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敲
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たゝ
ふりがな文庫
“
敲
(
たゝ
)” の例文
思へば
現
(
うつゝ
)
とも覺えで此處までは來りしものの、何と言うて世を隔てたる
門
(
かど
)
を
敲
(
たゝ
)
かん、我が
眞
(
まこと
)
の心をば如何なる言葉もて打ち明けん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
彼
(
かれ
)
は
色々
(
いろ/\
)
な
事情
(
じじやう
)
を
綜合
(
そうがふ
)
して
考
(
かんが
)
へた
上
(
うへ
)
、まあ
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だらうと
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で
極
(
き
)
めた。さうして
爪
(
つめ
)
の
先
(
さき
)
で
輕
(
かる
)
く
鐵瓶
(
てつびん
)
の
縁
(
ふち
)
を
敲
(
たゝ
)
いた。
其時
(
そのとき
)
座敷
(
ざしき
)
で
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
敲
(
たゝ
)
く
以上
(
いじやう
)
は
何
(
なに
)
か
意味
(
いみ
)
が
無
(
な
)
くてはならない』と
云
(
い
)
つて
歩兵
(
ほへい
)
は、
愛
(
あい
)
ちやんに
關
(
かま
)
はず
續
(
つゞ
)
けました、『
若
(
も
)
し
吾々
(
われ/\
)
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あひだ
)
に
戸
(
と
)
があつたとしたら。 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
鉄平は戸口をつと
這入
(
はひ
)
つて、正面にある
離座敷
(
はなれざしき
)
の雨戸を
半棒
(
はんぼう
)
で
敲
(
たゝ
)
きこはした。戸の破れた所からは烟が出て、火薬の
臭
(
にほひ
)
がした。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
並
(
なら
)
んだ二
台
(
だい
)
に、
頭
(
あたま
)
からざつと
浴
(
あび
)
せて、
軒
(
のき
)
の
雨
(
あめ
)
の
篠
(
しの
)
つくのが、
鬣
(
たてがみ
)
を
敲
(
たゝ
)
いて、
轡頭
(
くつわづら
)
を
高
(
たか
)
く
挙
(
あ
)
げた、二
頭
(
とう
)
の
馬
(
うま
)
の
鼻柱
(
はなばしら
)
に
灌
(
そゝ
)
ぐ
風情
(
ふぜい
)
だつたのも、
谷
(
たに
)
が
深
(
ふか
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
門
(
もん
)
は
例
(
れい
)
の
通
(
とほ
)
り
開
(
あけ
)
つ
放
(
ぱな
)
しだから
敲
(
たゝ
)
く
世話
(
せわ
)
も
入
(
いら
)
ず、
二人
(
ふたり
)
はずん/\と
内
(
うち
)
へ
入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
たが
草木
(
くさき
)
が
縱横
(
じゆうわう
)
に
茂
(
しげ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのでラクダルの
居所
(
ゐどころ
)
も
一寸
(
ちよつと
)
知
(
し
)
れなかつた。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ホト/\
敲
(
たゝ
)
きて入來り御目に
懸
(
かゝ
)
るは
初
(
はじめ
)
てなれど
私
(
わたく
)
し事
去年
(
きよねん
)
の冬金子を
落
(
おと
)
したるは
斯々
(
かく/\
)
なりと段々譯を咄し其節請取に罷出ませうとは存じたれども大金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
狸が浮れて腹太鼓を
敲
(
たゝ
)
きやアがって夜が明けて戸を明けて見ると、三匹
位
(
ぐれ
)
え腹ア敲き破ってひっくり
返
(
けえ
)
って居る
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
貝を吹き鐘を
敲
(
たゝ
)
いて
徳政令
(
とくせいれい
)
の発布を幕府に迫り、一切の貸借関係を一瞬にして、無効にさせるのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ニキタはぱツと
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けるより、
阿修羅王
(
あしゆらわう
)
の
荒
(
あ
)
れたる
如
(
ごと
)
く、
兩手
(
りやうて
)
と
膝
(
ひざ
)
でアンドレイ、エヒミチを
突飛
(
つきとば
)
し、
骨
(
ほね
)
も
碎
(
くだ
)
けよと
其鐵拳
(
そのてつけん
)
を
眞向
(
まつかう
)
に、
健
(
したゝ
)
か
彼
(
かれ
)
の
顏
(
かほ
)
を
敲
(
たゝ
)
き
据
(
す
)
ゑた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
