品物しなもの)” の例文
うしてつてまゐります品物しなものらないと、ひどいんですぜ、そりや、んだり、つたり、ポカ/\でさ。我又不善擇人參可否われまたにんじんのかひをえらぶことをよくせず
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御蔭おかげられた品物しなものまたもどりましたよ」とひながら、白縮緬しろちりめん兵兒帶へこおびけた金鎖きんぐさりはづして、兩葢りやうぶた金時計きんどけいしてせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
正雄まさおや、もうこれからけっして、こんなものをおもらいでないよ。そして、さっそく明日あした、この品物しなものをその子供こどもにおかえしなさいよ。」
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
手持てもち品物しなものならばなるたけはやこれさばかう、また手持てもち品物しなものなるたけすくなくしよう、ふことは當然たうぜん結果けつくわはなくてはならぬ。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
勘次かんじ例令たとひ品物しなものつたところで、自分じぶん現在いまちからでは到底たうていそれはもとめられなかつたかもれぬと今更いまさらのやうに喫驚びつくりしてふところれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しておく女がくれの十三日に百兩の金を貰ひて種々いろ/\品物しなものを求めたりと申すではないか其の百兩の金子は如何いかゞして所持しよぢせしや主人の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
博物館はくぶつかんにはみなさんのつてゐるように、種々しゆ/″\品物しなものならべてありますが、たいていはある種類しゆるいのものばかりをえらんで、陳列ちんれつしてあるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
大ぜいの人びとの手をかけて、やっとのことでここまではこばれてきたとおとい品物しなものがだれにもたべてもらえずにくさっていく。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
その時分じぶん鎌倉かまくら武家ぶけ住居やしきならんだ、物静ものしずかな、そしてなにやら無骨ぶこつ市街まちで、商家しょうかっても、品物しなものみな奥深おくふか仕舞しまんでありました。
というのは、江戸幕府えどばくふは、それまで、およそ三百ねんちかくのあいだ、外国がいこくとのつきあいをせず、品物しなもののとりひきなどもしないことにしていました。
品物しなものけばわかります。だがね、そいつはきてるから、ちかづいたらびついて、すぐ噛殺かみころさないとげられますよ、よござんすか。では、さよなら
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そこでそっとものえるじゅつ使つかって、お三方さんぽうの中の品物しなもの素早すばやえてしまいました。そしてすましたかおをしながら
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
品物しなものばかりならてたつてなんやくつか?』と海龜うみがめさへぎつて、『いくつても説明せつめいしないから。こんなに錯雜紛糾ごたくさしたことをいたことがない!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
店の品物しなものはすっかり片づけられ、はけされて、あれほどにぎわっていたデパートも、しーんとなってしまった。
それからヨハネスは、まえかけのなかに金で細工さいくしたいろいろの品物しなものをつつんで、りくにあがりました。そして、まっすぐ王女のおしろへむかっていきました。
「とんでもないこと! この刀は貸すどころか、ちょっとでも肌身はだみをはなすことのできないだいじな品物しなものだよ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうでしょう、みちがあるおかげで、方々ほうぼう土地とちに出来る品物しなものがどんどんわたしたちのところへはこばれて来ますし、おともだち同士どうしらくったりたりすることが出来ます。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
真証しんしょう間違まちがいなしの、立派りっぱ品物しなものってって、若旦那わかだんなよろこかおながら、拝借はいしゃくおよぼうッてんだ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
国家事業であるから世間の人に私の品物しなものを買えとさけんで押売りするようなことになりはせぬか。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
大臣だいじんよろこんで品物しなものると、皮衣かはごろも紺青色こんじよういろのさきは黄金色おうごんしよくをしてゐます。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
其都度そのつど紛失物ふんしつもの出來できますやら品物しなもの破損はそんなどはおびたゞしいことで、うすれば此樣こんなに不人情ふにんじやうものばかり寄合よりあふのか、世間一體せけんいつたい此樣このやう不人情ふにんじやうなものか、それともわたし一人ひとりなげかせやうといふので
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
土藏内どぞうない品物しなものかべから一尺いつしやく以上いじようはなくこと。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
代助は、一つみせ別々べつ/\品物しなものを買つたあと、平岡とつて其所そこ敷居しきゐまたぎながら互に顔を見合せて笑つた事を記憶してゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それほどくつが必要ひつようにせまられていたのだ。すると、たしかにほかのみせよりは、よい品物しなものやすえるので、もとめたのである。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それ以外いぐわい品物しなもの爲替回復かはせくわいふく影響えいきやう直接ちよくせつにはけないのであるから、此程度このていど物價ぶつか低落ていらくもつと適當てきたうところであらうとおもはれる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
