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密
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そつ
ふりがな文庫
“
密
(
そつ
)” の例文
見るなと
固
(
かた
)
く
制
(
せい
)
せしは如何なる
譯
(
わけ
)
かと
頻
(
しき
)
りに其奧の間の見ま
欲
(
ほし
)
くて
密
(
そつ
)
と
起上
(
おきあが
)
り忍び足して
彼座敷
(
かのざしき
)
の
襖
(
ふすま
)
を
押明
(
おしあけ
)
見れば此はそも如何に金銀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
不圖、旅人は面白い事を考出して、
密
(
そつ
)
と口元に笑を含んだ。紙屑を袂から出して、
紙捻
(
こより
)
を一本
糾
(
な
)
ふと、それで紙屑を犬の尾に
縛
(
ゆは
)
へつけた。
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『あゝつ、』と
忌
(
いま
)
はしさに
手
(
て
)
で
払
(
はら
)
つて、
坐
(
すは
)
り
直
(
なほ
)
して
其処等
(
そこら
)
を
眴
(
みまは
)
す、と
密
(
そつ
)
と
座敷
(
ざしき
)
を
覗
(
のぞ
)
いた
女中
(
ぢよちゆう
)
が、
黙
(
だま
)
つて、スーツと
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
し
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大洞は、色を失つて
戦慄
(
せんりつ
)
するお加女の耳に
近
(
ちかづ
)
きつ、「
少
(
す
)
こし気を静めさして今夜の中に
密
(
そつ
)
と帰へすが
可
(
よ
)
からう——世間に洩れては大変だ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
暫時
(
しばらく
)
準教員も写生の筆を
休
(
や
)
めて眺めた。尋常一年の教師は又、丑松の
背後
(
うしろ
)
へ廻つて、眼を細くして、
密
(
そつ
)
と
臭気
(
にほひ
)
を
嗅
(
か
)
いで見るやうな真似をした。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
お浪
暁天
(
あかつき
)
の鐘に眼覚めて猪之と一所に寐たる床より
密
(
そつ
)
と出るも、朝風の寒いに火の無い中から起すまじ、も少し
睡
(
ね
)
させて置かうとの
慈
(
やさ
)
しき親の心なるに
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
もしかこの世界が私の手製だつたら、相馬君のやうな心掛のいゝ人には、
密
(
そつ
)
と
内証
(
ないしよう
)
で打明けてやりたいものだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
父は姉のお君に
密
(
そつ
)
と正宗の二合瓶を買はせて来て、私の寝台の下で壁の方を向いて、冷のまゝで、お茶でも飲む様な振をしながら、こつそり飯茶碗で飲んだ。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
暮方より同じ漁師仲間の
誰彼
(
だれかれ
)
寄り集いて、端午の祝酒に酔うて唄う者、踊る者、
跂
(
はね
)
る者、根太も踏抜かんばかりなる騒ぎに紛れて、
密
(
そつ
)
と
汀
(
みぎわ
)
に抜出でたる若き男女あり。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
職務
(
しよくむ
)
を
取
(
と
)
るのは
前
(
まへ
)
にも
不好
(
いや
)
であつたが、
今
(
いま
)
は
猶
(
なほ
)
一
層
(
そう
)
不好
(
いや
)
で
堪
(
たま
)
らぬ、と
云
(
い
)
ふのは、
人
(
ひと
)
が
何時
(
いつ
)
自分
(
じぶん
)
を
欺
(
だま
)
して、
隱
(
かくし
)
にでも
密
(
そつ
)
と
賄賂
(
わいろ
)
を
突込
(
つきこ
)
みは
爲
(
せ
)
ぬか、
其
(
そ
)
れを
訴
(
うつた
)
へられでも
爲
(
せ
)
ぬか
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と
密
(
そつ
)
と
隠
(
かく
)
して出て
行
(
ゆ
)
くのを主人が見て、アハヽ
是
(
これ
)
が子供の
了簡
(
れうけん
