自由じゆう)” の例文
鳥は自由じゆうになったのをよろこんで、空へのぼっていきました。そして、どこともなくとびさって、二度ともどってはきませんでした。
人間にんげんが、かしておこうとしても、自由じゆうがなければ、なんでおとうさんがきていられるものか。ああ、あちらのまちがうらめしい!」
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんなうたになると、自由じゆううかれるような調子ちようしが、ぴったりともりを鯨船くぢらぶねのすばやい動作どうさあらはすに適當てきとうしてゐるではありませんか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
いつものように学校がっこうってみると、袖子そでこはもう以前いぜん自分じぶんではなかった。ことごとに自由じゆううしなったようで、あたりがせまかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あるとき老人ろうじんくちをすべらし、きん売買ばいばい自由じゆうになつたはなしをしたものだから、ハッキリとそれは金塊きんかいだろうということがわかつたわけです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
ところが、こんど、キリストきょうをしんずるアメリカが、日本にっぽんくにをひらかせて、自由じゆうにぼうえきをやろうといってきたのです。
「おーい、ヤッロー、いつでも飛べるように、できるだけ水ぎわに近よっているんだぜ。いますぐ自由じゆうにしてやるよ。」
そして、見物人けんぶつにん自分じぶん隨意ずいいにぼたんをすときは、電氣仕掛でんきじかけにつうじて機械きかいうごし、見物人自身けんぶつにんじしん實驗じつけん自由じゆう出來できるようになつてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
法律ほうりつてらしても明白あきらかだ、何人なにびといえども裁判さいばんもなくして無暗むやみひと自由じゆううばうことが出来できるものか! 不埒ふらちだ! 圧制あっせいだ!
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「もちろんだよ。あとでやつは、さんざん苦心くしんして自由じゆうからだになっただろう。そうとうきつくしばってやったからな」
そち母人ははびと近頃ちかごろようや修行しゅぎょうんで、外出そとで自由じゆうにできるようになったので、是非ぜひそちわそうかとおもっている。
世界中せかいじゅう人々ひとびとがみなおたがいあいしあい、そして力強ちからづよきてゆくこと、それがかれ理想りそうであり、そしてかれはいつも平和へいわ自由じゆう民衆みんしゅうとの味方みかたであります。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
この夫人ふじんうつくしいが、LIがゐたら、これも一きわつであらうことを想像そうぞうしたりしたが、しかし今夜こんやLIのゐないことはかへつて自由じゆうであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「それはくらげがよろしゅうございましょう。あれはかたちはみっともないやつでございますが、あしがあって、自由じゆうおかの上があるけるのでございます。」
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのわがまゝのとほらぬこともあるまじきなれど、らきは養子やうし身分みぶん桂次けいじはつく/″\他人たにん自由じゆううらやみて、これからのすゑをもくさりにつながれたるやうにかんがへぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くちでは意志ゐし自由じゆうだとか、個人こじん權威けんゐだとか立派りつぱなことは云ツてゐるものゝ、生活せいくわつめにはこゝろにもない業務ぎやうむを取ツたり、げなくても可い頭も下げなければならない。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
窃盗せっとう嫌疑けんぎけて、身体検査しんたいけんさまでされ、半裸体はんらたい姿すがたちながら、職務しょくむ忠実ちゅうじつすぎる男の自由じゆうにされる——これがはずかしくないだろうか? しかし、これも経験けいけんなのだ。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
あいちやんは裁判官さいばんくわんせき、それから大急おほいそぎで蜥蜴とかげさかさまにきました。あはれなちひさなものは、まつた自由じゆううごくことが出來できないので、たゞかなしさうに其尾そのをばかりつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
全然ぜんぜん進退しんたい自由じゆううしなつたらそれこそ大變たいへんみづかすゝんで奇禍きくわまねくやうなものです。
回々教フイフイけう旅行者りよかうしやたちはすつかり面喰めんくらつて、ラランをなかからしたが、やつと正気しやうきづいたラランはした自由じゆうがきかないほど、くちなか火傷やけどしてゐた。カラカラとわらふどころではなかつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
年期ねんきがあければ自由じゆう自由じゆう
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
「さあ、みんなんでごらん。あの野原のはらたかのところまで!」と、母鳥ははどりは、三子供こどもたちに自由じゆうぶことをゆるしたのでした。
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ことにどもらしい氣持きもちをうた自由じゆうみこんだひとで、そんなのになると、つい/\よいわるいをわすれて、同感どうかんせずにゐられません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし、英語えいごをおしえるといっても、諭吉ゆきちは、字引じびきをたよりに、一人ひとり勉強べんきょうしたわけですから、英語えいご自由じゆうによみこなすことはできません。