跳ね起きて、いづくを
宛
(
あて
)
ともなく、狹く曲りたる
巷
(
ちまた
)
を走りぬ。途にて逢ひたるは、杖もて敷石を
敲
(
たゝ
)
き、高聲にて歌ふ男一人のみなりき。しばらくして廣きところに出でぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
慈愛の
懐
(
ふところ
)
から思ひも寄らぬ孤独の
境界
(
きやうがい
)
に投げ出された子供は、力の限り戸を
敲
(
たゝ
)
いて、女中の名や、家にはゐない親しい人の名まで
交
(
かは
)
る/″\呼び立てながら、救ひを求めてゐた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
お
京
(
きやう
)
さん居ますかと窓の戸の外に來て、こと/\と羽目を
敲
(
たゝ
)
く音のするに、誰れだえ、もう寐て仕舞つたから明日來てお呉れと嘘を言へば、寐たつて宜いやね、起きて明けてお呉んなさい
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(さいの神のまつり下にしるす)又去年むこよめをむかへたる家の
門
(
かど
)
に、
未明
(
みめい
)
よりわらべども大勢あつまり、かの斗棒をもつて門戸を
敲
(
たゝ
)
き、よめをだせむこをだせと同音によばゝりたゝく。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
○
志
(
こゝろざし
)
は行ふものとや、
愚
(
おろか
)
しき君よ、そは
飢
(
うゑ
)
に
奔
(
はし
)
るに過ぎず。志は
唯
(
たゞ
)
卓を
敲
(
たゝ
)
いて、なるべく
高声
(
かうせい
)
に語るに
止
(
とゞ
)
むべし。
生半
(
なまなか
)
なる志を存せんは、存せざるに如かず、志は飯を食はす事なければなり。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
乾
(
から
)
ツ風が吹き
荒
(
すさ
)
んで、森の中の梢といふ梢は、作り声をしたやうに、ざわ/\と騒ぎ立ち、落葉が羽ばたきをしながら、舞ひ立つて、夜もすがら戸を
敲
(
たゝ
)
き、屋根を
這
(
は
)
ひずり廻る、風の無い夜は
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
そして敵をのめらせて
敲
(
たゝ
)
きつけたのだ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
冀
(
ねがは
)
くは来りてわが門を
敲
(
たゝ
)
くなかれ。
偏奇館吟草
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
拳
(
こぶし
)
で
荒々
(
あら/\
)
しく
戸
(
と
)
を
敲
(
たゝ
)
くと、
戸
(
と
)
は
中
(
なか
)
から
制服
(
せいふく
)
を
着
(
つ
)
けた、
圓顏
(
まるがほ
)
で
蛙
(
かはづ
)
のやうに
大
(
おほ
)
きい
眼
(
め
)
をしたモ
一人
(
ひとり
)
の
歩兵
(
ほへい
)
の
手
(
て
)
で
開
(
ひら
)
かれました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
提灯を持つて、拍子木を
敲
(
たゝ
)
いて來る夜廻の爺いさんに、お奉行樣の所へはどう往つたら往かれようと、いちがたづねた。
最後の一句
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
何
(
ど
)
うだ、一盃
遣
(
や
)
らないか」と、前にあつた葡萄酒の
壜
(
びん
)
を持つて
振
(
ふ
)
つて見せた。
中
(
なか
)
にはまだ余程這入つてゐた。梅子は手を
敲
(
たゝ
)
いて
洋盞
(
コツプ
)
を取り寄せた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
初見
(
しよけん
)
の
土地
(
とち
)
へ
対
(
たい
)
しても、すつとこ
被
(
かぶ
)
りもなるまいし……コツツンと
音
(
おと
)
のするまで、
帽子
(
ぼうし
)
の
頂辺
(
てつぺん
)
を
敲
(
たゝ
)
いて、
嵌
(
は
)
めて
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
余りひどく表を
敲
(
たゝ
)
くから、側の馬小屋に
繋
(
つな
)
いでありました馬が驚いて、ヒイーン、バタ/\/\と羽目を
蹴
(
け
)
る。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さげ詫入る處を猶も又めつた打ちに打ち
敲
(
たゝ
)
き
頓
(
やが
)
て
蹴飛
(
けとば
)
し
蹴返
(
けかへ
)
して直に請人石町甚藏店の六右衞門を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
解
(
わか
)
つたか
馬鹿野郎
(
ばかやらう
)
!』と、イワン、デミトリチは
※
(
さけ
)
んで、
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
戸
(
と
)
を
敲
(
たゝ
)
く。『やい
開
(
あ
)
けろ!
開
(
あ
)
けろ!
開
(
あ
)
けんか! 開けんなら
戸
(
と
)
を
打破
(
ぶちこは
)
すぞ!
人非人
(
ひとでなし
)
!
