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穩
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おだや
ふりがな文庫
“
穩
(
おだや
)” の例文
新字:
穏
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
は
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
に
懸
(
か
)
けた
大根
(
だいこ
)
の
動
(
うご
)
かぬ
程
(
ほど
)
穩
(
おだや
)
かな
日
(
ひ
)
であつた。お
品
(
しな
)
は
此
(
こ
)
の
分
(
ぶん
)
で
行
(
ゆ
)
けば
一枚紙
(
いちまいがみ
)
を
剥
(
は
)
がすやうに
快
(
こゝろ
)
よくなることゝ
確信
(
かくしん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
君
(
きみ
)
ばかりでない、
僕
(
ぼく
)
の
朋友
(
ほういう
)
の
中
(
うち
)
、
何人
(
なんぴと
)
も
未
(
いま
)
だ
此名
(
このな
)
が
如何
(
いか
)
に
僕
(
ぼく
)
の
心
(
こゝろ
)
に
深
(
ふか
)
い、
優
(
やさ
)
しい、
穩
(
おだや
)
かな
響
(
ひゞき
)
を
傳
(
つた
)
へるかの
消息
(
せうそく
)
を
知
(
し
)
らないのである。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
前
(
まへ
)
に
内外
(
ないがい
)
の
火山
(
かざん
)
を
巡見
(
じゆんけん
)
した
場合
(
ばあひ
)
の
記事
(
きじ
)
を
掲
(
かゝ
)
げて
置
(
お
)
いたが、
諸君
(
しよくん
)
若
(
も
)
し
兩方
(
りようほう
)
を
比較
(
ひかく
)
せられたならば、
國内
(
こくない
)
の
火山作用
(
かざんさよう
)
は
概
(
がい
)
して
穩
(
おだや
)
かであつて
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
だが
其
(
そ
)
のいづれの
相乘
(
あひのり
)
にも、
齊
(
ひと
)
しく
私
(
わたし
)
の
關
(
くわん
)
せざる
事
(
こと
)
は
言
(
い
)
ふまでもない。とにかく、
色氣
(
いろけ
)
も
聊
(
いさゝ
)
か
自棄
(
やけ
)
で、
穩
(
おだや
)
かならぬものであつた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
錢形平次の前に引出されて、その
穩
(
おだや
)
かな人柄と、思ひやりの深い言葉を聽くと、性も他愛もなく、娘心の弱々しさに返るのです。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
今日
(
けふ
)
の
如
(
ごと
)
く
浪路
(
なみぢ
)
穩
(
おだや
)
かに、
頓
(
やが
)
て
相
(
あひ
)
共
(
とも
)
に
※去
(
くわこ
)
の
平安
(
へいあん
)
を
祝
(
いは
)
ひつゝ
芙蓉
(
ふよう
)
の
峯
(
みね
)
を
仰
(
あふ
)
ぐ
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るやうにと
只管
(
ひたすら
)
天
(
てん
)
に
祈
(
いの
)
るの
他
(
ほか
)
はないのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
別れて出たては
至極
(
しごく
)
穩
(
おだや
)
かで、
白山
(
はくさん
)
あたりから通つて來る、或
大工
(
だいく
)
と懇意になつて、其大工が始終長火鉢の
傍
(
そば
)
に頑張つてゐた。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
さう
鋭
(
するど
)
くもなく敢へて
奇
(
き
)
手
妙策
(
めうさく
)
も
弄
(
ろう
)
せず
靜
(
しづ
)
かに
穩
(
おだや
)
かにもみ合つてゐる光
景
(
けい
)
たるやたしかに「
櫻
(
さくら
)
かざして」の
感
(
かん
)
なくもない。
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
私たちはみんな、何時か死なゝければならないのだし、私を連れて行く病氣はひどく苦しくない、
穩
(
おだや
)
かな漸進的なものなの。私の氣持も安らかよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
乃ち
金
(
かね
)
を受けて
穩
(
おだや
)
かに(これ彼の言なり)彼等を放てるなり、またそのほかの
職務
(
つとめ
)
においても汚吏の小さき者ならでいと大なる者なりき 八五—八七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
