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股引
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もゝひき
ふりがな文庫
“
股引
(
もゝひき
)” の例文
平次の指圖で八五郎が蓋を取ると、中には着物が二三枚、
股引
(
もゝひき
)
、腹掛、手拭の外に、白木の三尺が一本入つてゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのすがたは
股引
(
もゝひき
)
草鞋
(
わらんず
)
にてあたゝかに着てつとむるなり。又寒中
裸参
(
はだかまゐ
)
りといふあり、家作にかゝはるすべての
職人
(
しよくにん
)
の
若人
(
わかうど
)
らがする事なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
此の一平が何時ものやうに青い筒袖の
法被
(
はツぴ
)
に青い
股引
(
もゝひき
)
を
穿
(
は
)
いて、何時ものやうに腕組をして何時ものやうに大きな腹を突出し
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
含みて夫は
職人衆
(
しよくにんしう
)
の
符號
(
ふちやう
)
にて其なげしと云は
下帶
(
したおび
)
の事なりくぢらとは
鐵釘
(
かなくぎ
)
の事
股引
(
もゝひき
)
をば
蛸
(
たこ
)
と云ふ是れ皆職人衆の
平常
(
つね
)
に云ふ
符號詞
(
ふちやうことば
)
なりと能々
譯
(
わけ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
白い
股引
(
もゝひき
)
に
藁草履
(
わらざうり
)
を穿いた
田子
(
たご
)
そのまゝの
恰好
(
かつかう
)
して家でこさへた
柏餅
(
かしはもち
)
を
提
(
さ
)
げて。私は柏餅を室のものに分配したが、皆は半分食べて窓から投げた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
▼ もっと見る
彼等
(
かれら
)
は
雨
(
あめ
)
を
藁
(
わら
)
の
蓑
(
みの
)
に
避
(
さ
)
けて
左手
(
ひだりて
)
に
持
(
も
)
つた
苗
(
なへ
)
を
少
(
すこ
)
しづつ
取
(
と
)
つて
後退
(
あとずさ
)
りに
深
(
ふか
)
い
泥
(
どろ
)
から
股引
(
もゝひき
)
の
足
(
あし
)
を
引
(
ひ
)
き
拔
(
ぬ
)
き
引
(
ひ
)
き
拔
(
ぬ
)
き
植
(
う
)
ゑ
退
(
の
)
く。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
未
(
ま
)
だ
暑
(
あつ
)
いから
股引
(
もゝひき
)
は
穿
(
は
)
かず、
跣足
(
はだし
)
で
木屑
(
きくづ
)
の
中
(
なか
)
についた
膝
(
ひざ
)
、
股
(
もゝ
)
、
胸
(
むね
)
のあたりは
色
(
いろ
)
が
白
(
しろ
)
い。
大柄
(
おほがら
)
だけれども
肥
(
ふと
)
つては
居
(
を
)
らぬ、ならば
袴
(
はかま
)
でも
穿
(
は
)
かして
見
(
み
)
たい。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
室
(
へや
)
は屋根裏と覚しく、天井低くして壁は黒ずみたれど、
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
に
脱捨
(
ぬぎす
)
てたる汚れし
寝衣
(
ねまき
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
古足袋
(
ふるたび
)
なぞに、思ひしよりは
居心
(
ゐごゝろ
)
好き
住家
(
すみか
)
と見え候。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其後
(
そのあと
)
へ
入違
(
いれちが
)
つて
這入
(
はいつ
)
て
来
(
き
)
ましたのが、
二子
(
ふたこ
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
に
織色
(
おりいろ
)
の
股引
(
もゝひき
)
を
穿
(
は
)
きまして
白足袋
(
しろたび
)
麻裏草履
