トップ
>
戸口
>
とぐち
ふりがな文庫
“
戸口
(
とぐち
)” の例文
ある
日
(
ひ
)
のこと、
戸口
(
とぐち
)
から
尾
(
お
)
を
振
(
ふ
)
りながら
入
(
はい
)
ってきた
犬
(
いぬ
)
があります。なんの
気
(
き
)
なしに、その
犬
(
いぬ
)
を
見
(
み
)
ますと、
正雄
(
まさお
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
声
(
こえ
)
をあげました。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて、事のなりゆきがわかりますと、おかあさんのところへあるいていって、すそをくわえて、
戸口
(
とぐち
)
に引っぱっていきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
代助の
逢
(
あ
)
ひに
来
(
き
)
た平岡も其
戸口
(
とぐち
)
から
現
(
あら
)
はれた。先達て
見
(
み
)
た
夏服
(
なつふく
)
を
着
(
き
)
て、相変らず奇麗な
襟
(
カラ
)
とカフスを
掛
(
か
)
けてゐた。
忙
(
いそが
)
しさうに
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
態
(
わざ
)
と
卯平
(
うへい
)
へ
見
(
み
)
せつける
樣
(
やう
)
に
其
(
そ
)
の
夜
(
よ
)
塒
(
とや
)
に
就
(
つ
)
いた
時
(
とき
)
其
(
そ
)
の
鷄
(
とり
)
を
籠
(
かご
)
に
伏
(
ふ
)
せて、
戸口
(
とぐち
)
の
庭葢
(
にはぶた
)
の
上
(
うへ
)
に三
日
(
か
)
も四
日
(
か
)
も
置
(
お
)
いたのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
鈍痴漢
(
とんちんかん
)
の、
薄鈍
(
うすのろ
)
な
奴等
(
やつら
)
、
藥
(
くすり
)
も
絲瓜
(
へちま
)
も
有
(
あ
)
るものか、
馬鹿
(
ばか
)
な、
輕擧
(
かるはずみ
)
な!』ハヾトフと
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
とは、
此
(
こ
)
の
權幕
(
けんまく
)
に
辟易
(
へきえき
)
して
戸口
(
とぐち
)
の
方
(
はう
)
に
狼狽
(
まご/\
)
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
『——それ、
其
(
そ
)
の
頭
(
あたま
)
を
刎
(
は
)
ねとばせ』と
女王樣
(
ぢよわうさま
)
が
一人
(
ひとり
)
の
廷丁
(
てい/\
)
に
申
(
まを
)
されました、が
帽子屋
(
ばうしや
)
の
姿
(
すがた
)
は、
廷丁
(
てい/\
)
が
戸口
(
とぐち
)
まで
行
(
ゆ
)
かない
中
(
うち
)
に
見
(
み
)
えなくなりました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と、大声でいいながら、
戸口
(
とぐち
)
でぶるぶるっと雪をはらって、
時計屋
(
とけいや
)
のテッディ・ヘンフリイが
寒
(
さむ
)
そうにはいってきた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
女房
(
にようばう
)
は、
幾度
(
いくど
)
も
戸口
(
とぐち
)
へ
立
(
た
)
つた。
路地
(
ろぢ
)
を、
行願寺
(
ぎやうぐわんじ
)
の
門
(
もん
)
の
外
(
そと
)
までも
出
(
で
)
て、
通
(
とほり
)
の
前後
(
ぜんご
)
を
眗
(
みまは
)
した。
人通
(
ひとどほ
)
りも、もうなくなる。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
僧
(
そう
)
は
徐
(
しづ
)
かに
鉢
(
はち
)
に
殘
(
のこ
)
つた
水
(
みづ
)
を
床
(
ゆか
)
に
傾
(
かたむ
)
けた。そして「そんならこれでお
暇
(
いとま
)
をいたします」と
云
(
い
)
ふや
否
(
いな
)
や、くるりと
閭
(
りよ
)
に
背中
(
せなか
)
を
向
(
む
)
けて、
戸口
(
とぐち
)
の
方
(
はう
)
へ
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
した。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
というのは、廊下へ通ずる
戸口
(
とぐち
)