縁側
(
えんがは
)
に
出
(
で
)
て、
高
(
たか
)
い
庇
(
ひさし
)
を
仰
(
あふ
)
ぐと、
黒
(
くろ
)
い
瓦
(
かはら
)
の
小口
(
こぐち
)
丈
(
だけ
)
が
揃
(
そろ
)
つて、
長
(
なが
)
く一
列
(
れつ
)
に
見
(
み
)
える
外
(
そと
)
に、
穩
(
おだや
)
かな
空
(
そら
)
が、
蒼
(
あを
)
い
光
(
ひかり
)
をわが
底
(
そこ
)
の
方
(
はう
)
に
沈
(
しづ
)
めつゝ、
自分
(
じぶん
)
と
薄
(
うす
)
くなつて
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども
勿論
(
もちろん
)
穩
(
おだや
)
かな
日和
(
ひより
)
ばかりは
續
(
つづ
)
きません、ある時は
烏
(
からす
)
が來て
折角
(
せつかく
)
生
(
は
)
えかけたその芽をついばみ、ある時は恐ろしい
嵐
(
あらし
)
があれて、
根柢
(
こんてい
)
から何も
彼
(
か
)
もを
覆
(
くつがへ
)
してしまひます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
元來
(
もとより
)
一
腹
(
ぷく
)
一
對
(
つゐ
)
の
中
(
なか
)
に
育
(
そだ
)
ちて
他人
(
たにん
)
交
(
ま
)
ぜずの
穩
(
おだや
)
かなる
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
なれば、さして
此兒
(
このこ
)
を
陰氣
(
いんき
)
ものに
仕立
(
したて
)
あげる
種
(
たね
)
は
無
(
な
)
けれども、
性來
(
せいらい
)
をとなしき
上
(
うへ
)
に
我
(
わ
)
が
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
の
用
(
もち
)
ひられねば
兎角
(
とかく
)
に
物
(
もの
)
のおもしろからず
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ロミオは
言葉
(
ことば
)
穩
(
おだや
)
かに、
此
(
この
)
爭端
(
さうたん
)
の
取
(
とる
)
に
足
(
た
)
らぬ
由
(
よし
)
を
反省
(
はんせい
)
させ、
二
(
ふた
)
つには
殿
(
との
)
のお
怒
(
いかり
)
を
思
(
おも
)
ひやれ、と
聲色
(
せいしょく
)
を
和
(
やは
)
らげ、
膝
(
ひざ
)
を
曲
(
ま
)
げて、さま/″\に
申
(
まう
)
しましたなれども、
中裁
(
ちゅうさい
)
には
耳
(
みゝ
)
を
假
(
か
)
しませぬチッバルト
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
風に
揉
(
もま
)
れて暮したり
漸
(
やうや
)
く五日の
申
(
さる
)
の
下刻
(
げこく
)
に及び少し風も
靜
(
しづ
)
まり浪も
稍
(
やゝ
)
穩
(
おだや
)
かに成ければ
僅
(
わづ
)
かに
蘇生
(
そせい
)
の心地して
悦
(
よろこ
)
びしが間もなく其夜の
初更
(
しよかう
)
に再び
震動
(
しんどう
)
雷電
(
らいでん
)
し
颶風
(
ぐふう
)
頻
(
しき
)
りに
吹起
(
ふきおこ
)
り以前に
倍
(
ばい
)
して
強
(
つよ
)
ければ
船
(
ふね
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一人、劍持だけはまだ何か
穩
(
おだや
)
かでない目附をしてゐた。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
沖
(
おき
)
なる
島山
(
しまやま
)
の
頂
(
いたゞき
)
は
紫嵐
(
しらん
)
に
包
(
つゝ
)
まれ、
天地
(
てんち
)
見
(
み
)
るとして
清新
(
せいしん
)
の
氣
(
き
)
に
充
(
み
)
たされて
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
、
濱
(
はま
)
は
寂寞
(
じやくばく
)
として
一
(
いつ
)
の
人影
(
じんえい
)
なく、
穩
(
おだや
)
かに
寄
(
よ
)
せては
返
(
か
)
へす
浪
(
なみ
)
を
弄
(
ろう
)
し
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
細
(
ほそ
)
い
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
で、やがて
木賃宿
(
きちんやど
)
の
行燈
(
あんどう
)
の
中
(
なか
)
へ
消
(
き
)
えるのであらうと、
合點
(
がつてん
)
して、
坂上
(
さかがみ
)
も
稍
(
やゝ
)
もの
言
(
い
)
ひが
穩
(
おだや
)
かに
成