)
だな、人が見たら
蛙
(
かへる
)
とは
面白
(
おもしろ
)
い、一ツあの
牡丹餅
(
ぼたもち
)
を引き出して、
蛙
(
かへる
)
の
生
(
いき
)
たのを
入
(
い
)
れて
置
(
おい
)
たら
小僧
(
こぞう
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て
驚
(
おどろ
)
くだらうと
日本の小僧
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或る晩の事、自分は相變らず、
密
(
そつ
)
と
家
(
うち
)
を
脱出
(
ぬけだ
)
して、門の外まで出ると
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
重四郎は
是
(
これ
)
幸
(
さひは
)
ひと娘の
部屋
(
へや
)
を
覗
(
のぞ
)
き見れば
折節
(
をりふし
)
お浪は
只
(
たゞ
)
獨
(
ひと
)
り
裁縫
(
ぬひもの
)
をなし居たるにぞ
頓
(
やが
)
て
件
(
くだ
)
んの
文
(
ふみ
)
を取出しお浪の
袖
(
そで
)
へ
密
(
そつ
)
と
入
(
いれ
)
何喰
(
なにくは
)
ぬ
顏
(
かほ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『アラ。』と言つて、智恵子も立つたが、
怎
(
ど
)
う思つてか、外から見られぬ様に、男の
背後
(
うしろ
)
に身を隠して、
密
(
そつ
)
と覗いて見たものだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と
密
(
そつ
)
と
揺
(
ゆす
)
ぶる、
手
(
て
)
に
従
(
したが
)
つて
揺
(
ゆす
)
ぶれるのが、
死
(
し
)
んだ
魚
(
うを
)
の
鰭
(
ひれ
)
を
摘
(
つま
)
んで、
水
(
みづ
)
を
動
(
うご
)
かすと
同
(
おな
)
じ
工合
(
ぐあひ
)
で、
此方
(
こちら
)
が
留
(
や
)
めれば
静
(
じつ
)
と
成
(
な
)
つて、
浮
(
う
)
きも
沈
(
しづ
)
みもしない
風
(
ふう
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不思議なことには、熱い涙が人知れず其顔を流れるといふ様子で、時々
啜
(
すゝ
)
り上げたり、
密
(
そつ
)
と鼻を
拭
(
か
)
んだりした。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
慾の深い水神様は、もつと
外
(
ほか
)
の物をも欲しがつてるのかも知れないと、気の毒な旅人は、荷物の中から虎の皮の
弓嚢
(
ゆみぶくろ
)
を取り出して、惜しさうに
密
(
そつ
)
と河に落してみた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其處
(
そこ
)
のところを
密
(
そつ
)
と
赤手
(
すで
)
で
捕
(
つかま
)
へて呉れる…… 暖い手で、
握
(
にぎ
)
ツて
遣
(
や
)
ツても、
濟
(
すま
)
アして
掌
(
てのひら
)
を
這
(
は
)
ツてゐる
奴
(
やつ
)
を螢籠の中へ入れる…… 恰ど
獄屋
(
ひとや
)
へ
抛込
(
ほうりこ
)
まれたやうなものだが、
些
(
ちつ
)
ともそれには頓着しない。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
掛内に
這入
(
はひり
)
て
伏
(
ふし
)
み居し
折柄
(
をりから
)
燒場の
外面
(
おもて
)
の方に
大喧嘩
(
おほげんくわ
)
が始りし樣子故何事かと存じ
密
(
そつ
)
と出て
窺
(
うかゞ
)
ひしに
闇
(
くら
)
き夜なれば一
向
(
かう
)
に
分
(
わか
)
らず
暫時
(
しばらく
)
樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此語の後に潜んだ意味などを、察する程に
怜悧
(
かしこ
)
いお定ではないので、何だか賞められた様な気がして、
密
(
そつ
)
と口元に笑を含んだ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
多時
(
しばらく
)
庭
(
には
)
へも
出
(
で
)
られなからうと
思
(
おも
)
はれましたので、
密
(
そつ
)
と
露
(
つゆ
)
の
中
(
なか
)
を、
花
(
はな
)
に
觸
(
さは
)
つて
歩行
(
ある
)
いて
見
(
み
)
