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幾度
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いくど
ふりがな文庫
“
幾度
(
いくど
)” の例文
誰
(
た
)
れか
這入
(
はいっ
)
て来る、電報がかかる、訪問客が来る、
折角
(
せっかく
)
考えていたことを中途で妨げられて、またヤリ直すことが
幾度
(
いくど
)
あるか知れぬ。
人格を認知せざる国民
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それが出来たら今度はまたサラダ油を一杯混ぜてまた酢を半杯という風に都合サラダ油を三杯酢を二杯の割で
幾度
(
いくど
)
にもよく混ぜます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「これから
気
(
き
)
をつけろ。」と、
小僧
(
こぞう
)
を
許
(
ゆる
)
してやりました。
小僧
(
こぞう
)
は、
幾度
(
いくど
)
も
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて、ほかの
車
(
くるま
)
といっしょに
走
(
はし
)
り
去
(
さ
)
りました。
はととりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
幾度
(
いくど
)
か二人はつんのめりそうになった。両腕を互の首根っ子に廻わして、お互にまた引きずったり、
凭
(
もた
)
れかかったりしていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
監獄にいた時どうだとか云うことを
幾度
(
いくど
)
も云って、
息張
(
いば
)
るかと思えば、泣言を言っている。酒の
匀
(
におい
)
が胸の悪い程するのである。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
さうすると
勘次
(
かんじ
)
は
力
(
ちから
)
を
極
(
きは
)
めて
臼
(
うす
)
の
中央
(
ちうあう
)
を
打
(
う
)
つ。それが
幾度
(
いくど
)
も
反覆
(
はんぷく
)
された。
庭
(
には
)
の
木立
(
こだち
)
の
陰翳
(
かげ
)
が
濃
(
こ
)
く
成
(
な
)
つて
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
はきら/\と
臼
(
うす
)
から
反射
(
はんしや
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
燕は目をきょろきょろさせながら羽根を
幾度
(
いくど
)
か組み合わせ直して
頸
(
くび
)
をちぢこめてみましたが、なかなかこらえきれない寒さで
寝
(
ね
)
つかれません。
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
實
(
じつ
)
は、
故郷
(
こきやう
)
への
往復
(
わうふく
)
に、
其
(
そ
)
の
頃
(
ころ
)
は
交通
(
かうつう
)
の
必要上
(
ひつえうじやう
)
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
幾度
(
いくど
)
も
長途
(
ながみち
)
を
俥
(
くるま
)
にたよつたため、
何時
(
いつ
)
となく
乘
(
の
)
るのに
馴
(
な
)
れたものであらうと
思
(
おも
)
ふ。……
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこへゆくと歌のすきなマスノは、きりきり
舞
(
ま
)
いをするような苦労をした。ただ歌いたいために
有頂天
(
うちょうてん
)
になり、親にそむいて
幾度
(
いくど
)
か家出をした。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
半身
(
はんしん
)
を
沒
(
ぼつ
)
して、
二人
(
ふたり
)
はいひ
爭
(
あらそ
)
つてゐた。
男
(
をとこ
)
は
激
(
はげ
)
しく
何
(
なに
)
かいひながら、
搖
(
ゆ
)
すぶるやうに
女
(
をんな
)
の
肩
(
かた
)
を
幾度
(
いくど
)
も
小突
(
こづ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
そういうことが、
幾度
(
いくど
)
もくりかえされたので、五—六年のうちに、何百匹というウサギが、裏庭に、うずめられました。
電人M
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『ですからなぜ、あの家住みませんでしたか。私あの家、面白いの家と思いました』と
幾度
(
いくど
)
も
繰返
(
くりかえ
)
して
口惜
(
くや
)
しがった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
かういつたところで、
味
(
あぢは
)
ひは、あなた
方
(
がた
)
がめい/\に、
幾度
(
いくど
)
もくり
返
(
かへ
)
し
讀
(
よ
)
んで
見
(
み
)
なければ
起
(
おこ
)
つて
來
(
こ
)
ないとおもひます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
その
後
(
ご
)
も
私
(
わたくし
)
は
幾度
(
いくど
)
となくこの
竜宮街道
(
りゅうぐうかいどう
)
を
通
(
とお
)
りましたが、
何度
(
なんど
)
通
(
とお
)
って
見
(