(
あさうらざうり
)
と
云
(
い
)
ふ
打扮
(
こしらへ
)
で男
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
足袋
(
たび
)
股引
(
もゝひき
)
の
支度
(
したく
)
ながらに答へたるに
人々
(
ひと/\
)
其
(
その
)
しをらしきを感じ合ひしがしをらしとは
本
(
もと
)
此世
(
このよ
)
のものに
非
(
あら
)
ずしをらしきが
故
(
ゆゑ
)
に
此男
(
このをとこ
)
の
此世
(
このよ
)
の
車夫
(
しやふ
)
とは落ちしなるべし。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
平岡の言葉は
言訳
(
いひわけ
)
と云はんより寧ろ挑
戦
(
せん
)
の調子を帯びてゐる様に
聞
(
き
)
こえた。
襯衣
(
シヤツ
)
も
股引
(
もゝひき
)
も
着
(
つ
)
けずにすぐ
胡坐
(
あぐら
)
をかいた。
襟
(
えり
)
を
正
(
たゞ
)
しく
合
(
あは
)
せないので、
胸毛
(
むなげ
)
が少し
出
(
で
)
ゝゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
六尺余の大男で、
羅紗
(
らしや
)
の黒羽織の下には、
黒羽二重
(
くろはぶたへ
)
紅裏
(
べにうら
)
の
小袖
(
こそで
)
、
八丈
(
はちぢやう
)
の
下着
(
したぎ
)
を着て、
裾
(
すそ
)
をからげ、
袴
(
はかま
)
も
股引
(
もゝひき
)
も着ずに、
素足
(
すあし
)
に
草鞋
(
わらぢ
)
を
穿
(
は
)
いて、立派な
拵
(
こしらへ
)
の
大小
(
だいせう
)
を帯びてゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
母
(
はゝ
)
さんと
言
(
い
)
ふは
目
(
め
)
の
惡
(
わ
)
るい
人
(
ひと
)
だから
心配
(
しんぱい
)
をさせないやうに
早
(
はや
)
く
締
(
しま
)
つてくれゝば
宜
(
い
)
いが、
私
(
わたし
)
はこれでも
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
の
半纒
(
はんてん
)
をば
洗濯
(
せんたく
)
して、
股引
(
もゝひき
)
のほころびでも
縫
(
ぬ
)
つて
見
(
み
)
たいと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
樽野の悴は、着物などはまるで体から離れて腰にはさんだタオルのやうに傍の方にまるまつて、シヤツと
股引
(
もゝひき
)
ひとつになつてしまひ、
腹匐
(
はらば
)
ひで、頬つぺたをぢかに畳におしつけ、涎を垂してゐた。
お蝶の訪れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
彼の男
夫
(
それ
)
は
結構
(
けつこう
)
なこと
隨分
(
ずゐぶん
)
御達者で御歸り
成
(
なさ
)
れましハイ
然樣
(
さやう
)
ならばと
別
(
わか
)
れ
行
(
ゆく
)
を重四郎は
振返
(
ふりかへ
)
り見れば
胸當
(
むねあて
)
をして
股引
(
もゝひき
)
脚絆
(
きやはん
)
腰
(
こし
)
には三度
笠
(
がさ
)
を附
大莨袋
(
おほたばこいれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
肘
(
ひぢ
)
の拔けた野良着、ボロボロの
股引
(
もゝひき
)
、膝つ小僧がハミ出して、蟲喰ひ
月代
(
さかやき
)
が
胡麻鹽髭
(
ごましほひげ
)
と共に淺ましく伸びて居ります。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さうしてから
其
(
そ
)
の
股引
(
もゝひき
)
を
脱
(
ぬ
)
いでざぶ/\と
洗
(
あら
)
ふ
者
(
もの
)
も
有
(
あ
)
つた。
彼等
(
かれら
)
が
歸
(
かへ
)
つて
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
は
急
(
きふ
)
にがや/\と
賑
(
にぎや
)
かに
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と
云
(
い
)
ふ
處
(
ところ
)
