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鋭
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するど
ふりがな文庫
“
鋭
(
するど
)” の例文
ものゝ
感
(
かん
)
じ
方
(
かた
)
が
非常
(
ひじやう
)
に
鋭敏
(
えいびん
)
で、
鼻
(
はな
)
・
耳
(
みゝ
)
・
肌
(
はだ
)
などに
觸
(
ふ
)
れるものを
鋭
(
するど
)
く
受
(
う
)
け
取
(
と
)
ることの
出來
(
でき
)
た
珍
(
めづら
)
しい
文學者
(
ぶんがくしや
)
であつたことを
見
(
み
)
せてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
少年
(
せうねん
)
の
指
(
ゆびさ
)
す
方
(
かた
)
を
眺
(
なが
)
めると
如何
(
いか
)
にも
大變
(
たいへん
)
!
先刻
(
せんこく
)
吾等
(
われら
)
の
通※
(
つうくわ
)
して
來
(
き
)
た
黄乳樹
(
わうにうじゆ
)
の
林
(
はやし
)
の
中
(
あひだ
)
より、
一頭
(
いつとう
)
の
猛獸
(
まうじう
)
が
勢
(
いきほい
)
鋭
(
するど
)
く
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
たのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ちょっと
皮肉
(
ひにく
)
なところがありますが、
優
(
やさ
)
しい
微笑
(
びしょう
)
をたたえた皮肉で、世の中の不正や
醜
(
みにく
)
さに、それとなく
鋭
(
するど
)
い
鋒先
(
ほこさき
)
を向けています。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
「よく
剣ヶ峰
(
けんがみね
)
が
拝
(
おが
)
まれる。」と、じいさんは、かすかはるかに、千
古
(
こ
)
の
雪
(
ゆき
)
をいただく、
鋭
(
するど
)
い
牙
(
きば
)
のような
山
(
やま
)
に
向
(
む
)
かって
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
わせました。
手風琴
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ぼくは二階の
廊下
(
ろうか
)
を歩き、屋上の
露台
(
ろだい
)
のほうへ登って行きました。眼の下には、
鋭
(
するど
)
い
舳
(
バウ
)
をした
滑席艇
(
スライデングシェル
)
がぎっしり横木につまっています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
「もうこんなぐあいです。どうかたくさん
笑
(
わら
)
ってやってください」と
言
(
い
)
うとたん、
貝
(
かい
)
の火は
鋭
(
するど
)
くカチッと鳴って二つに
割
(
わ
)
れました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
わが堪へし
活光
(
いくるひかり
)
の
鋭
(
するど
)
さげにいかばかりなりしぞや、さればもしこれを離れたらんには、思ふにわが目くるめきしならむ 七六—七八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
何故ならば、氏の
心理解剖
(
しんりかいばう
)
は
何處
(
どこ
)
までも心理解剖で、人間の心持を
丁度
(
ちやうど
)
鋭
(
するど
)
い
銀
(
ぎん
)
の
解剖刀
(
かいばうたう
)
で切開いて行くやうに、
緻密
(
ちみつ
)
に
描
(
ゑが
)
いて行かれます。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
別
(
べつ
)
に、
肩
(
かた
)
には
更紗
(
さらさ
)
を
投掛
(
なげか
)
け、
腰
(
こし
)
に
長劍
(
ちやうけん
)
を
捲
(
ま
)
いた、
目
(
め
)
の
鋭
(
するど
)
い、
裸
(
はだか
)
の
筋骨
(
きんこつ
)
の
引緊
(
ひきしま
)
つた、
威風
(
ゐふう
)
の
凛々
(
りん/\
)
とした
男
(
をとこ
)
は、
島
(
しま
)
の
王樣
(
わうさま
)
のやうなものなの……
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いつも
憤然
(
ふんぜん
)
として
大
(
おおい
)
に
怒
(
いか
)
り、さながら自分の愛人を
侮辱
(
ぶじょく
)
された時の
騎士
(
きし
)
のごとく、
鋭
(
するど
)
い
反撃
(
はんげき
)
の
槍
(
やり
)
をふるって
突
(
つ
)
き当って行った。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
獨りごちつゝ首傾けて暫し思案の
樣
(
さま
)
なりしが、忽ち
眉揚
(
まゆあが
)
り
眼
(
まなこ
)
鋭
(
するど
)
く『さては』とばかり、
面色
(
めんしよく
)
見る/\變りて握り詰めし拳ぶる/\と震ひぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
長
(
なが
)
い
形
(
かたち
)
と
横
(
よこ
)
にひらたいものとがありますが、
双方共
(
そうほうとも
)
に
一方
(
いつぽう
)
につまみがあり、
他側
(
たがは
)
は
切
(
き
)
れるほど
鋭
(
するど
)
