げつ)” の例文
主人しゆじん書生しよせいかれいぬ病氣びやうき病院びやうゐん這入はいる一ヶげつまへとかに、徴兵檢査ちようへいけんさ合格がふかくして入營にふえいしたぎりいまでは一人ひとりもゐないのださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二かげつぶりにあった先生せんせいに、諭吉ゆきちは、中津なかつであったいろいろなことをほうこくし、かりた原書げんしょをうつしてしまったこともはなしました。
韓山かんざんの風雲はいよいよ急に、七げつの中旬廟堂びょうどうの議はいよいよ清国しんこくと開戦に一決して、同月十八日には樺山かばやま中将新たに海軍軍令部長に補せられ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
しるして、一車いつしや税銀ぜいぎんいつげつ八匁はちもんめづゝなりとせてある。勿論もちろん金澤かなざは福井ふくゐなどでは、俵藤太たはらとうだも、頼光らいくわう瀧夜叉姫たきやしやひめも、まだこともなかつたらう。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たとへば年紀ねんきしるすのに、日本にほんではねんげつだいよりせうり、歐米おうべいでは、げつねんぎやくせうよりだいる。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
話の起りは、この一げつの年始状からの事で、春早々氏の玄関に投げ込まれた数多い年始状のなかに「榊原政職まさより」といふ人から寄こした一枚の葉書があつた。
太郎たろううちへ、三、四かげつまえ田舎いなかからきた女中じょちゅうがありました。彼女かのじょは、まだ、十六、七になったばかりです。
少女がこなかったら (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ二ヶげつに一だけ、理髪師とこやのセミョン、ラザリチばかりここへる、そのおとこはいつもってニコニコしながらってて、ニキタに手伝てつだわせてかみ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それから翌年に相成りますると、一げつあたりは未だ寒気も強く、ちょうど雪がどっどと降り出して来ました。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
保雄も会の方から会員の謝礼を毎げつ合せて拾五円から弐拾円位貰はぬでは無いが、会の雑誌の費用に出して仕舞しまふから一もん半銭自分の身に附くのでは無かつた。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
たまには、こんなことをしてゐて結局けつきよく馬鹿ばかるのぢやたまらないとかんがへたこともあつたが、モウ二ヶげつあまりつゞけてると、今更いまさらやめるわけにはどうしてもかない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
三ヶげつほどの南北支那なんぼくしなたびをはつて、明日あしたはいよいよなつかしい故國ここくへの船路ふなぢかうといふまへばん
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
江戸えどからあたらしく町奉行まちぶぎやうとして來任らいにんしてから丁度ちやうど五ヶげつるもの、くもの、しやくさはることだらけのなかに、町醫まちい中田玄竹なかだげんちく水道すゐだうみづ産湯うぶゆ使つかはない人間にんげんとして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
三十七ねんげつ大雪おほゆきがいと、その七月しちぐわつ疫疾えきしつために、牛馬ぎうばそのなかばうしなひたるの災厄さいやくあり。其他そのた天災てんさい人害じんがい蝟集ゐしふきたり、損害そんがいかうむことおびたゞしく、こゝろなやましたることじつすくなからざるなり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
これから二ねん九ヶげつあひだ大佐等たいさらはかのおどろ海底戰鬪艇かいていせんとうてい工作こうさく着手ちやくしゆしてあひだわたくし心身しんしんめて從事じうじしたら、んの出來できことがあらう。やるやる見事みごとにやつてせる。
彼女かのぢよが、戀人こひびと片山かたやまと一しよ生活せいくわつしたのは、わづかかに三ヶげつばかりだつた。かれがそのぞくしてゐるたう指令しれいのもとに、ある地方ちはう派遣はけんされたのち彼等かれら滅多めつた機會きくわいもなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
三ヶげつばかりぎると、彼女かのぢよ國許くにもとかへつて開業かいげふするといふので、あたらしいわかをつとともに、この土地とちるべくさま/″\な用意よういりかゝつた。彼女かのぢよつてゐるものをみなさゝげた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
今日けふ今日けふはとおもちながら、なほ其事そのことおよばずして過行すぎゆく、年立としたちかへるあしたより、まつうちぎなばとおもひ、まつとりつれば十五にちばかりのほどにはとおもふ、二十日はつかぎて一げつむなしく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その夜、法月弦之丞のりづきげんのじょうが外へでるとまもなく、一げつの宿院へ、二人の客があった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時は涼秋りょうしゅうげつ、処は北海山中の無人境、篝火かがりびを焚く霜夜の天幕、まくそとには立聴くアイヌ、幕の内には隼人はやと薩摩さつま壮士おのこ神来しんらいきょうまさにおうして、歌ゆる時四絃続き、絃黙げんもくす時こえうた
