トップ
>
投出
>
なげだ
ふりがな文庫
“
投出
(
なげだ
)” の例文
幸
(
さいわい
)
怪我
(
けが
)
もなかったので
早速
(
さっそく
)
投出
(
なげだ
)
された
下駄
(
げた
)
を履いて、師匠の
家
(
うち
)
の前に来ると、雨戸が少しばかり
開
(
あ
)
いていて、店ではまだ
燈
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いている。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
と
欣〻
(
にこにこ
)
として
投出
(
なげだ
)
す、受取る方も、ハッ五万円、先ずこれ位のものをお納めして置きますれば
私
(
わたくし
)
も鼻が高うございますると
欣〻
(
にこにこ
)
して受取る。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
富岡老人
釣竿
(
つりざお
)
を
投出
(
なげだ
)
してぬッくと
起上
(
たちあ
)
がった。
屹度
(
きっと
)
三人の方を
白眼
(
にらん
)
で「大馬鹿者!」と大声に
一喝
(
いっかつ
)
した。この
物凄
(
ものすご
)
い声が
川面
(
かわづら
)
に鳴り響いた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
返事は
聞
(
きこ
)
えなかつたが、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
包
(
つゝみ
)
を
投出
(
なげだ
)
す音がして、
直様
(
すぐさま
)
長吉
(
ちやうきち
)
は
温順
(
おとな
)
しさうな弱さうな色の白い顔を
襖
(
ふすま
)
の
間
(
あひだ
)
から見せた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一本ストンと
投出
(
なげだ
)
した、……
恰
(
あたか
)
も
可
(
よし
)
、
他
(
ほか
)
の人形など
一所
(
いっしょ
)
に並んだ、中に
交
(
まじ
)
つて、
其処
(
そこ
)
に、木彫にうまごやしを
萌黄
(
もえぎ
)
で
描
(
か
)
いた、舶来ものの靴が
片隻
(
かたっぽ
)
。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
投出
(
なげだ
)
した、——彼女には夫があったのだ、その夫は村のやくざだ、人と喧嘩をすることを、職業のようにしている男だ
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
生意氣
(
なまいき
)
謂ツてゐら………」と
投出
(
なげだ
)
すやうに謂ツて、「して、何かえ。其の、お百度の
御利益
(
ごりやく
)
があツたのかえ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
罵りたてた壮太、いきなり先にいる奴の衿に手がかかると、「やっ‼」と叫びざま、二三間先に
投出
(
なげだ
)
した。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何
(
ど
)
うで
下品
(
げひん
)
に
育
(
そだ
)
ちました
身
(
み
)
なれば
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
して
終
(
おは
)
るのでござんしよと
投出
(
なげだ
)
したやうな
詞
(
ことば
)
に
無量
(
むりよう
)
の
感
(
かん
)
があふれてあだなる
姿
(
すがた
)
の
浮氣
(
うはき
)
らしきに
似
(
に
)
ず一
節
(
ふし
)
さむろう
樣子
(
やうす
)
のみゆるに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
稀
(
まれ
)
には
痺
(
しび
)
れた
足
(
あし
)
を
投出
(
なげだ
)
して
聞
(
き
)
きも
聞
(
き
)
かせもしなくて
善
(
い
)
い
噺
(
はなし
)
を
反覆
(
はんぷく
)
してのみ
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「……かくしてMが、この斎藤博士の後任となって九大に着任すると間もなく、この学界空前の実験は決行された。そうしてその結果の全部が、この通り吾輩の前に
投出
(
なげだ
)
された」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と
投出
(
なげだ
)
して、やおら、
起
(
た
)
って、また
傘
(
かさ
)
をさして歩み出したが、
最早
(
もう
)
何事もなく家に帰った、昔からも、よくいうが、こんな場合には、気を
確
(
たしか
)
に持つことが、全く肝要の事だろうよ。
狸問答
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
そこで
用意
(
ようゐ
)
が
整
(
とゝな
)
ふと、
吾等
(
われら
)
は
手
(
て
)
に/\
一個
(
いつこ
)
宛
(
づゝ
)
の
爆裂彈
(
ばくれつだん
)
を
携
(
たづさ
)
へて
立上
(
たちあが
)
つた。
兼
(
かね
)
て
用意
(
ようゐ
)
の
鳥
(
とり
)
の
肉
(
にく
)
を、十
斤
(
きん
)
ばかり
鐵檻
(
てつおり
)
の
間
(
あひだ
)
から
投出
(
なげだ
)
すと、
食
(
しよく
)
に
飢
(
う
)
ゑたる
猛獸
