うん)” の例文
うんがわるいのだ、まがわるいのだ。若くてぬ人もいくらもある世の中だ。あきらめねばなるまい。あきらめるよりほかに道はない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ぼくはうんがよかったよ。こん夜はめてもらいたいね。ひさしぶりにゆっくりねむりたいんだ。ベッドをでよごしてすまなかったね。
黒と赤との着物を着たイイナはジプシイうらないをしていると見え、T君にほほみかけながら、「今度はあなたのうんを見て上げましょう」
カルメン (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
家に帰るべきわがうんならば、強ひてとどまらむとひたりとて何かせん、さるべきいはれあればこそ、と大人おとなしう、ものもいはでぞく。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ガンたちは、うんよく、けわしい絶壁ぜっぺきの下に、みんながいられるくらいの砂地すなじを見つけました。前には川がゴウゴウと流れています。
うんて。」ということわざがあるから、きっと、そのうちにいいことがまわってくるにちがいないと、あにしんじきっていたのです。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まえがこのうんわるいのは、みんなまえわるいことをしたむくいなのだ。それをおもわないで、観音かんのんさまにぐちをいうのは間違まちがっている。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
りにつてやつちるなんてよつぽどうんわるいや‥‥」と、一人ひとりはまたそれが自分じぶんでなかつたこと祝福しゆくふくするやうにつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「しばらくのあいだ、またもとの鏃鍛冶やじりかじにばけて、世間せけんのなりゆきを見ているとしよう。そのうちには、なんとかいいうんがひらけてくるだろう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さいきん、ふくかわをかぶった子どもが生まれました。こういう子どもは、なにをやってもいいうんにめぐまれているものです。
いゝやなそれは、出來できないとき調製こしらへてれとははない、おまへさんにうんいたときことさ、まあ其樣そん約束やくそくでもしてよろこばしていてお
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうわけでね、まことにそうさんにも、御氣おきどくだけれども、なにしろつてかへしのかないことだから仕方しかたがない。うんだとおもつてあきらめてください。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そればツかりぢやアない、まア明治世界めいぢせかいにとつてはたふと御仁おひとさ、福分ふくぶんもあり、うんもあるから開運出世大黒天かいうんしゆつせだいこくてんさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
したにゐたひとつなをひきそこなつて、つながぷっつりとれて、うんわるくもしたにあつたかなへうへちてまはしました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
うんほしかゝってあるさるおそろしい宿命しゅくめいが、今宵こよひえんはしひらいて、てたわが命數めいすうを、非業無慚ひごふむざん最期さいごによって、たうとするのではないからぬ。
きいて大きによろこび是迄何事によらず御うんつよき吉兵衞樣の商賣初しやうばいはじめといひ天神丸の新艘卸しんざうおろ傍々かた/″\以て御商賣しやうばい御利運ごりうんに疑ひなしお目出度めでたし/\といはひつゝ吉兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
馬鹿をふな! お前は乃父おれのやうに旋盤細工ろくろざいく商業しやうばいにするか、それともうんくばおてら書役かきやくにでもなるのだ。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
植木鉢うゑきばち草花くさばな花束はなたば植木棚うゑきだな、そのしづかに流れるは、艶消つやけしきんの光をうつしつつ、入日いりひうんを悲んで、西へともなふセエヌかは、紫色の波長く恨をひいてこの流
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
月を友なる怨聲は、若しや我が慕ひてし人にもやと思へば、一の哀れおのづから催されて、ありし昔は流石さすがあだならず、あはれ、よりても合はぬ片絲かたいとの我身のうんは是非もなし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「お前さんは、ほんとうにうんがいい人だよ。もし、あした来たんだったら、もう私たちは帰ってしまっていたからね。道を教えてあげることは、できやしなかったんだよ。」
あらしにあってひょうりゅうしているところを、アメリカの捕鯨船ほげいせんにすくわれ、アメリカで勉強べんきょうしてうんよく日本にっぽんにかえり、幕府ばくふにつかえ、つうやくとしてのりくんでいたのです。
ここからそうとおくないところにまだほかの沢地たくちがあるがね、そこにやまだかたずかないがんむすめがいるから、きみもおよめさんをもらうといいや。きみっともないけど、うんはいいかもしれないよ。
そんでもまあ到頭たうとうげもしねえでらつたんだから、うちでもつてかれたものからぢやうんがえゝのせえ、まあ晝間ひるまはなんちつても方々はう/″\えてえゝが、よるがなんぼにも小凄こすごくつてねえ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夫婦ふうふこまつてしまひました。そして、鳥屋とりやへもつてつてりました、けれどそれがうんきでした。そのくちからの言葉ことばで、とうとう二人ふたりつかまつて、くらくら牢獄ろうごくのなかへげこまれました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ぢや、ほんとになくつてよかつたね。たら、わたしもやられたかもれない。やつぱりおてらばうさんのとほりだ。親孝行おやかうかうしてゐるとわる災難さいなんにかゝらないでうんくなるツて、まつたくだよ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
