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自
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みづか
ふりがな文庫
“
自
(
みづか
)” の例文
然れども吾人、
豈
(
あに
)
偏狭
自
(
みづか
)
ら甘んぜんや、凡そ道義を唱へ、
正心
(
せいしん
)
を尊ぶもの、釈にも儒にもあれ、吾人
焉
(
いづく
)
んぞ喜んで袂を連ねざらんや。
「平和」発行之辞
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
教へたといふことである。これはもし事実とすれば驚くべきことに違ひない。なぜと云へば、日本人は
自
(
みづか
)
ら音楽を解しないのだから。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
、
豫
(
かね
)
て
校庭
(
かうてい
)
に
養
(
やしな
)
はれて、
嚮導
(
きやうだう
)
に
立
(
た
)
つた
犬
(
いぬ
)
の、
恥
(
は
)
ぢて
自
(
みづか
)
ら
殺
(
ころ
)
したとも
言
(
い
)
ひ、
然
(
しか
)
らずと
言
(
い
)
ふのが——こゝに
顯
(
あらは
)
れたのでありました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
たゞさへ
神仙
(
しんせん
)
遊樂
(
ゆうらく
)
の
境
(
きやう
)
、
特
(
こと
)
に
私共
(
わたくしども
)
は、
極端
(
きよくたん
)
なる
苦境
(
くきやう
)
から、
此
(
この
)
極端
(
きよくたん
)
なる
樂境
(
らくきやう
)
に
上陸
(
じやうりく
)
した
事
(
こと
)
とて、
初
(
はじ
)
めは
自
(
みづか
)
ら
夢
(
ゆめ
)
でないかと
疑
(
うたが
)
はるゝばかり。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
常に婦人を堕落させる者は婦人
自
(
みづか
)
らで無くて、男子の不道徳に原因すると信じて居る自分は、同じく
巴里
(
パリイ
)
の遊里を盛大ならしめる者は
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
「それでも
薪
(
まき
)
は
持
(
も
)
つて
來
(
く
)
る
譯
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
かねえから
置
(
お
)
いて
來
(
き
)
つちやつた」
勘次
(
かんじ
)
は
自
(
みづか
)
ら
嘲
(
あざけ
)
るやうに
目
(
め
)
から
口
(
くち
)
へ
掛
(
か
)
けて
冷
(
つめ
)
たい
笑
(
わらひ
)
が
動
(
うご
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
雉
(
きじ
)
雊
(
な
)
き竜戦ふ、
自
(
みづか
)
らおもへらく杜撰なりと。則ち之を
摘読
(
てきどく
)
する者は、
固
(
もと
)
より
当
(
まさ
)
に信と謂はざるべきなり。
豈
(
あに
)
醜脣平鼻
(
しうしんへいび
)
の
報
(
むくい
)
を求むべけんや。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
東京
(
とうきやう
)
に
出
(
で
)
てから、
自分
(
じぶん
)
は
畫
(
ゑ
)
を
思
(
おも
)
ひつゝも
畫
(
ゑ
)
を
自
(
みづか
)
ら
書
(
か
)
かなくなり、たゞ
都會
(
とくわい
)
の
大家
(
たいか
)
の
名作
(
めいさく
)
を
見
(
み
)
て、
僅
(
わづか
)
に
自分
(
じぶん
)
の
畫心
(
ゑごころ
)
を
滿足
(
まんぞく
)
さして
居
(
ゐ
)
たのである。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「うん。
尤
(
もっとも
)
ぢゃ。なれども他人は恨むものではないぞよ。みな
自
(
みづか
)
らがもとなのぢゃ。恨みの心は
修羅
(
しゅら
)
となる。かけても他人は恨むでない。」
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
万法蔵院の香殿・講堂・塔婆・楼閣・山門・僧房・庫裡、悉く、金に、朱に、青に、昼より
著
(
いちじる
)
く見え、
自
(
みづか
)
