散歩さんぽ)” の例文
麦畑むぎばたけ牧場ぼくじょうとはおおきなもりかこまれ、そのなかふか水溜みずだまりになっています。まったく、こういう田舎いなか散歩さんぽするのは愉快ゆかいことでした。
さびしい田舎道いなかみちほうまで、自転車じてんしゃはしらせて、二人ふたりは、散歩さんぽしました。徳蔵とくぞうさんは、たつ一にとって、じつにいさんのようながしました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
もちろんこういう散歩さんぽのおり、リーズはものは言えなかったが、きみょうなことに、わたしたちはなにもことばの必要ひつようはなかった。
ある日、ふたりはいっしょに散歩さんぽにいったかえりに、女のほうの家へよりました。すると、女が男のほうのむすめにむかっていいました。
わたしの散歩さんぽは——ときには別荘の庭、ときにはネスクーチヌィ公園、またあるときは関門の外まで足をばすといった風で
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
とも二人ふたりでブラリといへた。もとより何處どこかうといふ、あてもないのだが、はなしにもきがたので、所在なさに散歩さんぽ出掛でかけたのであツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それ以来いらい二人ふたり夕方ゆうがた、しばしば一しょに散歩さんぽかけた。だまって歩いて、河に沿っていったり、野を横切よこぎったりした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ところ仕合しあはせにもミハイル、アウエリヤヌヰチのはうが、此度こんど宿やど引込ひつこんでゐるのが、とうとう退屈たいくつになつてて、中食後ちゆうじきごには散歩さんぽにと出掛でかけてつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひるまだと、この公園のつるつるしたけわしい小路こみちを、大ぜいの人たちが、しょっちゅう散歩さんぽしては、谷間を流れるはげしい流れをながめるのです。
をしかな。すぐにもあとをたづねないで……晩方ばんがた散歩さんぽときは、見附みつけにも、おほりにも、たゞきりみづうへに、それかともおもかげが、たゞふたつ、つ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここ一、二年水害すいがいをまぬがれた庭は、去年きょねんより秋草がさかんである。花のさかりには、まだしばらくまがありそうだ。主人はけさも朝涼ちょうりょうに庭を散歩さんぽする。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それがくせのいつものふとした出來心できごころで、銀座ぎんざ散歩さんぽみちすがら、畫家ぐわかをつとはペルシア更紗さらさ壁掛かべかけつてた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「ちつと散歩さんぽでもらつしやい」とつた。しか其時そのとき宗助そうすけたゞうんと生返事なまへんじかへしただけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あくる朝、散歩さんぽかたがた、果物を取りに出かけました。そして、何だかあわれに見えるおじいさんが、小川のつつみに、じっとすわっているのに会いました。
今日きょうなども散歩さんぽしたみちすがらはからずもあなたにめぐりい、このめにはなによりの修行しゅぎょう……あなたからもなんとか言葉ことばをかけててくだされ……。
予が辞去じきょの後、先生例の散歩さんぽこころみられ、黄昏こうこん帰邸きてい初夜しょやしんつかれんとする際発病はつびょうついたれず。哀哉かなしいかな
『これは先日せんじつ此附近このふきん散歩さんぽしてひろつたのです。如何どう大學だいがくへおおさめをねがひます』とふ。
村人むらびとたちは夕ぐれ時、頭から手の先まですっかりつつみこんだかっこうで、人通ひとどおりの少ないうら道とか、木のしげりあったくらいじめじめした場所を散歩さんぽしているれいの男にでくわすと
ぼくはおきぬなしをむいて、ぼくひとりいつてる浴室よくしつに、そつともつれたことをおもひ、二人ふたり溪流けいりう沿ふて散歩さんぽしたことをおもひ、そのやさしい言葉ことばおもひ、その無邪氣むじやき態度たいどおもひ、その笑顏ゑがほおも
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
新聞しんぶん雜誌等ざつしなど繰廣くりひろげてたがなにかない、いつ晝寢ひるねせんか、市街まちでも散歩さんぽせんかと、思案しあんとり/″\まどつてながめると、眼下がんかおろす子ープルスわんかゞみのやうな海面かいめんうかんで、ふね
堀割ほりわり散歩さんぽ
偏奇館吟草 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
つみつくりなれわれゆゑにひと二人ふたりまでおなおもひにくるしむともいざやしらがき若葉わかばつゆかぜにゆふぐれの散歩さんぽがてら梨本なしもとむすめ病氣びやうきにて別莊べつそう出養生でやうじやうとや見舞みまひてやらんとてしばおとづれしにお八重やへはじめて對面たひめんしたりはゞはんの千言百言ちこともゝことうさもつらさもむねみておんともはず義理ぎりとも
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
電信柱でんしんばしらはいうに、昼間ひるま人通ひとどおりがしげくて、おれみたいなおおきなものがあるけないから、いまごろいつも散歩さんぽするのにめている、とこたえた。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、町の家いえの屋根やねの上を散歩さんぽして、あたりのようすをながめてから、こんどは日なたに長ながとねそべりました。
そこで用のないリーズがエチエネットの代わりになって、ビエーヴル川の岸のほうへわたしを散歩さんぽれて行ってくれた。
ところ仕合しあわせにもミハイル、アウエリヤヌイチのほうが、こんどは宿やど引込ひっこんでいるのが、とうとう退屈たいくつになってて、中食後ちゅうじきごには散歩さんぽにと出掛でかけてった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
れば、神樂坂かぐらざかきがけに、前刻さつき郵便局いうびんきよくまへあたりで、水入みづいらずの夫婦ふうふ散歩さんぽたのに、あまはなしがないから
