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當
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あて
ふりがな文庫
“
當
(
あて
)” の例文
新字:
当
お
品
(
しな
)
には
與吉
(
よきち
)
が
惡戯
(
いたづら
)
をしたり、おつぎが
痛
(
いた
)
いといつて
指
(
ゆび
)
を
啣
(
くは
)
へて
見
(
み
)
せれば
與吉
(
よきち
)
も
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
を
口
(
くち
)
へ
當
(
あて
)
て
居
(
ゐ
)
るのが
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えるやうである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
家
(
うち
)
で
母親
(
おふくろ
)
が
當
(
あて
)
にしてゐるのだから、ちやんと持つてかへつて、二錢でも三錢でも
氣
(
き
)
もちよくもらへ、と、おぢいさんは首をふつた。
佃のわたし
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『それも
駄目
(
だめ
)
だ』と
心
(
こゝろ
)
秘
(
ひそ
)
かに
思
(
おも
)
つてる
中
(
うち
)
、
愛
(
あい
)
ちやんは
兎
(
うさぎ
)
が
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
へ
來
(
き
)
たのを
知
(
し
)
り、
急
(
きふ
)
に
片手
(
かたて
)
を
伸
(
の
)
ばして
只
(
たゞ
)
當
(
あて
)
もなく
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
果は
濡羽
(
ぬれは
)
の
厚鬢
(
あつびん
)
に
水櫛
(
みづぐし
)
當
(
あて
)
て、
筈長
(
はずなが
)
の
大束
(
おほたぶさ
)
に今樣の
大紋
(
だいもん
)
の
布衣
(
ほい
)
は平生の氣象に似もやらずと、時頼を知れる人、訝しく思はぬはなかりけり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
船頭の直助は其日のうちに許されましたが、さてかうなると、さすがの利助も、もう縛りやうにも縛る
當
(
あて
)
がありません。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
隨つて其芝居——藝題だけしか飜譯されてゐなかつた芝居は、遂に
當
(
あて
)
を取らずに樂になつた。又隨つて觀客の方でも間もなく其芝居を忘れて了つた。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
まア/\と
當
(
あて
)
もなく慰めてゐたのであつたといふが、いよ/\今夜限りで明日の晩から妹は老爺の小屋に連れ込まれねばならぬことになつたのだ相な。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
長庵と改めて
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
當
(
あて
)
は無れど
忙
(
いそが
)
し
振
(
ぶり
)
に
歩行
(
あるき
)
廻りければ相應に
病家
(
びやうか
)
も出來たるにぞ長庵今は己れ
名醫
(
めいい
)
にでも成し心にて
辯舌
(
べんぜつ
)
奸計
(
かんけい
)
を以て
富家
(
ふうか
)
より金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
男
(
をとこ
)
は
皆
(
みんな
)
あんな
物
(
もの
)
、
氣
(
き
)
が
多
(
おほ
)
いからとお
福
(
ふく
)
の
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
すに、
惡
(
わる
)
く
當
(
あて
)
つ
擦
(
こす
)
りなさる、
耳
(
みゝ
)
が
痛
(
いた
)
いでは
無
(
な
)
いか、
己
(
お
)
れは
斯
(
か
)
う
見
(
み
)
えても
不義理
(
ふぎり
)
と
土用干
(
どようぼし
)
は
仕
(
し
)
た
事
(
こと
)
の
無
(
な
)
い
人間
(
にんげん
)
だ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
無論嬉しいとは思ひながら、何故、
當
(
あて
)
のはづれたやうな、失望したやうな、つまらない氣がしたのであらうと、自分ながら其心持を怪しまなければならなかつた。
羊羹
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
マーキュ
昔話
(
むかしばなし
)
の
猫王
(
チッバルト
)
ぢゃと
思
(
おも
)
うたら
當
(
あて
)
が
違
(
ちが
)
はう。
見事
(
みごと
)
武士道
(
ぶしだう
)
の
式作法
(
しきさはふ
)
に
精通
(
せいつう
)
遊
(
あそ
)
ばしたお
達人
(
たつじん
)
さまぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