の蔭に、ミチ子と、それから何ということだろう、友江田先生とが、ピッタリ
寄
(
よ
)
り
添
(
そ
)
って深刻な
面持
(
おももち
)
で密談をしていたではないか。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
潜門
(
くぐりもん
)
の板屋根には
痩
(
や
)
せた柳が
辛
(
から
)
くも若芽の緑をつけた枝を
垂
(
たら
)
している。冬の昼過ぎ
窃
(
ひそ
)
かに
米八
(
よねはち
)
が病気の
丹次郎
(
たんじろう
)
をおとずれたのもかかる
佗住居
(
わびずまい
)
の
戸口
(
とぐち
)
であったろう。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
次の日にも信者たちの
戸口
(
とぐち
)
の十字架を画いた貼り紙をはぎ取って廻るというようなことをやった。それらに対しては信者たちは、領主の指示に従い、無抵抗の態度を取った。
鎖国:日本の悲劇
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
踏分々々
(
ふみわけ/\
)
彼お三婆の
方
(
かた
)
へ
到
(
いた
)
りぬ今日は
怪
(
けし
)
からぬ大雪にて
戸口
(
とぐち
)
へも出られずさぞ寒からんと存じ
師匠樣
(
ししやうさま
)
より
貰
(
もら
)
ひし酒を
寒凌
(
さぶさしの
)
ぎにもと少しなれど
持來
(
もちきた
)
りしとて
件
(
くだん
)
の
徳利
(
とくり
)
と
竹皮包
(
かはづつみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
えるされむに住む
靴匠
(
くつしょう
)
でござったが、当日は
御主
(
おんあるじ
)
がぴらと
殿
(
どの
)
の
裁判
(
さばき
)
を受けられるとすぐに、一家のものどもを
戸口
(
とぐち
)
へ呼び集めて、
勿体
(
もったい
)
なくも、御主の御悩みを、笑い興じながら
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで、王女は
戸口
(
とぐち
)
にいる学者の所まで出かけていって、太陽や月やにんげんの内部と外部のことで語りあいました。そして学者は、いかにもはっきりと、りっぱに答えました。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
実際かの大会においても、
拳骨
(
げんこつ
)
の
撲
(
なぐ
)
り合いが会場の
戸口
(
とぐち
)
で二、三度あったというし、またボストンの公園地における会合も、僕の去ったのちで巡査が来て解散したかも知れない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
この
他
(
ほか
)
に
家
(
いへ
)
に
召
(
め
)
し
仕
(
つか
)
はれてゐるもの
大勢
(
おほぜい
)
手
(
て
)
ぐすね
引
(
ひ
)
いて
待
(
ま
)
つてゐます。
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
は
女
(
をんな
)
どもが
番
(
ばん
)
をし、お
婆
(
ばあ
)
さんは、
姫
(
ひめ
)
を
抱
(
かゝ
)
へて
土藏
(
どぞう
)
の
中
(
なか
)
にはひり、
翁
(
おきな
)
は
土藏
(
どぞう
)
の
戸
(
と
)
を
締
(
し
)
めて
戸口
(
とぐち
)
に
控
(
ひか
)
へてゐます。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
さて
翌年
(
よくねん
)
の
正月元日
(
しょうがつがんじつ
)
の
朝
(
あさ
)
、お
妃
(
きさき
)
はいつものように
御殿
(
ごてん
)
の中を
歩
(
ある
)
きながら、お
厩
(
うまや
)
の
戸口
(
とぐち
)
までいらっしゃいますと、にわかにお
産気
(
さんけ
)
がついて、そこへ
安々
(
やすやす
)
と
美
(
うつく
)
しい
男
(
おとこ
)
の
御子
(
みこ
)
をお
生
(
う
)
みおとしになりました。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「では一時間
半
(
はん
)
で帰ってくるよ」と
言
(
い
)
いながら
暗
(
くら
)
い
戸口
(
とぐち
)
を出ました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
むこう
側
(
がわ
)
の
戸口
(
とぐち
)
へ
抜
(
ぬ
)
けだそうとしたが、すわ、大へん。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ヂュリ