へ、
千種
(
ちぐさ
)
はぎ/\の
股引
(
もゝひき
)
で、ひよいと
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たのは
兄
(
あに
)
じや
人
(
ひと
)
、
元太郎
(
もとたらう
)
で。これを
見
(
み
)
ると
是非
(
ぜひ
)
も
言
(
い
)
はず、
默
(
だま
)
つてフイと
消失
(
きえう
)
せるが
如
(
ごと
)
く
出
(
で
)
て
了
(
しま
)
つた。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久し振りで
遇
(
あ
)
いましてこんな嬉しいことはありません、久し振りで
上下
(
かみしも
)
を見ましたよ、此の近所には
股引
(
もゝひき
)
や
腹掛
(
はらがけ
)
をかけた者
計
(
ばか
)
り
居
(
お
)
るから……かやや/\……これは嫁でございます
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
つゞいて
尻端折
(
しりはしをり
)
の
股引
(
もゝひき
)
にゴム靴をはいた
請負師
(
うけおひし
)
らしい男の
通
(
とほ
)
つた
後
(
あと
)
、
暫
(
しばら
)
くしてから、
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
と
小包
(
こづゝみ
)
を
提
(
さ
)
げた貧し
気
(
げ
)
な女房が
日和下駄
(
ひよりげた
)
で色気もなく砂を
蹴立
(
けた
)
てゝ
大股
(
おほまた
)
に歩いて行つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
八五郎は飛び降りるやうに
階下
(
した
)
へ行きましたが、間もなく
淺葱
(
あさぎ
)
の
股引
(
もゝひき
)
を一つ、ブラブラ、させながら戻つて來ました。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やつと
人
(
ひと
)
の
行
(
ゆ
)
き
違
(
ちが
)
ふだけの
狹
(
せま
)
い
田圃
(
たんぼ
)
をお
品
(
しな
)
はそろ/\と
運
(
はこ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。お
品
(
しな
)
は
白茶
(
しらちや
)
けた
程
(
ほど
)
古
(
ふる
)
く
成
(
な
)
つた
股引
(
もゝひき
)
へそれでも
先
(
さき
)
の
方
(
ほう
)
だけ
繼
(
つ
)
ぎ
足
(
た
)
した
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
肩
(
かた
)
に
掛
(
かけ
)
門口
(
かどぐち
)
へ出る所へ獨りの
男
(
をとこ
)
木綿
(
もめん
)
の
羽織
(
はおり
)
に
千種
(
ちくさ
)
の
股引
(
もゝひき
)
風呂
(
ふろ
)
しき
包
(
づつ
)
みを
脊負
(
せおひ
)
し人立止りて思はずも
店
(
みせ
)
に
並
(
なら
)
べし水菓子の
價
(
あたひ
)
を聞ながら
其所
(
そこ
)
に居たりし道之助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
奇觀
(
きくわん
)
、
妙觀
(
めうくわん
)
と
謂
(
いつ
)
つべし。で、
激流
(
げきりう
)
に
打込
(
うちこ
)
んだ
眞黒
(
まつくろ
)
な
杭
(
くひ
)
を、
下
(
した
)
から
突支棒
(
つツかひぼう
)
にした
高樓
(
たかどの
)
なぞは、
股引
(
もゝひき
)
を
倒
(
さかさま
)
に、
輕業
(
かるわざ
)
の
大屋臺
(
おほやたい
)
を、チヨンと
木
(
き
)
の
頭
(
かしら
)
で
載
(
の
)
せたやうで
面白
(
おもしろ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
縞物
(
しまもの
)
の地味な
袷
(
あはせ
)
、小風呂敷包みを、左の手首に潜らせて、端折つた
裾
(
すそ
)
から、草色の
股引
(
もゝひき
)
が薄汚れた足袋と一緒に見えるのも、ひどく手堅い感じでした。
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後
(
うしろ
)
に
置
(
お
)
いた
腰掛臺
(