然
(
さ
)
うかと
云
(
い
)
つて、
別
(
べつ
)
に
都合
(
つがふ
)
はつかないんだから、
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
り
支度
(
したく
)
だけ
急
(
いそ
)
いでして、お
前
(
まへ
)
を
當
(
あて
)
にからつぽの
財布
(
さいふ
)
で
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た。
何
(
ど
)
うにか、お
前
(
まへ
)
、
是非
(
ぜひ
)
算段
(
さんだん
)
をしてくんねえ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尋ね尋ね
當
(
あて
)
て魚の有りや無しやを問ひそれを我等に報じて
而
(
しか
)
して後に調理にかゝられては一日二日の滯留にては味ふこと
難
(
かた
)
かるべし肴の儀は取消しとすべし急ぎ膳を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
お晝休みに學監を探して、私は現在の二倍の俸給で、新らしい地位を得る
當
(
あて
)
のあることを話した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
僕
(
ぼく
)
は
溪流
(
けいりう
)
に
沿
(
そ
)
ふて
此
(
この
)
淋
(
さび
)
しい
往來
(
わうらい
)
を
當
(
あて
)
もなく
歩
(
あ
)
るいた。
流
(
ながれ
)
を
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
くも二三
丁
(
ちやう
)
、
上
(
のぼ
)
れば一
丁
(
ちやう
)
、
其中
(
そのなか
)
にペンキで塗つた
橋
(
はし
)
がある、
其間
(
そのあひだ
)
を、
如何
(
どん
)
な
心地
(
こゝち
)
で
僕
(
ぼく
)
はぶらついたらう。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ねんごろに
客
(
きやく
)
をもてなす
花楸樹
(
はなかまど
)
、小鳥が
毎年
(
まいとし
)
當
(
あて
)
にする
降誕祭
(
ノエルまつり
)
の
飾木
(
かざりぎ
)
よ、わたしの悲しい心の
悦
(
よろこび
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
冒險者
(
アドヹンチユアラー
)
」と
再
(
ふたゝ
)
び
先刻
(
さつき
)
の
言葉
(
ことば
)
を
力強
(
ちからづよ
)
く
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
した。「
何
(
なに
)
をしてゐるか
分
(
わか
)
らない。
私
(
わたくし
)
には、
牧畜
(
ぼくちく
)
をやつてゐます。しかも
成功
(
せいこう
)
してゐますと
云
(
い
)
ふんですがね、
一向
(
いつかう
)
當
(
あて
)
にはなりません。 ...
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
當
(
あて
)
になるものか。』と女は鼻で笑つて、『お前さんの
口前
(
くちまへ
)
の巧いにも
惘
(
あき
)
れるよ。』
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
君からのを
當
(
あて
)
にして、屹度どうかしてあげるから、ときつぱり云つてあるんだ。
奇病患者
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
附
(
つき
)
ものを
當
(
あて
)
にせずして、
本
(
もと
)
に
由
(
よつ
)
て
暦
(
こよみ
)
を
立
(
たつ
)
るは、
事柄
(
ことがら
)
に
於
(
おい
)
て
正
(
たゞ
)
しき
道
(
みち
)
といふべし。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
斯
(
か
)
うと、四五十二、四六十三、四七——オヤ!そんな
割合
(
わりあひ
)
では二十にならないわ!けど、
乘算
(
じようざん
)
九々
表
(
ひやう
)
も
當
(
あて
)
にならないのね。
今度
(
こんど
)
は
地理
(
ちり
)
の
方
(
はう
)
よ。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「
痛
(
え
)
てえか、そんでもたえしたこともねえから
心配
(
しんぺえ
)
すんなよ」おつぎは
火
(
ひ
)
に
薙
(
な
)
ぎ
拂
(
はら
)
はれた
穢
(
きたな
)
い
卯平
(
うへい
)
の
白髮
(
しらが
)
へそつと
手
(
て
)
を
當
(
あて
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
強面
(
つれなく
)
致
(
いた
)
さるゝこと誠に朝夕目も
當
(
あて
)
られぬ次第故私し共三人の者
種々
(
いろ/\
)
と
諫
(
いさ
)
め候へ共
聊
(
いさゝ
)
かも
取用
(
とりもち
)
ひ之なく非道の所置日々に
増長
(
ぞうちやう
)
致すに付藤五郎も
若氣
