平和へいわ)” の例文
ほんとうに、平常へいぜいは、そんな不安ふあんかんじないほど、このへやのなか平和へいわで、おじょうさんのわらごえなどもして、にぎやかであったのです。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
このどもたちには、戦争せんそうというかなしいめにあわせたくない。日本にっぽんが、一にちもはやく、平和へいわなあかるい文明国ぶんめいこくになってくれるとよい。
勿論もちろんいま境涯きやうがいとてけつして平和へいわ境涯きやうがいではないが、すでにはら充分じゆうぶんちからがあるので、すぐよりは餘程よほど元氣げんきもよく、赫々かく/\たる熱光ねつくわうした
その心持こころもちは今、私をだん/\と宗教的しうけうてき方面はうめんみちびかうとし、反動はんどうのやうに起つて來た道徳的だうとくてきな心は、日光につくわうとなつて私の胸に平和へいわの芽をそだてます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
近時盛んなパチンコの、五世も前の先祖のようなものである。閑父が、その台の前にしゃがんで、閑児に一銭を投ぜしむる図は、平和へいわな姿である。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
わしらの間にはもう平和へいわは失われた。いっしょに暮らすことは互いの重荷おもにになった。もはや何のなぐさめもはげましも互いに期待することはできないのか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
世界中せかいじゅう人々ひとびとがみなおたがいあいしあい、そして力強ちからづよきてゆくこと、それがかれ理想りそうであり、そしてかれはいつも平和へいわ自由じゆう民衆みんしゅうとの味方みかたであります。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
カピ長 モンタギューとてもみぎ同樣どうやう懲罰おとがめにて謹愼きんしん仰附おほせつけられた。したが、吾々われ/\老人らうじんっては、平和へいわまもることはさまで困難むづかしうはあるまいでござる。
こういうたのしい、平和へいわ月日つきひおくむかえするうちに、今年ことし子供こどもがもう七つになりました。それはやはり野面のづらにはぎやすすきのみだれたあきなかばのことでした。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はたまたいずれも勝負なしに円満なる平和へいわをもって解決さるるか、それは未来の事とし、吾人ごじんの目下の務めは、男子は男子だけの性質を忌憚きたんなく発揮することにある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「あのう……世間せけんでは、あなたのことをあい天使みつかひだの、平和へいわ表徴シンボルだのつてつてゐるんです」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「はてと、こんな平和へいわなときに、この大力だいりき豪傑ごうけつはここでなにをしようというのだろう。」
これだけをても、このむら平和へいわむらであることが、盗人ぬすびとたちにはわかりました。そして、こんなむらには、おかねやいい着物きものったいえがあるにちがいないと、もうよろこんだのでありました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ころして霊魂たましいをころしものどもをおそるな、霊魂たましいとをゲヘナにてほろぼものをおそれよ。われ平和へいわとうぜんためにきたれりとおもうな、平和へいわにあらず、かえってつるぎとうぜんためきたれり。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
其上そのうへ乘客じようきやくがみんな平和へいわかほをして、どれもこれもゆつたりと落付おちついてゐるやうえた。宗助そうすけこしけながら、毎朝まいあさ例刻れいこくさきあらそつてせきうばひながら、まるうち方面はうめんむか自分じぶん運命うんめいかへりみた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
榮燿ええうくらすやに相見あひみさふらふ、さるにても下男げなん下女げぢよどもの主人しゆじんあしざまにまをし、蔭言かげごとまをさぬいへとてはさらになく、また親子おやこ夫婦ふうふ相親あひしたしみ、上下しやうか和睦わぼくして家内かない波風なみかぜなく、平和へいわ目出度めでたきところはまれさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平和へいわなお酒、樂しいお酒にわたしは醉いましたよ。
黒馬旅館くろうまりょかん平和へいわはなくなってしまった。
平和へいわ気温けぬるみつなる
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
かもめは、みやこでは、はとがみんなにかわいがられて、子供こどもらからまめをもらって、平和へいわにそのあそらしていることをはなしました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
支那シナごと朝鮮テウセンごときはえずその侵害しんがいかふむりつゝある、此時このときあたつて、東洋とうやう覇國はこくともいふわが大日本帝國だいにつぽんていこくそのところじつおもく一ぱう東洋とうやう平和へいわたもたんが
何事なにごとぢゃこの血汐ちしほは、これ、この廟舍たまや入口いりくちいしめたこの血汐ちしほは? ぬしもないこのつるぎは? 此樣このやう平和へいわ場所ばしょまぶれにしててゝあるは、こりゃなんとしたことであらう?
