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涙
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なみだ
ふりがな文庫
“
涙
(
なみだ
)” の例文
「よく、ご
主人
(
しゅじん
)
のいいつけを
守
(
まも
)
って、
辛棒
(
しんぼう
)
するのだよ。」と、お
母
(
かあ
)
さんは、いざゆくというときに、
涙
(
なみだ
)
をふいて、いいきかせました。
子供はばかでなかった
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さあ
坊
(
ぼっ
)
ちゃん。きっとこいつは
談
(
はな
)
します。早く
涙
(
なみだ
)
をおふきなさい。まるで顔中ぐじゃぐじゃだ。そらええああすっかりさっぱりした。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
涙
(
なみだ
)
を目に一ぱいにしたかとみるまに、
抱
(
だ
)
いてたわが子を
邪険
(
じゃけん
)
にかきのけて、おいおい声を立てて
泣
(
な
)
きだすようなことがあるのである。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
といって、
詳
(
くわ
)
しく
道
(
みち
)
を
教
(
おし
)
えてくれました。
坊
(
ぼう
)
さんは
涙
(
なみだ
)
をこぼして、
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
わせて
拝
(
おが
)
みながら、ころがるようにして
逃
(
に
)
げていきました。
人馬
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
うつくしき
顏
(
かほ
)
に
似合
(
にあは
)
ぬは
心
(
こゝろ
)
小學校通
(
せうがくかうがよ
)
ひに
紫袱紗
(
むらさきふくさ
)
對
(
つゐ
)
にせし
頃
(
ころ
)
年上
(
としうへ
)
の
生徒
(
せいと
)
に
喧嘩
(
いさかひ
)
まけて
無念
(
むねん
)
の
拳
(
こぶし
)
を
我
(
わ
)
れ
握
(
にぎ
)
る
時
(
とき
)
同
(
おな
)
じやうに
涙
(
なみだ
)
を
目
(
め
)
に
持
(
も
)
ちて
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
あゝ、
其
(
そ
)
のよろこびの
涙
(
なみだ
)
も、
夜
(
よる
)
は
片敷
(
かたし
)
いて
帶
(
おび
)
も
解
(
と
)
かぬ
留守
(
るす
)
の
袖
(
そで
)
に
乾
(
かわ
)
きもあへず、
飛報
(
ひはう
)
は
鎭守府
(
ちんじゆふ
)
の
病院
(
びやうゐん
)
より、
一家
(
いつけ
)
の
魂
(
たましひ
)
を
消
(
け
)
しに
來
(
き
)
た。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「私が死んではいけないのかい? それなら、私が死んだらお前は
涙
(
なみだ
)
を流すにちがいない。よし! 私はお前のために天国へいこう。」
巨男の話
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そなたはしきりに
先刻
(
さっき
)
から
現世
(
げんせ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
して、
悲嘆
(
ひたん
)
の
涙
(
なみだ
)
にくれているが、
何事
(
なにごと
)
がありても
再
(
ふたた
)
び
現世
(
げんせ
)
に
戻
(
もど
)
ることだけは
協
(
かな
)
わぬのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
アンドレイ、エヒミチは
此
(
こ
)
の
切
(
せつ
)
なる
同情
(
どうじやう
)
の
言
(
ことば
)
と、
其上
(
そのうへ
)
涙
(
なみだ
)
をさへ
頬
(
ほゝ
)
に
滴
(
た
)
らしてゐる
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
の
顏
(
かほ
)
とを
見
(
み
)
て、
酷
(
ひど
)
く
感動
(
かんどう
)
して
徐
(
しづか
)
に
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「どうしたね
勘次
(
かんじ
)
、
恁
(
か
)
うして
連
(
つ
)
れて
來
(
こ
)
られてもいゝ
心持
(
こゝろもち
)
はすまいね」といつた。
藁草履
(
わらざうり
)
を
穿
(
は
)
いた
勘次
(
かんじ
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
涙
(
なみだ
)
がぽつりと
落
(
お
)
ちた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さすがの勇士も、煙の魔軍には勝つ
術
(
すべ
)
がなかった。息づまる苦しさと、目にしむ
涙
(
なみだ
)
をこらえながら、いっさんにその
穴
(
あな
)
を走りもどった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聞給
(
きゝたま
)
はゞ
嘸
(
さぞ
)
な