たんでございます。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
成るべく家内には遠ざかるやうにして、
密
(
そつ
)
と
家
(
うち
)
を抜け出して来ては、独りで飲むのが何よりの
慰藉
(
たのしみ
)
だ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
満谷氏はその後、人づてに
密
(
そつ
)
と熊岡氏の小鼓の事を訊いてみた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此の後に潜んだ意味などを察する程に、
怜悧
(
かしこ
)
いお定ではないので、何だか賞められた樣な氣がして、
密
(
そつ
)
と口元に笑を含んだ。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
咳
(
せき
)
をすると、
熟
(
じつ
)
と
視
(
み
)
るのを、もぢや/\と
指
(
ゆび
)
を
動
(
うご
)
かして
招
(
まね
)
くと、
飛立
(
とびた
)
つやうに
膝
(
ひざ
)
を
立
(
た
)
てたが、
綿
(
わた
)
を
密
(
そつ
)
と
下
(
した
)
に
置
(
お
)
いて、
立構
(
たちがま
)
へで
四邊
(
あたり
)
を
見
(
み
)
たのは、
母親
(
はゝおや
)
が
内
(
うち
)
だと
見
(
み
)
える。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
で、
小児
(
こども
)
みたいに、
密
(
そつ
)
と自分の指を蒲団の中から出して見たが、菊池君は力が強さうだと考へる。ト、私は直ぐ其喧嘩の対手を西山社長にした。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
折要歩
(
せつえうほ
)
は、
密
(
そつ
)
と
拔足
(
ぬきあし
)
するが
如
(
ごと
)
く、
歩行
(
あゆむ
)
に
故
(
わざ
)
と
惱
(
なや
)
むを
云
(
い
)
ふ、
雜
(
ざつ
)
と
癪持
(
しやくもち
)
の
姿
(
すがた
)
なり。
齲齒笑
(
うしせう
)
は
思
(
おも
)
はせぶりにて、
微笑
(
ほゝゑ
)
む
時
(
とき
)
毎
(
つね
)
に
齲齒
(
むしば
)
の
痛
(
いた
)
みに
弱々
(
よわ/\
)
と
打顰
(
うちひそ
)
む
色
(
いろ
)
を
交
(
まじ
)
へたるを
云
(
い
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軈てお定は、懷手した左の指を少し許り襟から現して、柔かい己が頬を
密
(
そつ
)
と
撫
(
な
)
でて見た。小野の家で着て寢た蒲團の、天鵞絨の襟を思出したので。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
若旦那
(
わかだんな
)
は、くわつと
逆上
(
のぼ
)
せた
頭
(
あたま
)
を、
我
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れて、うつかり
帽子
(
ばうし
)
の
上
(
うへ
)
から
掻毮
(
かきむし
)
りながら、
拔足
(
ぬきあし
)
に
成
(
な
)
つて、
庭傳
(
にはづた
)
ひに、
密
(
そつ
)
と
其
(
そ
)
の
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
に
忍
(
しの
)
び
寄
(
よ
)
る。
内
(
うち
)
では、
媚
(
なま
)
めいた
聲
(
こゑ
)
がする。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軈
(
やが
)
てお定は、懐手した左の指を少し許り襟から現して、柔かい己が頬を
密
(
そつ
)
と撫でて見た。小野の家で着て寝た蒲団の、天鵞絨の襟を思出したので。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
引寄
(
ひきよ
)
せても
遁
(
に
)
げないから、
密
(
そつ
)
と
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れると、
尻尾
(
しつぽ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
ひねつて、二つも三つも
指
(
ゆび
)
のさきをチヨ、チヨツと
突
(
つゝ
)
く。
此奴
(
こいつ
)
と、ぐつと
