比較ひかく)” の例文
このとほりに器械觀測きかいかんそく結果けつか體驗たいけん結果けつかとは最初さいしよから一致いつちがたいものであるけれども、それを比較ひかくしてみることは無益むえきわざではない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
截り取りたる石屑いしくづ及び砥石といしに用ゐしとおもはるる石器等を比較ひかくすれば、正しくコロボックルが磨製石斧をつくりたる順序じゆんじよを知るを得るなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
屡々しば/\速射砲等そくしやほうとうをもつて反對はんたい撃沈げきちんされるほどで、とても、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ破天荒はてんくわうなる、この海底戰鬪艇かいていせんとうていとは比較ひかくすること出來できぬのである。
この比較ひかくは一応それとして、彼らの憂愁が一体どこに根ざし、どういうところから特異な形成をげたかが、ここでは問題になるでしょう。
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
くまは、かごの格子こうしから、おおきなからだ比較ひかくして、ばかにちいさくえるあたまをば上下じょうげって、あたりをながめていました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
陳氏はしきりに向うの異教徒席や異派席とプログラムとを比較ひかくしながらよほど気にかかる模様でした。とうとう、そっと私にささやきました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「さようでござりましょうとも、信玄公しんげんこう在世ざいせいのころからくらべれば比較ひかくにならないと、町人ちょうにんたちもささやいております」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貝塚土器かひづかどき破片はへんが、わづかに二三ぺん見出みいだされたが、かひ分量ぶんりやうから比較ひかくしてると、何億萬分なんおくまんぶんいちといふくらゐしかにあたらぬ)
なるほど理窟りくつはその通りであるが何かにつけて鶯に比較ひかくされては佐助を始め門弟一同やりきれなかったことであろう
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これを解禁後かいきんご推定相場すゐていさうば四十九ドルぶんの三と比較ひかくするとわづかに一ドルらずとなつて一わりさがつてつた爲替相場かはせさうばは九回復くわいふくしたわけであつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
安井やすゐわらひながら、比較ひかくのため、自分じぶんつてゐるある友達ともだち故郷こきやう物語ものがたりをして宗助そうすけかした。それは淨瑠璃じやうるりあひ土山つちやまあめるとある有名いうめい宿しゆくことであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじ自分じぶん土地とち比較ひかくして茫々ばう/\たるあたりの容子ようすまれた。さうして工夫等こうふら權柄けんぺいにこき使つかはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
森整調以下、ほとんど失神の状態となり、矢野清舵手は、両手に海水をすくって戦友の背中に浴せ、比較ひかく的元気な松山五番もこれに手伝い、坂本四番の介抱かいほうに努めるなど
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
野淵君は英雄と花とを比較ひかくして美文を並べたがそれはカアライルの焼きなおしにすぎません、いかにも英雄は必要です、だが野淵君のいうような英雄は全然不必要です
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
我々われ/\ロシヤの地方團體ちはうだんたい醫術いじゆつ如何どうであらうか、精神病せいしんびやういてふならば、現今げんこん病氣びやうき類別法るゐべつはふ診斷しんだん治療ちれう方法はうはふとも皆是みなこれ過去くわこ精神病學せいしんびやうがく比較ひかくするならば
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
照正様のは実物と比較ひかくしないとわかりにくい。先生はボールにバットだと思ったのである。もっともひとりで立っているバットなんかあり得ない。先生も絵心がなさすぎる。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
よし僕等の生涯しようがいは、勞働者と比較ひかくして何等なんら相違さうゐがないとしても、僕等はつねに勞働者的生涯からだつして、もう少し意味ある、もう少し價値あるライフにりたいと希望きぼうしてゐる。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うつぶしにたふれけるが——と本文ほんもんにあるところ講釈かうしやくすなは足羽川あすはがは中流ちうりういしなのであるが、比較ひかくしてふまでもなく、はう自然しぜんで、変化へんげ座頭ざとうだけに、観音堂くわんおんだうちかところ
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれがわたしにものを教えてくれたことに対しては、わたしはひじょうに感謝かんしゃしていた。けれどもかれとくらすのと、アーサとこうしてくらすのとではとても比較ひかくにはならなかった。
考える。いちばんうまい比較ひかくを考えついたものが、褒美ほうびをもらうのである
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
それからアフリカあたりの黒人こくじんまでふくめた現代人類げんだいじんるい比較ひかくしてると、動物學上どうぶつがくじようこれら現代人げんだいじんおなひとつの人種じんしゆにいるべきものではなくて、それとはべつしゆぞくするほどのちがひをしめしてをりますので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
まへ内外ないがい火山かざん巡見じゆんけんした場合ばあひ記事きじかゝげていたが、諸君しよくん兩方りようほう比較ひかくせられたならば、國内こくない火山作用かざんさようがいしておだやかであつて
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
可憐かれんなとこなつのはなは、ほかのはなたちの生活せいかつりたかったのです。そして、自分じぶん運命うんめい比較ひかくしてみたいとおもったのです。
小さな赤い花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
山猫拝やまねこはいと書いたおかしな葉書はがきが来たので、こどもが山の風の中へ出かけて行くはなし。かなら比較ひかくをされなければならないいまの学童がくどうたちの内奥ないおうからの反響はんきょうです。
主人しゆじん宗助そうすけもつてある程度ていど鑑賞家かんしやうか誤解ごかいした。ちながら屏風びやうぶふちけて、宗助そうすけおもて屏風びやうぶおもてとを比較ひかくしてゐたが、宗助そうすけ容易ようい批評ひひやうくださないので