ら光りを発して居た。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
此
(
こゝ
)
に於てわれ
自
(
みづか
)
ら名づくるに
来青花
(
らいせいか
)
の三字を以てしたり。五月薫風簾を
動
(
うごか
)
し、門外しきりに苗売の声も
長閑
(
のどか
)
によび行くあり。
来青花
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そして別にさううまくならなくても、
自
(
みづか
)
ら楽しみ得さへすれば、社交ダンスの目的は終るのだから、それだけでもいゝのだ。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
自
(
みづか
)
ら
其斷
(
そのだん
)
を
勇
(
ゆう
)
とせば、
則
(
すなは
)
ち
(八七)
其敵
(
そのてき
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
を
怒
(
いか
)
らす
無
(
な
)
かれ。
自
(
みづか
)
ら
其力
(
そのちから
)
を
多
(
た
)
とせば、
則
(
すなは
)
ち
(八八)
其難
(
そのなん
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
を
(八九)
概
(
がい
)
する
無
(
な
)
かれ。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
人
(
ひと
)
と
交際
(
かうさい
)
する
事
(
こと
)
は
彼
(
かれ
)
は
至
(
いた
)
つて
好
(
この
)
んでゐたが、
其神經質
(
そのしんけいしつ
)
な、
刺激
(
しげき
)
され
易
(
やす
)
い
性質
(
せいしつ
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に、
自
(
みづか
)
ら
務
(
つと
)
めて
誰
(
たれ
)
とも
交際
(
かうさい
)
せず、
隨
(
したがつ
)
て
亦
(
また
)
親友
(
しんいう
)
をも
持
(
も
)
たぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
自
(
みづか
)
ら
思
(
おも
)
ふやう、『
何時
(
いつ
)
話
(
はな
)
し
終
(
を
)
へるんだか
私
(
わたし
)
には
解
(
わか
)
らないわ、
話
(
はな
)
し
初
(
はじ
)
めもしないで
居
(
ゐ
)
てさ』
併
(
しか
)
し
愛
(
あい
)
ちやんは
我慢
(
がまん
)
して
待
(
ま
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私は冷く静かな心になつて居ると思つて居ながら、あなたの苦痛のためにはこれ程の悲しみを感じるのかと
自
(
みづか
)
ら呆れます。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そこからでてきたのだ、譬へばおやへびの臍を噛みやぶつて
自
(
みづか
)
ら生れてきたのだと自分の友のいふその蝮の子のやうに。
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
痴人
(
ちじん
)
夢
(
ゆめ
)
を
説
(
と
)
く、されど
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
て
自
(
みづか
)
ら
悟
(
さと
)
るは
必
(
かなら
)
ずしも
痴人
(
ちじん
)
にあらざる
可
(
べ
)
し。
余
(
よ
)
は
現今
(
げんこん
)
に
於
(
おい
)
ても、
將
(
は
)
た
未來
(
みらい
)
に
於
(
おい
)
ても、
七福
(
しちふく
)
の
來
(
きた
)
る
可
(
べ
)
きを
信
(
しん
)
ずる
能
(
あた
)
はず。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
さうして
金
(
きん
)
の
解禁
(
かいきん
)
を
決行
(
けつかう
)
せんとするには
政府
(
せいふ
)
自
(
みづか
)
らの
行動
(
かうどう
)
のみにては
不充分
(
ふじうぶん
)
であつて、
戰後
(
せんご
)
の
日本
(
にほん
)
の
經濟
(
けいざい
)
の
變化
(
へんくわ
)
した
状態
(
じやうたい
)
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