今
(
いま
)
戸口
(
とぐち
)
から
出
(
で
)
てゆかうとしてゐるのは
誰
(
だ
)
れ?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
戸口
(
とぐち
)
に
来
(
き
)
ている
狐
(
きつね
)
や
狸
(
たぬき
)
を
追
(
お
)
うのだそうだ。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
湿潤
(
しめり
)
も暗き
戸口
(
とぐち
)
より浮びいでつつ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「ご
飯
(
はん
)
がにえたら、お
母
(
かあ
)
さんにあげて、
先
(
さき
)
に
食
(
た
)
べておしまい。」と、
父親
(
ちちおや
)
は、
戸口
(
とぐち
)
で
兄弟
(
きょうだい
)
に
注意
(
ちゅうい
)
して、
空
(
そら
)
をながめていましたが
ペスときょうだい
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『
鈍痴漢
(
とんちんかん
)
の、
薄鈍
(
うすのろ
)
な
奴等
(
やつら
)
、
薬
(
くすり
)
も
糸瓜
(
へちま
)
もあるものか、
馬鹿
(
ばか
)
な、
軽挙
(
かるはずみ
)
な!』ハバトフと
郵便局長
(
ゆうびんきょくちょう
)
とは、この
権幕
(
けんまく
)
に
辟易
(
へきえき
)
して
戸口
(
とぐち
)
の
方
(
ほう
)
に
狼狽
(
まごまご
)
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼
(
かれ
)
は
漸
(
やつと
)
のことで
戸口
(
とぐち
)
に
立
(
た
)
つた。
勘次
(
かんじ
)
を
喚
(
よ
)
ばうとして
見
(
み
)
たら
内
(
うち
)
はひつそりと
闇
(
くら
)
い。
戸口
(
とぐち
)
に
手
(
て
)
を
當
(
あ
)
てゝ
見
(
み
)
たら
鍵
(
かぎ
)
が
掛
(
かけ
)
てあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其故
(
それゆゑ
)
愛
(
あい
)
ちやんは
其菓子
(
そのくわし
)
を
一個
(
ひとつ
)
嚥
(
の
)
み
込
(
こ
)
みました、ところが
直
(
す
)
ぐに
縮
(
ちゞ
)
み
出
(
だ
)
したのを
見
(
み
)
て
喜
(
よろこ
)
ぶまいことか、
戸口
(
とぐち
)
から
出
(
で
)
られる
位
(
くらゐ
)
小
(
ちひ
)
さくなるや
否
(
いな
)
や
家
(
うち
)
から
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
して
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
其所
(
そこ
)
は風
通
(
とほ
)
しの
悪
(
わる
)
い、
蒸
(
む
)
し
暑
(
あつ
)
い、陰気な
狭
(
せま
)
い部屋であつた。代助は
此所
(
こゝ
)
で
烟草
(
たばこ
)
を一本
吹
(
ふ
)
かした。編輯室と
書
(
か
)
いた
戸口
(
とぐち
)
が始終
開
(
あ
)
いて、
人
(
ひと
)
が
出
(
で
)
たり
這入
(
はい
)
つたりした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
巡査
(
じゅんさ
)
のはた色が悪いとみたウォッジャーズは、おく
病風
(
びょうかぜ
)
にふかれて、
戸口
(
とぐち
)
のほうへ
逃
(
に
)
げだした。そこへ
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
潜門
(
くゞりもん
)
の
板屋根
(
いたやね
)
には
痩
(
や
)
せた
柳
(
やなぎ
)
が
辛
(
から
)
くも
若芽
(
わかめ
)
の緑をつけた枝を
垂
(
たら
)
してゐる。冬の
昼過
(
ひるす
)
ぎ
窃
(
ひそ
)
かに
米八
(
よねはち
)
が病気の
丹次郎
(
たんじらう
)
をおとづれたのもかゝる
佗住居
(
わびずまひ
)
の
戸口
(
とぐち
)
であつたらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ある日のこと、その婦人が
広間
(
ひろま
)
にすわって、糸をつむいでいると——これは、そのころの
習慣
(
しゅうかん
)
だったんだ——ひとりの
貧
(
まず
)
しい
百姓
(
ひゃくしょう
)
がはいってきて、
戸口
(
とぐち
)
の
腰
(
こし