(
な
)
つたのである。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「旦那を殺した奴? そいつは
穩
(
おだや
)
かぢやないな。——一體誰が誰を殺したといふのだ。落着いて話して見るが宜い」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あなたは、あの人を御存知ないのです——あの人のことを何も仰しやつてはいけませんわ。」私は
穩
(
おだや
)
かに云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「そんぢや、おとつゝあ
俺
(
おれ
)
行
(
い
)
つ
來
(
く
)
つから」といつた。
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
ばかりは
穩
(
おだや
)
かな
挨拶
(
あいさつ
)
が
交換
(
かうくわん
)
された。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それより
二隻
(
にせき
)
相
(
あひ
)
並
(
なら
)
んで、
海原
(
うなばら
)
遠
(
とう
)
く
幾千里
(
いくせんり
)
、
頓
(
やが
)
て、
芙蓉
(
ふえう
)
の
峯
(
みね
)
の
朝日
(
あさひ
)
影
(
かげ
)
を
望
(
のぞ
)
み
見
(
み
)
る
迄
(
まで
)
の、
壯快
(
さうくわい
)
なる
想像
(
さうぞう
)
を
胸
(
むね
)
に
描
(
えが
)
き、
暮
(
く
)
れては、
海風
(
かいふう
)
穩
(
おだや
)
かなる
艦橋
(
かんけう
)
のほとり、
濱島武文
(
はまじまたけぶみ
)
や
春枝夫人等
(
はるえふじんら
)
と
相
(
あひ
)
語
(
かた
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
父
(
ちゝ
)
は
穩
(
おだや
)
かならぬ
色
(
いろ
)
を
動
(
うご
)
かして、
改
(
あらた
)
まつて
何
(
なに
)
かのと
膝
(
ひざ
)
を
進
(
すゝ
)
めれば、
私
(
わたし
)
は
今宵
(
こよひ
)
限
(
かぎ
)
り
原田
(
はらだ
)
へ
歸
(
かへ
)
らぬ
决心
(
けつしん
)
で
出
(
で
)
て
參
(
まい
)
つたので
御座
(
ござ
)
ります、
勇
(
いさむ
)
が
許
(
ゆる
)
しで
參
(
まい
)
つたのではなく、
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
を
寐
(
ね
)
かして、
太郎
(
たらう
)
を
寐
(
ね
)
かしつけて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
分つは勿論の事なれども其中にも成ると
成
(
なら
)
ざるとは大いに
違
(
ちが
)
ひあることなり
譬
(
たと
)
へば町内に
捨物
(
すてもの
)
の有りし時
拔身
(
ぬきみ
)
の
白刄
(
しらは
)
なりとも
鞘
(
さや
)
無
(
な
)
き
脇差
(
わきざし
)
何處其處
(
どこそこ
)
に
捨
(
すて
)
これ有候と
認
(
したゝ
)
めて訴へれば
穩
(
おだや
)
かに聞ゆるなり
依
(
よつ
)
て此訟訴書の無事に御取上に成る樣にとて長助は
種々
(
しゆ/″\
)
に心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「すゞめ
三羽
(
さんば
)
に
鳩
(
はと
)
一羽
(
いちは
)
といつてね。」と
丁
(
ちやん
)
と
格言
(
かくげん
)
まで
出來
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
た。それから
思
(
おも
)
ふと、みゝづくを
以
(
もつ
)
て、
忽
(
たちま
)
ち
食料問題
(
しよくれうもんだい
)
にする
土地
(
とち
)
は
人氣
(
にんき
)
が
穩
(
おだや
)
かである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「女房か、それとも娘がやられたのか、お前の意氣込みが
穩
(
おだや
)
か過ぎるから、その綺麗な娘のお雪さんぢやあるめえ」
銭形平次捕物控:273 金の番
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それはさうと、私の最も
穩
(
おだや
)
かな氣持ちが
衝動
(
しようどう
)
を受けようとしてゐる。そんな豫感がしますよ。さあ、それが實際になるかどうか見る爲めにとゞまつてゐらつしやい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
たゞ
其
(
その
)
白
(
しろ
)
い
顏
(
かほ
)
の
邊
(
あたり
)
から
肩先
(
かたさき
)
へかけて
楊
(
やなぎ
)
を
洩
(
も
)
れた
薄
(
うす
)
い
光
(
ひかり
)
が
穩
(
