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余
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あま
ふりがな文庫
“
余
(
あま
)” の例文
旧字:
餘
その
頃
(
ころ
)
良人
(
おっと
)
はまだ
若
(
わこ
)
うございました。たしか二十五
歳
(
さい
)
、
横縦
(
よこたて
)
揃
(
そろ
)
った、
筋骨
(
きんこつ
)
の
逞
(
たくま
)
ましい
大柄
(
おおがら
)
の
男子
(
おとこ
)
で、
色
(
いろ
)
は
余
(
あま
)
り
白
(
しろ
)
い
方
(
ほう
)
ではありません。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
世
(
よ
)
の
譬
(
たとへ
)
にも
天生峠
(
あまふたうげ
)
は
蒼空
(
あをぞら
)
に
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るといふ
人
(
ひと
)
の
話
(
はなし
)
にも
神代
(
じんだい
)
から
杣
(
そま
)
が
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れぬ
森
(
もり
)
があると
聞
(
き
)
いたのに、
今
(
いま
)
までは
余
(
あま
)
り
樹
(
き
)
がなさ
過
(
す
)
ぎた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
には
余
(
あま
)
り人が
居
(
を
)
りませぬで、四五
人
(
にん
)
居
(
を
)
りました。
此湯
(
このゆ
)
は
昔風
(
むかしふう
)
の
柘榴口
(
ざくろぐち
)
ではないけれども、はいる
処
(
ところ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
薄暗
(
うすぐら
)
くなつて
居
(
を
)
ります。
年始まはり
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
汎米連邦からは、一人の外国人も
余
(
あま
)
さず追放されたのに、久慈は、大胆にも、ひそかにワシントンの或る場所に、
停
(
とどま
)
っていたのである。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勿論
(
もちろん
)
余
(
あま
)
り
正直
(
しょうじき
)
には
務
(
つと
)
めなかったが、
年金
(
ねんきん
)
など
云
(
い
)
うものは、たとい、
正直
(
しょうじき
)
であろうが、
無
(
な
)
かろうが、
凡
(
すべ
)
て
務
(
つと
)
めた
者
(
もの
)
は
受
(
う
)
けべきである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
嘉永版
(
かえいばん
)
の『
東都遊覧年中行事
(
とうとゆうらんねんちゅうぎょうじ
)
』にも、『六月
朔日
(
ついたち
)
、
賜氷
(
しひょう
)
の
節
(
せつ
)
御祝儀
(
ごしゅうぎ
)
、加州侯より氷献上、お
余
(
あま
)
りを
町家
(
ちょうか
)
に下さる』と見えている。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
するとすぐ
草
(
くさ
)
にとりついて
食
(
た
)
べるのは
子供
(
こども
)
で、ゆるゆると
子供
(
こども
)
に
食
(
た
)
べさせておいたあとで、
食
(
た
)
べ
余
(
あま
)
しを
食
(
た
)
べるのは
母親
(
ははおや
)
だということだよ。
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
不在に主僧がその
室
(
へや
)
に行ってみると、竹の皮に食い
余
(
あま
)
しの餅菓子が二つ三つ残って、それにいっぱいに
蟻
(
あり
)
がたかっていることなどもあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
尤もありや、
余
(
あま
)
り大きな声を
出
(
だ
)
しちや、
不可
(
いけ
)
ないんだつてね。本来が四畳半の座敷に限つたものださうだ。所が僕が此通り大きな声だらう。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ゾオラが
偶々
(
たま/\
)
醜悪
(
しうあく
)
のまゝを
写
(
うつ
)
せば
青筋
(
あをすじ
)
出して
不道徳
(
ふだうとく
)
文書
(
ぶんしよ
)
なりと
罵
(
のゝし
)
り
叫
(
わめ
)
く事さりとは
野暮
(
やぼ
)
の
行
(
い
)
き
過
(
す
)
ぎ
余
(
あま
)
りに
業々
(
げふ/\
)
しき
振舞
(
ふるまひ
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
一体
(
いったい
)
蝸牛
(
かたつむり
)
は形そのものが
余
(
あま
)
りいい感じのものではない。
而
(
しか
)
もその肉は非常にこわくて弾力性に富んでいる。これを食べるには
余程
(
よほど
)
の勇気がいる。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
唯
(