歡
(
よろこ
)
び給ふべし
暫
(
しば
)
し
涙
(
なみだ
)
に
昏
(
くれ
)
けるが否々年も行ぬ
其方們
(
そなたたち
)
先々
(
まづ/\
)
見合
(
みあはせ
)
呉
(
くれ
)
と云を兄弟は聞ず
敵討
(
かたきうち
)
に出ると云にも非ず父樣の樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それを聞いておりますと、思わず、
涙
(
なみだ
)
が
浮
(
うか
)
んでまいります。まるで、母が、あたしにキスをしてくれるような気持がいたしますの
ナイチンゲール
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これをきいたジェンナーは、目に
涙
(
なみだ
)
をためて喜びました。ハンター先生のこの一言は、どんなにかジェンナーをはげましたことでしょう。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
小初のきつい眼から
涙
(
なみだ
)
が二三
滴
(
てき
)
落ちた。貝原は身の置場所もなく
恐縮
(
きょうしゅく
)
した。小初は涙を拭いた。そして今度はすこし優しい声音で云った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これほどにも情深く、心根のやさしい人があるかと思い、ヘルンに対して、何かいじらしく
涙
(
なみだ
)
ぐましいものさえも感じたというのである。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
早苗はぽろっと
涙
(
なみだ
)
をこぼし、くいしばった口もとをこまかくふるわせていた。二つのうちどちらをとってよいか
判断
(
はんだん
)
がつかなかったのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そして、お
涙
(
なみだ
)
のうちに、やっと、女神のおなきがらを、
出雲
(
いずも
)
の国と
伯耆
(
ほうき
)
の国とのさかいにある
比婆
(
ひば
)
の山にお
葬
(
ほうむ
)
りになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
私
(
わたし
)
は
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つて、
折
(
をり
)
から
運
(
はこ
)
ばれて
來
(
き
)
た
金盥
(
かなだらひ
)
のあたゝな
湯氣
(
ゆげ
)
の
中
(
なか
)
に、
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
から
搖
(
ゆる
)
ぎ
落
(
お
)
ちたやうな
涙
(
なみだ
)
を
靜
(
しづ
)
かに
落
(
おと
)
したのであつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
そこへ、やせた清兵衛がやせた朝月をひいてあらわれると、
毛利輝元
(
もうりてるもと
)
は、
籠城
(
ろうじょう
)
の苦しさを思いやって、さすがに目に
涙
(
なみだ
)
を見せ
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
あの
涙
(
なみだ
)
の
池
(
いけ
)
で
泳
(
およ
)
いでからは
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
變
(
かは
)
つたやうで、
硝子
(
ガラス
)
洋卓
(
テーブル
)
も
小
(
ちひ
)
さな
戸
(
と
)
のあつた
大廣間
(
おほびろま
)
も
全
(
まつた
)
く
何處
(
どこ
)
へか
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて
了
(
しま
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
『あゝ、
夢
(
ゆめ
)
ではありますまいか、
之
(
これ
)
が
夢
(
ゆめ
)
でなかつたら、どんなに
嬉
(
うれ
)
しいんでせう。』と、
止
(
とゞ
)
め
兼
(
かね
)
たる
喜悦
(
よろこび
)
の
涙
(
なみだ
)
をソツと
紅絹
(
くれない
)
の
手巾
(
ハンカチーフ
)
に
押拭
(
おしぬぐ
)
ふ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
まち
子
(
こ
)
は、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に、すべての
景色
(
けしき
)
が
見
(
み
)
えでもするかのやうに、一
心
(
しん
)
になつて
涙
(
なみだ
)
ぐみながら
云
(
い
)
ふのであつた。すると、
末男
(
すゑを
)
も、おなじやうに
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
彼女は
涙
(
なみだ
)
もこぼさないでしおれていた。風呂敷の中からメリンスの
鯨帯
(
くじらおび
)
と、結婚の時に着ていた
胴抜
(
どうぬ
)
きの
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が出て来た。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
……おかあさんたちも、ひとり
残
(
