわだて
)
は
秘中
(
ひちう
)
の
秘事
(
ひじ
)
にして、
到底
(
たうてい
)
測知
(
そくち
)
し
得
(
う
)
可
(
べ
)
きにあらざれども
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
不可能
(
ふかのう
)
であるならば、あの
時
(
とき
)
の
爲替相場
(
かはせさうば
)
四十三
弗
(
ドル
)
四
分
(
ぶん
)
の三は
到底
(
たうてい
)
維持
(
ゐぢ
)
は
出來
(
でき
)
ないのであつて、
段々
(
だんだん
)
下
(
さが
)
つて
來
(
く
)
ることは
明
(
あきら
)
かなことで、あの
時期
(
じき
)
に
爲替相場
(
かはせさうば
)
が
極端
(
きよくたん
)
に
下
(
さが
)
つたならば
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
芸者なんぞになつちやいけないと
引止
(
ひきと
)
めたい。
長吉
(
ちやうきち
)
は無理にも
引止
(
ひきと
)
めねばならぬと決心したが、すぐ
其
(
そ
)
の
傍
(
そば
)
から、自分はお
糸
(
いと
)
に対しては
到底
(
たうてい
)
それだけの
威力
(
ゐりよく
)
のない事を
思返
(
おもひかへ
)
した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
到底
(
たうてい
)
相談のならない法外な給料増加の請求を坑夫等に
教唆
(
けふさ
)
し、其の請求の貫徹を
図
(
はか
)
ると云ふ口実の
下
(
もと
)
に、同盟罷工を
行
(
や
)
らせると云ふのが、篠田の最初からの目的なので御座りまする
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「人間は完全に自然を発展すれば、必ずその最後は悲劇に終る。
則
(
すなは
)
ち自然その者は
到底
(
たうてい
)
現世の義理人情に
触着
(
しよくちやく
)
せずには終らぬ。さすれば自然その者は、遂にこの世に
於
(
おい
)
て不自然と化したのか」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
どういふ
風
(
ふう
)
に
書
(
か
)
くものやら
全然
(
まるで
)
不案内
(
ふあんない
)
であつたがチヨークで
書
(
か
)
いた
畫
(
ゑ
)
を
見
(
み
)
たことは
度々
(
たび/\
)
あり、たゞこれまで
自分
(
じぶん
)
で
書
(
か
)
かないのは
到底
(
たうてい
)
未
(
ま
)
だ
自分
(
じぶん
)
どもの
力
(
ちから
)
に
及
(
およ
)
ばぬものとあきらめて
居
(
ゐ
)
たからなので
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
到底
(
たうてい
)
單純
(
たんじゆん
)
な
理屈
(
りくつ
)
一
遍
(
ぺん
)
で
律
(
りつ
)
することが
出來
(
でき
)
ない。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
到底
(
たうてい
)
此
(
こ
)
の
少年
(
せうねん
)
の
咽喉
(
のど
)
から
出
(
で
)
たのではない。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
狐疑
(
こぎ
)
して
居
(
ゐ
)
るやうな
其
(
その
)
容貌
(
ようばう
)
とは
其處
(
そこ
)
に
敢
(
あへ
)
て
憎惡
(
ぞうを
)
すべき
何物
(
なにもの
)
も
存在
(
そんざい
)
して
居
(
ゐ
)
ないにしても
到底
(
たうてい
)
彼等
(
かれら
)
の
伴侶
(
なかま
)
の
凡
(
すべ
)
てと
融和
(
ゆうわ
)
さるべき
所以
(
ゆゑん
)
のものではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
兄
(
あに
)
は
到底
(
たうてい
)
相談
(
さうだん
)
になつて
呉
(
く
)
れる
人
(
ひと
)
ぢやない、
自分
(
じぶん
)
が
大學
(
だいがく
)
を
卒業
(
そつげふ
)
しないから、
他
(
ひと
)
も
中途
(
ちゆうと
)
で
已
(
や
)
めるのは
當然
(
たうぜん
)
だ
位
(
ぐらゐ
)
に
考
(
かんが
)
へてゐる。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この本はかういふ
因縁
(
いんねん
)
の
下
(
もと
)
に出来あがつたものであるから
到底
(
たうてい
)