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我々われわれロシヤの地方団体ちほうだんたい医術いじゅつはどうであろうか、まず精神病せいしんびょういてうならば、現今げんこん病気びょうき類別法るいべつほう診断しんだん治療ちりょう方法ほうほうともみなこれを過去かこ精神病学せいしんびょうがく比較ひかくするならば
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
試合場しあいじょう城戸きどから、八ちょう参道さんどうとよぶひろ平坦へいたんさかをかけおりてゆくうちに、燕作の小粒こつぶなからだはみるみるうちにされて、とてもこれは、比較ひかくにはならないと思われるほど
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さうかんがへてると我國わがくに商賣しやうばい以前いぜん比較ひかくして非常ひじやう仕好しよくなることはたしかである、それであるから金解禁きんかいきん出來できのちける經濟界けいざいかい以前いぜんよりも安定あんていしたとつて差支さしつかへないわけである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そうなってからでもそれで生計を立てたのではなく月々道修町どしょうまちの本家から仕送る金子きんすの方が比較ひかくにならぬほど多額だったのであるが、彼女の驕奢きょうしゃ贅沢ぜいたくとはそれでも支えきれなかった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
各遺跡を一々檢査けんさし相互に比較ひかくしたりとは斷言だんげんし難けれど、日本諸地方の石器時代遺跡中には互にことなれる人民の手に成りしもの有りとの反証はんせうでざる間は斯く考ふる方道理有りと云ふべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
いま數年すうねんむかしきみ御記臆ごきをくですか、滊船きせん甲板かんぱんで、わたくし奇妙きめうなるぎんじ、また、歐洲をうしう列國れつこく海軍力かいぐんりよく増加ぞうかと、我國わがくに現况げんけうとを比較ひかくして、とみより、機械學きかいがく進歩上しんぽじやうより、我國わがくに今日こんにちごと
もつと上手じやうずえんずるのをいたら、はなし呼吸こきふと、こゑ調子てうしで、きやくをうまく引入ひきいれるかもれぬが、こゝでは随筆ずゐひつ文章ぶんしやういたのと、筆記本ひつきぼん言語げんごのまゝしるしたものとを比較ひかくして、おなじ言葉ことばながら
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
芝居の話もくわしく、知ったか振りをしたぼくが南北なんぼく五瓶ごへい、正三、治助じすけなどというむかしの作者達の比較ひかく論をするのに、上手な合槌あいづちを打ってくれ、ぼくは今夜はまさに自分の独擅場どくせんじょうだなと得意な気がして
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
統計とうけいによれば、餘震よしんのときの震動しんどうおほいさは、最初さいしよ大地震だいぢしんのものに比較ひかくして、その三分さんぶんいちといふほどのものが、最大さいだい記録きろくである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
どんな貴重きちょうのものも、子供こどもとは、とうてい比較ひかくになるものではないと、しみじみこのときだけはかんじたのであります。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
多分は目方でお測りになるおつもりか知れませんが目方で比較ひかくなさるのは大へんご損です。食物の中で消化される分の熱量ででもご比較になったら割合正確だろうと存じます。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
日本などはとうてい比較ひかくにもなりません。しかし彼らはただ自由なのではありません。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
恁云かうい學説がくせつは、たゞ種々しゆ/″\學説がくせつあつめて研究けんきうしたり、比較ひかくしたりして、これ自分じぶん生涯しやうがい目的もくてきとしてゐる、きはめて少數せうすう人計ひとばかりにおこなはれて、多數たすうものれを了解れうかいしなかつたのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
異地方發見の土器どき比較ひかくして、其土質、製法、形状、紋樣等を對照たいせうするも亦類似るいじつよくして一地方の物の他地方に移りし事、即ち異地方相互の間に交通ありし事を證明せうめいする事實じじつ少しとせざるなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
初期微動しよきびどう主要動しゆようどう比較ひかくしてだいなるはやさをつてゐるが、しかしながら振動しんどうおほいさは、反對はんたい主要動しゆようどうほうかへつてだいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そのうつくしいことは、いかなるはな比較ひかくにならず、また、そのかおりのたかいことは、たにわたっていてくるかぜに、はないていることがれるほどです……。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
御米およね小六ころく憮然ぶぜんとしてゐる姿すがたて、それを時々とき/″\酒氣しゆきびてかへつてる、何所どこかに殺氣さつきふくんだ、しかもなにしやくさはるんだかわけわからないでゐてはなは不平ふへいらしい小六ころく比較ひかくすると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こう学説がくせつは、ただ種々しゅじゅ学説がくせつあつめて研究けんきゅうしたり、比較ひかくしたりして、これを自分じぶん生涯しょうがい目的もくてきとしている、きわめて少数しょうすうひとばかりにおこなわれて、多数たすうものはそれを了解りょうかいしなかったのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
磐梯山ばんだいざんたか千八百十九米せんはつぴやくじゆうくめーとる)の明治二十一年めいじにじゆういちねん六月十五日ろくがつじゆうごにちける大爆發だいばくはつは、當時とうじ天下てんか耳目じもく聳動しようどうせしめたものであつたが、クラカトアには比較ひかくすべくもない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
こうおつと、どちらがえらいかな!」などと、やはり比較ひかくをしたのであります。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
海外かいがいもつと激烈げきれつなものに比較ひかくすればはるかにそれ以下いかであることを了解りようかいせられるであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
とても比較ひかくにならぬほどしあわせなことでありました。
つばきの下のすみれ (新字新仮名) / 小川未明(著)