のこ
)
らずその
横手
(
よこて
)
に立っていて、さめざめと
涙
(
なみだ
)
を流しながら、めいめい自分のむす子や
娘
(
むすめ
)
を、目でさぐりあてる。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「
何
(
な
)
んとの、じゃァござんせんぜ。あの
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで、
垣根
(
かきね
)
へ
首
(
くび
)
を
突込
(
つっこ
)
むなんざ、
情
(
なさけ
)
なすぎて、
涙
(
なみだ
)
が
出
(
で
)
るじゃァござんせんか」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
僧正
(
そうじょう
)
の
祈
(
いの
)
りの声と、ろうそくの
光
(
ひかり
)
と
香
(
こう
)
の
煙
(
けむり
)
のなかで、人形がうっとり笑いかけたとき、コスモとコスマの
眼
(
め
)
からは、
涙
(
なみだ
)
がはらはらと
流
(
なが
)
れました。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その女がある日、いつになく心細気な顔をして
涙
(
なみだ
)
ぐんでいる。どうしたかといって訊くと、(あなたと本意なく別れるようになるかもしれない)
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一夜、「
鳳鳥
(
ほうちょう
)
至らず。河、
図
(
と
)
を出さず。
已
(
や
)
んぬるかな。」と独言に孔子が
呟
(
つぶや
)
くのを聞いた時、子路は思わず
涙
(
なみだ
)
の
溢
(
あふ
)
れて来るのを禁じ得なかった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
マリちゃんは
隅
(
すみ
)
ッこへ
坐
(
すわ
)
って、お
皿
(
さら
)
を
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うえ
)
へおいて、
泣
(
な
)
いていたが、
前
(
まえ
)
にあるお
皿
(
さら
)
は、
涙
(
なみだ
)
で一ぱいになるくらいでした。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
犬芥
(
いぬがらし
)
、「
約百
(
ヨブ
)
の
涙
(
なみだ
)
」、
紫苑
(
しをん
)
、どんなに血の
滴
(
た
)
れる心よりも、おまへたちの
方
(
はう
)
がわたしは
好
(
すき
)
だ。
滅
(
ほろ
)
んだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
が、
日頃
(
ひごろ
)
いかつい
軍曹
(
ぐんそう
)
の
眼
(
め
)
に
感激
(
かんげき
)
の
涙
(
なみだ
)
さへ
幽
(
かす
)
かに
染
(
にぢ
)
んでゐるのを
見
(
み
)
てとると、それに
何
(
なん
)
とない
哀
(
あは
)
れつぽさを
感
(
かん
)
じて
次
(
つぎ
)
から
次
(
つぎ
)
へと
俯向
(
うつむ
)
いてしまつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
祖父
(
そふ
)
は
嬉
(
うれ
)
し涙をながし——彼はもう年をとっていたので
涙
(
なみだ
)
もろかった——そして、
素晴
(
すば
)
らしいものだといってくれた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
けれど、いまのじぶんの
身
(
み
)
のふしあわせを思いだしますと、
涙
(
なみだ
)
がこみあげてきました。でも、しばらくたつと、またもや笑いだしてしまうのでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
ヂュリ
涙
(
なみだ
)
で
創口
(
きずぐち
)
を
洗
(
あら
)
はしゃるがよい、
其
(
その
)
涙
(
なみだ
)
の
乾
(
ひ
)
る
頃
(
ころ
)
にはロミオの
追放
(
つゐはう
)
を
悔
(
くや
)
む
予
(
わし
)
の
涙
(
なみだ
)
も
大概
(
たいがい
)
盡
(
つけ
)
う。
其
(
その
)
綱
(
つな
)
を
拾
(
ひろ
)
うてたも。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
女
(
をんな
)
の
肩
(
かた
)
に
頬
(
ほヽ
)
をよせると、キモノの
花模様
(
はなもやう
)
が
涙
(
なみだ
)
のなかに
咲
(
さ
)
いたり
蕾
(
つぼ
)
んだりした、
白
(
しろ
)
い
花片
(
はなびら
)
が
芝居
(
しばゐ
)
の
雪
(
ゆき
)
のやうに
青
(
あほ
)
い
空
(
そら
)
へちら/\と
光
(
ひか
)
つては
消
(
き
)
えしました。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
それから『子持ちは
相身
(
あいみ
)
たがい見です。このお子さんを手ばなすお心持ちは私もお察し申し上げておりますから』って
涙
(
なみだ
)
をうかべておっしゃいましたの
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし、ゴオルに入った
途端
(
とたん
)
、ぼく達の
耳朶
