“一筋:ひとすじ” の例文
“一筋:ひとすじ”を含む作品の著者(上位)作品数
小川未明14
泉鏡花11
吉川英治3
夏目漱石3
豊島与志雄2
“一筋:ひとすじ”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 伝説・民話[昔話]5.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
またからも一筋ひとすじいとのようにいて、少年しょうねん死骸しがい見下みおろしている。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぬかのように見えた粒は次第に太く長くなって、今は一筋ひとすじごとに風にかれるさままでが目にる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
板目いためふしから、差入さしいる日の光一筋ひとすじ二筋ふたすじ裾広すそひろがりにぱつとあかる
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
正吉しょうきちは、平常ふだんあるれていましたので、一筋ひとすじみちをたどってゆきました。
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、みち一筋ひとすじまちをはなれると、きゅうおおくなるのがれいでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、このてつぎんとからできた、一筋ひとすじせんをオルガンのなか仕掛しかけました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
枯野かれのたたずんでさみしさう、しかなんとなく活々いきいきして、扱帯しごき一筋ひとすじまとうたら
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これが角屋敷かどやしきで、折曲おれまがると灰色をした道が一筋ひとすじ、電柱のいちじるしく傾いたのが、まえうしろ
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
眠っている地球が一度目を覚ますと、僅かにその毛一筋ひとすじの動きでも、それは人間のあらゆる空想を一度にはじきとばしてしまうであろう。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
と、あおむいて見ると、ちゅうとからふじづるかなにかで結びたしてある一筋ひとすじが、たしかに、上からじぶんを目がけてさがっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それより以来電車はとかくぶっそうな感じがしてならないのだが、甲武線こうぶせん一筋ひとすじだと、かねて聞いているから安心して乗った。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
公園の小径こみち一筋ひとすじしかないので、すぐさま新見附へ出て知らず知らず堀端の電車通へ来た。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただ一筋ひとすじでも巌を越して男滝おだきすがりつこうとする形、それでも中をへだてられて末まではしずくも通わぬので、まれ
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もの幻の霧の中に、あけの明星の光明こうみょうが、嶮山けんざんずい浸透しみとおつて、横に一幅ひとはば水が光り、縦に一筋ひとすじ
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
婦人おんな右手めて差伸さしのばして、結立ゆいたて一筋ひとすじも乱れない、お辻の高島田を無手むずつかんで、づツと立つた。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とおくへいく汽船きせんは、おっとりとうるんだ、黄昏方たそがれがたそらに、くろ一筋ひとすじけむりげていました。
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正直しょうじきな、やさしいかみなりは、くろい、ふと一筋ひとすじ電線でんせんが、空中くうちゅうにあるのをつけました。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
古鎧ふるよろい錆槍さびやり一筋ひとすじ持って駈けつけ参りました、微衷びちゅうをおくみとり下さって、籠城の一員にお加えねがいとうござる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とも神龕かみだなの前に、こおつた竜宮の几帳きちょうと思ふ、白気はっき一筋ひとすじ月に透いて、向うへ大波がうねるのが
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、半身はんしんを斜めにして、あふれかゝる水の一筋ひとすじを、たましずくに、さっと散らして、赤く燃ゆるやうな唇にけた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其処そこから吊された一筋ひとすじ鉄棒かなぼうには大きな黒い鉄瓶てつびんが懸っていた。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
茶の勝った節糸ふしいとあわせは存外地味じみな代りに、長く明けたそでうしろから紅絹もみの裏が婀娜あだな色を一筋ひとすじなまめかす。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
岩屋いわや入口いりぐちには、神様かみさまわれましたとおり、はたたしてあたしい注連縄しめなわ一筋ひとすじってありました。
そして、ただ一筋ひとすじほそみちたにあいだについていました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
突当つきあたりに稲荷いなりらしい小さなやしろがあって、低い石垣の前で路地は十文字にわかれ、その一筋ひとすじはすぐさま石段になって降り行くあたりから
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そのへんは、単線たんせんで、一筋ひとすじ線路せんろきりありませんでした。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
がえの帷子かたびら一枚、やり一筋ひとすじよろいりょう——それだけを、供にになわせて、十内は、もういちど老母の部屋をうかがってみた。
サンホセ盆地の中央部に通ずる運河の水が、遠く一筋ひとすじに鈍く光った。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
高尾、小仏や甲斐の諸山は、一風呂浴びて、濃淡のみどりあざやかに、富士も一筋ひとすじ白い竪縞たてじまの入った浅葱あさぎの浴衣を着て、すがすがしくんで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「む、大納言殿御館おやかたでは、大刀だんびらを抜いた武士さむらいを、手弱女たおやめの手一つにて、黒髪一筋ひとすじ乱さずに、もみぢの廊下を毛虫の如く撮出つまみだす。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大方おおかた河岸かしから一筋ひとすじに来たのであろう。
