ぷん)” の例文
しかるに、不思議ふしぎなことには、むらに二つ時計とけいがありましたが、どうしたことか、二つの時計とけいやく三十ぷんばかり時間じかんちがっていました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
海戰かいせん午前ごぜん三十ぷんはじまつて、東雲しのゝめころまでをはらなかつた。此方こなた忠勇ちうゆう義烈ぎれつ日本軍艦につぽんぐんかんなり、てき世界せかいかくれなき印度洋インドやう大海賊だいかいぞく
後世こうせい地上ちじやうきたるべき善美ぜんびなる生活せいくわつのこと、自分じぶんをして一ぷんごとにも壓制者あつせいしや殘忍ざんにん愚鈍ぐどんいきどほらしむるところの、まど鐵格子てつがうしのことなどである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぷんとかからないうちに矢のようにこの町を飛びすぎるのを見たが、二度目に見たときにはもうほとんど見えなくなってしまった。
きよそれからすぐきた。三十ぷんほどつて御米およねきた。また三十ぷんほどつて宗助そうすけつひきた。平常いつも時分じぶん御米およねつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
が、しばらくすると中根なかねはなしにもきがた。そして、三十ぷんたないうちにまた兵士達へいしたち歩調ほてうみだれてた。ゐねむりがはじまつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
をつむつて、みゝおさへて、發車はつしやつのが、三ぷん、五ふん、十ぷん十五ふん——やゝ三十ぷんぎて、やがて、驛員えきいん不通ふつう通達つうたついたときは!
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると恐しい苦痛がわしの心を、赤熱した釘抜のやうにさいなみはじめた。一ぷん一分が、わしには一秒であると共に又一世紀であるやうに思はれた。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
隨分ずゐぶんながたされたとおもつたが實際じつさいは十ぷんぐらゐで熱海あたみからの人車じんしや威勢ゐせい能く喇叭らつぱきたてゝくだつてたのでれちがつて我々われ/\出立しゆつたつした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そでを通しながらも、笑ったり、ふざけたりした。けれども、ママはもうその相手あいてをしているひまが一ぷんもなかったので、いそいで出て行ってしまった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
この実験じっけんは一ぷんもはやく完成かんせいさせなくてはならんのだ。じゃまがはいるとひどくめいわくするんだ。ドアがあく音がするだけでも気がちってこまる。
或る者は入江伝いに海の方へゆき、或る者は丘を斜に横切ってゆきなどして、半ぷんとたたないうちに彼等の影も見えなくなり、ピューだけが残された。
そこで諭吉ゆきちは、三十ぷんばかりかんがえているうちに、ちゃんとわかってきたので、島村しまむらにせつめいしてやりますと
井戸ゐどくるまにてつなながさ十二ひろ勝手かつて北向きたむきにて師走しはすそらのからかぜひゆう/\とふきぬきのさむさ、おゝえがたとかまどまへなぶりの一ぷんは一にのびて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先生から押しつけられた植物学は十ぷんも運動場ではね回った後には、もうすっかり忘れてしまうかもしれないが
さるかに合戦と桃太郎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
わたし老人ろうじんには、そのときつたきりですけど、どうもになつてなりません。それで、帰宅後きたくご三十ぷんほどしてから、老人ろうじんうちつてたのですが、……
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
『さうらしいのよ』とつてあいちやんは、『でも、習慣しふくわんになつてしまつておぼえてられないわ——だッて、十ぷんかんまつたおなおほきさでられないのですもの』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ぷんの休憩時間がしいくらいに早くたってしまう。ありがたいのは雨の日の昼休みだ。天下晴れて語りあう。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ヂュリ (樓上より)おまへもういなしますか? あゝ、戀人こひびとよ、殿御とのごよ、わがつまよ、戀人こひびとよ! きっと毎日まいにち消息たよりしてくだされ。これ、一ときも百にちなれば、一ぷんも百にちぢゃ。
誰しも朝の出勤時間の、遲くなるなら格別、一ぷんたりとも早くなるのを喜ぶ人は無いと見える。自分は? 自分と雖ども實は、幾年來の習慣で朝寢が第二の天性となって居るので……
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分は一ぷんもちがわず時間どおりにおきるが、けっして朋輩ほうばいをおこさない。それでいまだに一度もわらったこともない。したがって人がどんなことしようと、それにいっこう頓着とんちゃくもせぬ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
部屋の前を通越とおりこして台所へ行くか、それとも万一ひょっと障子がくかと、成行なりゆきを待つの一ぷんに心の臓を縮めていると、驚破すわ、障子がガタガタと……きかけて、グッとつかえたのを其儘にして
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
此処こゝでさん/″\たせられて、彼此かれこれ三四十ぷん暗黒くらやみなかつたのちやうや桟橋さんばしそとることが出来できた。したのはかたばかりのちひさな手荷物てにもつで、おほきなトランクは明朝みやうてうりにいとのことだ。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
その他、ニューヨーク市では、「一ぷん早ければ一にん多くたすかる」
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
