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時分
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じぶん
ふりがな文庫
“
時分
(
じぶん
)” の例文
だから、
小僧
(
こぞう
)
がものをいう
時分
(
じぶん
)
には、
耳
(
みみ
)
たぶが
赤
(
あか
)
くなって、
平生
(
へいぜい
)
でさえ、なんとなく、そのようすがあわれに
見
(
み
)
られたのであります。
初夏の不思議
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
Kさんのその
時分
(
じぶん
)
の
歌
(
うた
)
に、わがはしやぎし心は
晩秋
(
ばんしう
)
の
蔓草
(
つるくさ
)
の
如
(
ごと
)
くから/\と
空鳴
(
からな
)
りするといふやうな
意
(
こゝろ
)
があつたやうに
覺
(
おぼ
)
えてゐます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
這麼老朽
(
こんならうきう
)
な
體
(
からだ
)
は
死
(
し
)
んでも
可
(
い
)
い
時分
(
じぶん
)
だ、とさう
思
(
おも
)
ふと、
忽
(
たちま
)
ち
又
(
また
)
何
(
なん
)
やら
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
で
聲
(
こゑ
)
がする、
氣遣
(
きづか
)
ふな、
死
(
し
)
ぬ
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうな。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
夕月夜
(
ゆふづくよ
)
といふのは
夕月
(
ゆふづき
)
の
夜
(
よ
)
といふことでなく、
月夜
(
つきよ
)
は
月
(
つき
)
のことです。で、
夕月
(
ゆふづき
)
の
頃
(
ころ
)
といふと、
新月
(
しんげつ
)
の
出
(
で
)
た
時分
(
じぶん
)
といふことになります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
陸路を威勢よく走って運ばれたものであろうが、それにしても日本橋の
魚河岸
(
うおがし
)
に着く
時分
(
じぶん
)
は、もはや新鮮ではあり得なかったろう。
いなせな縞の初鰹
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
▼ もっと見る
粗
(
ざつ
)
と
水
(
みづ
)
に
漬
(
つ
)
けて、ぐいと
絞
(
しぼ
)
つて、
醤油
(
しやうゆ
)
で
掻𢌞
(
かきまは
)
せば
直
(
す
)
ぐに
食
(
た
)
べられる。……
私
(
わたし
)
たち
小學校
(
せうがくかう
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
時分
(
じぶん
)
に、
辨當
(
べんたう
)
の
菜
(
さい
)
が、よく
此
(
これ
)
だつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そうして、町の中に、こんなに
電信柱
(
でんしんばしら
)
やなにかが立たなかった
時分
(
じぶん
)
には、東京でも、どんなに大きな
凧
(
たこ
)
を上げたかを話したりして
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
とうとうお
釜
(
かま
)
が上まで
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
に
焼
(
や
)
けました。その
時分
(
じぶん
)
には、
山姥
(
やまうば
)
もとうにからだ
中
(
じゅう
)
火
(
ひ
)
になって、やがて
骨
(
ほね
)
ばかりになってしまいました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一
(
ひ
)
と
口
(
くち
)
に
申
(
もう
)
したらその
時分
(
じぶん
)
の
私
(
わたくし
)
は、
消
(
き
)
えかかった
青松葉
(
あおまつば
)
の
火
(
ひ
)
が、プスプスと
白
(
しろ
)
い
煙
(
けむり
)
を
立
(
たて
)
て
燻
(
くすぶ
)
っているような
塩梅
(
あんばい
)
だったのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
極端な例をいうと、女房に
檀那取
(
だんなと
)
りをさせている男さえあるからな。土地会社の
時分
(
じぶん
)
外交員に野島という
丈
(
せい
)
の高い
出歯
(
でっぱ
)
の男がいたろう。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
或
(
ある
)
ひは
娘共
(
むすめども
)
が
仰向
(
あふむけ
)
に
臥
(
ね
)
てゐる
時分
(
じぶん
)
に、
上
(
うへ
)
から
無上
(
むしゃう
)
に
壓迫
(
おさへつ
)
けて、つい
忍耐
(
がまん
)
する
癖
(
くせ
)
を
附
(
つ
)
け、
難
(
なん
)
なく
強者
(
つはもの
)
にしてのくるも
彼奴
(
きゃつ
)
の
業
(
わざ
)
。
乃至
(
ないし
)
は……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
今日
(
こんにち
)
の
二人
(
ふたり
)
の境界は其
時分
(
じぶん
)
とは、大分
離
(
はな
)
れて
来
(
き
)
た。さうして、其離れて、
近
(
ちか
)
づく
路
(
みち
)
を見出し
悪
(
にく
)
い事実を、双方共に腹の
中
(
なか
)
