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一時
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いちじ
ふりがな文庫
“
一時
(
いちじ
)” の例文
悪徳新聞のあらゆる攻撃を受けていながら、告別の演説でも、全校の生徒を泣かせたそうである。それも
一時
(
いちじ
)
の感動ばかりではない。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
即
(
すなは
)
ち
一時
(
いちじ
)
活動
(
かつどう
)
した
後
(
のち
)
は、
暫時
(
ざんじ
)
休息
(
きゆうそく
)
して、
或
(
あるひ
)
は
硫氣孔
(
りゆうきこう
)
の
状態
(
じようたい
)
となり、
或
(
あるひ
)
は
噴氣孔
(
ふんきこう
)
となり、
或
(
あるひ
)
はそのような
噴氣
(
ふんき
)
も
全
(
まつた
)
くなくなることがある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
英山は文化初年鳥居清長歿し続いて喜多川歌麿世を去りし
後
(
のち
)
初めは豊国と並び後には北斎と
頡頏
(
きっこう
)
して
一時
(
いちじ
)
浮世絵界の
牛耳
(
ぎゅうじ
)
を
把
(
と
)
れり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
黒
(
くろ
)
い
髪
(
かみ
)
と、
淡紅色
(
ときいろ
)
のリボンと、それから黄色い
縮緬
(
ちりめん
)
の帯が、
一時
(
いちじ
)
に風に吹かれて
空
(
くう
)
に流れる
様
(
さま
)
を、
鮮
(
あざや
)
かに
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に刻み込んでゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
苦笑
(
くせう
)
したので、
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
をはじめ、
一座
(
いちざ
)
の
面々
(
めん/\
)
、
餘
(
あま
)
りの
可笑
(
をか
)
しさに、
一時
(
いちじ
)
にドツと
笑崩
(
わらひくづ
)
るゝ
間
(
あひだ
)
に、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
平氣
(
へいき
)
な
顏
(
かほ
)
で
私
(
わたくし
)
に
向
(
むか
)
ひ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
襖
(
ふすま
)
が
静
(
しずか
)
に開いて現われたのが梅子である。紳士の顔も梅子の顔も
一時
(
いちじ
)
にさっと
紅
(
こう
)
をさした。梅子はわずかに会釈して内に入った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
其のお米を買うたって
一時
(
いちじ
)
に
沢山
(
たんと
)
買って知れては悪いと思いましたから、
狐鼠
(
こっそ
)
り少し買い、一朱もお金を出せば薪も買えれば炭も買える
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
またある時は
一時
(
いちじ
)
に部屋いっぱいに集まって来た人びとにむかって、この物語を話して聞かせたこともあったそうである。
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
人々の呼んだり叫んだりする声——大勢の人々があわてふためいて
一時
(
いちじ
)
に色々な事をがやがや怒鳴っているのであった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
れば
敵
(
てき
)
の
中
(
なか
)
だ。
敵
(
てき
)
の
中
(
なか
)
で、
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けるのを
知
(
し
)
らなかつたのは
実
(
じつ
)
に
自分
(
じぶん
)
ながら
度胸
(
どきやう
)
が
可
(
い
)
い。……いや、
然
(
さ
)
うではない、
一時
(
いちじ
)
死
(
し
)
んだかも
分
(
わか
)
らん。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
海の上は何千何万の白馬黒馬が駈けまわるように波が立って、沢山に
繋
(
つな
)
ぎ合わせた船を
一時
(
いちじ
)
に
揉
(
も
)
み
潰
(
つぶ
)
そうとしました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
その
頃
(
ころ
)
にはすでに
土器
(
どき
)
を
造
(
つく
)
る
專門
(
せんもん
)
の
技術者
(
ぎじゆつしや
