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九分
大燒原の
野と
成つた、
下町とおなじ
事、
殆ど
麹町の
九分どほりを
燒いた
火の、やゝしめり
際を、
我が
家を
逃出たまゝの
土手の
向越しに
見たが、
黒煙は、
殘月の
下に
また
銅に
錫をまぜると
鑄るのに
容易で、しかも
堅くつて
丈夫であるといふことも、
最初は
偶然に
知つたらしいのでありますが、
幾度かの
經驗で
銅九分に
錫一分をまぜあはすと
隨つて
破壞力からいへば、
餘震の
最大なるものも
最初の
大地震の
九分の
一以下であるといふことになる。ざつと
十分の
一と
見てよいであらう。