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無言
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むごん
ふりがな文庫
“
無言
(
むごん
)” の例文
見
(
み
)
よ、
愚劣
(
ぐれつ
)
な×
(2)
旗
(
き
)
に対して
拳
(
こぶし
)
を
振
(
ふ
)
る
子供
(
こども
)
らを、
顔
(
かほ
)
をそむけて
罵
(
のゝし
)
る
女
(
をんな
)
たちを、
無言
(
むごん
)
のまゝ
反抗
(
はんこう
)
の
視線
(
しせん
)
を
列
(
れつ
)
に
灼
(
や
)
きつける
男
(
をとこ
)
たちを!
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
青年は、その手を
無言
(
むごん
)
の
裡
(
うち
)
に、強く握りかえすと、そのままツツと屋根の上を走ると見る間に、ひらりと身を躍らせて、飛び降りた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
皈
(
かへ
)
りの
遲
(
おそ
)
きを
母
(
はゝ
)
の
親
(
おや
)
案
(
あん
)
して
尋
(
たづ
)
ねに
來
(
き
)
てくれたをば
時機
(
しほ
)
に
家
(
うち
)
へは
戻
(
もど
)
つたれど、
母
(
はゝ
)
も
物
(
もの
)
いはず
父親
(
てゝおや
)
も
無言
(
むごん
)
に、
誰
(
た
)
れ
一人
(
ひとり
)
私
(
わたし
)
をば
叱
(
しか
)
る
物
(
もの
)
もなく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
麥色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
括
(
くくり
)
の弛んだ重い
小束
(
こたば
)
の麥色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
柔
(
やはらか
)
くなりさうでもあり、
硬
(
かた
)
くもなりたさうである、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
とたんに、三人の
僧
(
そう
)
たちも、なにかいいしれぬ
魔魅
(
まみ
)
の
気
(
け
)
におそわれているのを知って、
無言
(
むごん
)
のまま、ジロジロと
部屋
(
へや
)
のすみずみをみつめ合った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
何故この部屋が嫌になったか? ——それは独り男自身の疑問だったばかりではない。同時にまた敏子が
無言
(
むごん
)
の内に、男へ突きつけた反問である。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
代助には平岡の腹が
斯
(
か
)
う
取
(
と
)
れた。それで平岡が自分に返事もせずに
無言
(
むごん
)
で
歩
(
ある
)
いて行くのが、何となく馬鹿らしく見えた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
初
(
はじ
)
めの
壜
(
びん
)
は
二人共
(
ふたりとも
)
無言
(
むごん
)
の
行
(
ぎやう
)
で
呑乾
(
のみほ
)
して
了
(
しま
)
ふ。
院長
(
ゐんちやう
)
は
考込
(
かんがへこ
)
んでゐる、ミハイル、アウエリヤヌヰチは
何
(
なに
)
か
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
を
爲
(
し
)
やうとして、
愉快
(
ゆくわい
)
さうになつてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
蒙
(
かうぶ
)
るべし願くは彦兵衞を
御返下
(
おかへしくだ
)
され候樣に願ひ奉つると申ければ大岡殿
無言
(
むごん
)
にて居られし故權三助十は大岡殿を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かれらがこれを
証明
(
しょうめい
)
することさえできたら、あのあわれな犬が、わたしのためにつごう悪く
提供
(
ていきょう
)
した
無言
(
むごん
)
の証明があるにかかわらず、
放免
(
ほうめん
)
になるかもしれない。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
迂老
(
うろう
)
は故
箕作秋坪
(
みつくりしゅうへい
)
氏と交際最も深かりしが、当時
彼
(
か
)
の写本を得て両人対坐、毎度繰返しては之を読み、右の一段に至れば共に感涙に
嚘
(
むせ
)
びて
無言
(
むごん
)
に終るの常なりき。
蘭学事始再版序
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その
無言
(
むごん
)
の笑顔は、二人の胸に、静かによろこびをつたえてきました。足音をしのばせるようにして、二人はおばあさんに近づき、その両わきにしゃがみました。
柿の木のある家
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
其
(
それ
)
とも
弔
(
とむ
)
らはれず
浮
(
う
)
かばぬ
霊
(
れい
)
が、
無言
(
むごん
)
の
中
(
うち
)
に
供養
(
くやう
)
を
望
(
のぞ
)
むのであらうも
知
(
し
)
れぬ。
独
(
ひと
)
りでは
何
(
なに
)
しろ
荷
(
に
)
が
重
(
おも
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、