自
(
みづか
)
ら
資
(
し
)
を
投
(
とう
)
じ、
自
(
みづか
)
ら
鍬
(
くわ
)
を
取
(
と
)
り、
自
(
みづか
)
ら
其破片
(
そのはへん
)
をツギ
合
(
あは
)
せて、
然
(
しか
)
る
上
(
うへ
)
に
研究
(
けんきう
)
を
自
(
みづか
)
らもし、
他
(
た
)
が
來
(
きた
)
つて
研究
(
けんきう
)
する
材料
(
ざいれう
)
にも
供
(
きやう
)
するにあらざれば——
駄目
(
だめ
)
だ。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「皆死んだよ。城中の男女數百人を
櫓
(
やぐら
)
に置いて
自
(
みづか
)
ら火をかけ、黨類三十餘人は
誅
(
ちう
)
せられて首を京師に送つた——とある」
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾人
(
ごじん
)
は
日常
(
にちぜう
)
英國
(
えいこく
)
を、「イギリス」、
獨國
(
どくこく
)
を「ドイツ」と
呼
(
よ
)
ぶが、
英獨人
(
えいどくじん
)
は
吾人
(
ごじん
)
に
對
(
たい
)
して
自
(
みづか
)
ら
爾
(
しか
)
く
呼
(
よ
)
ばないではないか。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
けれども
自
(
みづか
)
ら其場に臨んで見ると、
怯
(
ひる
)
む気は少しもなかつた。
怯
(
ひる
)
んで猶予する方が彼に取つては幾倍の苦痛であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯樣
(
かやう
)
にして
自
(
みづか
)
ら
遠慮
(
ゑんりよ
)
をし、
又
(
また
)
自分
(
じぶん
)
から
抑制
(
よくせい
)
をして
共同生活
(
きやうどうせいくわつ
)
の
妨害
(
ばうがい
)
にならぬやうにと
注意
(
ちゆうい
)
をして
來
(
く
)
るのである。
即
(
すなは
)
ち
放任主義
(
はうにんしゆぎ
)
の
神髓
(
しんずゐ
)
とする
所
(
ところ
)
であります。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
若しも智恵子が、渠の
嘗
(
かつ
)
て逢つた様な近づき易き世の常の女であつたなら、渠は直ぐに強い軽侮の念を誘ひ起して、
自
(
みづか
)
ら此不安から脱れたかも知れぬ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此人
䶕
(
そつは
)
なるゆゑ
自
(
みづか
)
ら
双坡楼
(
そつはろう
)
と
家号
(
いへな
)
す、その
滑稽
(
こつけい
)
此一をもつて知るべし。
飄逸
(
へういつ
)
洒落
(
しやらく
)
にしてよく人に
愛
(
あい
)
せらる、家の前後に
坡
(
さか
)
ありとぞ、
双坡
(
そつは
)
の
字
(
じ
)
下
(
くだ
)
し
得
(
え
)
て妙なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そろひの
浴衣
(
ゆかた
)
は
言
(
い
)
はでものこと、
銘々
(
めい/\
)
に
申合
(
まをしあわ
)
せて
生意氣
(
なまいき
)
のありたけ、
聞
(
き
)
かば
膽
(
きも
)
もつぶれぬべし、
横町組
(
よこてうぐみ
)
と
自
(
みづか
)
らゆるしたる
亂暴
(
らんぼう
)
の
子供大將
(
こどもたいしやう
)
に
頭
(
かしら
)
の
長
(
ちやう
)
とて
歳
(
とし
)
も十六
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其他知らざる所の理固より多し。其
自
(
みづか
)
ら知の至らざるを以て之を理外と
爲
(
し
)
、之を事實に合せざる者なりと言ふは、是理の至らざるに非らずして、我の至らざるなり。
尚白箚記
(旧字旧仮名)
/
西周
(著)
さうしてこれはただ
人事
(
ひとごと
)
ではないのでした。
私達
(
わたしたち
)
はよく
自
(
みづか
)
ら
顧
(
かへり
)
み、自らよく考へなければなりませぬ。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
チッバルトを
殺
(
ころ
)
した
上
(
うへ
)
に、おのが
身
(
み
)
をも
殺
(
ころ
)
さうとや?