で心得てゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
床屋
(
とこや
)
の
伝吉
(
でんきち
)
が、
笠森
(
かさもり
)
の
境内
(
けいだい
)
へ
着
(
つ
)
いたその
時分
(
じぶん
)
、
春信
(
はるのぶ
)
の
住居
(
すまい
)
で、
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
急病
(
きゅうびょう
)
を
聞
(
き
)
いたおせんは
無我夢中
(
むがむちゅう
)
でおのが
家
(
いえ
)
の
敷居
(
しきい
)
を
跨
(
また
)
いでいた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そして、三月になって熱海の梅が散る
時分
(
じぶん
)
になって、喜美代の母親の病気が癒ったので、その間に結婚式をあげようと云うことになった。
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
父
(
とう
)
さんの
田舍
(
ゐなか
)
では、
夕方
(
ゆふがた
)
になると
夜鷹
(
よたか
)
といふ
鳥
(
とり
)
が
空
(
そら
)
を
飛
(
と
)
びました。その
夜鷹
(
よたか
)
の
出
(
で
)
る
時分
(
じぶん
)
には、
蝙蝠
(
かうもり
)
までが一
緒
(
しよ
)
に
舞
(
ま
)
ひ
出
(
だ
)
しました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
われ/\は
子供
(
こども
)
の
時分
(
じぶん
)
には
然
(
し
)
か
教
(
をし
)
へられた。
最初
(
さいしよ
)
の
地震
(
ぢしん
)
を
感
(
かん
)
じたなら、
搖
(
ゆ
)
り
戻
(
もど
)
しの
來
(
こ
)
ない
中
(
うち
)
に
戸外
(
こがい
)
へ
飛出
(
とびだ
)
せなどと
戒
(
いまし
)
められたものである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
それで自分の生涯を顧みてみますれば、まだ外国語学校に通学しておりまする
時分
(
じぶん
)
にこの詩を読みまして、私も
自
(
おのず
)
から同感に
堪
(
た
)
えなかった。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
夫
(
それ
)
がいけないので、
私
(
わつし
)
は
子供
(
こども
)
の
時分
(
じぶん
)
から、人の見て
居
(
ゐ
)
る
前
(
まい
)
では物は
喰
(
く
)
はれない
性分
(
しやうぶん
)
ですから、
何卒
(
どうぞ
)
帰
(
かへ
)
つて下さい、お願ひでございますから。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし
汽車
(
きしや
)
はその
時分
(
じぶん
)
には、もう
安安
(
やすやす
)
と
隧道
(
トンネル
)
を
辷
(
すべ
)
りぬけて、
枯草
(
かれくさ
)
の
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
との
間
(
あひだ
)
に
挾
(
はさ
)
まれた、
或
(
ある
)
貧
(
まづ
)
しい
町
(
まち
)
はづれの
踏切
(
ふみき
)
りに
通
(
とほ
)
りかかつてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ありがとうございます。就きましては、もう
時分
(
じぶん
)
どきでございますから、ほんのお口よごしでございますが召し上がって頂きとう存じます」
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「四百両か! その
時分
(
じぶん
)
と
今
(
いま
)
とは物価が違っているから、四百両では行くまいな。
伊東出雲
(
いとういずも
)
にきくと、あいつの時は、千二百両かかったそうだ」
吉良上野の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から、
私
(
わたくし
)
は
朝
(
あさ
)
は
東雲
(
しのゝめ
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い
時分
(
じぶん
)
から、
夕
(
ゆふべ
)
は
星影
(
ほしかげ
)
の
海
(
うみ
)
に
落
(
お
)
つる
頃
(
ころ
)
まで、
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
自動鐵檻車
(
じどうてつおりのくるま
)
の
製造
(
せいぞう
)
に
從事
(
じゆうじ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
やれ
貰
(
もら
)
へと
無茶苦茶
(
むちやくちや
)
に
進
(
すゝ
)
めたてる
五月蠅
(
うるさ
)
さ、
何
(
ど
)
うなりと
成
(
な
)
れ、
成
(
な
)
れ、
勝手
(
かつて
)
に
成
(
な
)
れとて
彼
(
あ
)
れを
家
(
うち
)
へ
迎
(
むか
)
へたは
丁度
(
てうど
)
貴孃
(
あなた
)
が
御懷妊
(
ごくわいにん
)
だと
聞
(
きゝ
)
ました
時分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あの
大和
(
やまと
)
の
法隆寺
(
ほうりゆうじ
)
などの
大
(
おほ
)
きい
伽藍
(
がらん
)
が
出來
(
でき
)
た
時分
(
じぶん
)
に、
今
(
いま
)
まで
私共
(
わたしども
)
の
見
(
み
)
て
來
(
き
)
た
古墳
(
こふん
)
がなほつくられてをつたのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「何もおまへんけど、