妹
(
いもうと
)
は
泣
(
な
)
いて
姉
(
あね
)
にすがりました。
二人
(
ふたり
)
は、たがいに
抱
(
だ
)
き
合
(
あ
)
って、しばらく
無言
(
むごん
)
でありました。
木と鳥になった姉妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ラクダルは
無言
(
むごん
)
のまゝ
手眞似
(
てまね
)
で
其處
(
そこ
)
へ
坐
(
すわ
)
らした。
親父
(
おやぢ
)
は
當前
(
あたりまへ
)
に
坐
(
すわ
)
る、
愚息
(
せがれ
)
はゴロリ
臥
(
ね
)
ころんで
足
(
あし
)
を
蹈伸
(
ふみのば
)
す、この
臥轉
(
ねころ
)
び
方
(
かた
)
が
第一
(
だいゝち
)
上出來
(
じやうでき
)
であつた。
三人
(
さんにん
)
は
其
(
その
)
まゝ
一言
(
ひとこと
)
も
發
(
はつ
)
しない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
三十
有餘名
(
いうよめい
)
の、
日頃
(
ひごろ
)
は
鬼
(
おに
)
とも
組
(
く
)
まん
水兵等
(
すいへいら
)
も、
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
無言
(
むごん
)
に、
此處
(
こゝ
)
に
一團
(
いちだん
)
、
彼處
(
かしこ
)
に
一團
(
いちだん
)
、
互
(
たがひ
)
に
顏
(
かほ
)
を
見合
(
みあ
)
はすばかりで、
其中
(
そのうち
)
に二三
名
(
めい
)
は、
萬一
(
まんいち
)
にも十二の
樽
(
たる
)
の
中
(
うち
)
一つでも、二つでも
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
四十二章経にも云う、「仏言わく、吾が法は無念の念を念じ、
無行
(
むぎょう
)
の行を行じ、
無言
(
むごん
)
の言を言とし、
無修
(
むしゅ
)
の修を修す」と。知識の
実
(
み
)
を犯した私たちは、もはや無知に帰ることはできぬ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
悪口に対する吾人の理想的態度は
無言
(
むごん
)
実行の弁解をもってすべきであると思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
無言
(
むごん
)
のうちに、マタンのしようとしていることをとがめていましたが、いったん、マタンがそのことをしてしまったら、そのことはひみつにしていてやるよと、
約束
(
やくそく
)
しているようにも思われました。
名なし指物語
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
母なる人は
無言
(
むごん
)
にたって、
芳輔
(
よしすけ
)
の手を
捕
(
とら
)
えて父の近くへ
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
嗚呼
(
あゝ
)
、わが
言
(
げん
)
の力を、その
無言
(
むごん
)
の力と同じからしめ給へ。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
無言
(
むごん
)
に泣けば『
新生
(
しんせい
)
』の
黄金光
(
わうごんくわう
)
ぞ
燃
(
も
)
えあがる。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
基康 (
無言
(
むごん
)
にて家来に礼紙を渡す)
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
竜之助は
無言
(
むごん
)
。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
紙細工
(
かみざいく
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、この世にあるまじき美を
巧
(
たくみ
)
にも作り上げた
紙細工
(
かみざいく
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、もしや
本當
(
ほんたう
)
の花でないかえ、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
踵
(
きびす
)
を
囘
(
かへ
)
してツト
馳出
(
はせい
)
づればお
高
(
たか
)
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
つて
無言
(
むごん
)
に
引止
(
ひきと
)
むる
帶
(
おび
)
の
端
(
はし
)
振拂
(
ふりはら
)
へば
取
(
とり
)
すがり
突
(
つ
)
き
放
(
はな
)
せば
纒
(
まと
)
ひつき
芳
(
よし
)
さまお
腹
(
はら
)
だちは
御尤
(
ごもつと
)
もなれども
暫時
(
しばし
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そのなかに、
伊那丸
(
いなまる
)
のすがたを
見出
(
みいだ
)
したので、忍剣は、思いやりの深い
主君
(
しゅくん
)
の心がわかって、
無言
(
むごん
)
のうちに
涙
(
なみだ
)
がうかんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此
(
この
)
時
(
とき
)
宗助
(
そうすけ
)
と
並
(
なら
)
んで
嚴肅
(
げんしゆく
)
に
控
(
ひか
)
えてゐた
男
(
をとこ
)
のうちで、