)
もゐたのでせうけれども、
後
(
のち
)
の
時代
(
じだい
)
のようにたくさんの
土器
(
どき
)
を
一時
(
いちじ
)
に
製造
(
せいぞう
)
するようなことは
少
(
すくな
)
かつたらしく
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
自分で独立して苦学し得るまでのほんの
一時
(
いちじ
)
の間である、その間ぐらいは大叔父が私を置いてくれないはずはない。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
ことしの夏、この山奥の小さな村に悪い病気がはやった時、清造の
両親
(
りょうしん
)
は
一時
(
いちじ
)
に病気のためになくなりました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
若
(
も
)
し又
惣
(
すべ
)
ての
文学者
(
ぶんがくしや
)
を
一時
(
いちじ
)
に
殺戮
(
さつりく
)
すれば其
死屍
(
しゝ
)
は以て
日本海
(
につぽんかい
)
を
埋
(
うづ
)
むべく其
血
(
ち
)
は以て
太平洋
(
たいへいよう
)
を
変色
(
へんしよく
)
せしむべし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「ああ、そのことなら、吾輩としても、願ってもないことです。よろしい。では他の将軍たちを退場させましょう。おい諸君。君たちは
一時
(
いちじ
)
別室へ遠慮せよ」
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それよ
今宵
(
こよひ
)
よりは
一時
(
いちじ
)
づゝの
仕事
(
しごと
)
を
延
(
の
)
ばして
此子
(
このこ
)
が
爲
(
ため
)
の
收入
(
しうにふ
)
を
多
(
おほ
)
くせんと
仰
(
おほ
)
せられしなりき、
火氣
(
くわき
)
の
滿
(
みち
)
たる
室
(
しつ
)
にて
頸
(
くび
)
やいたからん、
振
(
ふり
)
あぐる
槌
(
つち
)
に
手首
(
てくび
)
や
痛
(
いた
)
からん。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
市郎も
流石
(
さすが
)
に
肝
(
きも
)
を冷して、
愈
(
いよい
)
よ小さくなっていると、又もや石をがらがらと投げ落す奴がある。敵は一人ではないらしい、大小の岩石が
一時
(
いちじ
)
に上から落ちて来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
姫
(
ひめ
)
も
一時
(
いちじ
)
は
本物
(
ほんもの
)
かと
思
(
おも
)
つて
内々
(
ない/\
)
心配
(
しんぱい
)
しましたが、
火
(
ひ
)
に
燒
(
や
)
けないはずだから、
試
(
ため
)
して
見
(
み
)
ようといふので、
火
(
ひ
)
をつけさせて
見
(
み
)
ると、
一
(
ひと
)
たまりもなくめら/\と
燒
(
や
)
けました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
何しろ私を始め箕作秋坪その
外
(
ほか
)
の者は、
一時
(
いちじ
)
彼に驚かされてその
儘
(
まま
)
ソーッと
棄置
(
すておい
)
たことがあります。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼はこの世に一人の宮を得たるが為に、万木
一時
(
いちじ
)
に花を着くる心地して、
曩
(
さき
)
の枯野に夕暮れし石も今
将
(
は
)
た水に
温
(
ぬく
)
み、
霞
(
かすみ
)
に
酔
(
ゑ
)
ひて、
長閑
(
のどか
)
なる日影に眠る如く覚えけんよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
随って、あの恐しい疑いも、いつしか忘れるともなく忘れた形で、彼女は仮令明日はどうなろうと、ただ、この楽しみを
一時
(
いちじ
)
でも長引かせたいと願うばかりでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こはかれが
一時
(
いちじ
)
の
戯
(
たはむ
)
れなるべし、かゝる
妖魅
(
えうみ
)
の術はありながら人に
欺
(
あざむか
)
れて
捕
(
とら
)
へらるゝは
如何
(
いかん
)
。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
乃
(
そこ
)
で
彼等
(
かれら
)
は
愛
(
あい
)
ちやんに
其
(
そ
)
の
爭論
(
さうろん
)
を
繰返
(
くりかへ
)
して
聞
(
き
)
かせました、
皆
(
みん
)
なが
殘
(
のこ
)
らず
各々
(
おの/\
)
一時
(
いちじ
)
に
話
(
はな
)
すので、それを
一々
(
いち/\
)
正確
(
せいかく
)
に
聽
(
き
)
き