それで、私共わたしどもは、これから西洋せいようやその外國がいこくのものはこれだけにして、日本につぽん石器時代せつきじだいからのふる品物しなものくことにいたしませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
衣服いふく調度類ちょうどるいでございますか——鎌倉かまくらにもそうした品物しなものさば商人あきうどみせがあるにはありましたが、さきほどももうしたとおり、べつ人目ひとめくように
品物しなものわびしいが、なか/\の御手料理おてれうりえてはるし冥加みやうが至極しごくなお給仕きふじぼんひざかまへて其上そのうへひぢをついて、ほゝさゝえながら、うれしさうにたわ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
品物しなものあきなひにべつにしてもらないといつてはあさからごろりところがつてることもあるので平均へいきんしてると一にちいくらにもらないのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
といって、二つの品物しなもの保名やすなわたしますと、そのまますうっときつね姿すがたはやみの中にえてしまいました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
店の品物しなものの中から、いたみかけたのや、くさりがひどくって、とても売りものにならないようなものを、よりわけて、それぞれ箱とかごとへべつべつにいれるのです。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
おせんにゃもとより、内所ないしょしてわたした品物しなもの今更いまさらきゅうかえほどなら、あれまでにして、ってきはしなかろう。おかみさん。おまえ、つまらない料簡りょうけんは、さないほうがいいぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「よい品物しなものがありますが、お買いになりませんか。」
「それでは、おさしずどおり、さっそくくにへかえりますが、お父上ちちうえさまにおことづてはございませんか。いずれかえりましたら、おにかかります。また、なにかおとどけする品物しなものがありましたら、もってまいります。」
させたりける或時彦兵衞隱居の方へ來り淺草觀音地内の小間物屋に品物しなもの有る故仲間内の直踏ねぶみには十五兩から九十兩まで付上つけあげたれども能々よく/\見るに百兩に買ても二十兩位は利の有る代物しろものなれば私し百兩と入札にふさついたし落札おちふだになりたる故十兩手附てつけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
べいなら、そのけたこまを、ったものがるというふうに、勝負しょうぶあとが、品物しなもののやりとりになるからいけないというのだ。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
みなさんは、博物館はくぶつかんといふところたことがありますか。博物館はくぶつかんにはいろ/\のうつくしいものやめづらしい品物しなものならべてあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
其癖そのくせかれ一々いち/\絹糸きぬいとるした價格札ねだんふだんで、品物しなもの見較みくらべてた。さうして實際じつさい金時計きんどけい安價あんかなのにおどろいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
外國ぐわいこくから直接ちよくせつ日本にほん輸入ゆにふするものは一わりみなたかはなければならぬのである。同時どうじ外國ぐわいこくから直接ちよくせつ輸入ゆにふされるもの競爭品きやうさうひんあるひ類似るゐじ品物しなものみな大同小異だいどうせうい騰貴とうきするのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
いま方々かたがたには守刀まもりがたななどともうしても、あるいあたま力強ちからづよひびかぬかもぞんじませぬが、わたくしどもの時代じだいには、守刀まもりがたなはつまりおんなたましい自分じぶん生命いのちから二番目ばんめ大切たいせつ品物しなものだったのでございます。
品物しなものこれだけなんでしたらうか」内儀かみさんは巡査じゆんさいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「よい品物しなものがありますが、お買いになりませんか。」
「わたくしはおかね品物しなものもいりません。」
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
する身の上なればありとあらゆる品物しなものは大小までもしちに入たるは道理もつともなり其日々々にさへ差支さしつかへる有樣ゆゑ如何に大切の品なり共いま勿々なか/\受出うけだす事も成まじ質屋しちやよりは流れの催促さいそくさぞかし難澁なんじふの事ならんと己れが身分にもくらべて考へしが長八はこゝぞと思ひて廿五兩の金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また、商店しょうてんは、すこしでもよけいに品物しなものろうとおもって、店先みせさきをきれいにかざって、いたるところで景気けいきをつけていました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其所そこ小聲こごゑ説明せつめいをして、品物しなものわたすと、仲働なかばたらきはそれを受取うけとつたなり、一寸ちよつと宗助そうすけはうたがすぐおくはひつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
王女おうじょ品物しなものを見ますと、それはそれはよろこんで
「これはけっこうな品物しなものです。」
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
じっさい、どこもかしこも、人間にんげんばかりだというかんじがした。りょうがわのみせでは、たがいにおなじような品物しなものをならべて、競争きょうそうをしあっている。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みなみくにへさえってゆけば、一つがいくりょうにもなる品物しなものばかりだ。これをやるのはしい。こんなに高価こうかなものをおれいにする必要ひつようはないのだ。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)