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けた
一人
(
いちにん
)
が、
矢張
(
やはり
)
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まゝ
)
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がつて、
室
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
の
廊下口
(
らうかぐち
)
の
眞正面
(
ましやうめん
)
へ
來
(
き
)
て
着座
(
ちやくざ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
下人は又、それを行かすまいとして、
押
(
お
)
しもどす。二人は
屍骸
(
しがい
)
の中で、暫、
無言
(
むごん
)
のまゝ、つかみ合つた。しかし
勝敗
(
しようはい
)
は、はじめから、わかつている。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いよいよ室内へはいるが、
無言
(
むごん
)
でいること、足音をたてないことを、もういちど係官たちにもとめたのであった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
初
(
はじ
)
めの
壜
(
びん
)
は
二人共
(
ふたりとも
)
無言
(
むごん
)
の
行
(
ぎょう
)
で
呑乾
(
のみほ
)
してしまう。
院長
(
いんちょう
)
は
考込
(
かんがえこ
)
んでいる、ミハイル、アウエリヤヌイチは
何
(
なに
)
か
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
をしようとして、
愉快
(
ゆかい
)
そうになっている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それより
無言
(
むごん
)
にて
半町
(
はんちやう
)
ばかり、たら/\と
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
る。こゝに
晝
(
ひる
)
も
暗
(
くら
)
き
樹立
(
こだち
)
の
中
(
なか
)
に、ソと
人
(
ひと
)
の
氣勢
(
けはひ
)
するを
垣間
(
かいま
)
見
(
み
)
れば、
石
(
いし
)
の
鳥居
(
とりゐ
)
に
階子
(
はしご
)
かけて、
輪飾
(
わかざり
)
掛
(
か
)
くる
少
(
わか
)
き
一人
(
ひとり
)
、
落葉
(
おちば
)
掻
(
か
)
く
翁
(
おきな
)
二人
(
ふたり
)
あり。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかし
時間
(
じかん
)
が
來
(
く
)
れば
動
(
うご
)
かぬわけにいかない
只
(
た
)
だ
人車鐵道
(
じんしやてつだう
)
さへ
終
(
をは
)
れば
最早
(
もう
)
着
(
つ
)
ゐたも
同樣
(
どうやう
)
と
其
(
それ
)
を
力
(
ちから
)
に
箱
(
はこ
)
に
入
(
はひ
)
ると
中等
(
ちゆうとう
)
は
我等
(
われら
)
二人
(
ふたり
)
ぎり
廣
(
ひろ
)
いのは
難有
(
ありがた
)
いが二
時間半
(
じかんはん
)
を
無言
(
むごん
)
の
行
(
ぎやう
)
は
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ると
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
台所
(
だいどころ
)
へでて、
無言
(
むごん
)
にタアちゃんをだいたときには、家のものみなが目をうるおした。
花前
(
はなまえ
)
が
去
(
さ
)
ったあと、あのはしの話を聞きたかったけれど、なんだかきのどくで聞かれなかったと
下女
(
げじょ
)
も
涙
(
なみだ
)
をふいた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
無言
(
むごん
)
に
凝視
(
みつ
)
め
赫耀
(
かくえう
)
の
波動
(
はどう
)
を
聴
(
き
)
けば、
夢心地
(
ゆめごこち
)
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
さゝれて理左衞門はグツト言て暫く
無言
(
むごん
)
なりしが
否
(
いや
)
然樣
(
さやう
)
の儀は御座なくとぐづ/\答ければ大岡殿
假令
(
たとへ
)
其方
陳
(
ちん
)
ずるとも不吟味の罪は
遁
(
のが
)
れぬぞ此上にも申
掠
(
かすめ
)
んとなさば餘儀なく
拷問
(
がうもん
)
にも掛ねばならず然すれば武士の
恥辱
(
ちじよく
)
は申に及ばず主人へ猶
恥
(
はぢ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
眼の黒い
薔薇
(
ばら
)
の花、おまへの死の鏡のやうな眼の黒い
薔薇
(
ばら
)
の花、不思議といふ事を思はせておくれ、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
障子
(
しやうじ
)
を
開
(
あ
)
けたなり、
少時
(
しばらく
)
肴
(
さかな
)
から
垂
(
た
)
る
汁
(
つゆ
)
か
膏
(
あぶら
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
いてゐたが、
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まゝ
)
又
(
また
)
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