取
(
と
)
ることは、
愛
(
あい
)
ちやんにとつて
非常
(
ひじよう
)
な
困難
(
こんなん
)
でありました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
一時
(
いちじ
)
がやがやとやかましかった生徒達はみんな
教場
(
きょうじょう
)
に
這入
(
はい
)
って、急にしんとするほどあたりが静かになりました。僕は
淋
(
さび
)
しくって淋しくってしようがない
程
(
ほど
)
悲しくなりました。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そこは気持ちよく優雅に飾ってありました。が、そこの暖炉棚の上に、私の妻の等身大の肖像画が飾ってあるのを見つけた時、私の疑念は
一時
(
いちじ
)
にムラムラと燃え上がりました。
黄色な顔
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
しかし
樹木
(
じゆもく
)
によつては
氣候
(
きこう
)
の
急激
(
きゆうげき
)
な
變化
(
へんか
)
のため
又
(
また
)
は、
病虫害
(
びようちゆうがい
)
で
一時
(
いちじ
)
葉
(
は
)
を
落
(
おと
)
したりすると、この
生長状態
(
せいちようじようたい
)
に
例外
(
れいがい
)
が
出來
(
でき
)
て、
環
(
わ
)
が
完全
(
かんぜん
)
に
現
(
あらは
)
れず、
半分
(
はんぶん
)
ぐらゐで
消
(
き
)
えるのがあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
この
様
(
さま
)
を見たる喜左衛門は
一時
(
いちじ
)
の怒に我を忘れ、この
野郎
(
やろう
)
、何をしやがったと
罵
(
ののし
)
りけるが、たちまち
御前
(
ごぜん
)
なりしに心づき、
冷汗
(
れいかん
)
背
(
せ
)
を
沾
(
うるお
)
すと共に、
蹲踞
(
そんきょ
)
してお手打ちを待ち居りしに
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしとしても、たとい
一時
(
いちじ
)
は満足したとはいえ、二重の生活にはもうあきました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
今を去る三十年の昔、三
題
(
だい
)
噺
(
ばなし
)
という事
一時
(
いちじ
)
の流行物となりしかば、当時圓朝子が或る宴席に
於
(
おい
)
て、
國綱
(
くにつな
)
の刀、
一節切
(
ひとよぎり
)
、
船人
(
せんどう
)
という三題を、例の
当意即妙
(
とういそくみょう
)
にて一座の喝采を博したるが本話の元素たり。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):01 序
(新字新仮名)
/
条野採菊
(著)
国賊として
使役
(
しえき
)
せられたる身の、一時間内に忠君愛国の人となりて、大赦令の恩典に浴せんとは、さても不思議の有様かな、人生
幻
(
まぼろし
)
の如しとは、そもや
誰
(
た
)
がいいそめけんと
一時
(
いちじ
)
はただ
茫然
(
ぼうぜん
)
たりしが
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ひつそりと
怖気
(
をぢけ
)
づく、ほんの
一時
(
いちじ
)
の
気紛
(
きまぐれ
)
につけ込んで
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
敵も、味方も、
一時
(
いちじ
)
にしんとなりました。
兎と亀
(新字新仮名)
/
ロード・ダンセイニ
(著)
あれよ/\とみてゐると
水煙
(
みづけむり
)
は
急
(
きゆう
)
に
衰
(
おとろ
)
へ
裂
(
さ
)
け
口
(
くち
)
も
閉
(
と
)
ぢて
噴出
(
ふんしゆつ
)
一時
(
いちじ
)
に
止
(
と
)
まつてしまつたが、
僅
(
わづか
)
に
五六秒位
(
ごろくびようくらゐ
)
經過
(
けいか
)
した
後
(
のち
)
再
(
ふたゝ
)
び
噴
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し
始
(
はじ
)
めた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
此時
(
このとき
)
不意
(
ふゐ
)
に、
車外
(
しやぐわい
)
の
猛獸
(
まうじう
)
の
群
(
むれ
)
は
何者
(
なにもの
)
にか
愕
(
おどろ
)
いた
樣子
(
やうす
)
で、
一時
(
いちじ
)
に
空
(
そら
)
に
向
(
むか
)
つて
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
した。
途端
(
とたん
)
、
何處
(
いづく
)
ともなく、
微
(
かす
)
かに
一發
(
いつぱつ
)
の
銃聲
(
じうせい
)
!