こしかけだい
)
の
上
(
うへ
)
に、
一人
(
ひとり
)
は
匍匐
(
はらばひ
)
になつて、
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つて
長々
(
なが/\
)
と
伸
(
の
)
び、
一人
(
ひとり
)
は
横
(
よこ
)
ざまに
手枕
(
てまくら
)
して
股引
(
もゝひき
)
穿
(
は
)
いた
脚
(
あし
)
を
屈
(
かゞ
)
めて、
天窓
(
あたま
)
をくツつけ
合
(
あ
)
つて
大工
(
だいく
)
が
寢
(
ね
)
そべつて
居
(
ゐ
)
る。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
淺葱
(
あさぎ
)
の
股引
(
もゝひき
)
に木綿
布子
(
ぬのこ
)
、
藁
(
わら
)
しべで髮を結つた、非凡の無頓着さで、江戸の中でこんなのを見るのは——場所が場所だけに、錢形平次にも異樣な感じです。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一
体
(
たい
)
は
医者殿
(
いしやどの
)
、
手
(
て
)
のつけやうがなくつて、
身
(
み
)
の
衰
(
おとろへ
)
をいひ
立
(
た
)
てに一
日
(
にち
)
延
(
の
)
ばしにしたのぢやが三
日
(
か
)
経
(
た
)
つと、
兄
(
あに
)
を
残
(
のこ
)
して、
克明
(
こくめい
)
な
父親
(
てゝおや
)
の
股引
(
もゝひき
)
の
膝
(
ひざ
)
でずつて、あとさがりに
玄関
(
げんくわん
)
から
土間
(
どま
)
へ
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
身扮
(
みなり
)
は恐ろしく粗末で、淺黄色の
股引
(
もゝひき
)
も、繼だらけの
袢纒
(
はんてん
)
も、町の物貰ひとあまり大差のないひどいものです。
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
襟
(
えり
)
からの
前垂
(
まへだれ
)
幅廣
(
はゞびろ
)
な
奴
(
やつ
)
を、
遣放
(
やりぱな
)
しに
尻下
(
しりさが
)
りに
緊
(
し
)
めた、あとのめりに
日和下駄
(
ひよりげた
)
で
土間
(
どま
)
に
突立
(
つツた
)
ち、
新
(
あたら
)
しいのを
當
(
あて
)
がつても
半日
(
はんにち
)
で
駈破
(
かけやぶ
)
る、
繼
(
つぎ
)
だらけの
紺足袋
(
こんたび
)
、
膝
(
ひざ
)
ツきり
草色
(
くさいろ
)
よれ/\の
股引
(
もゝひき
)
で
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ちよいと樣子を見ただけでも、お銀は圓三郎の
袷
(
あはせ
)
のほころびを縫つてゐた樣子だ——お銀の部屋に、田舍
縞
(
じま
)
の袷と、
淺黄
(
あさぎ
)
の
股引
(
もゝひき
)
のあつたのを、お前も見たらう
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
内
(
うち
)
が
吝嗇
(
けち
)
ぢやから
見附
(
みつ
)
かると
叱
(
しか
)
られる、
之
(
これ
)
を
股引
(
もゝひき
)
や
袴
(
はかま
)
と一
所
(
しよ
)
に
戸棚
(
とだな
)
の
上
(
うへ
)
に
載
(
の
)
せて
置
(
お
)
いて、
隙
(
ひま
)
さへあればちびり/\と
飲
(
の
)
んでた
男
(
をとこ
)
が、
庭掃除
(
にはさうじ
)
をするといつて、
件
(
くだん
)
の
蜂
(
はち
)
の
巣
(
す
)
を
見
(
み
)
つけたつけ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「佐久間町二丁目の伊勢屋、——親分も知つてるでせう、
界隈
(
かいわい
)
一番の物持で、兩替屋の組頭。
質
(
しち
)
も扱つてゐるが、こちとらが腹掛や
股引
(
もゝひき
)
を持ち込むやうな店ぢやねえ」
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
濠端
(
ほりばた
)
へ
駆
(
かけ
)
つけたは、もつぺと
称
(
とな
)
へる
裁着
(
たつゝけ
)
やうの
股引
(
もゝひき
)
を
穿
(
は
)
いた
六十
(
むそじ