たゞ
)
少
(
すこ
)
し
遠慮勝
(
えんりよがち
)
なのと、
余
(
あま
)
り
多
(
おほ
)
く
口数
(
くちかず
)
を
利
(
き
)
かぬのが、
何
(
なん
)
となく
私
(
わたし
)
には
物足
(
ものた
)
りないので、
私
(
わたし
)
が
其
(
それ
)
であるから
尚更
(
なほさら
)
始末
(
しまつ
)
が
悪
(
わる
)
い。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
歳
(
とし
)
有名なる
岸田俊子
(
きしだとしこ
)
女史(故中島信行氏夫人)漫遊し
来
(
きた
)
りて、三日間わが
郷
(
きょう
)
に演説会を開きしに、聴衆雲の如く会場
立錐
(
りっすい
)
の地だも
余
(
あま
)
さざりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
と、その
貪
(
むさぼ
)
るにまかせ、兵みな
唇
(
くち
)
を
雫
(
しずく
)
し、眼底を濡らすを見るや、
大薙刀
(
おおなぎなた
)
の石づきを、なお
余
(
あま
)
せる
巨瓶
(
おおがめ
)
の腹にさし向け
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若者
(
わかもの
)
はよろこんで、それなら
北海道
(
ほっかいどう
)
へゆくのに
余
(
あま
)
るほどだといって、
主人
(
しゅじん
)
に
時計
(
とけい
)
を
買
(
か
)
ってもらうことにしたのでした。
般若の面
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一時間目の
修身
(
しゅうしん
)
の
講義
(
こうぎ
)
が
済
(
す
)
んでもまだ時間が
余
(
あま
)
っていたら校長が何でも
質問
(
しつもん
)
していいと云った。けれども
誰
(
だれ
)
も
黙
(
だま
)
っていて下を
向
(
む
)
いているばかりだった。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
十九にもなつて
独身
(
ひとりみ
)
でゐると、
余
(
あま
)
され者だと言つて人に笑はれたものであるが、此頃では此村でも十五十六の嫁といふものは滅多になく、大抵は十八十九
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
余
(
あま
)
りに月が大きく
明
(
あかる
)
いから、
大名屋敷
(
だいみやうやしき
)
の
塀
(
へい
)
の
方
(
はう
)
が遠くて月の
方
(
はう
)
が
却
(
かへ
)
つて非常に近く見える。
然
(
しか
)
し
長吉
(
ちやうきち
)
は
他
(
た
)
の見物も
同様
(
どうやう
)
少
(
すこ
)
しも美しい
幻想
(
げんさう
)
を破られなかつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それ以外には
入聟
(
いりむこ
)
および
入夫
(
にゅうふ
)
の制、是は女しかおらぬ家を見つけて、そこへ
余
(
あま
)
ったヲンヂたちを配るのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
元来親分気のある将門が、首を垂れ膝を折つて頼まれて見ると、
余
(
あま
)
り
香
(
かん
)
ばしくは無いと思ひながらも、仕方が無い、口をきいてやらう、といふことになつた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
蝦夷松
(
えぞまつ
)
や
椴松
(
とどまつ
)
、昔此辺の
帝王
(
ていおう
)
であったろうと思わるゝ大木
倒
(
たお
)
れて朽ち、朽ちた其木の
屍
(
かばね
)
から
実生
(
みしょう
)
の
若木
(
わかぎ
)
が
矗々
(
すくすく
)
と伸びて、若木其ものが
径
(
けい
)
一尺に
余
(
あま
)
るのがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一度
(
いちど
)
は綿と交易してつぎの替引の材料となし、一度は銭と交易して世帯の
一分
(
いちぶ
)
を助け、非常の勉強に非ざれば、この際に一反を
余
(
あま
)
して
私家
(
しか
)
の用に供するを得ず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
高田の
俳友
(
はいいう
)
楓石子
(
ふうせきし
)
よりの
書翰
(
しよかん
)
に(天保五年の仲冬)雪竿を見れば当地の雪此
節
(
せつ
)
一丈に
余
(
あま
)
れりといひ
来
(
きた
)
れり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
将
(
まさ
)
に大雨を下さんとす、明夜尚一回
露宿
(
ろしゆく
)
をなさざれば人家ある所に
至
(
いた
)
るを
得
(
え
)
ず、
余
(
あま
)
す所の二日間尚如何なる
艱楚
(
かんそ
)
を
嘗
(
な
)
めざるべからざるや、
殆
(
ほとん
)
ど
予測
(
よそく
)
するを得ず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
そのぐるりの
壁
(
かべ
)
に
貼
(
は
)
りめぐらした
絵
(
え
)
の
数
(
かず
)
が、一
目
(
め
)
で
数
(
かぞ