この労働にささげない一ぷんは、むだな一ぷんだというふうに。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「もう、十ぷんでございます。」と答えた。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
毎食後まいしよくご三十ぷん白湯さゆにてもちゆかね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
ぷんぷんなまめいて滑りゆくには
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ぷんにならるるよめ仕合しあはせ 利牛
民族的記憶の名残 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
出発しゆつぱつしてから一ぷんべう
後世こうせい地上ちじょうきたるべき善美ぜんびなる生活せいかつのこと、自分じぶんをして一ぷんごとにも圧制者あっせいしゃ残忍ざんにん愚鈍ぐどんいきどおらしむるところの、まど鉄格子てつごうしのことなどである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すべて、海上かいじやう規則きそくでは、ふね出港しゆつかうの十ぷん乃至ないし十五ふんまへに、船中せんちうまは銅鑼どらひゞききこゆるととも本船ほんせん立去たちさらねばならぬのである。
三四郎は一ぷんかゝらぬうちに追付いた。追付いてもだれも何とも云はない。只あるした丈である。しばらくすると、美禰子が
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わがともなる——そのが、みづからわたしはなした——のおはなしをするのに、ねんのため時間表じかんへうつてると、奥州おうしう白河しらかはいたのはよるの十二二十四ぷんで——
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それで、三十ぷんあまりも、二つの時計とけい時間じかんちがっていましたから、まえあつまったものは、あとからきたものにたいして、たされた小言こごとをいいました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
井戸は車にて綱の長さ十二ひろ、勝手は北向きにて師走しはすの空のから風ひゆうひゆうと吹ぬきの寒さ、おお堪えがたとかまどの前に火なぶりの一ぷんは一にのびて
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女王樣ぢよわうさまたゞ彼等かれらが一ぷんでもおくれゝば、れが彼等かれら生命いのちかゝはつてるとふことだけを注意ちういされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『さうともかぎりませんが熱海あたみおそくなると五ふんや十ぷん此處こゝたされるのです。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かげ名誉めいよたすかった。もう出発しゅっぱつしましょう。こんな不徳義ふとくぎきわまところに一ぷんだってとどまっていられるものか。掏摸すりども墺探おうたんども
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
自然の情あひからながれる相互の言葉が、無意識のうちに彼等を駆つて、じゆん縄のらつみ超えさせるのは、いま二三ぷんうちにあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
弦月丸げんげつまる運命うんめい最早もはやぷん、二ふん甲板かんぱんにはのこ一艘いつそう端艇たんていい、くなりては今更いまさらなにをかおもはん、せめては殊勝けなげなる最後さいごこそ吾等われらのぞみである。
いつもなら、十五ふんぐらいでかえれるのに、三十ぷんあまりもかかって、やっともんにはいったのです。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるさくらにぎわひよりかけて、なき玉菊たまぎく燈籠とうろうころ、つゞいてあき新仁和賀しんにわがには十ぷんかんくるまこと此通このとほりのみにて七十五りようかぞへしも、二のかわりさへいつしかぎて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かげ名譽めいよたすかつた。もう出發しゆつぱつしませう。這麼不徳義こんなふとくぎきはまところに一ぷんだつてとゞまつてゐられるものか。掏摸すりども墺探あうたんども
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二三ぷん火鉢ひばちたれてかんがへてゐたが、やがてがつて、小六ころくからおこしにゝつた。つぎきよおこした。二人ふたりともおどろいてきた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、三びきありは、あかうつくしい目指めざしてのぼっていきました。三十ぷんともたたないうちです。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
五六ぷんして、代助はあにともに自分の席にかへつた。佐川のむすめを紹介される迄は、あにの見え次第げる気であつたが、いまでは左様さう不可いかなくなつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ははあ、きみのと三ぷんちがっているが、どっちがただしいんだかな。」と、正二しょうじくんが、いいました。
正二くんの時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道々みち/\も一ぷん絶間たえまもなくしやべつゞけて、カフカズ、ポーランドを旅行りよかうしたことなどをはなす。さうして大聲おほごゑ剥出むきだし、夢中むちゆうになつてドクトルのかほへはふツ/\といき吐掛ふつかける、耳許みゝもと高笑たかわらひする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
晩食ばんしよくかたむけたさけいきほひが、まだほゝうへしてゐるごとおもはれた。宗助そうすけもら烟草たばこをして二三十ぷんばかりはなしてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)