(
まうじう
)
は、
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
集
(
あつま
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
加之
(
しか
)
も
眼眩
(
まばゆ
)
きばかりに美しく着飾った貴婦人で、するすると窓の
側
(
そば
)
へ
立寄
(
たちよ
)
って、何か物を
投出
(
なげだ
)
すような手真似をしたが、窓は
先刻
(
せんこく
)
私が
確
(
たしか
)
に
鎖
(
と
)
じたのだから、
迚
(
とて
)
も自然に
開
(
あ
)
く筈はない。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
殘らず取出し盜賊の前に差出せば次郎は
莞爾
(
につこ
)
と打笑ひ夫れで能い
心持
(
こゝろも
)
ちだらうドリヤ路用ははずんで
呉
(
くれ
)
ようと
額銀
(
がくぎん
)
一ツ
投出
(
なげだ
)
しサア是で何處へなりと
行
(
ゆき
)
をれへ言捨道玄次郎は
悠々
(
いう/\
)
と金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二階の縁側に置いてある
籐椅子
(
とういす
)
の上に足を
投出
(
なげだ
)
して、目の前の川を
漕
(
こ
)
ぎ
下
(
くだ
)
るボートを見るのが楽しみだった。夕方叔父が会社から帰って来る頃は、祖母に手を引かれて
河岸
(
かし
)
に出て待っていた。
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
造れる
褌
(
はかま
)
を解きて
投出
(
なげだ
)
し
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
胸もあらはに
投出
(
なげだ
)
した
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
師走
(
しはす
)
の
算段
(
さんだん
)
に
驅
(
か
)
け
𢌞
(
まは
)
つて
五味坂
(
ごみざか
)
で
投出
(
なげだ
)
された、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
は、
懷中
(
くわいちう
)
げつそりと
寒
(
さむ
)
うして、
心
(
しん
)
、
虚
(
きよ
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に、
路端
(
みちばた
)
の
石
(
いし
)
に
打撞
(
ぶつ
)
かつて
足
(
あし
)
の
指
(
ゆび
)
に
怪我
(
けが
)
をした。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思えば暴虐極まる制度が随分長く続いたものですね。私はこういった旧制度の犠牲者達、命も身分も
投出
(
なげだ
)
した恋の戦士達に同情したい心持で一パイです。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あゝ、僕あもう
絶望
(
ぜつぼう
)
だよ!」
投出
(
なげだ
)
すやうな
調子
(
てうし
)
で友は云ツた。私の胸は
鉛
(
なまり
)
のやうに
重
(
おも
)
くなツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
文
(
ふみ
)
を
投出
(
なげだ
)
して
嘆息
(
たんそく
)
しけるが、
甚
(
じん
)
之
助
(
すけ
)
に
向
(
むか
)
ひては
猶
(
なほ
)
さら
悲
(
かな
)
しげに、
姉樣
(
ねえさま
)
はあくまで
吾助
(
ごすけ
)
を
憎
(
に
)
くみて、あれほど
御覽
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れし
歌
(
うた
)
に一
度
(
たび
)
のお
返歌
(
へんか
)
もなく、あまつさへ
貴君
(
あなた
)
にまで
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
卯平
(
うへい
)
は
藁屑
(
わらくづ
)
と一つに
投出
(
なげだ
)
してある
胴亂
(
どうらん
)
から五
厘
(
りん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
を
出
(
だ
)
してやるのが
例
(
れい
)
であるが、
與吉
(
よきち
)
は
自分
(
じぶん
)
で
錢
(
ぜに
)
を
出
(
だ
)
さうとして
胴亂
(
どうらん
)
の
大
(
おほ
)
きな
金具
(
かなぐ
)
が
容易
(
ようい
)
に
開
(
あ
)
かないので
怒
(
おこ
)
つて
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
たり
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼の運命までも
蹂躙
(
じゅうりん
)
し去った二人組の黒装束は、若い倉川男爵が、涙のうちに大枚三千円の懸賞金を
投出
(
なげだ
)
して、復讐を誓ったにも拘わらず、その後三回までも東京郊外を荒しまわって
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
持歸りし後に其
帛紗包
(
ふくさつゝみ
)
が落て有しと申に夫は此金かと
財布
(
さいふ
)
の
儘
(
まゝ
)
投出
(
なげだ
)