(
わかげ
)
にて是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其
(
そ
)
の
小机
(
こづくゑ
)
に、
茫乎
(
ぼんやり
)
と
頬杖
(
ほゝづゑ
)
を
支
(
つ
)
いて、
待人
(
まちびと
)
の
當
(
あて
)
もなし、
爲
(
せ
)
う
事
(
こと
)
ござなく、と
煙草
(
たばこ
)
をふかりと
吹
(
ふ
)
かすと
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬鹿野郎
(
ばかやらう
)
呼
(
よば
)
はりは
太吉
(
たきち
)
をかこつけに
我
(
を
)
れへの
當
(
あて
)
こすり、
子
(
こ
)
に
向
(
むか
)
つて
父親
(
てゝおや
)
の
讒訴
(
ざんそ
)
をいふ
女房
(
にようぼう
)
氣質
(
かたぎ
)
を
誰
(
た
)
れが
教
(
おし
)
へた、お
力
(
りき
)
が
鬼
(
をに
)
なら
手前
(
てまへ
)
は
魔王
(
まわう
)
、
商買人
(
しようばいにん
)
のだましは
知
(
し
)
れて
居
(
ゐ
)
れど
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
少
(
すこ
)
し
當
(
あて
)
は
違
(
ちが
)
つたが
先
(
ま
)
づ/\
繁盛
(
はんじやう
)
に
越
(
こ
)
した
事
(
こと
)
なしと
斷念
(
あきら
)
めて
自分
(
じぶん
)
は
豫想外
(
よさうぐわい
)
の
室
(
へや
)
に
入
(
はひ
)
つた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「そりや
安
(
やす
)
さんの
計畫
(
けいくわく
)
が、
口
(
くち
)
でいふ
通
(
とほ
)
り
旨
(
うま
)
く
行
(
い
)
けば
譯
(
わけ
)
はないんでせうが、
段々
(
だん/\
)
考
(
かんが
)
へると、
何
(
なん
)
だか
少
(
すこ
)
し
當
(
あて
)
にならない
樣
(
やう
)
な
氣
(
き
)
がし
出
(
だ
)
してね。
鰹船
(
かつをぶね
)
もあんまり
儲
(
まう
)
からない
樣
(
やう
)
だから」と
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「よく存じませんが、
大店
(
おほだな
)
の
支配人
(
ばんとう
)
のことですから、一人や二人
圍
(
かこ
)
ひ者があつたところで、文句を言ふ方が間違つて居ります。それにあの年まで女房も持たず、
暖簾
(
のれん
)
を分けて貰ふ
當
(
あて
)
もないのですから」
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
明日
(
あした
)
は
屹度
(
きつと
)
來
(
く
)
るやうにいつて
遣
(
や
)
つたよ」
勘次
(
かんじ
)
はお
品
(
しな
)
の
耳
(
みゝ
)
へ
口
(
くち
)
を
當
(
あて
)
ていつた。
今更
(
いまさら
)
のやうに
近所
(
きんじよ
)
の
者
(
もの
)
が
頼
(
たの
)
まれて
夜通
(
よどほ
)
しにも
行
(
ゆ
)
くといふことに
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
探
(
さぐ
)
り給ふか
吾儕
(
わたし
)
も共に案じられてと云ば忠兵衞
點頭
(
うなづき
)
て年より
怜悧
(
さかしき
)
和郎
(
そなた
)
の心配吾儕も
切迫
(
せつぱ
)
に
詰
(
つま
)
つた故
先
(
まづ
)
云るゝ通り五日をば承知をなして受合たれど何を
當
(
あて
)
にも雲を
闇
(
やみ
)
。
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そのお
父
(
とう
)
さんを
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
攝津守
(
せつつのかみ
)
だか、
有鎭
(
ありしづ
)
だか、こゝが
柳川
(
やながは
)
の
説
(
せつ
)
だから
當
(
あて
)
には
成
(
な
)
らない。その
攝津守
(
せつつのかみ
)
が、
私
(
わたし
)
の
知
(
し
)
つてる
頃
(
ころ
)
は、五十七八の
年配
(
ねんぱい
)
、
人品
(
ひとがら
)
なものであつた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
齒黒
(
はぐろ
)
はまだらに
生
(
は
)
へ
次第
(
しだい
)
の
眉毛
(
まゆげ
)
みるかげもなく、
洗
(
あら
)
ひざらしの
鳴海
(
なるみ
)
の
裕衣
(
ゆかた
)
を
前
(
まへ
)
と
後
(
うしろ
)
を
切
(
き
)
りかへて
膝
(
ひざ
)
のあたりは
目立
(
めたゝ
)
ぬやうに
小針
(
こはり
)
のつぎ
當
(
あて
)
、
狹帶
(
せまおび
)
きりゝと
締
(
し
)
めて
蝉表
(
せみおもて
)
の
内職
(
ないしよく
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
翌日
(
よくじつ
)
も
約束
(
やくそく
)
通
(
どほ
)
り
一人
(
ひとり