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
然
(
しか
)
し
肝心
(
かんじん
)
の
家屋敷
(
いへやしき
)
はすぐ
右
(
みぎ
)
から
左
(
ひだり
)
へと
賣
(
う
)
れる
譯
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かなかつた。
仕方
(
しかた
)
がないから、
叔父
(
をぢ
)
に
一時
(
いちじ
)
の
工面
(
くめん
)
を
頼
(
たの
)
んで、
當座
(
たうざ
)
の
片
(
かた
)
を
付
(
つ
)
けて
貰
(
もら
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一時
(
いちじ
)
に思い詰るのは尤もだが、気の晴れることは
些
(
ち
)
ッともないんざますよ、まア正孝はん上んなましよ、
彼処
(
あすこ
)
に立ってる人は何
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折から梢の蝉の
鳴音
(
なくね
)
をも
一時
(
いちじ
)
に
止
(
とど
)
めるばかり
耳許
(
みみもと
)
近く響き出す
弁天山
(
べんてんやま
)
の時の鐘。数うれば早や
正午
(
ひる
)
の九つを告げている。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何
(
ど
)
うかしたか、お
浦
(
うら
)
。はてな、
今
(
いま
)
転
(
ころ
)
んだつて、
下
(
した
)
へは
落
(
おと
)
さん、
怪我
(
けが
)
も
過失
(
あやまち
)
も
為
(
し
)
さうぢやない。
何
(
なん
)
だか
正体
(
しやうたい
)
がないやうだ。
矢張
(
やつぱ
)
り
一時
(
いちじ
)
に
疲労
(
つかれ
)
が
出
(
で
)
たのか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
九月になって、大学の課程が始まるので、国々へ帰っていた学生が、
一時
(
いちじ
)
に本郷
界隈
(
かいわい
)
の下宿屋に戻ったのである。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
大島仁藏翁
(
おほしまじんざうをう
)
の
死後
(
しご
)
、
權藏
(
ごんざう
)
は
一時
(
いちじ
)
、
守本尊
(
まもりほんぞん
)
を
失
(
うしな
)
つた
體
(
てい
)
で、
頗
(
すこぶ
)
る
鬱々
(
ふさい
)
で
居
(
ゐ
)
ましたが、それも
少時
(
しばし
)
で、
忽
(
たちま
)
ち
元
(
もと
)
の
元氣
(
げんき
)
を
恢復
(
くわいふく
)
し、のみならず、
以前
(
いぜん
)
に
増
(
まし
)
て
働
(
はたら
)
き
出
(
だ
)
しました。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
よし
一時
(
いちじ
)
は
陸奧
(
みちのく
)
の
名取川
(
なとりがは
)
、
清
(
きよ
)
からぬ
名
(
な
)
を
流
(
なが
)
しても
宜
(
よ
)
し、
憚
(
はゞ
)
かりの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
打割
(
うちわ
)
りて
見
(
み
)
れば、
天縁
(
てんえん
)
我
(
わ
)
れに
有
(
あ
)
つて
此處
(
こヽ
)
に
運
(
はこ
)
びしかも
知
(
し
)
れず、
今
(
いま
)
こそ
一寒
(
いつかん
)
書生
(
しよせい
)
の
名
(
な
)
もなけれど
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
水を泳ぐと木に登ると全く別のように考えたのは
一時
(
いちじ
)
の
迷
(
まよい
)
であったと云うことを発明しました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「分りませんか。あの密室の中に二人、外の暗闇に一人、
一時
(
いちじ
)
に三人のお客様です。というのは、あすこの板壁に目につかぬ程の節穴があるからですよ。ね、お分りでしょう」
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかも富山と宮とは
隣合
(
となりあひ
)
に坐りければ、夜と昼との
一時
(
いちじ
)
に来にけんやうに皆
狼狽
(
うろたへ
)
騒ぎて、
忽
(
たちま
)
ちその隣に自ら社会党と
称
(
とな
)
ふる一組を
出
(
いだ
)
せり。彼等の主義は不平にして、その目的は破壊なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かうした
恐
(
おそ
)
ろしい
洪水
(
こうずい
)
はどうして
起
(
おこ
)
るのかといへば、それはむろん
一時
(
いちじ
)
に
多量
(
たりよう
)
の
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
つたからですが、その
雨
(
あめ
)
が
洪水
(
こうずい
)
になるといふそのもとは、つまり
河
(
かは
)
の
水源地方
(
すいげんちほう
)
の
森林
(
しんりん
)
が
荒
(
あら
)
されたために
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
此湯
硫黄
(
ゆわう
)
の気ありて
能
(
よく
)
疥癬
(
しつ
)
の
類
(
るゐ
)
を
治
(
ぢ
)
し、
一時
(
いちじ
)
流行
(
りうかう
)
して人群をなせり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
素
(
もと
)
より彼を信ずればこそ
此
(
この
)
百年の生命をも
任
(
まか
)
したるなれ、
斯
(
か
)
くまで事を分けられて、
尚
(
な
)
ほしも
开
(
そ
)
は偽りならん、
一時
(
いちじ
)
遁
(
のが
)
れの間に合せならんなど、疑ふべき
妾
(
せふ
)
にはあらず、他日両親の
憤
(
いきどほ
)
りを受くるとも
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
一時
(
いちじ
)
に響く野の砥石、
数
(
かず
)
かぎりなき
刃
(
は
)
のにほひ——
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
取り捲いて
一時
(
いちじ
)
にわつと襲ひかゝりました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“一時”で始まる語句
一時間
一時颪
一時凌
一時雨
一時餘
一時代
一時余
一時頃
一時性
一時脱