み
)
ても
心地
(
ごこち
)
のよいのはこの
街道
(
かいどう
)
なのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
かうした
思
(
おもひ
)
を取集めて考へることは、一
生
(
しやう
)
中
(
ちう
)
幾度
(
いくど
)
もないやうにさへ思はれた。人間は
唯
(
たゞ
)
※忙
(
そうばう
)
の
中
(
うち
)
に過ぎて
行
(
ゆ
)
く……
味
(
あぢは
)
つて
居
(
ゐ
)
る余裕すらないと又繰返した。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
冬
(
ふゆ
)
の
月夜
(
つきよ
)
なにかに
田町
(
たまち
)
あたりを
集
(
あつ
)
めに
廻
(
まわ
)
ると
土手
(
どて
)
まで
來
(
き
)
て
幾度
(
いくど
)
も
泣
(
な
)
いた
事
(
こと
)
がある、
何
(
なに
)
さむい
位
(
くらゐ
)
で
泣
(
な
)
きはしない、
何故
(
なぜ
)
だか
自分
(
じぶん
)
も
知
(
し
)
らぬが
種々
(
いろ/\
)
の
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へるよ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
近頃
(
ちかごろ
)
はそれが
段々
(
だん/\
)
落
(
お
)
ち
付
(
つ
)
いて
來
(
き
)
て、
宗助
(
そうすけ
)
の
氣
(
き
)
を
揉
(
も
)
む
機會
(
ばあひ
)
も、
年
(
ねん
)
に
幾度
(
いくど
)
と
勘定
(
かんぢやう
)
が
出來
(
でき
)
る
位
(
くらゐ
)
少
(
すく
)
なくなつたから、
宗助
(
そうすけ
)
は
役所
(
やくしよ
)
の
出入
(
でいり
)
に、
御米
(
およね
)
は
又
(
また
)
夫
(
をつと
)
の
留守
(
るす
)
の
立居
(
たちゐ
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幾度
(
いくど
)
となく有りがとうを
繰返
(
くりかえ
)
したのであったが、それがその人の一生涯の恐らく最終の感激であった。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
致さず
押返
(
おしかへ
)
して予が沙汰に及ばざる内は
幾度
(
いくど
)
も御
斷
(
ことわ
)
り申立べし是は其方より上意を
背
(
そむく
)
には
非
(
あら
)
ず
言
(
いは
)
ば我等が御意を背儀なれば少しも心遣ひなく存じ
居
(
をる
)
べしと御
懇切
(
ねんごろ
)
なる御意を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
また
銅
(
どう
)
に
錫
(
すゞ
)
をまぜると
鑄
(
ゐ
)
るのに
容易
(
ようい
)
で、しかも
堅
(
かた
)
くつて
丈夫
(
じようぶ
)
であるといふことも、
最初
(
さいしよ
)
は
偶然
(
ぐうぜん
)
に
知
(
し
)
つたらしいのでありますが、
幾度
(
いくど
)
かの
經驗
(
けいけん
)
で
銅
(
どう
)
九分
(
くぶ
)
に
錫
(
すゞ
)
一分
(
いちぶ
)
をまぜあはすと
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
その地図の下に立ってみすぼらしい
身装
(
みなり
)
の青年が、その地図の上の距離を計ったり、
凝
(
じ
)
っと
凝視
(
みつめ
)
ていたりして、淋しい表情で帰って行くのを、私は
幾度
(
いくど
)
見かけたか知れなかった。
郷愁
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
云
(
い
)
つて
兎
(
うさぎ
)
は
氣遣
(
きづか
)
はしげに
自分
(
じぶん
)
の
肩
(
かた
)
を
幾度
(
いくど
)
も
見
(
み
)
ました、それから
爪先
(
つまさき
)
で
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
愛
(
あい
)
ちやんの
耳元
(
みゝもと
)
近
(
ちか
)
く
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せて、『
愛
(
あい
)
ちやんが
死刑
(
しけい
)
の
宣告
(
せんこく
)
の
下
(
もと
)
にある』と
云
(
い
)
ふことを
咡
(
さゝや
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
幾度
(
いくど
)
掛
(
か
)
けてもチヤンと、
存生中
(
ぞんしやうちゆう
)
に
物言
(
ものい
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
音色
(
おんしよく
)
が
発
(
はつ
)
するのだから
其人
(
そのひと
)
が
再
(
ふたゝ
)
び
蘇生
(
よみかへつ
)
て
対話
(
たいわ
)
でもするやうな
心持
(
こゝろもち
)
になるのだから、
大
(
おほ
)
きに
是
(
これ
)
は
追善
(
つゐぜん
)
の
為
(
ため
)
に
宜
(
よ
)
からうと考へられまする。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二箇所
(
にかしよ
)
の
火元
(
ひもと
)
を
雪
(
ゆき
)
を
以
(
もつ
)
て
消
(
け
)
しにかゝつたが、
祖母
(
そぼ
)
は
家
(
いへ
)
よりも
身體
(