)
えて三十
余
(
あま
)
り、しかも
男
(
おとこ
)
と
名
(
な
)
のつく
者
(
もの
)
は、
半分
(
はんぶん
)
も
描
(
か
)
いてあるのではなく、
女
(
おんな
)
と、いうよりも、
殆
(
ほとん
)
ど
全部
(
ぜんぶ
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
親属故旧の音信祭礼仏事等に百匁程、都合一貫五百十四匁ばかりを費して、僅かに七十三匁六分を
余
(
あま
)
せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
嬉しと心を言へらんやうの
気色
(
けしき
)
にて、彼の
猪口
(
ちよく
)
に
余
(
あま
)
せし酒を
一息
(
ひといき
)
に
飲乾
(
のみほ
)
して、その盃をつと貫一に差せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
人目
(
ひとめ
)
に
附易
(
つきやす
)
き
天井裏
(
てんじやうゝら
)
に
掲
(
かゝ
)
げたる
熊手
(
くまで
)
によりて、一
年
(
ねん
)
若干
(
そくばく
)
の
福利
(
ふくり
)
を
掻
(
か
)
き
招
(
まね
)
き
得
(
う
)
べしとせば
斃
(
たふ
)
せ/\の
数
(
かず
)
ある
呪
(
のろ
)
ひの
今日
(
こんにち
)
に
於
(
おい
)
て、そは
余
(
あま
)
りに
公明
(
こうめい
)
に
失
(
しつ
)
したるものにあらずや
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
こう
言
(
い
)
われたので、
王子
(
おうじ
)
は
余
(
あま
)
りの
悲
(
かな
)
しさに、
逆上
(
とりのぼ
)
せて、
前後
(
ぜんご
)
の
考
(
かんが
)
えもなく、
塔
(
とう
)
の
上
(
うえ
)
から
飛
(
と
)
びました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
といって二十日も一月も晴天が続くと川の水が減少して鮎の
住
(
す
)
み
場
(
ば
)
が
狭
(
せま
)
くなりますのに硅藻が
余
(
あま
)
り
生長
(
せいちょう
)
し
過
(
すぎ
)
て
硬
(
こわ
)
くなりますから鮎はやっぱり餌に飢て味が悪くなります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
と伯父は手に
余
(
あま
)
していた。寛一君は予想以上に事が大きくなっていると思って益〻恐縮した。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
気が附いて見ると、男子は
大股
(
おおまた
)
に
濶
(
ひろ
)
い文明の第一街を歩いている。哀れなる女よ、男と対等に歩もうとするには
余
(
あま
)
りに遅れている。我我は早くこの
径
(
こみち
)
より離れて追い
縋
(
すが
)
りたい。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
こうしてあり
余
(
あま
)
る仕事のあるうえ、エチエネットにはまた一つ、
看護婦
(
かんごふ
)
の役が
増
(
ふ
)
えた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
余
(
あま
)
り腕が痛いので、東京に出たついでに、渋谷の道玄坂で天秤棒を買つて帰つた。丁度股引尻からげ天秤棒を肩にした姿を
山路愛山君
(
やまぢあいざんくん
)
に見られ、理想を実行すると笑止な顔で笑はれた。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今からおよそ十年
余
(
あま
)
りも前に、広島県
安芸
(
あき
)
の国〔県の西部〕の
北境
(
ほっきょう
)
なる
八幡
(
やはた
)
村で、広さ数百メートルにわたるカキツバタの
野生群落
(
やせいぐんらく
)
に
出逢
(
であ
)
い、
折
(
おり
)
ふし六月で、花が一面に満開して
壮観
(
そうかん
)
を
極
(
きわ
)
め
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
その千にも
余
(
あま
)
る
跣足
(
はだし
)
の信者どもは、口を真黒に開いていて、互いの
頸
(
くび
)
に腕をかけ、肩と肩とを組み、熱意に燃えて変貌したような顔をしていたが、その不思議な行進には
佩剣
(
はいけん
)
の響も伴っていて
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それで、野村は悪友達から二川の事をいわれるのを
余
(
あま
)
り
好
(
この
)
まなかった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「そうか、ぼくは
余
(
あま
)
り感心しないよ」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
悲しさ
余
(
あま
)
りて
寝
(
ね
)
られぬ
枕
(
まくら
)
に
七里ヶ浜の哀歌
(新字新仮名)
/
三角錫子
(著)
すると
良人
(
おっと
)
は
私
(
わたくし
)
と
意見
(
いけん
)
が
違
(
ちが
)
いまして、それは
余
(
あま
)
り
面白
(
おもしろ
)
くない、