時分
(
じぶん
)
どきだすよつて千代さん。」と、お駒が低い足附きの膳を持つて來て千代松の前に据ゑた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「さうだ、もう
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
る
時分
(
じぶん
)
だな‥‥」と、
暫
(
しばら
)
くして
私
(
わたし
)
は
遠
(
とほ
)
く
東
(
ひがし
)
の
方
(
はう
)
の
地平線
(
ちへいせん
)
が
白
(
しら
)
んで
來
(
き
)
たのに
氣
(
き
)
がついて
呟
(
つぶや
)
いた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
ですから新吉は、いなかの
鍛冶屋
(
かじや
)
にいた
時分
(
じぶん
)
よりは、もっとまっ黒けになって、朝っから夜まで、その夜も十一時から十二時
頃
(
ごろ
)
まで働きつづけました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
『まァ、そんなものサ』と
帽子屋
(
ばうしや
)
は
長太息
(
ためいき
)
して、『それは
何時
(
いつ
)
もお
茶
(
ちや
)
時分
(
じぶん
)
だ、それで、
間
(
あひだ
)
に
其器
(
そのうつは
)
を
洗
(
あら
)
ふ
時間
(
じかん
)
もない』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「三十年もまえにとび出したんだから、ひょっとすると、あなたのおかあさんがわかかった
時分
(
じぶん
)
を、知ってるかもしれませんね。おかあさんのお名前は?」
名なし指物語
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
卯平
(
うへい
)
はあんでもあれが
嚊等
(
かゝあら
)
育
(
そだ
)
つ
時分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
なんぞ
思
(
おも
)
つちや
疎末
(
そまつ
)
にや
成
(
な
)
んねえんでがすかんね、それお
内儀
(
かみ
)
さん
卯平
(
うへい
)
は
幾
(
いく
)
つに
成
(
な
)
りあんすね、わし
等
(
ら
)
だらなあに
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
聞ながら行に
行共々々
(
ゆけども/\
)
果しなく
誠
(
まこと
)
に始て江戸へ來る事なれば何と云處なるか
町
(
まち
)
の名も知れざれども
其夜
(
そのよ
)
丑刻
(
やつ
)
時分
(
じぶん
)
に或町内の路次を
開
(
ひら
)
き二人ながら内に入るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いまだからそんな
口
(
くち
)
もきけるんだ。
此
(
こ
)
の
尼
(
あま
)
つちよめ!……
貴樣
(
きさま
)
が
花
(
はな
)
だつた
時分
(
じぶん
)
ときたらな……どうだい、あの
吝嗇
(
けち
)
くせえ
小
(
ちつ
)
ぽけな、
消
(
け
)
えてなくなりさうな
花
(
はな
)
がさ。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
おかしな事には、己はあの
時分
(
じぶん
)
、
其
(
そ
)
れ
等
(
ら
)
の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な妄想を、決して妄想だとは思って居なかった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さて、わたしが、くまと、
列車
(
れっしゃ
)
の中で
大格闘
(
だいかくとう
)
をしたという話も、まあ、そんな
時分
(
じぶん
)
のことなのだ。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
といつて、やはり
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
る
時分
(
じぶん
)
になると、わざ/\
縁先
(
えんさき
)
などへ
出
(
で
)
て
歎
(
なげ
)
きます。
翁
(
おきな
)
にはそれが
不思議
(
ふしぎ
)
でもあり、
心
(
こゝろ
)
がゝりでもありますので、ある
時
(
とき
)
、そのわけを
聞
(
き
)
きますと
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
尚だ
所天
(
やど
)
がゐた
時分
(
じぶん
)
に、ほら、氣が
莎蘊
(
むしやくしや
)
することばかりなんでせう、所天はもうお金に目が眩むでゐるんですから、私が何と謂ツたツて我を
押張
(
おしは
)
ツて、
沒義道
(
もぎだう
)
な事を爲す
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
夫
(
そ
)
れが
爲
(
た
)
めに
大邊
(
たいへん
)
危險
(
きけん
)
が
有
(
あ
)
るとの
事
(
こと
)
ですが、
私
(
わたくし
)
が
田舍
(
いなか
)
に
居
(
お
)
りまする
時分
(
じぶん
)
、
之
(
これ
)
れに
就
(
つい
)
て
實見
(
じつけん
)
した
事
(
こと
)
が
有
(
あ
)
りますから、
夫
(
そ
)
れをば
申
(
まう
)
し
上
(
あ
)
げ
樣
(
よう
)
と
存
(
ぞん
)
じます、
夫
(
そ
)
れは二
歳
(
さい
)
斗
(
ばか
)
りの
子供
(
こども
)
が
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
もう十二時を打つ