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れると、スイと
掌
(
てのひら
)
に
入
(
はい
)
つて
来
(
く
)
る。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『は? は。それア何でごあんす……』と言つて、安藤は
密
(
そつ
)
と秋野の顏色を覗つた。秋野は默つて煙管を咬へてゐる。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と
言
(
い
)
ひかけて——
最
(
も
)
う
足
(
あし
)
も
背
(
せ
)
もずらして
居
(
ゐ
)
る
高足駄
(
たかあしだ
)
を——ものを
言
(
い
)
ふ
目
(
め
)
で、
密
(
そつ
)
と
引留
(
ひきと
)
めて
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『ハ? ハ。それア何でごあんす……』と言つて、安藤は
密
(
そつ
)
と秋野の顔色を覗つた。秋野は黙つて煙管を
咬
(
くは
)
へてゐる。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
青年
(
わかもの
)
は
疾
(
と
)
くから
心着
(
こゝろづ
)
いて、
仏舎利
(
ぶつしやり
)
のやうに
手
(
て
)
に
捧
(
さゝ
)
げて
居
(
ゐ
)
たのを、
密
(
そつ
)
と
美女
(
たをやめ
)
の
前
(
まへ
)
へ
出
(
だ
)
した。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『そんでヤハアお常ツ子も
罹
(
かか
)
つたアな。』と囁いて、
一同
(
みんな
)
は
密
(
そつ
)
と松太郎を見た。お由の眼玉はギロリと光つた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然
(
さ
)
うかと
思
(
おも
)
ふと、
一人
(
ひとり
)
で、
思
(
おも
)
ひに
堪
(
た
)
へ
廉
(
か
)
ねるか、
湯氣
(
ゆげ
)
の
上
(
うへ
)
に、
懷紙
(
ふところがみ
)
をかざして、
紅
(
べに
)
を
蒸
(
む
)
して、
密
(
そつ
)
と
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
に
當
(
あ
)
てた
事
(
こと
)
などもある、ほりものにでもしよう
了簡
(
れうけん
)
であつた、と
見
(
み
)
えるが
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
モウ心配で心配で
怺
(
たま
)
らなくなつて、今も
密
(
そつ
)
と吉野の室に行つて、その帰りの遅きを何の為かと話してゐた所。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
銀
(
ぎん
)
の
鍋
(
なべ
)
一つ
包
(
つゝ
)
む、
大
(
おほき
)
くはないが、
衣絵
(
きぬゑ
)
さんの
手縫
(
てぬひ
)
である、
其
(
そ
)
の
友染
(
いうぜん
)
を、
密
(
そつ
)
と
掛
(
か
)
けた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その信吾が今日
媒介者
(
なかうど
)
が來たも知らずにゐると思ふと、もう心配で/\堪らなくなつて、今も
密
(
そつ
)
と吉野の室に行つて、その歸りの遲きを何の爲かと話してゐたのである。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
……
其處
(
そこ
)
いらが
靜
(
しづか
)
で、
誰
(
だれ
)
も
驚
(
おどろ
)
かさないと
見
(
み
)
えて、
私
(
わたし
)
たちを
見
(
み
)
ても、
遁
(
に
)
げないんですよ。
縁
(
えん
)
からぢき
其處
(
そこ
)
に——
最
(
もつと
)
も、あゝ
綺麗
(
きれい
)
な
鳥
(
とり
)
が、と
云
(
い
)
つて、
雨戸
(
あまど
)
にも
密
(
そつ
)
と
加減
(
かげん
)
はしましたけれども。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『屹度、なんですよ。先生からお
金
(
あし
)
を貰つたから歩くのが
可厭
(
いや
)
になつて、日の暮れまで何處かで寢てゐて、日が暮れてから、
密
(
そつ
)
と歸つて來て此村へ泊つて行つたんですよ。』
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あつと