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だから宗助そうすけさびしみはたんなる散歩さんぽ觀工場くわんこうば縱覽じゆうらんぐらゐところで、つぎ日曜にちえうまでうかうか慰藉ゐしやされるのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と云ふにふでを止めて置いた。そして散歩さんぽにでも出るやうに、ぶらりと勝見家の門を出て了ツた。畫室などはそツくり其のまゝにして置いて、何一つ持出さなかツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
やがて、詩人しじんヴィクトル・リュドベルイの胸像きょうぞうのある、公園こうえんの上にきました。公園の中はひっそりとしていて、高い木々の下には、散歩さんぽをしている人の姿も見うけられませんでした。
「さア、もう一ぺん四馬路スマロ散歩さんぽだ。」
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「まあ、このけしのはなのきれいなこと。」といって、散歩さんぽしている、わか夫婦ふうふが、みせさきにまると、けしのはなました。
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
住居すまゐ其処等そこら散歩さんぽをする、……ほこらいへにはおうら留主るすをして、がために燈火ともしびのもとで針仕事はりしごとでもるやうな、つひしたたのしい心地こゝちがする。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしたちはみんなで——リーズとマチアとわたしと三人に、人形とカピまでおともれて、長い散歩さんぽをした。わたしはこの五、六日ひじょうに幸福であった。
そして寢床ねどこに入ツても、誰かと話してゐるうちにも、また散歩さんぽしてゐる時、色を此うして出さうとか、人物の表情は此うとか、えず其の製作にいてのみ考えてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「やあ、てゐたのか」とひながら座敷ざしきあがつた。先刻さつき郵便いうびんしてから、神田かんだ散歩さんぽして、電車でんしやりてうちかへまで宗助そうすけあたまには小六ころくひらめかなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたくし中食後ちゅうじきご散歩さんぽ出掛でかけましたので、ちょっと立寄たちよりましたのです。もうまるではるです。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かみさまは天国てんごくのおにわ散歩さんぽなさろうとお思いになって、使徒しと聖者せいじゃたちをみんなおつれになりました。そのため、天国にはせいペテロさまがひとりしかのこっていませんでした。
「きっと、ちょっと散歩さんぽにでかけただけなんだろう。」と、ニールスは思いました。「ぼくがさっき言ったことぐらいで、はらをたてるわけはないもの。わるい気で言ったんじゃないんだから。」
それから、しばらく、勇吉ゆうきち一人ひとりで、いしからいしへわたったり、またみずぎわを、あちらへいったり、こちらを散歩さんぽしたりしました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
はじめはかれもむくれたままでいたが、まもなく、気がわりやすい性質せいしつだけに、なにかほかのことに考えがうつって、手まねで、よし、外へ散歩さんぽれて行くなら
そして、下界げかいりて、みねを、はらを、むらさきほし微行びかうしてかすか散歩さんぽするおもかげがあつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくし時折ときをり種々いろ/\こと妄想まうざうしますが、往々わう/\幻想まぼろしるのです、或人あるひとたり、またひとこゑいたり、音樂おんがくきこえたり、またはやしや、海岸かいがん散歩さんぽしてゐるやうにおもはれるときります。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
電信柱でんしんばしらさん、世間せけんひとはみんなきらいでも、おまえさんはきだ。これからいっしょに散歩さんぽしよう。」といって、二人ふたりはともにあるした。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし中食後ちゆうじきご散歩さんぽ出掛でかけましたので、ちよつ立寄たちよりましたのです。もう全然まるではるです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其処そこきづだらけにつて漸々やう/\ところが、取着とつゝきで、以前いぜん夫婦ふうふづれで散歩さんぽ場所ばしよとは、全然まるで方角はうがくちがう、——御存ごぞんじのとほり、温泉をんせん左右さいう見上みあげるやうなやまひかへた、ドンぞこからきます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、ついにおそれた、そのがきました。せめてものおもにと、年子としこは、先生せんせいとおわかれするまえにいっしょに郊外こうがい散歩さんぽしたのであります。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし時折ときおり種々いろいろなことを妄想もうぞうしますが、往々おうおう幻想まぼろしるのです、或人あるひとたり、またひとこえいたり、音楽おんがくきこえたり、またはやしや、海岸かいがん散歩さんぽしているようにおもわれるときもあります。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ももさんは、明日あす日曜日にちようびだから、おかあさんがかみをおめになればいい、そして、ごいっしょに散歩さんぽにつれていっていただこうとおもいました。
夕雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いったいぼくは、だれをも、おびやかしたくないんだが、ぼくが、散歩さんぽると、みんながこわがってしかたがない。なんというぼく不幸ふこうものだろう。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)