まめ)” の例文
それは畑のまめの木の下や、林のならの木の根もとや、また雨垂あまだれの石のかげなどに、それはそれは上手に可愛かあいらしくつくってあるのです。
カイロ団長 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ああ。わかった。わたしは、あのくわをつくるときに、こめや、まめが、たくさんみのってくれるようにとばかりおもっていた。それだからだ。」
おじいさんとくわ (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、三十分とはたたないうちに、みんなははいのなかからすっかりまめつぶをひろいだして、またおもてへとびだしていきました。
三四郎は「えゝ、難有ありがとう、御蔭さまで」と云ふ様な事を真面目まじめに答へながら、したを向いて、御猪口おちよくの葡萄まめをしきりに突つつき出した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「どうしたつけ、昨日きのふまめはそんでもたんと收穫れた割合わりえゝだつけが」おつたがなぞのやうにいつても勘次かんじさらにはき/\といはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのくるま手長蜘蛛てながぐもすね天蓋てんがい蝗蟲いなごはねむながい姫蜘蛛ひめぐもいと頸輪くびわみづのやうなつき光線ひかりむち蟋蟀こほろぎほねその革紐かはひもまめ薄膜うすかは
見得みえかまはずまめなりくりなりつたをべてせておれ、いつでも父樣とゝさんうわさすること、出世しゆつせ出世しゆつせ相違さうゐなく、ひと立派りつぱなほど
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、ひと途端とたんに、ぱちぱちまめおとがして、ばら/\と飛着とびついた、棕櫚しゆろあかいのは、幾千萬いくせんまんともかずれないのみ集團かたまりであつたのです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが人間はついに、われからそのごうかまとして、自分も他人も、煮え立つ釜中ふちゅうまめとしてしまった。——天下騒然
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひきおにはこのこえおどろいて、よくますと、あしもとにまめつぶのような小男こおとこが、いばりかえって、つッっていました。おにはからからとわらいました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ある午後ごゞ。ぱちツと不思議ふしぎをとがしました。さやけたのです。まめみゝをおさえたなり、べたにころげだしました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
またいはには、青紫あをむらさきのちしまぎきょう、いはぎきょう、はな白梅はくばいて、まめのようにあつぼつたいいはうめ、鋸齒のこぎりばのある腎臟形じんぞうがた根元ねもとして
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
子供達は、不思議な風琴のキイをいじくっていた。ヴウ! ヴウ! この様に、時々風琴は、突拍子とっぴょうしな音を立てて肩をゆする。すると、子供達はまめのようにはじけて笑った。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
も知っていた舌切雀したきりすずめ、お宿はどこじゃなどもその一つの場合であり、東北ではまめばなしなどといって、座頭ざとうがよく人を笑わせた大話おおばなしも、是から導かれているようだ。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いちばん頂辺てっぺんにまで出ると、はるかサンピイドロの海が眼下にかすみ、沖にはキャバレエになっているという豪華船ごうかせん——当時は禁酒法ドライでしたから——がまめのように、ちいさい。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
縁邊えんがはにはまめふるぼけた細籠ざるいれほしてある、其横そのよこあやしげな盆栽ぼんさいが二はちならべてありました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
荻生徂徠おぎゅうそらいまめんで古人を罵るのを快としている。わたしは彼の煎り豆を噛んだのは倹約の為と信じていたものの、彼の古人を罵ったのは何の為か一向わからなかった。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
フランスまめのスープ 冬付録 病人の食物調理法の「第三十二 仏蘭西豆ふらんすまめのスープ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
まめしぼりの手ぬぐいをほおかむりにして、歌もうたわずただもくもく掃除そうじしている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そして、その写真を二枚の小さなレンズのあいだにはさんだのが、そのガラス玉です。まめ写真は、とても肉眼では見えないのですけれど、ガラス玉がレンズになって、大きく見えるのですよ。
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
玄子げんしとははやしりて、えだきたり、それをはしらとして畑中はたなかて、日避ひよけ布片きれ天幕てんとごとり、まめくきたばにしてあるのをきたつて、き、其上そのうへ布呂敷ふろしきシオルなどいて
稻荷いなりさまは五穀ごこくかみまつつたものですとか。五穀ごこくとはなんなんでせう。こめに、むぎに、あはに、きびに、それからまめです。あは粟餅あはもちあはきびはお前達まへたちのお馴染なじみ桃太郎もゝたらうこしにさげて黍團子きびだんごきびです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「マタンちゃん。どうしましょう。あたしの足が、すこしずつ大きくなるのに、あの木ぐつは、大きくなってくれません。きのうもがまんして、教会まではいていきましたら、まめつぶが二つ、できてしまいました。」
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