云
(
い
)
つて
一座
(
いちざ
)
、
中
(
なか
)
には
密
(
そつ
)
と
指
(
ゆび
)
の
先
(
さき
)
で
撫
(
な
)
でて
見
(
み
)
て、
其奴
(
そいつ
)
を
視
(
なが
)
めたものさへあり。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『屹度、なんですよ。先生からお
金
(
あし
)
を貰つたから歩くのが
可厭
(
いや
)
になつて、日の暮れるまで何処かで寝てゐて、日が暮れてから
密
(
そつ
)
と帰つて来て
此村
(
ここ
)
へ泊つて行つたんですよ。』
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
を、
密
(
そつ
)
と
伸
(
の
)
ばして、お
薬
(
くすり
)
の
包
(
つゝみ
)
を
持
(
も
)
つて、
片手
(
かたて
)
で
円
(
まる
)
い
姿見
(
すがたみ
)
を
半分
(
はんぶん
)
、
凝
(
じつ
)
と
視
(
み
)
て、お
色
(
いろ
)
が
颯
(
さつ
)
と
蒼
(
あを
)
ざめた
時
(
とき
)
は、
私
(
わたし
)
はまた
泣
(
な
)
かされました。……
私
(
わたし
)
は
自分
(
じぶん
)
ながら
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
で
言
(
い
)
つたんですよ……
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
密
(
そつ
)
と左の二の腕に手を遣つて見た。其処に顔を押付けて、智恵子は何と言つた⁉
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
行燈部屋
(
あんどんべや
)
を
密
(
そつ
)
と
忍
(
しの
)
んで、
裏階子
(
うらばしご
)
から、
三階見霽
(
さんがいみはらし
)
の
欄干
(
てすり
)
へ
駈上
(
かけあが
)
つたやうである。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
芸妓には珍しく一滴も飲まぬ市子は、それと
覚
(
さと
)
つてか、
密
(
そつ
)
と盃洗を持つて来て、志田君に見られぬ様に、一つ宛空けて呉れて居たが、いつしか発覚して、例の円転自在の舌から吹聴に及ぶ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
だつて、
何
(
なん
)
の
企謀
(
たくらみ
)
を
遊
(
あそ
)
ばすんではなし、
主
(
ぬし
)
のある
方
(
かた
)
だと
云
(
い
)
つて、たゞ
夜半
(
よなか
)
忍
(
しの
)
んでお
逢
(
あ
)
ひなさいます、
其
(
そ
)
のあの、
垣根
(
かきね
)
の
隙間
(
すきま
)
を
密
(
そつ
)
とお
知
(
し
)
らせだけの
玉章
(
ふみ
)
なんですわ。——あゝ、
此處
(
こゝ
)
でしたよ。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尤
(
もつと
)
も、二
時
(
じ
)
過
(
す
)
ぎに
參
(
まゐ
)
つたんですから、
門
(
もん
)
も
潛
(
くゞ
)
りも
閉
(
しま
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
裏
(
うら
)
へ
𢌞
(
まは
)
つたも
分
(
わか
)
りましたが、
後
(
のち
)
に
聞
(
き
)
けば
何
(
ど
)
うでせう……
其
(
そ
)
の
木戸
(
きど
)
は、
病院
(
びやうゐん
)
で、
死
(
し
)
にました
死骸
(
しがい
)
ばかりを、
密
(
そつ
)
と
内證
(
ないしよう
)
で
出
(
だ
)
します
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“密”の意味
《名詞・形容動詞》
ひそかな様。隠密。
関係が深い様。親密。
ぎっしりと詰まっている様。一定の枠の中に多くのものが集まる様。
きめこまかい様。綿密。
新型コロナウイルスの流行下において、避けるべきとされる「密接」、「密閉」、「密接」のこと。3密。
(出典:Wiktionary)
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
“密”を含む語句
秘密
密々
密告
密接
密通
内密
密着
祕密
密夫
親密
隠密
密会
密書
密語
密偵
稠密
密林
精密
密集
密貿易
...