くはありませんが、
鈍
(
にぶ
)
い
刃
(
は
)
になつてゐます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
ところが、灰色ネズミたちが
小麦
(
こむぎ
)
を一つぶのみこんだかのみこまないうちに、
中庭
(
なかにわ
)
のほうから、
鋭
(
するど
)
い
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
が、かすかにひびいてきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
兄弟子から
鋭
(
するど
)
く励まされて、千枝太郎のしおれた魂も俄に勇んだ。彼はきっとその怪異を探り出すことを泰忠に誓って別れた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
巨男
(
おおおとこ
)
のお母さんはおそろしい
魔女
(
まじょ
)
でした。ほら
鷲
(
わし
)
のような高い鼻や、
蛇
(
へび
)
のような
鋭
(
するど
)
い
眼
(
め
)
を持ったあのおそろしい
魔女
(
まじょ
)
でした。
巨男の話
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そして
鋭
(
するど
)
い
歯
(
は
)
をむき
出
(
だ
)
しながら
子家鴨
(
こあひる
)
のそばに
鼻
(
はな
)
を
突
(
つ
)
っ
込
(
こ
)
んでみた
揚句
(
あげく
)
、それでも
彼
(
かれ
)
には
触
(
さわ
)
らずにどぶんと
水
(
みず
)
の
中
(
なか
)
に
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んでしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
侠者子路はまずこの点で
度胆
(
どぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
かれた。
放蕩無頼
(
ほうとうぶらい
)
の生活にも経験があるのではないかと思われる位、あらゆる人間への
鋭
(
するど
)
い心理的
洞察
(
どうさつ
)
がある。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
付る其許の巧み甚だ以て
言語
(
ごんご
)
に
絶
(
たえ
)
たり此儀辯解ありやサア如何に返答致されよと
高聲
(
かうせい
)
に申されたる有樣
威權
(
ゐげん
)
鋭
(
するど
)
ければ主税之助はハツと言て生膽を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
すると、老婆は、
見開
(
みひら
)
いてゐた眼を、一
層大
(
そうおほ
)
きくして、ぢつとその下人の
顏
(
かほ
)
を見守つた。眶の赤くなつた、肉食鳥のやうな、
鋭
(
するど
)
い眼で見たのである。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
大變
(
たえへん
)
だよ、おとつゝあ」と
今度
(
こんど
)
は
少
(
すこ
)
し
聲
(
こゑ
)
を
殺
(
ころ
)
すやうにして
勘次
(
かんじ
)
を
促
(
うなが
)
した。
勘次
(
かんじ
)
は
怪訝
(
けげん
)
な
鋭
(
するど
)
い
目
(
め
)
を
以
(
もつ
)
ておつぎを
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と、
玄竹
(
げんちく
)
は
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
に、
圓
(
まる
)
い
頭
(
あたま
)
を
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
前
(
まへ
)
に
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せた。
疊
(
たゝみ
)
三
枚
(
まい
)
ほど
距
(
へだた
)
つてはゐるが、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
鋭
(
するど
)
い
眼
(
め
)
は、
玄竹
(
げんちく
)
の
頭
(
あたま
)
の
剃刀創
(
かみそりきず
)
をすつかり
數
(
かぞ
)
へて
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
熊五郎の活動を何時も六の日と
鑑定
(
かんてい
)
した錢形平次の智惠の裏を行つて、その前の晩——十月五日の夜中を選んだ
鋭
(
するど
)
さは、さすがの平次も舌を卷きました。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その青白い
皮膚
(
ひふ
)
の色と、つめたい、
鋭
(
するど
)
い眼の光とは、むしろ神経質な知識人を思わせ、また一方では、勝ち気で、ねばっこい、
残忍
(
ざんにん
)
な実務家を思わせた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それをお浪が知っていようはずは無いが、雁坂を越えて
云々
(
しかじか
)
と云い
中
(
あて
)
られたので、
突然
(
いきなり
)
に
鋭
(
するど
)
い矢を胸の
真正中
(
まっただなか
)
に
射込
(
いこ
)
まれたような気がして驚いたのである。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、
忽
(
たちま
)
ち
覺
(
おぼ
)