時分
(
じぶん
)
でございませう。それにあなたは一日中旅をなすつたのですもの、さぞお疲れになりましたらう。よくおみ足が暖まりましたら、お
寢間
(
ねま
)
へ御案内いたしませう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
定
(
さだ
)
めし
今
(
いま
)
時分
(
じぶん
)
は
閑散
(
ひま
)
だらうと、
其
(
その
)
閑散
(
ひま
)
を
狙
(
ねら
)
つて
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると
案外
(
あんぐわい
)
さうでもなかつた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
梅
(
うめ
)
が
咲
(
さ
)
いて、
紫色
(
むらさきいろ
)
の
雑木林
(
ざふきばやし
)
の
梢
(
こずゑ
)
が、
湿味
(
うるみ
)
を
持
(
も
)
つた
蒼
(
あを
)
い
空
(
そら
)
にスク/\
透
(
す
)
けて
見
(
み
)
え、
柳
(
やなぎ
)
がまだ
荒
(
あら
)
い
初東風
(
はつこち
)
に
悩
(
なや
)
まされて
居
(
ゐ
)
る
時分
(
じぶん
)
は、
濫
(
むやみ
)
と三
脚
(
きやく
)
を
持出
(
もちだ
)
して、
郊外
(
かうぐわい
)
の
景色
(
けしき
)
を
猟
(
あさ
)
つて
歩
(
ある
)
くのであるが
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
画
(
ゑ
)
も少しは
遣
(
や
)
ると
云
(
い
)
つたやうな
多芸
(
たげい
)
の
才子
(
さいし
)
で、
学課
(
がくくわ
)
も
中以上
(
ちういじやう
)
の
成績
(
せいせき
)
であつたのは、
校中
(
かうちう
)
評判
(
ひやうばん
)
の少年でした、
私
(
わたし
)
は十四五の
時分
(
じぶん
)
はなか/\の
暴
(
あば
)
れ者で、
課業
(
くわげふ
)
の時間を
迯
(
に
)
げては
運動場
(
うんどうば
)
へ出て
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
時ならぬ
時分
(
じぶん
)
にこれはないかと、
喰
(
た
)
べものなど主婦の予算以外な注文をする夫をこらしめるためには、あとでその時の費用を
誇張
(
こちょう
)
し、また労力の
超過
(
ちょうか
)
をしめすため、そら病気でもして見せます。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
夜が來て酒倉の暗い中から
酛
(
もと
)
すり歌の
櫂
(
かい
)
の音がしんみりと
調子
(
てうし
)
をそろへて靜かな空の闇に消えてゆく
時分
(
じぶん
)
になれば赤い三日月の差し入る
幼兒
(
をさなご
)
の寢部屋の窓に青い眼をした
生膽取
(
いきぎもとり
)
の「時」がくる。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
種畜場以来
(
しゅちくじょういらい
)
この人を知ってる人の話を聞くと、
糟谷
(
かすや
)
の
奥
(
おく
)
さんは、種畜場にいた
時分
(
じぶん
)
とはほとんど
別人
(
べつじん
)
のようにおもざしが
変
(
か
)
わってしまった、
以前
(
いぜん
)
はあんなさびしい人ではなかったというている。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
此処らは未来の大文豪も俗物と余り
違
(
ちが
)
わぬ心持になって、何だか
切
(
しき
)
りに嬉しがって、
莞爾
(
にこにこ
)
して下宿へ帰ったのは丁度
夕飯
(
ゆうはん
)
時分
(
じぶん
)
だったが、火を持って来たのは
小女
(
ちび
)
、膳を運んで来たのはお竹どんで
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
時分
(
じぶん
)
だから上れと云わるゝので、諸君の後について母屋の
表
(
おもて
)
縁側
(
えんがわ
)
から上って、棺の置いてある十畳の次ぎの十畳に入る。頭の
禿
(
は
)
げた石山氏が、黒絽の紋付、仙台平の袴で、若主人に代って
応対
(
おうたい
)
する。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
天和堂
(
テンホータン
)
の哀別 この
時分
(
じぶん
)
のラサ府は非常に混雑して、上下の騒ぎは実に眼を廻すばかりである。コーチャクパ(警部)三十名、ラーギャブパ(巡査)三十名、これがラサ府のすべての警察官吏である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
夫人は、腕時計をみて、(もう来る
時分
(
じぶん
)
だのに——)と思った。
ロボットとベッドの重量
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「もう嫁達は、川端田圃へゆきついた
時分
(
じぶん
)
だろう……」
麦の芽
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「私がここに来てから、もう三年になりますが、その
時分
(
じぶん
)
は生徒の風儀はそれはずいぶんひどかったものですよ。初めは私もこんなところにはとてもつとまらないと思ったくらいでしたよ。今では、それでもだいぶよくなったがな」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
“時分”の意味
《名詞》
時期。時。頃。
時機。好機。
(出典:Wiktionary)
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“時分”で始まる語句
時分時
時分外
時分程御座有間敷