御用ごよう)” の例文
もしも私にもう御用ごようがなければ、部屋の通風や窓の締りがちゃんと出来ているかどうかを見とどけて来たいと、僕は船長に言った。
それぞれ御用ごようちがうので、平生へいぜい別々べつべつになっておはたらきになり、たまにしかしょになって、おくつろあそばすことがないともうします……。
うしたんです、なにきふ御用ごようですか」「いや、あらたまつてお聞きまうしたいのだが、おまへ塩原しほばらといふ炭問屋すみどんやよめになつた事がるさうだ」
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
娯樂ごらくものの講談かうだんに、近頃ちかごろ大立おほだてものの、岡引をかつぴきが、つけて、つて、さだめて、御用ごようと、ると、幽靈いうれいは……わかをんなとはたものの慾目よくめだ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なん御用ごようぞんじませんが、一こくはやくお師匠ししょうさんにおにかかって、おねがいしたいことがあると、それはそれは、いそいでおりますんで。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「実は、あなたの御用ごように立つようなおとなしい馬が、まだ見つかりませんでね」とかれは、つっけんどんな声で言った。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
茄子なすび大根だいこ御用ごようをもつとめける、薄元手うすもとでをりかへすなれば、をりからやすうてかさのあるものよりほかさほなきふね乘合のりあひ胡瓜きうりつと松茸まつたけ初物はつものなどはたで
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あるとき宰相さいしょうは、天子てんしさまの御用ごようつとめて手柄てがらてたので、ごほうびに大和やまと河内かわち伊賀いがの三箇国かこくいただきました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そうだまつてつてゐるのでりようて見た。「わたしにひたいとはれたさうだが、なんの御用ごようかな。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
状使のこれはきはめて急なれば、車に乗りてけとめいぜられたる抱車夫かゝへしやふの、御用ごようとなれば精限せいかぎけてけてかならずおかざるべし、されど車に乗るとふは
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
御用ごようでございますか。』と、こつないてひざまづいた。但馬守たじまのかみはヂッとこつなかほ見詰みつめてゐたが
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
だから、あいつが御用ごようになつて、茶屋の二階から引立ひつたてられる時にや、捕縄とりなはのかかつた手の上から、きり鳳凰ほうわうぬひのある目のさめるやうな綺麗きれい仕掛しかけ羽織はおつてゐたと云ふぢやないか。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
当時銀座の役人や御用ごよう商人、芸人、大名、囲われ者などがここへ別荘を作った。
みやこ鳥 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
けたゝましうおたゝきゃるは何人どなたぢゃ? どこからえたぞ? なん御用ごようぢゃ?
おろして漕寄こぎよせ見れば當時本店ほんてんにて日の出の番頭ばんとう吉兵衞なれば杢右衞門もくゑもん慇懃いんぎんに是は/\番頭樣にはなに御用ごようにて御いでなされしやと尋ければ吉兵衞こたへ御前方おまへがたも兼て知らるゝ如く此吉兵衞は是迄精心せいしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きょうでは暴民の凌辱りょうじょくを受けようとし、宋では姦臣かんしん迫害はくがいい、ではまた兇漢きょうかん襲撃しゅうげきを受ける。諸侯の敬遠と御用ごよう学者の嫉視と政治家連の排斥はいせきとが、孔子を待ち受けていたもののすべてである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
同年、江戸の奥平おくだいらやしきから、御用ごようがあるから来いといって、私をよびに来た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「そこで、あなたはどういう御用ごようでございますか」
新発田藩しばたはん御用ごよう
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ命様みことさまには天津日継あまつひつぎ大切たいせつ御用ごようがおありになるので、めったに御夫婦ごふうふそろってこの竜宮界りゅうぐうかいにおくつろあそばすことはありませぬ。
殿との御覽ごらうじ、早速さつそく伺候しこう過分々々くわぶん/\御召おめしの御用ごよう御用ごようだけ、一寸ちよつと世辭せじくだかれ、てしか/″\の仔細しさいなり。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ハテ恵比寿麦酒ゑびすびーる会社長くわいしやちやうで、日本にほん御用達ごようたしおこりは、蛭子ひるこかみが始めて神武天皇じんむてんのうへ戦争の時弓矢ゆみやさけ兵糧ひやうろう差上さしあげたのが、御用ごようつとめたのが恵比須えびすかみであるからさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それも其筈そのはずむかしをくれば系圖けいづまきのことながけれど、徳川とくがはながすゑつかたなみまだたぬ江戸時代えどじだいに、御用ごようそば取次とりつぎ長銘ながめいうつて、せきを八まん上坐じやうざめし青柳右京あをやぎうきやう三世さんぜまご
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