ゆる
胸
(
むね
)
の
苦痛
(
くつう
)
、
膓
(
ちやう
)
の
疼痛
(
とうつう
)
、
誰
(
たれ
)
か
鋭
(
するど
)
き
鎌
(
かま
)
を
以
(
もつ
)
て、
刳
(
ゑぐ
)
るにはあらぬかと
思
(
おも
)
はるゝ
程
(
ほど
)
、
彼
(
かれ
)
は
枕
(
まくら
)
に
強攫
(
しが
)
み
着
(
つ
)
き、きりゝと
齒
(
は
)
をば
切
(
くひしば
)
る。
今
(
いま
)
ぞ
初
(
はじ
)
めて
彼
(
かれ
)
は
知
(
し
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それ程
彼
(
かれ
)
は
命
(
いのち
)
を
鋭
(
するど
)
く感じ
過
(
す
)
ぎた。従つて
熱
(
あつ
)
い
頭
(
あたま
)
を枕へ
着
(
つ
)
けた時は、平岡も三千代も、彼に取つて殆んど存在してゐなかつた。彼は幸にして
涼
(
すゞ
)
しい心持に
寐
(
ね
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
十分、相手にのしかからせた富田六段は、抱かれた足をモンクスの
下腹
(
したはら
)
に当てがうとみるや、気合い
鋭
(
するど
)
く
柔道と拳闘の転がり試合
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
それを見送っているうち、ふとその
鋭
(
するど
)
い横顔から何んだか自分も見たことがあるらしいその女の若い
娘
(
むすめ
)
だった頃の
面影
(
おもかげ
)
が
透
(
す
)
かしのように浮んで来そうになった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼等は古びた中折帽を
阿弥陀
(
あみだ
)
にかぶった、
咽喉
(
のど
)
に
汚
(
よご
)
れた絹ハンカチを巻いた、金歯の光って眼の
鋭
(
するど
)
い、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
らしい顔をした外川先生と、
強情
(
ごうじょう
)
できかぬ気らしい
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
艦隊
(
かんたい
)
のように魚以上の堂々とした隊列で遊弋し、また
闘鶏
(
とうけい
)
のように互いに瞬間を
鋭
(
するど
)
く
啄
(
つつ
)
き合う。身体に燃えるぬめりを水で扱き取ろうとして異様に
翻
(
ひるがえ
)
り、翻り、翻る。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
銛は
鋭
(
するど
)
き
尖端
(
せんたん
)
と槍の如き
柄
(
え
)
とより成る物なるが魚の力
強
(
つよ
)
き時は
假令
(
たとへ
)
骨に
刺
(
さ
)
さりたるも
其儘
(
そのまま
)
にて水中深く入る事も有るべく、又漁夫が
誤
(
あやま
)
つて此道具を
流
(
なが
)
す事も有るべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
藥草類
(
やくさうるゐ
)
を
撰
(
え
)
ってをったが、
顏
(
かほ
)
は
痩枯
(
やせが
)
れ、
眉毛
(
まゆげ
)
は
蔽
(
おほ
)
い
被
(
かぶさ
)
り、
鋭
(
するど
)
い
貧
(
ひん
)
に
躯
(
み
)
を
削
(
けづ
)
られて、
殘
(
のこ
)
ったは
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
牧場
(
まきば
)
の中には、美しい
調子
(
ちょうし
)
の
笛
(
ふえ
)
のような
蟇
(
がま
)
のなく声が聞えていた。
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の
鋭
(
するど
)
い
顫
(
ふる
)
え声は、星のきらめきに
答
(
こた
)
えてるかのようだった。
風
(
かぜ
)
は
静
(
しず
)
かに
榛
(
はん
)
の
枝
(
えだ
)
をそよがしていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これは私が
曾
(
かつ
)
て、
壊
(
こわ
)
れた窓
硝子
(
ガラス
)
の光った
縁
(
ふち
)
から
採取
(
さいしゅ
)
したものでした。あの怪物が室内から飛び出すときに、
鋭
(
するど
)
い硝子の
刃状
(
はじょう
)
になったところで、切開したものと思います。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『
起
(
お
)
きよ!』
女王樣
(
ぢよわうさま
)
が
鋭
(
するど
)
い
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
で
申
(
まを
)
されました。三
人
(
にん
)
の
園丁等
(
えんていら
)
は
直
(
たゞ
)
ちに
跳
(
と
)
び
起
(
お
)
き、
王樣
(
わうさま
)
と、
女王樣
(
ぢちわうさま
)
と、
皇子方
(
わうじがた
)
と、それから
其他
(
そのた
)
の
者
(
もの
)
とに、
各々
(
おの/\
)
お
辭儀
(
じぎ
)
をし
初
(
はじ
)
めました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そして頭から足まで
鋭
(
するど
)
い悲嘆にふるへた。口を
利
(
き
)
けばたゞもう生れて來なければよかつた、ソーンフィールドに來なければよかつたといふ、焦れた望みを云ふばかりだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そのうち
