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御無用
何故疑ひて金子などお預り申
可や其儀は
御無用なりと云にぞ忠八は亭主が
侠氣に感じて懷中より金百疋取出し是は餘りに
輕少なれども此印籠を
「はッはッは。それでわざわざお
運び
下さろうッてんでげすか。これぁどうも
恐れいりやした。そのことなら、どうかもう
御心配は、
御無用になすっておくんなさいまし」
ナニ、ナニ、
决して
其樣な
心配は
御無用です、
君と
日出雄少年とは
此島の
賓客であれば、たゞ
食つて
寢て、
自由な
事をして、
電光艇の
竣成する
日まで、
氣永く
待つて
居れば
夫れでよいのです。