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
時は一げつすゑ、雪と氷にうづもれて、川さへ大方姿を隠した北海道を西から東に横断して、ついて見ると、華氏零下二十—三十度といふ空気もいてたやうな朝が毎日続いた。氷つた天、氷つた土。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そうしたら……そうしたらね、ちょうどあとげつだから十月の末の事よ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
嬉しくもないが一げつた来たようで、何にとなくにぎやかな心地がした。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「一昨年一げつでした」と答えた。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
はじめのうちは、からくてくさくて、いやでしたが、だんだんになれていき、一かげつもたつうちには、たばこのみになってしまいました。
「だから、無理むりをしても、もう一二ヶげつところだけあはせるから、其内そのうちうかしてくださいと、やすさんがふんだつて」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
和田三造さんから切符を貰つたので巴里パリイ髑髏洞カタコンブ一昨日をとゝひの土曜日に観に行つた。あらかじめ市庁へ願つて置くと毎げつじつと土曜日とだけに観ることが許されるのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
第七 一ヶげつ五六かなら村里むらざとはなれたる山林さんりんあるひ海濱はまべで、四五みち歩行ほかうすべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
これからすうげつ航海かうかいともにするやうな運命うんめい立到たちいたつたのは、じつ濱島はまじまふがごとく、これ不思議ふしぎなるてん紹介ひきあはせとでもいふものであらう、おもつて、暫時しばしある想像さうざうふけつてとき
山木が田崎に向かいて娘お豊を武男が後妻こうさいにとおぼろげならず言いでしその時は、川島未亡人とお豊の間は去る六げつにおける日清にっしんの間よりも危うく、彼出いだすか、われづるか
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
小鳥ことりたちにとって、この二、三かげつあいだは、かなりながあいだのことでありました。そのときは、やっとゆきえたばかりで、るものがすべて希望きぼうっていきいきとしていました。
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)
たゞ二ヶげつに一け、理髮師とこやのセミヨン、ラザリチばかこゝる、其男そのをとこいつつてニコ/\しながらつてて、ニキタに手傳てつだはせてかみる、かれえると患者等くわんじやら囂々がや/\つてさわす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もしか窓の戸を明けてくれるものが居なかつたら、氏は蒸し暑い七げつの真つ昼間にも、てきつた部屋のなかで麺麭パンのやうに蒸し焼きになつても、ぢつと居ずまひを崩さなかつたに相違ない。
東京とうきやう四萬よまんかずおほいやうだけれども、ころにしろ府下ふか一帶いつたい人口じんこうくらべては、辻駕籠つじかごほどにも行渡ゆきわたるまい、しかいつげつ税銀ぜいぎん八匁はちもんめ人力車じんりきしやである。なか/\もつ平民へいみんにはれさうにおもはれぬ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのは、諭吉ゆきち江戸えどへでてくる四かげつほどまえの、安政あんせい五(一八五八)ねんがつ十九にちのことでした。
さうして自分じぶんいのちんだにくかたまりが、まへをど時節じせつゆびつてたのしみにつた。ところ胎兒たいじは、夫婦ふうふ豫期よきはんして、五ヶげつまでそだつて突然とつぜんりて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
保雄が毎げつ生活くらしに困る様な事も無からうが、新体詩はう買つて呉れる所も無いから保雄の方でも自分から進んで売らうとは仕無しない、たまたま雑誌社からでも頼まれゝば書くが
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
げつ中旬、第一師団はとくすでに金州半島に向かいたれど、そのあとに第二師団の健児広島狭しと入り込み来たり、しかのみならず臨時議会開かれんとして、六百の代議士続々東より来つれば
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
明治二十五年の一げつ十日、神田一橋の高等商業では、時の校長矢野二郎氏を排斥しようといふ団体が出来上つて、その徒党八十幾名の学生は、青山練兵場を指して方々からぞろ/\集まつて来た。
自転車屋じてんしゃやあと乾物屋かんぶつやができてから、二かげつばかりたつと、ゆうちゃんの叔父おじさんは、不思議ふしぎ病気びょうきにかかりました。それは、ふいに原因げんいんのわからぬねつて、手足てあしがしびれてきかなくなるのでした。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
吾輩はただでさえこのくらいな器量だから、これより色男になる必要はないようなものの、万一病気にかかって一歳なんげつ夭折ようせつするような事があっては天下の蒼生そうせいに対して申し訳がない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)