自
(
みづか
)
ら
墮地獄
(
だぢごく
)
の
罪
(
つみ
)
を
犯
(
をか
)
して、
卿
(
そなた
)
ゆゑにこそ
生
(
い
)
きてゐやるあの
姫
(
ひめ
)
をも
殺
(
ころ
)
さうとや?
何
(
なん
)
で
卿
(
そなた
)
は
出生
(
しゅっしゃう
)
を
呪
(
のろ
)
ひ、
天
(
てん
)
を
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
今
(
この
)
春
自
(
よ
)
り
已来
(
このかた
)
秋稼
(
しうか
)
に至り風雨
序
(
ついで
)
に
順
(
したが
)
ひて五穀豊かに
穣
(
みの
)
れり。此れ
乃
(
すなは
)
ち誠を
徴
(
あらは
)
し願を
啓
(
ひら
)
くこと、
霊貺
(
りやうきやう
)
答ふるが如し。
載
(
すなは
)
ち
惶
(
おそ
)
れ、載ち惶れて以て
自
(
みづか
)
ら
寧
(
やす
)
みするとき無し。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
吾人の見る所によれば、道徳と知識とは、其物
自
(
みづか
)
らに於て多く獨立の價値を有するものに非ず。其の用は吾人が本能の發動を調攝し、其の滿足の持續を助成する所に存す。
美的生活を論ず
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
わが心、何を求め何に憧るるや、われ
自
(
みづか
)
らもわき難きを、われ自らにあらぬ人の
父母
(
ちゝはゝ
)
なりとていかで知り得ん。我が父母はただ只管に限り無くわれを
愛
(
め
)
でいつくしみ給ひき。
貝殻追放:008 「その春の頃」の序
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「
好
(
い
)
い、好い、全く好い!
馬士
(
まご
)
にも
衣裳
(
いしよう
)
と
謂
(
い
)
ふけれど、
美
(
うつくし
)
いのは衣裳には及ばんね。物それ
自
(
みづか
)
らが美いのだもの、着物などはどうでも
可
(
い
)
い、実は何も着てをらんでも可い」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二、
非常
(
ひじよう
)
の
地震
(
ぢしん
)
たるを
覺
(
さと
)
るものは
自
(
みづか
)
ら
屋外
(
おくがい
)
に
避難
(
ひなん
)
せんと
力
(
つと
)
めるであらう。
數秒間
(
すうびようかん
)
に
廣場
(
ひろば
)
へ
出
(
で
)
られる
見込
(
みこ
)
みがあらば
機敏
(
きびん
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
すがよい。
但
(
たゞ
)
し
火
(
ひ
)
の
元
(
もと
)
用心
(
ようじん
)
を
忘
(
わす
)
れざること。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
而も其の
覗
(
うかゝ
)
ツたところは、
彼
(
かれ
)
自
(
みづか
)
ら
神來
(
しんらい
)
の
響
(
ひゝき
)
と信じてゐたので、描かぬ前の彼の元氣と内心の誇と
愉快
(
ゆくわい
)
と謂ツたら無かツた。彼の頭に描かれた作品は確に
立派
(
りつぱ
)
なものであツたのだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
広い世間には、かうして
自
(
みづか
)
ら殺すものが何人あるかわからない。現に今でも、かうして
寂然
(
じやくねん
)
としてかれが坐つてゐる間にも、さういふ悲劇が何処かで繰返されてゐるかも知れない。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
私は
今日
(
こんにち
)
までの中途半端な生活を根から
覆
(
くつがへ
)
して、遠からず新規なものを始めたいと思ふ。私は他人に依つて衣食する腰掛の人間でなくて、
自
(
みづか
)
ら額に汗する労働者でなければ成らない。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
我は
自
(
みづか
)
ら面の
灼
(
や
)
くが如く目の血走りたるを覺えて、
巾
(
きれ
)
を
鹹水
(
しほみづ
)
に
漬
(
ひた
)
して額の上に加へ、又水を
渡
(
わた
)
り來る
汐風
(