さるゝを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
滊車
(
きしや
)
の
窓
(
まど
)
から
投出
(
なげだ
)
した
事
(
こと
)
などを
懷想
(
くわいさう
)
して、つくづくと
情
(
なさけ
)
なくなつて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
祐吉
(
ゆうきち
)
はむっとして、部屋の隅の長
椅子
(
いす
)
へどかっと体を
投出
(
なげだ
)
した。
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
投出
(
なげだ
)
したま
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と
自棄
(
やけ
)
に
突立
(
つゝた
)
つて、
胴體
(
どうたい
)
ドタンと
投出
(
なげだ
)
すばかり、
四枚
(
よまい
)
を
兩方
(
りやうはう
)
へ
引
(
ひき
)
ずり
開
(
あ
)
けた、
肱
(
ひぢ
)
かけ
窓
(
まど
)
へ、
拗
(
す
)
ねるやうに
突掛
(
つゝかゝ
)
つて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
殿から頂いた褒美三百両の大金を
投出
(
なげだ
)
した上、老女砧の首根っこを掴むようにして、縁結びの当日、簾の外に投出した赤い紐三本のうち、小浪の名札を結んだのへ
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
此子
(
このこ
)
の
笑顏
(
ゑがほ
)
のやうに
直接
(
ぢか
)
に、
眼前
(
まのあたり
)
、かけ
出
(
だ
)
す
足
(
あし
)
を
止
(
とゞ
)
めたり、
狂
(
くる
)
ふ
心
(
こゝろ
)
を
靜
(
しづ
)
めたはありませぬ、
此子
(
このこ
)
が
何
(
なん
)
の
氣
(
き
)
も
無
(
な
)
く
小豆枕
(
あづきまくら
)
をして、
兩手
(
りやうて
)
を
肩
(
かた
)
のそばへ
投出
(
なげだ
)
して
寢入
(
ねい
)
つて
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
の
其顏
(
そのかほ
)
といふものは
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「だけど、
貧乏
(
びんぼう
)
も
嫌
(
いや
)
だわ。」とお房は、
臆病
(
おくびやう
)
らしく
投出
(
なげだ
)
すやうにいふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
と
胡坐
(
あぐら
)
かいた
片脛
(
かたずね
)
を、づかりと
投出
(
なげだ
)
すと、両手で逆に取つて、上へ
反
(
そら
)
せ、
膝
(
ひざ
)
ぶしからボキリボキリ、ミシリとやる。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
仕
(
し
)
かへしには
何時
(
いつ
)
でも
來
(
こ
)
い、
薄馬鹿野郎
(
うすばかやらう
)
め、
弱虫
(
よはむし
)
め、
腰
(
こし
)
ぬけの
活地
(
いくぢ
)
なしめ、
歸
(
かへ
)
りには
待伏
(
まちぶ
)
せする、
横町
(
よこてう
)
の
闇
(
やみ
)
に
氣
(
き
)
をつけろと三五
郎
(
らう
)
を
土間
(
どま
)
に
投出
(
なげだ
)
せば、
折
(
をり
)
から
靴音
(
くつおと
)
たれやらが
交番
(
かうばん
)
への
注進
(
ちうしん
)
今
(
いま
)
ぞしる
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
足
(
あし
)
は
忘
(
わす
)
れたか
投出
(
なげだ
)
した、
腰
(
こし
)
がなくば
暖簾
(
のれん
)
を
立
(
た
)
てたやうに
畳
(
たゝ
)
まれさうな、
年紀
(
とし
)
が
其
(
それ
)
で
居
(
ゐ
)
て二十二三、
口
(
くち
)
をあんぐりやつた
上唇
(
うはくちびる
)
で
巻込
(
まきこ
)
めやう、
鼻
(
はな
)
の
低
(
ひく
)
さ、
出額
(
でびたひ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
足
(
あし
)
を
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
に
投出
(
なげだ
)
したから
落
(
お
)
ちたと
思
(
おも
)
ふ
途端
(
とたん
)
に、
女
(
をんな
)
の
手
(
て
)
が
脊後
(
うしろ
)
から
肩越
(
かたこし
)
に
胸
(
むね
)
をおさへたので
確
(
しつか
)
りつかまつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「うむ、」と
一声
(
ひとこゑ
)
、
摚
(
だう
)
と
枯蘆
(
かれあし
)
に
腰
(
こし
)
を
落
(
おと
)
して、
殆
(
ほと
)
んど
痙攣
(
けいれん
)
を
起
(
おこ
)
した
如
(
ごと
)
く、
足
(
あし
)
を
投出
(
なげだ
)
してぶる/\と
震
(
ふる
)
へて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
散策子は答えに
窮
(
きゅう
)
して、実は草の上に位置も構わず