是非
(
ぜひ
)
『
若月
(
わかつき
)
』にせよと
言
(
い
)
い
張
(
は
)
って、
何
(
なん
)
と
申
(
もう
)
しても
肯
(
き
)
き
入
(
い
)
れないのです。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
吃驚
(
びつくり
)
して、
取
(
と
)
つて、すつと
上
(
うへ
)
へ
引
(
ひ
)
くと、
引
(
ひ
)
かれた
友染
(
いうぜん
)
は、
其
(
そ
)
のまゝ、
仰向
(
あふむ
)
けに、
襟
(
えり
)
の
白
(
しろ
)
さを
蔽
(
おほ
)
ひ
余
(
あま
)
るやうに、がつくりと
席
(
せき
)
に
寝
(
ね
)
た。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは
勿論
(
もちろん
)
、これは
我々
(
われわれ
)
だけの
話
(
はなし
)
だが、
彼
(
かれ
)
は
余
(
あま
)
り
尊敬
(
そんけい
)
をすべき
人格
(
じんかく
)
の
男
(
おとこ
)
では
無
(
な
)
いが、
術
(
じゅつ
)
に
掛
(
か
)
けてはまたなかなか
侮
(
あなど
)
られんと
思
(
おも
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
然
(
しか
)
るを何だ、
余
(
あま
)
り馬鹿々々しいとは
何
(
ど
)
ういう主意を以て
斯
(
かく
)
の如く
悪口
(
あっこう
)
を申すか、この
呆漢
(
たわけ
)
め、何だ、無礼の事を申さば切捨てたってもよい訳だ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼の
今
(
いま
)
の気分は、彼に
時々
(
とき/″\
)
起
(
おこ
)
る
如
(
ごと
)
く、総体の
上
(
うへ
)
に一種の暗調を帯びてゐた。だから
余
(
あま
)
りに
明
(
あか
)
る
過
(
すぎ
)
るものに接すると、其矛盾に堪えがたかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世間
(
せけん
)
から
見
(
み
)
ては、
病的
(
びやうてき
)
な
頭脳
(
づのう
)
や
狂人
(
きちがひ
)
じみた
気質
(
きしつ
)
の
人
(
ひと
)
もないことはなかつた。
竹村自身
(
たけむらじしん
)
にしたところで、この
点
(
てん
)
では、
余
(
あま
)
り
自信
(
じしん
)
のもてる
方
(
はう
)
ではなかつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
白
(
しろ
)
い
犬
(
いぬ
)
は、
最初
(
さいしょ
)
、
遠慮
(
えんりょ
)
するように
見
(
み
)
えましたが、ねこの
茶
(
ちゃ
)
わんへ
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
って、
余
(
あま
)
りのご
飯
(
はん
)
をきれいに
食
(
た
)
べてしまいました。そして、いってしまったのです。
小ねこはなにを知ったか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
葬列は
滞
(
とどこおり
)
なく、彼が家の隣の墓地に入った。此春墓地拡張の相談がきまって、三
畝
(
せ
)
余
(
あま
)
りの小杉山を
拓
(
ひら
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
余は
余
(
あま
)
りに数理的なる西洋音楽の根本的性質と、落花落葉虫語鳥声等の単純
可憐
(
かれん
)
なる日本的自然の音楽とに対して、
先
(
ま
)
づその懸隔の
甚
(
はなは
)
だしきに驚かずんばあらず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さて
雪頽
(
なだれ
)
を見るにさのみにはあらぬすこしのなだれなれば、
道
(
みち
)
を
塞
(
ふさぎ
)
たる事二十
間
(
けん
)
余
(
あま
)
り雪の
土手
(
どて
)
をなせり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
瓦廻
(
かはらまわ
)
しを
遣
(
や
)
る、
鞦韆飛
(
ぶらんことび
)
を
遣
(
や
)
る、石ぶつけでも、
相撲
(
すまふ
)
でも
撃剣
(
げきけん
)
の
真似
(
まね
)
でも、
悪作劇
(
わるいたずら
)
は
何
(
なん
)
でも
好
(
すき
)
でした、(
尤
(
もつと
)
も
唯今
(
たゞいま
)
でも
余
(
あま
)
り
嫌
(
きら
)
ひの
方
(
はう
)
ではない)
然
(
しか
)
るに
山田
(
やまだ
)
は
極
(
ごく
)
温厚
(
おんこう
)
で
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
“余”の解説
余(よ)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
余
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
“余”を含む語句
余程
残余
余光
剰余
余沫
有余
余裕
余燼
余波
零余子
磐余
余部
自余
余戸
余韻
持余
余計
余所行
余人
紆余曲折
...