蒼渺さうべうたる水平線上すいへいせんじやうまめのやうになつてつた。
「おばあ、まめっといておくれ」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
あられをおくれまめおくれ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あかまめ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
かもめは、みやこでは、はとがみんなにかわいがられて、子供こどもらからまめをもらって、平和へいわにそのあそらしていることをはなしました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それじゃ、一時間のうちに、はいのなかから、おまめをふたつのおさらにいっぱいひろいだせたら、いっしょにつれてってやるよ。」
それですからこの派の人たちはバターやチーズもまめからこしらえたり、又菜食病院というものを建てたり、いろいろなことをしています。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まあだなんちつてもさや本當ほんたうふくれねえんだから、ほんのまめかたちしたつちくれえなもんだべな、そりやさうとまめはえゝまめだな、甘相うまさうでなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
令史れいしいへ駿馬しゆんめあり。無類むるゐ逸物いちもつなり。つね愛矜あいきんして芻秣まぐさし、しきりまめましむれども、やせつかれて骨立こつりつはなはだし。擧家きよかこれをあやしみぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だからおまえたちもこれからこころれかえて分相応ぶんそうおうに、ひとてたもののこりや、たわらからこぼれたおこめまめひろって、いのちをつなぐことにしてはどうだ。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
自分でいて来たのだと云って、作が足を洗っているに、母の単衣ひとえ箪笥たんすから出したり、それを旅行着と着換えさせたりなどして、元の千代子の通りまめやかにふるまった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小屏風こびょうぶのかげに、銀のらしをつけた切燈台きりとうだいが、まめほどな灯明ほあかりを立てていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞ折々をり/\きこゆるものは豌豆ゑんどうさやあつい日にはじけてまめおとか、草間くさまいづみ私語さゝやくやうな音、それでなくばあきとり繁茂しげみなか物疎ものうさうに羽搏はゞたきをする羽音はおとばかり。熟過つえすぎ無花果いちじくがぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「ねえ、私、ちぬ子さんにいいお土産みやげを持って行こうと思うのよ」そう云って彼女が台所の流し場を指差したのを見ると、西洋種の紅いまめの花や、たばの大きい矢車草がぞっぷりと水につけられていた。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
まめはたけにみいさんと
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
さやなかまめ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あかまめ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
だれが、そのあいだにやってきてもあわないつもりで、ぐちかためた。そして、まめふくろからして、熱心ねっしんかぞえはじめました。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、わざとまめつぶをはいのなかにぶちまけては、女の子がいやでもすわって、それをひろいださなければならないようにしむけるのでした。
そして私たちは野原でわかれて私は大威張おおいばりで家に帰ったのです。すると兄さんがまめたたいていましたが笑って言いました。
(新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まじへてくすんだきたなさやしろれて薄青うすあをいつやゝかなまめつぶ威勢ゐせいよくしてみんなからしたもぐんでしまふ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まめもち草餅くさもち砂糖餅さたうもち昆布こんぶ切込きりこみたるなど色々いろ/\もちき、一番いちばんあとのうすをトンととき千貫せんぐわん萬貫まんぐわん萬々貫まん/\ぐわん、とどつ喝采はやして、かくいちさかゆるなりけり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むかし、むかし、あるいえのおくらの中に、おこめって、むぎって、あわって、まめって、たいそうゆたかにらしているおかねちのねずみがんでおりました。
ねずみの嫁入り (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひるならばいうまでもなく、甲州盆地こうしゅうぼんちはそこから一ぼうのうちに見わたされて、おびのごとき笛吹川ふえふきがわ、とおい信濃境しなのざかいの山、すぐ目の下には城下じょうかの町や辻々つじつじの人どおりまでが、まめつぶのごとく見えるであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまえさんの大好だいすきなこめも、まめも、きびも、どこの野原のはらにもたくさんあるじゃありませんか。なぜ、それをってべないのです。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのなかのいちばん大きいのは、世界せかいでいちばん大きいとうぐらいもふとくて大きく、いちばん小さいのは台所だいどころまめろうそくぐらいしかありませんでした。
(お前さま今夜ほうのきさほとけさんおがみさ行ぐべ。)おみちがぜんの上にまめもちさらきながらった。(うん、うな行っただがら今年ぁいいだなぃがべが。)
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)