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのまま、しばらくにらみあいのままでいましたが、さて、線路せんろ一筋ひとすじなので、おたがいとおりぬけることができません。どちらかあとしざりをしなければなりません。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
その野原には一筋ひとすじの河が流れて橋がかかっている。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此処こゝ一騎打いっきうち難所なんじょで、右手めてほうを見ると一筋ひとすじの小川が山のふもとめぐって、どうどうと小さい石を転がすようにすさまじく流れ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
てつぎんとでつくられた、一筋ひとすじせんながあいだうみうえからいてくる潮風しおかぜのために、いつしかさびて、れてしまったからです。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……来かゝる途中に、大川おおかわ一筋ひとすじ流れる……の下流のひよろ/\とした——馬輿うまかごのもう通じない——細橋ほそばしを渡り果てる頃、くれつの鐘がゴーンと鳴つた。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みち一筋ひとすじまなびなば
県歌 信濃の国 (新字新仮名) / 浅井洌(著)
あちらには、獰猛どうもうけものの、おおきいのごとく、こうこうとした黄色きいろ燈火ともしびが、無気味ぶきみ一筋ひとすじせんよる奥深おくふかえがいているのです。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、やぶのほうから垣根かきねをくぐって、くろ一筋ひとすじいとのように、なにかはしってきたので、そのほうると、おおきなへびが、一ぴきのかえるをいかけているのです。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しものとけかけた、ちかちかとひかる、一筋ひとすじみちが、はるかかなたの、煙突えんとつや、木立こだちの、くろぼうきれをたてたごとくかすむ、地平線ちへいせんほうへとのびていました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
辻の、このあたりで、月の中空なかぞらに雲を渡るおんなまぼろしを見たと思う、屋根の上から、城の大手おおての森をかけて、一面にどんよりと曇った中に、一筋ひとすじ真白まっしろな雲のなびくのは、やがて銀河になる時節も近い。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
十一月七日の車駕しゃが御到着の日などは、雲もない青空に日がよく照って、御苑ぎょえんも大通りも早天から、人をもってうずめてしまったのに、なお遠く若王子にゃくおうじの山の松林の中腹を望むと、一筋ひとすじ二筋の白い煙が細々と立っていた。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その一度は山中の草原が丸太でもいて通ったように、一筋ひとすじ倒れ伏しているのを怪しんで見ているうちに、前の山の樹木がまた一筋に左右に分かれて、次第に頂上に押し登って行ったこと、今一度は人の足跡が土の上にあって、その大きさが非常なものであった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
……柱かけの花活はないけにしをらしく咲いた姫百合ひめゆりは、羽の生えたうじが来て、こびりつくごとに、ゆげにも、あはれ、花片はなびらををのゝかして、一筋ひとすじ動かすかぜもないのに、弱々よわよわかぶりつた。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それは物語が進むに随って、読者に分ることだから、ここに省くが、兎も角、彼は、到底普通人の考え及ぶことも出来ない程、さい穿うがった分析ならびに綜合の結果、ちり一筋ひとすじの手抜かりもない、絶対に安全な方法を考え出したのだ。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大通りは一筋ひとすじだが、道に迷ふのも一興で、其処そこともなく、裏小路うらこうじへ紛れ込んで、低い土塀どべいからうり茄子なすはたけのぞかれる、さびれた邸町やしきまちを一人で通つて、まるつきり人に行合ゆきあはず。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
下男げなんは、さむかぜかれながら、あちら、こちらをさまよっていましたが、やっと一筋ひとすじかわらしいところにましたので、ゆきけて、わずかばかりあらわれているながれのうえいとれていました。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)
これが、此の廢殘はいざんさかひにのさばつてもつとも人の目を刺戟しげきする物象ぶつしやうだ………何うしたのか、此の樹のこずえあかいと一筋ひとすじからむで、スーツと大地だいちに落ちかゝツて、フラ/\やはらかい風にゆらいでゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
土饅頭どまんじゅうぐらいな、なだらかなおか起伏きふくして、そのさきは広いたいらな野となり、みどり毛氈もうせんをひろげたような中に、森や林がくろてんおとしていて、日の光りにかがやいてる一筋ひとすじの大河が、おびのようにうねっていました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それと、仏壇ぶつだん燈火あかりとは、なんのえんがないようなものの、やはり燈火あかりはかすかなかがやきをはなって、そのかがやきの一筋ひとすじに、たこのうなっている、あお大空おおぞらてと、相通あいつうずるところがあることをおもわせたのです。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
漸々だんだん西にしかたむいて、なみうえ黄金色こがねいろかがやいて、あちらの岩影いわかげあかひかった時分じぶんには、もうそのふね姿すがたなみうちかくれて、けむり一筋ひとすじそらのこっていたばかりです。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
(従って、爪尖つまさきのぼりの路も、草が分れて、一筋ひとすじ明らさまになったから、もう蛇も出まい、)その時分は大破して、ちょうつくろいにかかろうという折から、馬はこの段のしたに、一軒、寺というほどでもない住職じゅうしょく控家ひかえやがある、その背戸せどへ石を積んで来たもので。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)