あかつき)” の例文
新字:
あかつきころになつてやうやみづきたので、二人ふたりそのなかり、いま何處いづく目的めあてもなく、印度洋インドやう唯中たゞなかなみのまに/\漂流たゞよつてるのである。
驟雨しううあとからあとからとつてるのであかつきしらまぬうちからむぎいてにはぱいむしろほし百姓ひやくしやうをどうかすると五月蠅うるさいぢめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その支度したく朝湯あさゆにみがきげてとしもこほあかつき、あたゝかき寢床ねどこうちより御新造ごしんぞ灰吹はいふきをたゝきて、これ/\と、此詞これ目覺めざましの時計とけいよりむねにひゞきて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかるに醫學博士いがくはかせにして、外科げくわ專門家せんもんかなるかれちゝは、斷乎だんことしてかれ志望しばうこばみ、かれにして司祭しさいとなつたあかつきは、とはみとめぬとまで云張いひはつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
早ほの/″\と明けなんず春のあかつき、峰の嶺、空の雲ならで、まだ照り染めぬ旭影。霞にとざせる八つの谷間による尚ほ彷徨さまよひて、梢を鳴らす清嵐に鳥の聲尚ほ眠れるが如し。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
異郷の旅より歸る人の、わがにちかく宿るにしたがひ、いよ/\づるあかつきの光 一〇九—一一一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あかつきの光に青白い死人のやうな貌をして口を開けて眠つてゐた處であつた。春三郎は行きなり
そして、チラリと八五郎を振り返つて、何やら耳打ちをすると、八五郎は早くも平次の氣持を察したらしく、あかつき近い田圃道へ飛び出して、踊りの太鼓の方へ飛んで行きます。
ひと半鉦ばんとほあかり、それゆめえて、あかつきしもきかさぬる灰色はひいろくもあたらしき障子しやうじあつす。ひとり南天なんてん色鳥いろどり音信おとづれを、まどるゝよ、とれば、ちら/\と薄雪うすゆき淡雪あはゆき
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひとゆえつまを逐はれて、心悲しくあそびに來た友達と、あかつきふかく湖上にうかんだ時である。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
もとより當人たうにんは、資本主しほんぬしではなかつたのだけれども、いよ/\といふあかつきに、勘定かんぢやうしてるとおほきな缺損けつそんこときまつたので、無論むろん事業じげふ繼續けいぞくするわけかず、當人たうにん必然ひつぜん結果けつくわ地位ちゐうしなつたぎりになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すくはんとの其孝心が天につうじ神やほとけ冥助めいじよにて賣代うりしろなしたるあかつきには如何なる貴人きじん有福いうふくの人に愛され請出され却つて結構けつこうの身ともなり結句けつく我手にそだちしより末の幸福しあはせ見る樣になるまじき者にも非ずよく覺悟かくご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あかつきひとり消えてゆく
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
諸君しよくん好奇心こうきしんからわざはひまねいたばつとして、海底戰鬪艇かいていせんとうてい竣成しゆんせいしたあかつきにも、裝飾かざり船室せんしつ辛房しんぼうせねばなりませんよ。
大抵たいてい五十年ごじふねんさだまつたいのち相場さうば黄金こがねもつくるはせるわけにはかず、花降はなふがくきこえて紫雲しうん來迎らいがうするあかつきには代人料だいにんれうにてこと調とゝのはずとはたれもかねてれたるはなし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
窓から射し入る秋のあかつきの光りが、息を引き取つた娘の顏を、美しく神々しく照し出します。
しかしです、新生活しんせいくわつあかつきかゞやいて、正義せいぎかちせいするやうになれば、我々われ/\まちでもおほいまつりをしてよろこいはひませう。が、わたし其迄それまでたれません、其時分そのじぶんにはもうんでしまひます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あかつきしもき、夕暮ゆふぐれきりけて、山姫やまひめ撞木しゆもくてて、もみぢのくれなゐさとひゞかす、樹々きゞにしきらせ、とれば、龍膽りんだう俯向うつむけにいた、半鐘はんしようあかゞねは、つきむらさきかげらす。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