しほかぜ
)
の
些
(
すこ
)
しをも失はじと、衣の
鈕
(
ボタン
)
を
鬆開
(
しようかい
)
せり。されど到る處皆火なるを
奈何
(
いかに
)
せん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼はかういふ事を探り出すことが實に上手で、又それを
自
(
みづか
)
ら得意としてゐる。自分と交際のある凡ての人間に就いて、彼は、一々興信所的な方法で身許調査を行つてゐるもののやうだ。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
今日
(
けふ
)
は
郡司大尉
(
ぐんじたいゐ
)
が
短艇遠征
(
たんていゑんせい
)
の
行
(
かう
)
を送るに、
兼
(
か
)
ねて
此壮図
(
このさうと
)
に
随行
(
ずゐかう
)
して
其景況
(
そのけいきやう
)
並
(
なら
)
びに
千島
(
ちしま
)
の
模様
(
もやう
)
を
委
(
くは
)
しく
探
(
さぐ
)
りて、
世間
(
せけん
)
に
報道
(
はうだう
)
せんとて
自
(
みづか
)
ら進みて、
雪浪萬重
(
せつらうばんちよう
)
の
北洋
(
ほくやう
)
を
職務
(
しよくむ
)
の
為
(
ため
)
にものともせぬ
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
この
無頓著
(
むとんちやく
)
な
人
(
ひと
)
と、
道
(
みち
)
を
求
(
もと
)
める
人
(
ひと
)
との
中間
(
ちゆうかん
)
に、
道
(
みち
)
と
云
(
い
)
ふものゝ
存在
(
そんざい
)
を
客觀的
(
かくくわんてき
)
に
認
(
みと
)
めてゐて、それに
對
(
たい
)
して
全
(
まつた
)
く
無頓著
(
むとんちやく
)
だと
云
(
い
)
ふわけでもなく、さればと
云
(
い
)
つて
自
(
みづか
)
ら
進
(
すゝ
)
んで
道
(
みち
)
を
求
(
もと
)
めるでもなく
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
Lipps の自己投入の説では無いけれども、見物さへも
自
(
みづか
)
ら海に入つた時のやうな筋肉の緊張を覺えて、隨つて、御船を待つ心は愈〻切になる。御輿の魂は六百の見物に乘り移つたのである。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
自
(
みづか
)
らの
解放
(
かいほう
)
に正しい
途
(
みち
)
を
撰
(
えら
)
び、
生
(
い
)
ける
銃架
(
じうか
)
たる
事
(
こと
)
を
止
(
とゞ
)
めるであらう
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
「我は仕へず」といふ姿して、
自
(
みづか
)
らの心を堅め得るものあらむや。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
袖
(
そで
)
濡
(
ぬ
)
るるこひぢとかつは知りながら
下
(
お
)
り立つ田子の
自
(
みづか
)
らぞ
憂
(
う
)
き
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「眠つた海」「無用な行爲」などが
自
(
みづか
)
ら選んだ課題であつた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
日もすがら
朽葉
(
くちば
)
の
香
(
か
)
する湯をあみて心しづめむ
自
(
みづか
)
らのため
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
大君
(
おほきみ
)
は天の
譴怒
(
いかり
)
と
躬
(
み
)
自
(
みづか
)
ら照らす
御光
(
みかげ
)
を
謙
(
を
)
しみたまへり
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今朝はもはや私がくだらない奴だと、
自
(
みづか
)
ら信ずる!
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
“自”を含む語句
自分
自然
自動車
自由
各自
自家
自己
自身
自暴自棄
自白
自然生
自惚
自宅
不自由
乗合自動車
耳面刀自
自若
自然薯
自儘
自鳴鐘
...