それで狩獵しゆりようでとつてけだものにくは、つぼなか鹽漬しほづけとして保存ほぞんされるし、みづやその流動物りゆうどうぶつかめれて、自由じゆうはこぶことも出來できるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
万一まんいちねずみめのいうことがげられて、せっかく自由じゆうになったわれわれが、またもとの窮屈きゅうくつ身分みぶんまれるようなことがあってはたいへんです。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
人生じんせい解悟かいごむかっておる自由じゆうなるふか思想しそうと、このおろかなるさわぎたいする全然ぜんぜん軽蔑けいべつ、これすなわ人間にんげんのこれ以上いじょうのものをいまだかつてらぬ最大幸福さいだいこうふくです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
にいさんたちを見つけだして、たとえどんなことをしてでも、自由じゆうにしてあげようというつもりなのです。
門柱もんちゅうそのはすべて丹塗にぬり、べつとびらはなく、その丸味まるみのついた入口いりぐちからは自由じゆう門内もんない模様もよううかがわれます。あたりにはべつ門衛もんえいらしいものも見掛みかけませんでした。
此身このみ雲井くもゐとりがひ自由じゆうなる書生しよせい境界けうがいいましばしはあそばるゝこゝろなりしを、きの故郷ふるさとよりの便たよりにいはく、大旦那おほだんなさまこと其後そのご容躰ようだいさしたること御座ござなく候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ナニ、ナニ、けつして其樣そん心配しんぱい御無用ごむようです、きみ日出雄少年ひでをせうねんとはこのしま賓客ひんきやくであれば、たゞつてて、自由じゆうことをして、電光艇でんくわうてい竣成しゆんせいするまで、氣永きながつてればれでよいのです。
『おい、ズルスケ、もうすぐ、ここへキツネを買いにくる人があるから、その人がきたら、おまえ、かくれたりしないで、おとなしくつかまるんだよ。そうすりゃ、また自由じゆうになれるから。』
新聞には、透明人間は狂人きょうじんになったにちがいないと書いてあるぞ。じっさいやつは、気がくるっているにちがいない。なにをやりだすか、わかったもんじゃない。しかも空気くうきのように自由じゆうな身だ。
いつまでも子供こどもで、自分じぶんうなりに、自由じゆうになるもののように……
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼女かのじよ比較的ひかくてき自由じゆう日本語にほんご色々いろ/\のことをはなしかけた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
だって、そうして、自由じゆうそらべるのじゃありませんか。わたしたちは、永久えいきゅうに、ここにじっとしていなければならない運命うんめいにあります。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、つぎのとし正月しょうがつごろから、にいさんがリューマチという病気びょうきをわずらって、右手みぎて自由じゆうがきかなくなりました。
むかしはかういふことの自由じゆう出來できるのが名人めいじんだとおもはれたのですが、いまではかへって、文學ぶんがくあぢはうへ足手纏あしてまとひとして、けねばならぬことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
いく丁斑魚めだかでも満足まんぞくられんなら、哲学てつがくをせずにはおられんでしょう。いやしくも智慧ちえある、教育きょういくある、自尊じそんある、自由じゆうあいする、すなわかみぞうたる人間にんげんが。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これらのものはおほきさもかぎりがあり、かたち一定いつていしてをりますが、この土器どきになりますと、おほきいものでもおもふようなかたちのものでも自由じゆうつくることが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それでねこ自由じゆうにかけまわってねずみをるということがありませんでしたから、とうとうねずみがそんなふうに、たれはばからずあばれすようになったのでした。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのあかつきなにかいさゝか仕損しそこなゐでもこしらゆればれは首尾しゆびよく離縁りえんになりて、一ぽんだち野中のなかすぎともならば、れよりは自由じゆうにて其時そのとき幸福しやわせといふことばあたたまへとわらふに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そうすれば、どうしたらおまえが自由じゆうになれるかをおしえてやるよ。」
もつと自由じゆうに、もつと快活くわいくわつに、ぎんずるもある、けんはすもある。
「一でおいで。そのほうはなし自由じゆうでいゝよ。」
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
なんといっても、みずそこくらいので、それに、そこばかりにいるときてしまって、はやく、自由じゆうに、ひろ世界せかいてみたかったのです。
魚と白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
上には上のつよいものがあって、ここでどちらがったところで、それだけでもうの中になにもこわいものがなくなるわけではないし、の中が自由じゆうになるものでもない。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひろ園生そのふめに四季しきいろをたゝかはし、みやびやかなる居間ゐまめに起居きゝよ自由じゆうあり、かぜのきばの風鈴ふうりんつゆのしたゝる釣忍艸つりしのぶ、いづれをかしからぬもきを、なにをくるしんでか
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたさなけりゃならなくなって、じぶんは自由じゆうになれるんだ。
「ほんとうに、そうしたはなしくと、自由じゆうそらべるあなたたちにも、いろいろな苦労くろうがあるのですね。」と、木立こだち同情どうじょうしました。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)