致し候に翌年よくねん三月安産あんざんせしが其夜の中に小兒せうに相果あひはて娘も血氣ちのけ上りて是も其夜のあかつきに死去致し候に付き近邊きんぺんの者共寄集よりあつまり相談するも遠國者ゑんごくもの菩提所ぼだいしよなく依て私しの寺へ頼みはうむり遣し候其後お三婆は狂氣きやうき致し若君樣わかぎみさま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あかつきをいづこの野べに
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あかつきなみの驚けば
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
こひ一人ひとりやすかりける、何事なにごとはじおもはじ、おふせられてもたまはるなとて、あかつきつきかげわかちしが、これよりひめ如何いかりけん、さてさとし如何いかりけん
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あかつき近い寒さに凍つてしまつて、叩いても、押しても貧乏搖ぎもすることではありません。
まあおちなさい、左樣さやういまはるとほ未來みらいに、監獄かんごくだの、瘋癲病院ふうてんびやうゐん全廢ぜんぱいされたあかつきには、すなはまど鐵格子てつがうしも、病院服びやうゐんふくも、まつた無用むようになつてしまひませう、無論むろん然云さういとき早晩さうばんませう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これからは又々また/\斷食だんじきこのむなしくれてつたが、かんがへると此後このゝち吾等われら如何いかになることやら、絶望ぜつぼう躍氣やつきとに終夜しゆうやねむらず、翌朝よくてうになつて、あかつきかぜはそよ/\といて、ひがしそらしらんでたが
も言はざりしが漸々やう/\にして答るやう如何にも御噺おはなし申せし通り平川天神の裏門前うらもんまへにて其日のあかつき長庵にあひしに相違これ無ことに付其所は何處どこ迄も證據人に相立申べしさりながらふだつじの人殺しが長庵と言ふことの證據人には相立難あひたちがたしと言へば長助點頭うなづき夫は如何にも承知しようちいたしぬ只平川にて其朝まだき長庵にあひたると言ふことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なにはゞかりての御遠慮ごゑんりよぞやくわんずれば御恨おうらみも未練みれんなにもあらずお二かたさま首尾しびとゝのひしあかつきにはいさぎよく斯々かう/\して流石さすが貞操みさをたつるとだけきみさまにられなばそれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あかつき近い月は冴えて、この緊張しきつた情景を冷たく照し出して居ります。
そのあかつきなにかいさゝか仕損しそこなゐでもこしらゆればれは首尾しゆびよく離縁りえんになりて、一ぽんだち野中のなかすぎともならば、れよりは自由じゆうにて其時そのとき幸福しやわせといふことばあたたまへとわらふに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「へエ——檢校になつたあかつき、經師屋の下職ぢや婿むこにならねえ——と」
られぬゑん血筋ちすぢといへばるほどの惡戯いたづらつくして瓦解ぐわかいあかつきおちこむは此淵このふちらぬとひても世間せけんのゆるさねば、いへをしくかほはづかしきにしき倉庫くらをもひらくぞかし
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
番所へ送つた歸り、あかつきの霜を踏んで、ガラツ八は問ひかけました。
因果いんぐわふくめしなさけことばさても六三ろくさ露顯ろけんあかつきは、くびさしべて合掌がつしやう覺悟かくごなりしを、ものやはらかにかも御主君ごしゆくんが、げるぞ六三ろくさやしき立退たちのいてれ、れもあくまで可愛かあゆ其方そち
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
寢もやらずにあかつきを待つてゐる人々の心持を暗くするばかりです。
わたし手足てあしはたらかぬときりて何分なにぶんのお世話せはをおたのまをさねばらぬあかつき月給げつきうゑんらう、れをおもふといまのうち覺悟かくごめて、すこしはたがひにらきことなりとも當分たうぶん夫婦ふうふわかれして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つれなくえし有明ありあけつき形見かたみそらながめて、(あかつきばかり)とうめきけんからず。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たる我々われ/\申譯まをしわけ言葉ことばなし、是非ぜひまりたまへとへども、いや/\其樣そのやうことはお前樣まへさま出世しゆつせあかつきにいふてくだされ、いまきゝませぬとて孤身みひとつ風呂敷ふろしきづゝみ、谷中やなかいへ貸家かしやふだはられて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)