)
で
三保
(
みほ
)
と
龍華寺
(
りゆうげじ
)
を
見物
(
けんぶつ
)
して、
京都
(
きやうと
)
へ
行
(
い
)
つてから
安井
(
やすゐ
)
に
話
(
はな
)
す
材料
(
ざいれう
)
を
出來
(
でき
)
る
丈
(
だけ
)
拵
(
こしら
)
えた。
然
(
しか
)
し
天氣
(
てんき
)
の
所爲
(
せゐ
)
か、
當
(
あて
)
にした
連
(
つれ
)
のないためか、
海
(
うみ
)
を
見
(
み
)
ても、
山
(
やま
)
へ
登
(
のぼ
)
つても
夫程
(
それほど
)
面白
(
おもしろ
)
くなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「一つ穴だ、
當
(
あて
)
になるものか」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手桶
(
てをけ
)
と
云
(
い
)
ふのまで
結
(
むす
)
びつけた、
小兒衆
(
こどもしう
)
がお
馴染
(
なじみ
)
の、
當
(
あて
)
ものの
臺紙
(
だいがみ
)
で
山
(
やま
)
を
包
(
つゝ
)
んだ
體
(
てい
)
もある。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
面白
(
おもしろ
)
くもない
女郎
(
めらう
)
めと
叱
(
しか
)
りつけられて、
夫
(
そ
)
れはお
前
(
まへ
)
無理
(
むり
)
だ、
邪推
(
じやすい
)
が
過
(
すぎ
)
る、
何
(
なに
)
しにお
前
(
まへ
)
に
當
(
あて
)
つけよう、この
子
(
こ
)
が
餘
(
あんま
)
り
分
(
わか
)
らぬと、お
力
(
りき
)
の
仕方
(
しかた
)
が
憎
(
に
)
くらしさに
思
(
おも
)
ひあまつて
言
(
い
)
つた
事
(
こと
)
を
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「それぢやどうしても兼こたあうつちやんだな。おら今夜はどうでもかうでもうんと云はせべえと思つたんだが
當
(
あて
)
が外れた。雪で歩けなくなつちやつまんねえからおら歸るぞ、そんぢや、兼次はうつちやるんだな」
芋掘り
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
阿部川
(
あべかは
)
と
言
(
い
)
へば、きなこ
餅
(
もち
)
とばかり
心得
(
こゝろえ
)
、「
贊成
(
さんせい
)
。」とさきばしつて、
大船
(
おほふな
)
のサンドヰツチ、
國府津
(
こふづ
)
の
鯛飯
(
たひめし
)
、
山北
(
やまきた
)
の
鮎
(
あゆ
)
の
鮓
(
すし
)
と、そればつかりを
當
(
あて
)
にして、
皆
(
みな
)
買
(
か
)
つて
食
(
た
)
べるつもりの
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
京
(
きやう
)
さん
母親
(
おふくろ
)
も
父親
(
おやぢ
)
も
空
(
から
)
つきり
當
(
あて
)
が
無
(
な
)
いのだよ、
親
(
おや
)
なしで
産
(
うま
)
れて
來
(
く
)
る
子
(
こ
)
があらうか、
己
(
お
)
れは
何
(
ど
)
うしても
不思議
(
ふしぎ
)
でならない、と
燒
(
やき
)
あがりし
餅
(
もち
)
を
兩手
(
りやうて
)
でたゝきつゝいつも
言
(
い
)
ふなる
心細
(
こゝろぼそ
)
さを
繰返
(
くりかへ
)
せば
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
襟
(
えり
)
からの
前垂
(
まへだれ
)
幅廣
(
はゞびろ
)
な
奴
(
やつ
)
を、
遣放
(
やりぱな
)
しに
尻下
(
しりさが
)
りに
緊
(
し
)
めた、あとのめりに
日和下駄
(
ひよりげた
)
で
土間
(
どま
)
に
突立
(
つツた
)
ち、
新
(
あたら
)
しいのを
當
(
あて
)
がつても
半日
(
はんにち
)
で
駈破
(
かけやぶ
)
る、
繼
(
つぎ
)
だらけの
紺足袋
(
こんたび
)
、
膝
(
ひざ
)
ツきり
草色
(
くさいろ
)
よれ/\の
股引
(
もゝひき
)
で
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
は
惡人
(
あくにん
)
になりまする、
成
(
なり
)
りたうは
無
(
な
)
けれど
成
(
な
)
らねば
成
(
な
)
りませぬ、
罸
(
ばち
)
をお
當
(
あて
)
てなさらば
私
(
わたし
)
一人、
遣
(
つか
)
ふても
伯父
(
おぢ
)
や
伯母
(
おば
)
は
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
なればお
免
(
ゆる
)
しなさりませ、
勿躰
(
もつたい
)
なけれど
此金
(
このかね
)
ぬすませて
下
(
くだ
)
されと
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
當
部首:⽥
13画
“當”を含む語句
當時
見當
正當
當然
本當
當人
當日
相當
日當
手當
心當
當麻
當初
大當
其當時
當夜
當麻語部
適當
突當
辨當
...