からだ
)
が
大事
(
だいじ
)
だといつて
重幸少年
(
しげゆきしようねん
)
を
制
(
せい
)
したけれども、
少年
(
しようねん
)
はこれをきかないで、
幾度
(
いくど
)
も
雪
(
ゆき
)
を
運
(
はこ
)
んで
來
(
き
)
て、
遂
(
つひ
)
に
消
(
け
)
し
止
(
と
)
めたといふ。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ねえ、おじさん、
小言
(
こごと
)
を言うわけじゃないけど、
幾度
(
いくど
)
も聞くぜ、その話は……。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ワグネリスムスの波は、
幾度
(
いくど
)
も幾度も繰り返して世界の音楽界を洗い去った。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
人
(
ひと
)
の
噂
(
うは
)
さと
共
(
とも
)
に
彼女
(
かのぢよ
)
の
傷
(
いたで
)
はだん/\その
生々
(
なま/\
)
しさを
失
(
うしな
)
ふことが
出來
(
でき
)
たけれど、
猶
(
なほ
)
幾度
(
いくど
)
となくその
疼
(
いた
)
みは
復活
(
ふくくわつ
)
した。
彼女
(
かのぢよ
)
は
靜
(
しづ
)
かに
悔
(
く
)
ゐることを
知
(
し
)
つた。それでも
猶
(
なほ
)
その
悔
(
くゐ
)
には
負惜
(
まけを
)
しみがあつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
林太郎はしろ公といっしょに
幾度
(
いくど
)
となく
往来
(
おうらい
)
のすみっこにたち止まっては
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
とまたきくので、正三君は同じことを
幾度
(
いくど
)
も答えなければならなかった。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
『うん、あの
話
(
はなし
)
か。あれは
幾度
(
いくど
)
聽
(
き
)
いても
面白
(
おもしろ
)
いな。』と、
言
(
い
)
ひかけた
但馬守
(
たじまのかみ
)
は、
不圖
(
ふと
)
玄竹
(
げんちく
)
の
剃
(
そ
)
り
立
(
たて
)
の
頭
(
あたま
)
に、
剃刀創
(
かみそりきず
)
が二ヶ
所
(
しよ
)
ばかりあるのを
發見
(
はつけん
)
して、『
玄竹
(
げんちく
)
、だいぶ
頭
(
あたま
)
をやられたな。どうした。』
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
足の疲れはいよいよ甚しく、時には犬に取り巻かれ人に
誰何
(
すいか
)
せられて、
辛
(
から
)
くも
払暁
(
あけがた
)
郡山に達しけるが、二本松郡山の間にては
幾度
(
いくど
)
か
憩
(
いこ
)
いけるに、初めは路の
傍
(
かたわら
)
の草あるところに
腰
(
こし
)
を休めなどせしも
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
... くやしがりて
幾度
(
いくど
)
も仕合を
挑
(
いど
)
むはほとんど
国辱
(
こくじょく
)
とも思えばなるべし)この技の我邦に伝わりし来歴は
詳
(
つまびら
)
かにこれを知らねどもあるいはいう元新橋鉄道局技師(
平岡凞
(
ひらおかひろし
)
という人か)米国より帰りてこれを
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
ある晩のこと茶音頭の
手事
(
てごと
)
を稽古していると佐助の
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
みが悪くてなかなか覚えない
幾度
(
いくど
)
やっても間違えるのに業を
煮
(
に
)
やして例のごとく自分は三味線を下に置き、やあチリチリガン、チリチリガン
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人で
畫板
(
ゑばん
)
を
携
(
たづさ
)
へ
野山
(
のやま
)
を
寫生
(
しやせい
)
して
歩
(
ある
)
いたことも
幾度
(
いくど
)
か
知
(
し
)
れない。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
霜燒けがなほりてシャツを洗ふなり
幾度
(
いくど
)
も濯ぎかたくしぼれる
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
その工合一つで火気を経済的に使えるのだ。これはスープ鍋だが何を煮る時にも使う。火は朝一度起したきりで
幾度
(
いくど
)
の料理でも出来る。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼
(
かれ
)
は、こういって、ぶらぶらしていました。そして、
日
(
ひ
)
に、
幾度
(
いくど
)
ということなく、
戸口
(
とぐち
)
を
出
(
で
)
たり、はいったりしていました。
生きている看板
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
教師
(
けうし
)
は
其
(
その
)
あとで、
嬰兒
(
あかご
)
が
夜泣
(
よなき
)
をして
堪
(
た
)
へられないといふことで
直
(
ぢき
)
に
餘所
(
よそ
)
へ
越
(
こ
)
した。
幾度
(
いくど
)
も
住人
(
すみて
)
が
變
(
かは
)
つて、
今度
(
こんど
)
のは