実際日本の土を踏んだ旅行家の紀行ほど正確ではない。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
奈何
(
どう
)
して
這麼處
(
こんなところ
)
に一
週間
(
しうかん
)
とゐられやう、
况
(
ま
)
して一
年
(
ねん
)
、二
年
(
ねん
)
など
到底
(
たうてい
)
辛棒
(
しんぼう
)
をされるものでないと
思
(
おも
)
ひ
付
(
つ
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
年を取つたものと若いものゝ
間
(
あひだ
)
には
到底
(
たうてい
)
一致されない
懸隔
(
けんかく
)
のある事をつくづく感じた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今の社会が言ふ所の威信とか名誉とか言ふのは何を指すのです、僕は此の根本を誤つてる威信論や名誉論を破壊し尽さぬ間は、
到底
(
たうてい
)
道義人情の精粋を発揮することは出来ぬと思ふです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
之
(
これ
)
を
船長
(
せんちやう
)
に
報告
(
ほうこく
)
するなどは
海上
(
かいじやう
)
の
法則
(
はふそく
)
から
言
(
い
)
つて、
到底
(
たうてい
)
許
(
ゆる
)
す
可
(
べ
)
からざる
事
(
こと
)
である。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
自然児は
到底
(
たうてい
)
この濁つた世には
容
(
い
)
られぬのである。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
一体
光悦
(
くわうえつ
)
をどう思つてゐるのだか、光悦寺をどう思つてゐるのだか、もう一つ
序
(
ついで
)
に鷹ヶ峯をどう思つてゐるのだか、かうなると、
到底
(
たうてい
)
自分には分らない。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や両氏の作品にもはるかに及ばない随筆には
如何
(
いか
)
に君に
促
(
いなが
)
されたにもせよ、
到底
(
たうてい
)
讃辞を奉ることは出来ない。
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
都々逸詩人を以て任じてゐては
到底
(
たうてい
)
北原氏などに追ひつくものではない。
次手
(
ついで
)
に云ふ。今の小説が面白くないから、大衆文芸が盛んになつたと云ふのは
譃
(
うそ
)
だ。
亦一説?
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの六篇の小品を読むと、文壇離れのした心もちがする。作者が文壇の
塵氛
(
ぢんぷん
)
の中に、我々同様呼吸してゐたら、
到底
(
たうてい
)
あんな夢の話は書かなかつたらうと云ふ気がする。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
早い話が堀川のお邸の御規模を拝見致しましても、壮大と申しませうか、豪放と申しませうか、
到底
(
たうてい
)
私どもの凡慮には及ばない、思ひ切つた所があるやうでございます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
書物さへ
既
(
すで
)
にさうである。
況
(
いはん
)
や書画とか
骨董
(
こつとう
)
とかは一度も集めたいと思つたことはない。
尤
(
もつと
)
もこれはと思つたにしろ、
到底
(
たうてい
)
我我売文の徒には手の出ぬせゐでもありさうである。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
(中略)しかし随筆と云ふものが、芥川氏や、その他の諸氏の定義して居るやうに難かしいものだとすると、(中略)
到底
(
たうてい
)
随筆専門の雑誌の発刊なんか、思ひも及ばないことになる
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この方面の小説家では、
英吉利
(
イギリス
)
に Algernon Blackwood があるが、
到底
(
たうてい
)
ビイアスの敵ではない。(二)彼は又批評や
諷刺詩
(
ふうしし
)
を書くと、
辛辣無双
(
しんらつむさう
)
な皮肉家である。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
到
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“到”で始まる語句
到
到頭
到着
到達
到来物
到来
到処
到著
到々
到來