高丸
(
たかまる
)
も
田村麻呂
(
たむらまろ
)
の
鋭
(
するど
)
い
矢先
(
やさき
)
にかかって、
乱軍
(
らんぐん
)
の中に
討
(
う
)
ち
死
(
じ
)
にしてしまいました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
苦み走った浅黒い顔が、心なしか微笑んで、でも三角形に切れの長い眼はお
鷹
(
たか
)
さまのように
鋭
(
するど
)
く伝二郎を見下していた。気押され気味に伝二郎は咽喉が詰ってしまったのである。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
此手紙以外
(
このてがみいぐわい
)
に、
女
(
をんな
)
の
肉
(
にく
)
には、
如何
(
どん
)
な
秘密
(
ひみつ
)
が
痕
(
あと
)
つけられてあるか、
其
(
それ
)
は一
切
(
さい
)
解
(
わか
)
らぬ。
心
(
こゝろ
)
の
奥
(
おく
)
に、
如何
(
どん
)
な
恋
(
こひ
)
が
封
(
ふう
)
じ
込
(
こ
)
めてあるか、
其
(
それ
)
も
固
(
もと
)
より
解
(
わか
)
らぬ。
私
(
わたし
)
の
想像
(
さうぞう
)
は
可恐
(
おそろ
)
しく
鋭
(
するど
)
くなつて
来
(
き
)
た。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そう
言
(
い
)
ってお
爺
(
じい
)
さんはにっこりともせず、
正面
(
しょうめん
)
から
私
(
わたくし
)
に
鋭
(
するど
)
い
一瞥
(
いちべつ
)
を
与
(
あた
)
えられました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
どんな意味で云ったのか、僕だけの解釈では、僕以外の誰かに、済まなさを感じていたのであろう。——僕は彼女を知る前に、一人の少女を愛していた。骨格が
鋭
(
するど
)
く、
眼
(
め
)
は
三白眼
(
さんぱくがん
)
に近い。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
周三は、臺所に立ツて顏を洗ツてゐる間、種々な物を
観
(
み
)
て、そして種々な事を考へた。彼の頭は自由の空氣に
呼吸
(
こきふ
)
するやうになツても、依然として
忙
(
せわ
)
しく働いて、そして
針
(
はり
)
のやうに
鋭
(
するど
)
い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ジナイーダは返事をせずに、ただ
肩
(
かた
)
をすくめただけだった。わたしは
膝
(
ひざ
)
をついたまま、すっかり
悄気
(
しょげ
)
かえって、彼女を見まもっていた。彼女の一言一句は、
鋭
(
するど
)
くわたしの胸に突き刺さった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
すなわち実業家と称する人の中には自分の商売を進むるに
鋭
(
するど
)
く、その成功のためにはほとんど人倫を
紊
(
みだ
)
すも
恬
(
てん
)
として恥じざるのみか、かえってこれを誇りとするがごとき人をしばしば見受ける。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
これを読まれた時分にネパールの大王殿下はその書を下に置き手を
拍
(
う
)
って「愉快だ、実に愉快だ」と三度
大呼
(
たいこ
)
せられ、なお「チベット法王の胸に一弾丸を放って
貫
(
つらぬ
)
いたごとく実にこの論法は
鋭
(
するど
)
い。 ...
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
一休
(
いっきゅう
)
さんの
頓智
(
とんち
)
というものは、まるで、とぎすました
刄
(
やいば
)
のような、
鋭
(
するど
)
さで、もし、
一休
(
いっきゅう
)
さんが、
仏門
(
ぶつもん
)
に
入
(
はい
)
って
徳
(
とく
)
をみがいたのでなければ、
大分
(
だいぶ
)
危険
(
きけん
)
なようにさえおもわれるところもあるくらいです。
先生と父兄の皆さまへ
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
するとその
刹那
(
せつな
)
、ぱっと
眼
(
め
)
を
開
(
あ
)
いて
菊之丞
(
きくのじょう
)
の、
細
(
ほそ
)
い
声
(
こえ
)
が
鋭
(
するど
)
く
聞
(
きこ
)
えた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
むし暑き家のとのもに降る雨のひびきの
鋭
(
するど
)
さわれやつかれし
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その
青
(
あを
)
く
赤
(
あか
)
くおぼめける
劇薬
(
げきやく
)
のエチケツテ……
鋭
(
するど
)
く、
苦
(
にが
)
し。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
語音も土地の人とは同じからず、声細くして
鋭
(
するど
)
し。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鋭
常用漢字
中学
部首:⾦
15画
“鋭”を含む語句
鋭聲
雋鋭
鋭声
鋭鋒
尖鋭
鋭利
尖鋭化
鋭刃
鋭音
鋭峻
鋭犀
鋭敏
精鋭
鋭眼
鋭角
鋭過
士馬精鋭
鋭尖
鋭氣
鋭鈍
...