久
(
ひさ
)
しく
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
るさうである。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
足掛
(
あしかけ
)
三
年
(
ねん
)
に
跨
(
またが
)
る
籠城
(
ろうじょう
)
……
月
(
つき
)
に
幾度
(
いくど
)
となく
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
される
夜打
(
ようち
)
、
朝駆
(
あさがけ
)
、
矢合
(
やあ
)
わせ、
切
(
き
)
り
合
(
あ
)
い……どっと
起
(
おこ
)
る
喊
(
とき
)
の
声
(
こえ
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
身は
桜町家
(
さくらまちけ
)
に
一年
(
いちねん
)
幾度
(
いくど
)
の出替り、
小間使
(
こまづかひ
)
といへば人らしけれど、
御寵愛
(
ごてうあい
)
には
犬猫
(
いぬねこ
)
も
御膝
(
おひざ
)
をけがす物ぞかし。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さういふ
騷
(
さわ
)
ぎをして
居
(
ゐ
)
る
間
(
ま
)
に
幾度
(
いくど
)
かもぢ/\と
身體
(
からだ
)
を
動
(
うご
)
かして
居
(
ゐ
)
た
勘次
(
かんじ
)
は
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
婆
(
ばあ
)
さんの
前
(
まへ
)
へ
進
(
すゝ
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
妹の頭は
幾度
(
いくど
)
も水の中に沈みました。時には沈み切りに沈んだのかと思うほど長く現われて来ませんでした。若者も如何かすると水の上には見えなくなりました。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
かういつても、あなた
方
(
がた
)
が
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
てくれなければわからないことだが、
幾度
(
いくど
)
もくり
返
(
かへ
)
して
貰
(
もら
)
ひたく
思
(
おも
)
ひます。
意味
(
いみ
)
からいへば、
川
(
かは
)
の
音
(
おと
)
がよいといふだけのことです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
私は何となくこういう風に打捨てられた荒地をばかつて南支那
辺
(
へん
)
にある植民地の市街の裏手、または米国西海岸の新開地の街なぞで
幾度
(
いくど
)
も見た事があるような気がする。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あまりに多くありすぎるのを考えて
愁然
(
しゅうぜん
)
とし、『人生は短かすぎる』と
幾度
(
いくど
)
も言って
嘆息
(
たんそく
)
した。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
という句があるが、コウいう
心持
(
こころもち
)
でおれば、至る所に
青山
(
せいざん
)
ありで、
善
(
よ
)
い心持がしようと思う。
己
(
おの
)
れを
欺
(
あざむ
)
くのかも知れないが、
幾度
(
いくど
)
ダマされても、私はこの心持でおりたいと思う。
人格を認知せざる国民
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
『だうりで
先刻
(
さつき
)
から
幾度
(
いくど
)
も、
證明書
(
しようめいしよ
)
お
持
(
も
)
ちですかつて、
婦長
(
ふちやう
)
さんが
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
しました。』
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
そして、こちらの計画がうまく
奏効
(
そうこう
)
するだろうか。実に
待遠
(
まちどお
)
しい、ドキドキする三時間でした。もう振向こうか、もう振向こうかと、
辛抱
(
しんぼう
)
がし切れなくなって、
幾度
(
いくど
)
頸を廻しかけたか知れません。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
にんじんは、その時まず、一人でいることの快楽を味わうのだ。彼は暗闇の中でいろんなことを考えるのが好きである。一日中のことを思い出してみる。
幾度
(
いくど
)
となく、
危
(
あぶな
)
いところを助かってよかった。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
『けど、もつと
分明
(
はつきり
)
云
(
い
)
へと
云
(
い
)
つたつてそれは
無理
(
むり
)
よ』
愛
(
あい
)
ちやんは
極
(
きは
)
めて
愼
(
つゝ
)
ましやかに
答
(
こた
)
へて、『でも、
私
(
わたし
)
は
初
(
はじめ
)
ッから
自分
(
じぶん
)
で
自分
(
じぶん
)
が
解
(
わか
)
らないんですもの、
幾度
(
いくど
)
も
大
(
おほ
)
きくなつたり
小
(
ちひ
)
さくなつたりしたんで、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“幾”で始まる語句
幾
幾何
幾歳
幾日
幾人
幾許
幾年
幾個
幾干
幾分