)
余
(
あま
)
りの
背高
(
せたか
)
い
老爺
(
おやぢ
)
で、
腰
(
こし
)
から
下
(
した
)
は、
身躰
(
からだ
)
が
二
(
ふた
)
つあるかと
思
(
おも
)
ふ、
大
(
おほき
)
な
麻袋
(
あさぶくろ
)
を
提
(
さ
)
げたのを、
脚
(
あし
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
飛
(
と
)
ばして
来
(
き
)
て
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尻切
袢纒
(
ばんてん
)
に
淺黄
(
あさぎ
)
の
股引
(
もゝひき
)
、見得も色氣もない男で、案外こんなのが飛んだ色男かもわかりません。
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
こ
)
の
又
(
また
)
万金丹
(
まんきんたん
)
の
下廻
(
したまはり
)
と
来
(
き
)
た
日
(
ひ
)
には、
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り、
千筋
(
せんすぢ
)
の
単衣
(
ひとへ
)
に
小倉
(
こくら
)
の
帯
(
おび
)
、
当節
(
たうせつ
)
は
時計
(
とけい
)
を
挟
(
はさ
)
んで
居
(
ゐ
)
ます、
脚絆
(
きやはん
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
之
(
これ
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
草鞋
(
わらぢ
)
がけ、
千草木綿
(
ちくさもめん
)
の
風呂敷包
(
ふろしきづゝみ
)
の
角
(
かど
)
ばつたのを
首
(
くび
)
に
結
(
ゆは
)
へて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「十年前——お前が、小さい妹と二人で、兩國で赤い
股引
(
もゝひき
)
を穿いて、玉乘りをして居た頃か」
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
一
(
ひと
)
ツ
紋
(
もん
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て
足袋
(
たび
)
跣足
(
はだし
)
、
男
(
をとこ
)
は
盲縞
(
めくらじま
)
の
腹掛
(
はらがけ
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
彩
(
いろどり
)
ある
七福神
(
しちふくじん
)
の
模樣
(
もやう
)
を
織
(
お
)
りたる
丈長
(
たけなが
)
き
刺子
(
さしこ
)
を
着
(
き
)
たり。これは
素跣足
(
すはだし
)
、
入交
(
いりちが
)
ひになり、
引違
(
ひきちが
)
ひ、
立交
(
たちかは
)
りて
二人
(
ふたり
)
とも
傍目
(
わきめ
)
も
觸
(
ふ
)
らず。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
押入を開けて引出したのは、
葛籠
(
つゞら
)
が一つ、蓋を拂つて見ると、
半纒
(
はんてん
)
や
股引
(
もゝひき
)
の外は、ほんの少しばかりの着換があるだけですが、葛籠の目方が、見てくれより少し重いことに平次は氣がつきました。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「黒の
絆纒
(
はんてん
)
に紺の
股引
(
もゝひき
)
で、頬冠りも黒かつたやうで」
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“股引”の解説
股引(ももひき、またびき、またひき)は日本の伝統的下衣であり、下着としても使われた。腰から踝まで、やや密着して覆う形のズボン型。腰の部分は紐で締めるようになっている。安土桃山時代にポルトガルから伝わったカルサオ(カルサンとも)と呼ばれる衣服が原形とされる。
江戸時代には、腹掛けと共に職人の作業服となり、火消や鳶の普段着としても着用された。
(出典:Wikipedia)
股
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
“股引”で始まる語句
股引下
股引穿
股引半纒
股引脚絆