道翹だうげう不審ふしんらしくりよかほた。「御存ごぞんじでございます。先刻せんこくあちらのくりやで、寒山かんざんまをすものとあたつてをりましたから、御用ごようがおありなさるなら、せませうか。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
御用ごようすじぞんじませぬが、おびをどうとやらすると、いっておいででござりました」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その石のせいがどうしてまよって出てたのです。なにかわたしに御用ごようがあるのでしょうか。偶然ぐうぜんながら、こうして一晩ひとばんのお宿やどねがったおれいに、なにかしてげることがあればなんでもしましょう。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おやすい御用ごようですとも」と、わたしは答えて、椅子いすはしに腰を下ろした。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
出さるれば御用ごよう御取次是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
現世げんせ立派りっぱなおやしろがあるとおり、こちらの世界せかいにも矢張やはりそうったものがあり、御用ごようがあればすぐそちらへおましになられるそうで……。
御用ごようおもむきにあらず、其方達そのはうたちかねぞんずるごと豆州づしう御勝手許おかつてもと不如意ふによいにつき、此度このたび御改革ごかいかく相成あひな奉行ぶぎやう我等われら相談さうだんうへにて、もくなんぢ申付まをしつくるぞ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へい、なに御用ごようで。姫「これはおまへ莨入たばこいれだらう。「へい、これうも有難ありがたぞんじます。姫「誠に粗忽そこつだノ、已後いごつきや。「へいおそりました。どつちがお客だかわけわかりませぬ。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬鹿野郎ばかやらうめとのゝしりながらふくろをつかんでうら空地あきち投出なげいだせば、かみやぶれてまろ菓子くわしの、たけのあらがきうちこえてどぶなか落込おちこむめり、げん七はむくりときておはつと一こゑおほきくいふになに御用ごようかよ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お安い御用ごようです……が、困りましたな。話すのはやめにしましょう。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「どんな御用ごようか、遠慮えんりょなく、ずっとおとおりなさるがいい」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そうかへつた。「なに御用ごようで。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「よし、よし、おやす御用ごようだ。」
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
立出たり然るに伊豆守殿御役宅は西丸下にしまるしたなり越前守の御役宅は數寄屋橋すきやばし御門内なれば其道筋そのみちすぢへだたれば伊豆守殿には越前守よりすこしく先に御登城あり御用ごよう取次とりつぎは未だ登城なく御側衆おそばしうの泊番高木伊勢守のみ相詰あひつめたりすなはち伊豆守殿芙蓉ふように於て高木伊勢守を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
... 手前等てまへらより役儀やくぎ申付まをしつさふらふこと、おやす御用ごようさふらふなにはしかれそのもくとやらむ御呼寄およびよせあひなるべし」「早速さつそく御承引ごしよういん難有候ありがたくさふらふ」と其日そのひやかたかへらせたまふ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うですかえ、十王様わうさまは。婆「十王様わうさま宮様みやさま同様どうやうなお家柄いへがらでございますから、なに御用ごようはないのでございませう。岩「銭札ぜにふだけるやつなどはうして。婆「あれ書記官しよきくわんつてります。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ほか御用ごようはなきはず御串戯ごじやうだんはおくだされとはらつてすつくとてば
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
べつ煩雜わづらはしき御用ごようのあるにあらず、しよく御好次第おこのみしだいるもおきるも御心おこゝろまかせ、さりとはうらやましき御境遇ごきやうぐうさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
馬鹿ばかだな、苟且かりにも主人しゆじんが呼んだら、なに御用ごようでもりますかと手を突いてふもんだ、チヨツ(舌打したうち)大きな体躯なりで、きたねえ手のあかを手のひらでぐる/\んで出せばくらゐ手柄てがらになる
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かならずともなひておちや御用ごようにてもたまへ、おわかりにりしかとほヽずりしてへば、しだらもかれながらくちばかりは大人おとならしく、それはぼく大將たいしやうりて、そしておやしき出來できさへすれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それはなんぞのお間違まちがひなるべしわたくし客樣きやくさまにお懇親ちかづきはなしいけはたよりおともせしに相違さうゐけれど車代しやだいたまはるよりほか御用ごようありとはおぼえず其譯そのわけおほせられて車代しやだい頂戴ちやうだいねがくだされたしと一歩いつぽうごかんとせぬ芳之助よしのすけ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)