た
)
てゝ
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
へ
戻
(
もど
)
つた。
細君
(
さいくん
)
は
眼
(
め
)
さへ
肴
(
さかな
)
から
離
(
はな
)
さなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
良
(
りやう
)
さん
今朝
(
けさ
)
の
指輪
(
ゆびわ
)
はめて
下
(
くだ
)
さいましたかと
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
の
細
(
ほそ
)
さよ
答
(
こた
)
へは
胸
(
むね
)
にせまりて
口
(
くち
)
にのぼらず
無言
(
むごん
)
にさし
出
(
だ
)
す
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せてじつとばかり
眺
(
なが
)
めしが。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
焼
(
や
)
け死ぬか、のがれだせるか、人間最高の
努力
(
どりょく
)
をふりしぼる
瞬間
(
しゅんかん
)
には、かれもこれも、おそろしい
無言
(
むごん
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばらく
無言
(
むごん
)
が続いた
後
(
のち
)
、お蓮がこう問い直すと、声はやっと彼女の耳に、懐しい名前を
囁
(
ささや
)
いてくれた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
アンドレイ、エヒミチは
錢
(
ぜに
)
を
勘定
(
かんぢやう
)
して、五百
圓
(
ゑん
)
を
無言
(
むごん
)
で
友
(
とも
)
に
渡
(
わた
)
したのである。ミハイル、アウエリヤヌヰチは
未
(
ま
)
だ
眞赤
(
まつか
)
になつて、
面目無
(
めんぼくな
)
いやうな、
怒
(
おこ
)
つたやうな
風
(
ふう
)
で。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして、言葉も
頓
(
とみ
)
に発し得ないで、反対の側の片隅を、
無言
(
むごん
)
の
裡
(
うち
)
に指した。そこには黒い横長の木札の上に、トイレットという文字が白エナメルで書きしるされてあった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前刻
(
ぜんこく
)
より
無言
(
むごん
)
にて
平伏
(
へいふく
)
したる
恩田杢
(
おんだもく
)
は
此時
(
このとき
)
はじめて
頭
(
かうべ
)
を
擡
(
もた
)
げ
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それで
例
(
れい
)
の
無言
(
むごん
)
で、
不意
(
ふい
)
にうしろから兼吉にげんこをくれた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
私は
無言
(
むごん
)
で
冷
(
つめ
)
たい
小酒杯
(
リキユグラス
)
をとりあげ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
殺した事も
皆々
(
みな/\
)
汝ぢだと疑つて
居
(
ゐる
)
ぞ此
盜人野郎
(
ぬすびとやらう
)
め
乞食
(
こじき
)
に近い此彌十よりは遙か
劣
(
おと
)
りし
人非人
(
にんぴにん
)
めサア言
譯
(
わけ
)
が有なら
返答
(
へんたふ
)
仕
(
し
)
ろと
大聲
(
おほごゑ
)
に言
込
(
こめ
)
けるに
流石
(
さすが
)
不敵
(
ふてき
)
の段右衞門も更に
無言
(
むごん
)
となり此時に至つて大いに
赤面
(
せきめん
)
爲
(
し
)
たる有樣なれども未だ白状は
爲
(
せ
)
ざりけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「これが
彼
(
あの
)
……」と
叔母
(
をば
)
は
逡巡
(
ためら
)
つて
宗助
(
そうすけ
)
の
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
た。
御米
(
およね
)
は
何
(
なん
)
と
挨拶
(
あいさつ
)
のしやうもないので、
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まゝ
)
唯
(
たゞ
)
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
アンドレイ、エヒミチは
銭
(
ぜに
)
を
勘定
(
かんじょう
)
して、五百
円
(
えん
)
を
無言
(
むごん
)
で
友
(
とも
)
に
渡
(
わた
)
したのである。ミハイル、アウエリヤヌイチはまだ
真赤
(
まっか
)
になって、
面目無
(
めんぼくな
)
いような、
怒
(
おこ
)
ったような
風
(
ふう
)
で。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それから私たちは、
無言
(
むごん
)
の
裡
(
うち
)
に仕事をやった。それは私たちにとって珍らしいことだった。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“無言”の意味
《名詞》
無 言(むごん)
何も言わないこと。
(出典:Wiktionary)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“無言”で始まる語句
無言劇
無言客
無言行
無言居士
無言語菩薩