唯今たゞいま)” の例文
軒下のきした少々せう/\拝借はいしやくいたします……きましてわたくし新入しんまい乞食こじきでございまして唯今たゞいま其処そこころびましてな、足を摺破すりこはしまして血が出て困りますが
いゝえ、お知己ちかづきでも、お見知越みしりごしのものでもありません。眞個まつたく唯今たゞいま行違ゆきちがひましたばかり……ですから失禮しつれいなんですけれども。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
賓頭盧尊者びんづるそんじやざうがどれだけたつといものかぞんぜずにいたしたことゝえます。唯今たゞいまではくりや僧共そうども食器しよくきあらはせてをります。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
つぎまをしたいのは責任せきにんみづからるといふのてんであります。英學塾えいがくじゆく寄宿舍きしゆくしやには唯今たゞいま五十めいらずの生徒せいとます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
瓦廻かはらまわしをる、鞦韆飛ぶらんことびる、石ぶつけでも、相撲すまふでも撃剣げきけん真似まねでも、悪作劇わるいたずらなんでもすきでした、(もつと唯今たゞいまでもあまきらひのはうではない)しかるに山田やまだごく温厚おんこう
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
支度したくとても唯今たゞいま有樣ありさま御座ございますからとて幾度いくたびことはつたかれはせぬけれど、なにしうとしうとめのやかましいがるではし、わししくてわしもらふに身分みぶんなにことはない
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
是非ぜひともけてかなければならない緑門アーチがあるとふものだわ——わたし唯今たゞいま女王樣ぢよわうさま針鼠はりねずみ蹴鞠けまりをしやうとしたの、さうしたら、それがわたしるのをげてしまつてよ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
短歌たんかは、唯今たゞいまでは一般いつぱんに、うたといつてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
失禮しつれい唯今たゞいま。」とかべなかに、さわやかわかこゑして、くゞもんがキイとくと、てふのやうに飜然ひらりて、ポンと卷莨まきたばこはひおとす。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「はあ」とつて、りよ二足ふたあし三足みあしあるいてからうた。「それから唯今たゞいま寒山かんざんおつしやつたが、それはどうかたですか。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
エヽ唯今たゞいま町人ちやうにんまゐりまして、塩餡しほあんれへとまうしますが如何いかゞつかまつりませう。殿「れろといふならやるがい。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
燈火あかりわたし唯今たゞいまけたので御座ござんす、まこといままでお留守居るすいをしてましだのなれど、うちのやんちやが六ツかしやをふに小言こごといふとてけました、御親造ごしんぞ今日けふ晝前ひるまへ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
貴女あなた、一けん、あのおとなりさんが、へんなことをふんですよ。唯今たゞいまうしたんですか、きふに、おもひもけない、わる容體ようだいにおかはんなすつたんですがね。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
帳塲ちやうば女主あるじもかけして唯今たゞいまありがたうと同音どうおん御禮おれいたのんでいたくるましとて此處こゝからしてせば、家中うちゞうおもておくしておいでまちまするの愛想あいさう御祝儀ごしうぎ餘光ひかりとしられて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにかくさう、唯今たゞいま雲行くもゆきに、雷鳴らいめいをともなひはしなからうかと、氣遣きづかつたところだから、土地とち天氣豫報てんきよはうの、かぜはれ、に感謝かんしやへうしたのであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日けふよりすぐにおまをしまする、敷金しきゝん唯今たゞいまいてまゐりまして、引越ひきこしはこの夕暮ゆふぐれ、いかにも急速きふそくでは御座ござりますが直樣すぐさま掃除さうぢにかゝりたう御座ござりますとて、なん仔細しさいなく約束やくそくはとゝのひぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見舞みまひはお見合みあはせくだされたく、差繰さしくつてまをすやうながら、唯今たゞいまにもおくださること当人たうにんよくぞんじ、とく貴兄きけいたいしては……とおもむきであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのうら骨髓こつずいとほりてそれよりの目横めよこにかさかにか、女髮結をんなかみゆひとめらへて珍事ちんじ唯今たゞいま出來しゆつたいかほつきに、れい口車くちぐるまくる/\とやれば、この電信でんしん何處いづくまでかゝりて、一てうごと風説うはさふとりけん
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
眞個ほんとうつてください。唯今たゞいまひましたやうに、遺失おとすのを、なんだつてそんなに心配しんぱいします。たゞひとれるのが可恐おそろしいんでせう。……なにわたしかまはない。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おどりにみやうゆきといふ美形びけい唯今たゞいまのお座敷ざしきにておこめのなりますはと至極しごくあどけなきことまをすとも、もとは此所こゝ卷帶黨まきおびづれにてはながるたの内職ないしよくせしものなり、評判ひやうばん其頃そのころたかるもの日々ひゞうとければ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御苦労ごくらう御苦労ごくらうまこと御骨折ごほねをりけて誰方どなたにも相済あひすまん。が、御心配ごしんぱいにはおよばんのだ。——おきなさい、行衛ゆくゑれなかつた家内かないは、唯今たゞいま所在ありかわかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なみだはらつて——唯今たゞいま鸚鵡あうむこゑは、わたくし日本につぽん吹流ふきながされて、うしたります、船出ふなで夜中よなかに、歴然あり/\きました……十二一重じふにひとへはかまさせられた
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯今たゞいまはなしをする、……わたし出會であひましたのは、うもにはつくつた大池おほいけつたらしい。もつとも、居周圍ゐまはりはしらあとらしいいしずゑ見當みあたりません。が、それとてもうもれたのかもれません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はい唯今たゞいまあの爺様ぢいさんが、やうまをしましたやうにぞんじますが、夫人おくさまでございますか。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十六七ねんぎました。——唯今たゞいま鯖江さばえ鯖波さばなみ今庄いましやうえきが、れいおときこえた、なか河内かはち芽峠めたうげ尾峠をたうげを、前後左右ぜんごさいうに、たかふかつらぬくのでありまして、汽車きしやくもうへはしります。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
づおまをすが、唯今たゞいまさかの、われらが片寄かたよつて路傍みちばたちました……崖下がけしたに、づら/\となぞへにならびました瓦斯燈がすとうは、幾基いくだいところあかりいて、幾基いくだいところえてります。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何心なにごころなく、はしを、キリ/\と、手許てもとへ、しぼると、蜘蛛くものかはりにまぼろしあやつて、脈々みやく/\として、かほでたのは、薔薇ばらすみれかとおもふ、いや、それよりも、唯今たゞいまおもへば、先刻さつきはなにほひです
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
淺草邊あさくさへん病人びやうにん見舞みまひに、あさのうちかけた家内かないが、四時頃よじごろ、うすぼんやりして、唯今たゞいまかへつた、見舞みまひつてた、病人びやうにんきさうな重詰ぢうづめものと、いけばなが、そのまゝすわつたまへかけのそばにある。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯今たゞいまおびれたをさないのの、じつたものにると、おほかみとも、とらとも、おにとも、ともわからない、すさまじいつらが、ずらりとならんだ。……いづれも差置さしおいた恰好かつかう異類いるゐ異形いぎやうさうあらはしたのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ですが、可厭いやむしいてる、と唯今たゞいまうかゞひましたから。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
先生せんせい。……おくさんは。……唯今たゞいまかへりました。」
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯今たゞいまではいたみますばかりになりました。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「へーい、唯今たゞいま。」
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「はい、唯今たゞいま。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)