(
じだ
)
に
響
(
ひび
)
いたピストルは、過去二年間にわたる血と
涙
(
なみだ
)
と
汗
(
あせ
)
の苦労が、この五分間で終った合図でもありました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
このごろ
日脚
(
ひあし
)
西に入り易く、四時過ぎに学校を
出
(
い
)
で、五時半に羽生に着けば日まったく暮る。夜、九時、湯に行く。秋の夜の
御堂
(
みどう
)
に友の
涙
(
なみだ
)
冷
(
ひや
)
やかなり。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
看護をしてから
二日目
(
ふつかめ
)
の
晩
(
ばん
)
に、
三千代
(
みちよ
)
が
涙
(
なみだ
)
を流して、是非
詫
(
あや
)
まらなければならない事があるから、代助の所へ行つて其訳を聞いて呉れろと
夫
(
おつと
)
に告げた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしたら
余人
(
よじん
)
はともかくお前にだけはこの顔を見られねばならぬと勝気な春琴も意地が
挫
(
くじ
)
けたかついぞないことに
涙
(
なみだ
)
を流し繃帯の上からしきりに両眼を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この
時
(
とき
)
涙
(
なみだ
)
はらはらと
湧
(
わ
)
いて
来
(
き
)
た。
地面
(
ぢめん
)
に
身
(
み
)
を
伏
(
ふ
)
せ、
気味
(
きび
)
の
悪
(
わる
)
い
唇
(
くちびる
)
ではあるが、
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
接吻
(
せつぷん
)
して
大声
(
おほごゑ
)
に
叫
(
さけ
)
んだ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
「はっ」と言って源太夫はしばらく
畳
(
たたみ
)
に顔を
押
(
お
)
し当てていた。ややあって
涙
(
なみだ
)
ぐんだ目をあげて家康を見て、「甚五郎めにいたさせまする御奉公は」と問うた。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
目がしらの所が
涙
(
なみだ
)
でしじゅうぬれていた。そして時々細く目をあいてぼくたちをじっと見るとまたねむった。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それであればこそ
路傍
(
ろぼう
)
で
耳朶
(
じだ
)
に触れた一言が、自分の一生の
分岐点
(
ぶんきてん
)
となったり、
片言
(
かたこと
)
でいう
小児
(
しょうに
)
の言葉が、胸中の
琴線
(
きんせん
)
に触れて、
涙
(
なみだ
)
の源泉を突くことがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
でも
曾祖母
(
ひいおばあ
)
さんはしつかりとした
氣象
(
きしやう
)
の
人
(
ひと
)
で、
父
(
とう
)
さん
達
(
たち
)
がお
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
る
日
(
ひ
)
には、もう
涙
(
なみだ
)
を
見
(
み
)
せませんでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
卒都婆は波にもまれて
芦
(
あし
)
のしげみにかくれてしまいました。わしはそれをじっと見送っていたら
涙
(
なみだ
)
がこぼれた。しかし神様には何でもできないことはないはずだ。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
お浪もこの
夙
(
はや
)
く
父母
(
ちちはは
)
を失った不幸の児が
酷
(
むご
)
い
叔母
(
おば
)
に
窘
(
くるし
)
められる
談
(
はなし
)
を前々から聞いて知っている上に、しかも今のような話を聞いたのでいささか
涙
(
なみだ
)
ぐんで
茫然
(
ぼうぜん
)
として
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
涙
(
なみだ
)
が目の中にいっぱいたまっているのでそう見えるのですが、林太郎はそんなことは気がつきません。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
かくて此ありさまをいふべき所へつげしらせ、次の日の夕ぐれ
棺
(
くわん
)
一ツに
妻
(
つま
)
と
童
(
わらべ
)
ををさめ、母の
棺
(
くわん
)
と二ツ
野辺
(
のべ
)
おくりをなしけるに
涙
(
なみだ
)
そゝがざるものはなかりけるとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
“涙”の解説
ナミダ
涙(なみだ、淚、涕、泪、涙液)は、目の涙腺から分泌される体液のことである。眼球の保護が主要な役割であるが、ヒト特有の現象として、感情の発現による涙を流すことがある。
(出典:Wikipedia)
涙
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“涙”を含む語句
涙香
蝋涙
暗涙
涙声
紅涙
涙含
落涙
鬼涙
感涙
涙顔
涙珠
血涙
燭涙
熱涙
涕涙
涙脆
口惜涙
空涙
有難涙
涙腺
...