)
かけに腰をおろした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
渠等
(
かれら
)
は
己
(
おのれ
)
を
拒
(
こば
)
みたる
者
(
もの
)
の
店前
(
みせさき
)
に
集
(
あつま
)
り、
或
(
あるひ
)
は
戸口
(
とぐち
)
に
立並
(
たちなら
)
び、
御繁昌
(
ごはんじやう
)
の
旦那
(
だんな
)
吝
(
けち
)
にして
食
(
しよく
)
を
與
(
あた
)
へず、
餓
(
う
)
ゑて
食
(
くら
)
ふものの
何
(
なに
)
なるかを
見
(
み
)
よ、と
叫
(
さけ
)
びて、
袂
(
たもと
)
を
深
(
さ
)
ぐれば
畝々
(
うね/\
)
と
這出
(
はひい
)
づる
蛇
(
くちなは
)
を
掴
(
つか
)
みて
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「何故、僕を見て逃げようとしたのだ。署の
戸口
(
とぐち
)
を覗うなんて、何事かッ」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼
(
かれ
)
は、こういって、ぶらぶらしていました。そして、
日
(
ひ
)
に、
幾度
(
いくど
)
ということなく、
戸口
(
とぐち
)
を
出
(
で
)
たり、はいったりしていました。
生きている看板
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
又
(
また
)
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
みつけ/\のつそり
歩
(
ある
)
いて
戸口
(
とぐち
)
の
閾
(
しきゐ
)
へ
暫
(
しばら
)
く
乘
(
の
)
つてずつと
延
(
の
)
ばした
首
(
くび
)
を
少
(
すこ
)
し
傾
(
かたむ
)
けて
卯平
(
うへい
)
を
見
(
み
)
てついと
座敷
(
ざしき
)
へ
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
二人
(
ふたり
)
は
默
(
だま
)
る。
厨房
(
くりや
)
からダリユシカが
鈍
(
にぶ
)
い
浮
(
う
)
かぬ
顏
(
かほ
)
で
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て、
片手
(
かたて
)
で
頬杖
(
ほゝづゑ
)
を
爲
(
し
)
て、
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かうと
戸口
(
とぐち
)
に
立留
(
たちどま
)
つてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
眞箇
(
ほんと
)
にそんなでした。
愛
(
あい
)
ちやんは
今
(
いま
)
僅
(
わず
)
か一
尺
(
しやく
)
あるかなしの
身長
(
せい
)
になつたので、これなら
其
(
その
)
美
(
うつく
)
しい
花園
(
はなぞの
)
に
此
(
この
)
小
(
ちひ
)
さな
戸口
(
とぐち
)
から
拔
(
ぬ
)
けて
行
(
ゆ
)
かれると
思
(
おも
)
つて、その
顏
(
かほ
)
は
嬉
(
うれ
)
しさに
輝
(
かゞや
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
さわぎは
黒馬旅館
(
くろうまりょかん
)
の中だけではなかった。このごろアイピング村では、日が暮れるがはやいか人びとは、しっかりと
戸口
(
とぐち
)
の
錠
(
じょう
)
をかけ、いつまでも
寝
(
ね
)
ないでいる子どもにむかって
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
降
(
お
)
りるのを待ち兼ねて、与次郎は美禰子を西洋
間
(
ま
)
の
戸口
(
とぐち
)
の所へ
連
(
つ
)
れて来た。
車力
(
しやりき
)
の
卸
(
おろ
)
した書物が一杯積んである。三四郎が其
中
(
なか
)
へ、向ふむきに
跼
(
しや
)
がんで、しきりに何か読み始めてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
年とった女の人たちは
戸口
(
とぐち
)
にすわって、
紡車
(
つむぎぐるま
)
をつかわずに、ただ一本の糸まき
竿
(
ざお
)
で、糸をつむいでいました。
商店
(
しょうてん
)
は、ちょうど
露店
(
ろてん
)
のようなぐあいに、通りにむかって開いていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