投出
(
なげだ
)
された、オリイブ色の
上表紙
(
うわびょうし
)
に、とき色のリボンで封のある、ノオトブックを、つまさぐっていたのを見たので。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
前
(
まへ
)
まあ
些
(
ちつ
)
と
休
(
やす
)
んでと、
深切
(
しんせつ
)
にほだされて、
懷
(
なつか
)
しさうに
民子
(
たみこ
)
がいふのを、いゝえ、さうしては
居
(
を
)
られませぬ、お
荷物
(
にもつ
)
は
此處
(
こゝ
)
へ、もし
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
はござりませぬ、
足
(
あし
)
を
投出
(
なげだ
)
して
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
踵
(
かゝと
)
の
黒
(
くろ
)
いのを
眞向
(
まむ
)
きに
見
(
み
)
せて、一
本
(
ぽん
)
ストンと
投出
(
なげだ
)
した、……
恰
(
あたか
)
も
可
(
よし
)
、
他
(
ほか
)
の
人形
(
にんぎやう
)
など
一所
(
いつしよ
)
に
並
(
なら
)
んだ、
中
(
なか
)
に
交
(
まじ
)
つて、
其處
(
そこ
)
に、
木彫
(
きぼり
)
にうまごやしを
萌黄
(
もえぎ
)
で
描
(
か
)
いた、
舶來
(
はくらい
)
ものの
靴
(
くつ
)
が
片隻
(
かたつぽ
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不気味
(
ぶきみ
)
で
投出
(
なげだ
)
さうとするとずる/″\と
辷
(
すべ
)
つて
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
へ
吸
(
すひ
)
ついてぶらりと
下
(
さが
)
つた
其
(
そ
)
の
放
(
はな
)
れた
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
から
真赤
(
まつか
)
な
美
(
うつく
)
しい
血
(
ち
)
が
垂々
(
たら/\
)
と
出
(
で
)
たから、
吃驚
(
びツくり
)
して
目
(
め
)
の
下
(
した
)
へ
指
(
ゆび
)
をつけてじつと
見
(
み
)
ると
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
投
(
な
)
げた
時
(
とき
)
、
偶
(
ふ
)
と
渠
(
かれ
)
は、
鼓打
(
つゞみうち
)
である
其
(
そ
)
の
従弟
(
いとこ
)
が、
業体
(
げふたい
)
と
言
(
い
)
ひ、
温雅
(
をんが
)
で
上品
(
じやうひん
)
な
優
(
やさ
)
しい
男
(
をとこ
)
の、
酒
(
さけ
)
に
酔払
(
ゑひはら
)
ふと、
場所
(
ばしよ
)
を
選
(
えら
)
ばず、
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
る
外套
(
ぐわいたう
)
を
脱
(
ぬ
)
いで、
威勢
(
ゐせい
)
よくぱつと
投出
(
なげだ
)
す、
帳場
(
ちやうば
)
の
車夫
(
しやふ
)
などは
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ト
枕
(
まくら
)
を
並
(
なら
)
べ、
仰向
(
あをむけ
)
になり、
胸
(
むね
)
の
上
(
うへ
)
に
片手
(
かたて
)
を
力
(
ちから
)
なく、
片手
(
かたて
)
を
投出
(
なげだ
)
し、
足
(
あし
)
をのばして、
口
(
くち
)
を
結
(
むす
)
んだ
顏
(
かほ
)
は、
灯
(
ひ
)
の
片影
(
かたかげ
)
になつて、
一人
(
ひとり
)
すや/\と
寢
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
るのを、……
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
ると、
其
(
それ
)
は
自分
(
じぶん
)
であつたので
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大形の浴衣の
諸膚脱
(
もろはだぬ
)
ぎで、
投出
(
なげだ
)
した、白い手の貴婦人の二の腕へ、しっくり
喰
(
くい
)
ついた若いもの、かねて聞いた、——これはその人の下宿へ出入りの八百屋だそうで、やっぱり情人の一人なんです。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
法衣
(
ころも
)
の
破目
(
やぶれめ
)
を
潜
(
くゞ
)
らす
如
(
ごと
)
く、
懐
(
ふところ
)
から
抜
(
ぬ
)
いて、ポーンと
投出
(
なげだ
)
す。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
戞然
(
からり
)
と、どき/\した
小刀
(
こがたな
)
を
投出
(
なげだ
)
す。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
投
常用漢字
小3
部首:⼿
7画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“投”で始まる語句
投
投網
投込
投遣
投函
投錨
投首
投掛
投扇興
投身