あるいは斯計かばかりのことあらんは、予め期したることなるにと思い返し、よしよし万一うんつたなくしてたおれなば飲料用の氷桶こおりおけになりと死骸しがいくべしなど、今よりこれをおもえば笑止にえずといえども
白ガチョウは、うんよく、小さいスズキを見つけました。すばやくそれをつかまえますと、きしへもどってきて、ニールスの前におきました。
「は、は、は、は。うんのわるい弱虫の忍剣め、つぎの世には拙僧せっそうのような不死身ふじみを持って生まれかわってこい。かつ! 南無阿弥陀仏なむあみだぶつッ——」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうすれば、きっと王女のお気にめしましょう。わたくしどもは、それをもって、ふねにのってまいり、うんだめしをすることにいたしましょう。
れは其樣そんものもらひたくない、おまへそのうんといふはつまらぬところかうといふのではないか、一昨日をとゝひ自家うち半次はんじさんが左樣さうつてたに
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして、やっと三びきうほどのおかねをいただいたとき、かれは、どんなにうれしかったかしれない。だが、うんわるあめしてきました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
どうしまして、わたしのようなうんわるもの使つかってくれる人もありません。ごらんのとおり、もう幾日いくにちなにべません。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
實際じつさいうんのつかないときたらこれほど憂欝いううつあそびはないし、ぎやくうんなみつて天衣無縫てんいむほうパイあつかへるときほど麻雀マージヤンこゝろよ陶醉たうすゐかんじるときはない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
き恐れ其不敵なるを感じ世にたぐひなき惡者わるものも有れば有る者とます/\心をかたぶけて兩人とも一味なして寶澤がうん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おきなひめもその細工さいく立派りつぱなのにをどろいてゐますと、そこへうんわるく玉職人たましよくにん親方おやかたがやつてて、千日せんにちあまりも骨折ほねをつてつくつたのに、まだ細工賃さいくちんくださるといふ御沙汰ごさたがないと
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
ところが一二ねん此方このかたまつた自他じた差違さゐ無頓着むとんぢやくになつて、自分じぶん自分じぶんやううまいたもの、さきさきやううんつてなかたもの、兩方共りやうはうともはじめから別種類べつしゆるゐ人間にんげんだから
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そののちも学者はいっこううんよくはなりません。悲しみと、なやみにせめつけられ、真善美についてなにをいったところで、おおくの人には、牝牛めうしにばらの花をくれたようなものでした。
「お内儀かみさん、こらうんわりやうありあんせんね」かれあはれにこゑけた。かれ災厄さいやくのちにしみ/″\とういふことをいてくれるもの内儀かみさんのほかにはまだなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
るのがさだまりごと、……ひとうんひとつづゝてんほし宿やどるとひます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼくたちが、みずうみぬまのこおりついている土地へやってきたのは、うんがわるいんだ。これじゃ、どこからでもキツネがやってくる。
他人たにんけば適當てきたうひやうといはれやせん別家べつけおなじき新田につたにまではからるゝほど油斷ゆだんのありしはいへうんかたぶときかさるにてもにくきは新田につたむすめなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うんよく、そこに立っていたこなひきの小僧こぞうがそれを見つけて、とびぐちでもってひきよせました。小僧こぞうは、すばらしいたからものを見つけたと思いました。
、これは麻雀界マージヤンかい論議ろんぎまとになつたことだが、麻雀マージヤンあそびといふより以上いじやううんあそびであることはあらそへない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「これほどまでにしても、きんうおがかからないなら、まったく、おれうんがつきたのだ。」と、金持かねもちはつくづくとうえかなしんだのでありました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せんと思ふ折から幸ひ此所にて行逢ゆきあふのみか今も今とて御助けくだされたる御慈悲深き御奉行樣御取上あるは必定也ひつぢやうなり是ぞをつとうんひらどき直樣すぐさまこゝにて願はんと心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
京都きょうと天子てんしさまのいらっしゃる日本一にっぽんいちみやこですし、おもしろいしごとがたくさんあります。わたくしはそこへ行って、うんだめしをしてみようとおもいます。」
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
九州は彼にとって多分な冒険であり、俗諺ぞくげんにもある——うん岩茸いわだけは危ない所にある——というその岩茸を岩頭によじ登ッてったようなものだが、これから臨む東上には
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それおなじに日本国中にほんこくちゆう何処どこともなう、或年あるとし或月あるつき或日あるひに、ひと行逢ゆきあはす、やまにもにも、みづにもにも、くさにもいしにも、はしにもいへにも、まへからさだまるうんがあつて、はなならば、はなてふならば、てふ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああ、どうかして、そんなはなばなしいうんがめぐってこないかなあ。」と、もみの木は、とんきょうな声をあげました「それこそ白いをかけて、とおい海をこえていくよりも、ずっとよさそうだ。 ...
まへさん何時いつ左樣さうつたね、うんときになるとれに糸織いとおり着物きものをこしらへてれるつて、本當ほんたう調製こしらへてれるかえと眞面目まじめだつてへば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)