三人が樽ロケットをでると、この大きな部屋の一方に
戸口
(
とぐち
)
ができていた。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は、もはや、こうして、じっとして、
家
(
いえ
)
の
中
(
なか
)
にすわっていることができなかった。それで、
戸口
(
とぐち
)
から
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
ました。
春
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二人
(
ふたり
)
は
黙
(
だま
)
る。
厨房
(
くりや
)
からダリュシカが
鈍
(
にぶ
)
い
浮
(
う
)
かぬ
顔
(
かお
)
で
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
片手
(
かたて
)
で
頬杖
(
ほおづえ
)
をして、
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
こうと
戸口
(
とぐち
)
に
立留
(
たちどま
)
っている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
女は顔を
背
(
そむ
)
けた。
二人
(
ふたり
)
共
戸口
(
とぐち
)
の方へ
歩
(
ある
)
いて
来
(
き
)
た。
戸口
(
とぐち
)
を
出
(
で
)
る拍子に
互
(
たがひ
)
の肩が触れた。男は急に汽車で乗り合はした女を思ひ
出
(
だ
)
した。美禰子の
肉
(
にく
)
に
触
(
ふ
)
れた所が、
夢
(
ゆめ
)
に
疼
(
うづ
)
く様な心持がした。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
通路の正面の
扉
(
とびら
)
があいている。そこを入ると、戸口が見える。その
戸口
(
とぐち
)
もあいていた。そして、あけかかった空を背にして、雪山がひどくかたむいていた戸口までいくと、はっきり事情がわかった。
氷河期の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
町
(
まち
)
の
人々
(
ひとびと
)
は、
戸口
(
とぐち
)
へ
出
(
で
)
てみると、
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
って
歩
(
ある
)
いているのは
李
(
り
)
さんです。
背中
(
せなか
)
に
大
(
おお
)
きな
紙
(
かみ
)
を
下
(
さ
)
げていました。それには
クラリネットを吹く男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
アンドレイ、エヒミチは
戸口
(
とぐち
)
の
所
(
ところ
)
に
進
(
すす
)
んで、
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けた。するとニキタが
躍上
(
おどりあがっ
)
て
来
(
き
)
て、その
前
(
まえ
)
に
立塞
(
たちふさが
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
伯父
(
おぢ
)
は振り向きもせず、矢張り
傘
(
かさ
)
を
差
(
さ
)
した儘、
旅宿
(
やど
)
の
戸口
(
とぐち
)
迄
来
(
き
)
て、
格子
(
こうし
)
を
開
(
あ
)
けて
中
(
なか
)
へ
這入
(
はいつ
)
た。さうして格子をぴしやりと
締
(
し
)
めて、
中
(
うち
)
から、長井
直記
(
なほき
)
は拙者だ。何御用か。と聞いたさうである。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
だんだんと
語勢
(
ごせい
)
を強くして、博士は手をあげ、
戸口
(
とぐち
)
を指した。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しばらく、
戸口
(
とぐち
)
に
立
(
た
)
って、
見送
(
みおく
)
っていたおじいさんは
自分
(
じぶん
)
にも、あちらでせがれの
結婚
(
けっこん
)
した
嫁
(
よめ
)
のあることを
思
(
おも
)
いました。
とうげの茶屋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“戸口”の意味
《名詞》
(ここう)戸数と人口。
とぐち 参照。
(出典:Wiktionary)
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“戸口”で始まる語句
戸口番