けれど、そのときの自然しぜんと、いまの自然しぜんとどこにちがいがあろう。そうおもってふりくと、花壇かだんには平和へいわひかりちていました。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
平和へいわみだ暴人ばうじんども、同胞どうばうもっ刃金はがねけが不埓奴ふらちやつ……きをらぬな?……やア/\、汝等おのれらよこしまなる嗔恚しんにほのほおの血管けっくわんよりながいづむらさきいづみもっさうとこゝろむる獸類けだものども
たゞ二つ三つ記臆きおくとゞまつてるのはかゝ平和へいわあひだにも不運ふうんかみこのふね何處いづこにか潜伏ひそんでつたとえ、ふねのメシナ海峽かいけういでんとするとき一人ひとり船客せんきやく海中かいちゆうげて無殘むざん最後さいごげたこと
また同時どうじに、どうかそんなことがこらぬように、そして、おじさんも自分じぶんも、平和へいわはるたのしまれるようにと、いのったのでした。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
本箱ほんばこうえに、平和へいわで、あめや、かぜからのがれて、まったく安心あんしんしていられた時分じぶんのことをおもして、なつかしくてなりませんでした。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちんは、もっとそれ以上いじょうのもの、永久えいきゅう平和へいわもとめているのじゃ。はやく、ちんいしになり、くさになり、なんじ魔法まほうでしてもらいたい。」
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おおきなくにと、それよりはすこしちいさなくにとがとなっていました。当座とうざ、その二つのくにあいだには、なにごともこらず平和へいわでありました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのまちしずかな、なんとなく、なつかしいまちでありました。気候きこうもよく、んでいる人々ひとびと気持きもちも平和へいわでいるように見受みうけられました。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかには、そうなるのをのぞむものもありますが、わたしたちは、かくべつ繁昌はんじょうしなくとも、いつまでも平和へいわらしてゆくのをのぞんでいます。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おかあさんも、平和へいわかんじのするいい時計とけいだとおっしゃったが、ほんとうにおしいことですね。」と、ちちにむかって、いうと
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太陽たいようひかりのさすところ、みずなかは、うすあおく、平和へいわでありました。子供こどもは、うれしさを我慢がまんしていることができなくなったのであります。
魚と白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、このなかは、みんなのちからによって、文明ぶんめいになり、つごうがよくゆき、そして平和へいわたもたれてきたのでありました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なんて、わたしたちの先祖せんぞは、ばかだったのでしょう。わたしは、だれにられなくてもいいから、平和へいわらしたいのでございます。」
すみれとうぐいすの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、いまは、お人形にんぎょうもほかのおもちゃたちも、平等びょうどうのもてなしをけて、みんなは、なかよく、平和へいわらしています……。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして永久えいきゅうに、ただあいめぐみとしからない、太陽たいようひかりは、いつも、うららかで、あかるく、平和へいわで、ぜんちていました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのむらは、平和へいわむらでありましたけれど、そこにんでいる人々ひとびとは、みんな幸福こうふくうえというわけではありませんでした。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしが、もしあのお人形にんぎょうであったら、どんなにしあわせだろう……。なんの苦労くろうもなしに、ああして、平和へいわに、毎日まいにちらしていくことができる。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いままで、平和へいわであったむらが、時計とけいのために、二つにかれてしまいました。時計とけいかみさまのようになってしまったのです。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
東雲しののめ空色そらいろのような、また平和へいわ空色そらいろのような、うすあかいろ着物きものをきた少女しょうじょが、この楽園らくえんあるいていたのです。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
繁昌はんじょうすると、平和へいわにならないというのは、どういうわけですか?」と、またたずねました。老人ろうじんはあいかわらずわらって
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あれをくのは、おとうとか、あにそっくりじゃないか。また、この浜辺はまべへも、むかしのような平和へいわが、やってきたな。」と、ささやきっているのです。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
みなみほううみを、航海こうかいしているふねがありました。太陽たいようはうららかに、平和へいわに、海原うなばららしています。もう、このふね船長せんちょうは、としをとっていました。
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくはね、まつくん、きみはいつもうえ平和へいわらされてうらやましい。うつくしいとりまったり、子供こどもたちのあそぶのをたりして、愉快ゆかいだろう。
町はずれの空き地 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのいくばくもなくして、おばあさんは、やすらかに、息子むすこや、まごたちに見守みまもられて、平和へいわにこのからられました。
おばあさんとツェッペリン (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにかおもいがけないことでもこらなければ、もう二むかしのように、平和へいわたのしい太陽たいようひかりられないだろう……。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
こういうめにあいますと、いままで、便利べんり生活せいかつをなんでもなくおもっていた人々ひとびとははじめて、平和へいわのことにありがたみをかんじたのでありました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その平和へいわをかきみだしはしないかと、正吉しょうきちにかかったのは、このごろ、このまちしてきた青服あおふくおとこのことでした。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
このなかのおもしろいこと、はなやかなことをもし、また、しつくされたおうさまは、どうか永久えいきゅう平和へいわな、しずかな生活せいかつおくりたいとおもわれました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)