おだや
)
かに
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
る。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
急ぎて大坂まで上り此所より
船
(
ふね
)
に乘し
處
(
ところ
)
機
(
をり
)
よく海上も
穩
(
おだや
)
かにて
滯留
(
とゞこほ
)
りなく讃州丸龜へ
到着
(
たうちやく
)
し江戸屋清兵衞と尋ねしに
直樣
(
すぐさま
)
知れければ行て見るに
咄
(
はな
)
しよりも
大層
(
たいそう
)
なる
構
(
かま
)
ひにて間口八間に奧行廿間餘の旅籠屋にて
働
(
はたら
)
き女十二三人見世番料理番の下男七八人又勝手には
菰
(
こも
)
かぶりの
酒樽
(
さかだる
)
七八本を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
和吉さんは
穩
(
おだや
)
かな良い人ですよ。——そりや、あの若さですもの、家にばかり居るわけぢやございません。
銭形平次捕物控:171 偽八五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、
事
(
こと
)
もおろかや
如法
(
によほふ
)
の
荒海
(
あらうみ
)
、
剩
(
あまつさ
)
へ
北國日和
(
ほくこくびより
)
と、
諺
(
ことわざ
)
にさへ
言
(
い
)
ふのだから、
浪
(
なみ
)
はいつも
穩
(
おだや
)
かでない。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「正面から喉へ短刀を突つ立てられる若い娘が、膝も崩さず、斯んな
穩
(
おだや
)
かな顏で死なれるものだらうか」
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
霧
(
きり
)
もかゝり、
霜
(
しも
)
もおりる……
月
(
つき
)
も
曇
(
くも
)
れば
星
(
ほし
)
も
暗
(
くら
)
し、
此
(
こ
)
の
大空
(
おほぞら
)
にも
迷
(
まよ
)
ひはある。
迷
(
まよ
)
ひも、
其
(
それ
)
は
穩
(
おだや
)
かなれども、
胸
(
むね
)
の
塞
(
ふさが
)
り
呼吸
(
いき
)
が
閉
(
とぢ
)
る、もやくやなあとの、
電
(
いなびかり
)
、はたゝがみを
御覽
(
ごらん
)
ぜい。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
口癖に褒めてゐたのは『鬼の面』の品吉だけで——さう/\この二、三日、親分のところの姐さんを褒めてゐたさうですよ。綺麗で
穩
(
おだや
)
かで、人柄が親切らしいつてね。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
靜
(
しづ
)
かな、
穩
(
おだや
)
かな
日中
(
ひなか
)
に
處
(
しよ
)
して、
猶且
(
なほか
)
つ
暴風
(
ばうふう
)
に
揉
(
も
)
まれ、
搖
(
ゆ
)
らるゝ、
其
(
そ
)
の
瞬間
(
しゆんかん
)
の
趣
(
おもむき
)
あり。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
金があつて情け深くて、人柄が
穩
(
おだや
)
かで、これが昔、人斬庖丁を二本、腰にブラ提げて、肩で風を切つた人とは、どうしても受取れないほどの
物柔
(
ものやはら
)
かな中老人だつたのです。
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今年
(
ことし
)
三月
(
さんぐわつ
)
の
半
(
なか
)
ばより、
東京市中
(
とうきやうしちう
)
穩
(
おだや
)
かならず、
天然痘
(
てんねんとう
)
流行
(
りうかう
)
につき、
其方此方
(
そちこち
)
から
注意
(
ちうい
)
をされて、
身體髮膚
(
しんたいはつぷ
)
これを
父母
(
ふぼ
)
にうけたり
敢
(
あへ
)
て
損
(
そこな
)
ひ
毀
(
やぶ
)
らざるを、と
其
(
そ
)
の
父母
(
ふぼ
)
は
扨
(
さ
)
て
在
(
おは
)
さねども、……
生命
(
いのち
)
は
惜
(
を
)
しし
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見たところ背の低い脂肥りの五十前後、顏は死の苦惱もなく
穩
(
おだや
)
かで、何んとなく
愚鈍
(
ぐどん
)
にさへ見える表情です。恐らく物慾と
女漁
(
をんなあさ
)
り以外は、何んの興味も持たない人柄でせう。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
穩
(
おだや
)
かに促しました。
銭形平次捕物控:272 飛ぶ若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
穩
部首:⽲
19画
“穩”を含む語句
安穩
平穩
靜穩
穩當
不穩
穩便
不穩當
乘穩
御安穩
穩戸