野獸
(
けだもの
)
!』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これに乘れる
寢衣
(
ねまき
)
着たる翁とやさしき花賣娘とは、早くも
惡劇
(
いたづら
)
のためよりは避難のためと見て取りぬと覺しく、娘は輕く我手背を
敲
(
たゝ
)
き、例の玉のつぶて二つ投げかけしのみなれど
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
お
京
(
きやう
)
さん
居
(
ゐ
)
ますかと
窓
(
まど
)
の
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
に
來
(
き
)
て、こと/\と
羽目
(
はめ
)
を
敲
(
たゝ
)
く
音
(
おと
)
のするに、
誰
(
だ
)
れだえ、もう
寢
(
ね
)
て
仕舞
(
しま
)
つたから
明日
(
あした
)
來
(
き
)
てお
呉
(
く
)
れと
嘘
(
うそ
)
を
言
(
い
)
へば、
寢
(
ね
)
たつて
宜
(
い
)
いやね、
起
(
お
)
きて
明
(
あ
)
けてお
呉
(
く
)
んなさい
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(さいの神のまつり下にしるす)又去年むこよめをむかへたる家の
門
(
かど
)
に、
未明
(
みめい
)
よりわらべども大勢あつまり、かの斗棒をもつて門戸を
敲
(
たゝ
)
き、よめをだせむこをだせと同音によばゝりたゝく。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
此
美吉屋
(
みよしや
)
で二月二十四日の晩に、いつものやうに主人が勝手に寝て、家族や奉公人を二階と台所とに寝させてゐると、
宵
(
よひ
)
の五つ過に表の門を
敲
(
たゝ
)
くものがある。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
やがて
咖啡
(
コーヒー
)
が
出
(
で
)
る。
一人
(
ひとり
)
が椅子を離れて立つた。与次郎が
烈
(
はげ
)
しく手を
敲
(
たゝ
)
くと、
他
(
ほか
)
のものも
忽
(
たちま
)
ち調子を合せた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
でも、こゝには、
金銀如山
(
きんぎんやまのごとく
)
、
綾羅
(
りようら
)
、
錦繍
(
きんしう
)
、
嘉肴
(
かかう
)
、
珍菓
(
ちんくわ
)
、あり
餘
(
あま
)
つて、
尚
(
な
)
ほ、
足
(
た
)
りないものは、お
使者
(
ししや
)
の
鬼
(
おに
)
が
手
(
て
)
を
敲
(
たゝ
)
くと
整
(
とゝの
)
へるんです、それに
不足
(
ふそく
)
はありません。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此処
(
こゝ
)
へ大橋の方から
前橋
(
まえばし
)
の
松屋新兵衞
(
まつやしんべえ
)
が駈付けてまいりましたが、人ごみで少しも歩けませぬ、
突退
(
つきの
)
け
撥返
(
はねかえ
)
し、
或
(
あるい
)
は打たれ或は
敲
(
たゝ
)
かれ、転がるように駈出しましたが
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
譬
(
たと
)
へばお
前
(
まへ
)
が
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
て
敲
(
たゝ
)
いたとする、さうすれば
私
(
わたし
)
はお
前
(
まへ
)
を
外
(
そと
)
へ
出
(
だ
)
してやると
云
(
い
)
ふものだらう、ね
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
堅く閉て
早
(
はや
)
寢
(
ね
)
たる
樣子也
(
やうすなり
)
然れども此所を
起
(
おこ
)
して尋ねずば
何
(
いづれ
)
にも尋ぬる方あるまじと思ひ門の戸を
敲
(
たゝ
)
きて
呼起
(
よびおこ
)
すに未だ内には寢ざるにや年寄たる
嫗
(
をんな
)
の聲にて應と言て門の戸を
開
(
あけ
)
友次郎の顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
われは扉をほと/\と
敲
(
たゝ
)
きしに、寺僮は我が爲めに門を開きつ。そは曾てわが市長に伴はれて來ぬる時、我にチチヤノとカノワとの墓を
指
(
ゆびざ
)
し教へしことあれば、猶我面を見知り居たりしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
歸
(
かへ
)
りは
例
(
れい
)
の
窓
(
まど
)
を
敲
(
たゝ
)
いてと
目算
(
もくさん
)
ながら
横町
(
よこちやう
)
を
曲
(
まが
)
れば、いきなり
後
(
あと
)
より
追
(
お
)
ひすがる
人
(
ひと
)
の、
兩手
(
りやうて
)
に
目
(
め
)
を
隱
(
かく
)
して
忍
(
しの
)
び
笑
(
わら
)
ひするに、
誰
(
だ
)
れだ
誰
(
だ
)
れだと
指
(
ゆび
)
を
撫
(
な
)
でゝ、
何
(
なん
)
だお
京
(
きやう
)
さんか、
小指
(
こゆび
)
のまむしが
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ふ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
可
(
い
)
いか、
貴樣
(
きさま
)
の
頭
(
あたま
)
を
敲
(
たゝ
)
き
破
(
わ
)
るぞ!
人殺奴
(
ひとごろしめ
)
!』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
昨夕
(
ゆふべ
)
飲んだ
麦酒
(
ビール
)
は
是
(
これ
)
に
比
(
くら
)
べると
愚
(
おろか
)
なものだと、代助は
頭
(
あたま
)
を
敲
(
たゝ
)
きながら考へた。
幸
(
さいはひ
)
に、代助はいくら
頭
(
あたま
)
が
二重
(
にぢう
)
になつても、脳の活動に
狂
(
くるひ
)
を受けた事がなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほと/\と板戸を
敲
(
たゝ
)
き、「この執念深き奥方、何とて
今宵
(
こよひ
)
に泣きたまはざる」と
打笑
(
うちわら
)
ひけるほどこそあれ、
生温
(
なまぬる
)
き風一陣吹出で、腰元の
携
(
たづさ
)
へたる
手燭
(
てしよく
)
を消したり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで門を
敲
(
たゝ
)
かれた時、門番がすぐに立つて出て、外に来たものの姓名と用事とを聞き取つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
始
(
はじま
)
りはお屋敷
外
(
そと
)
を槍持六尺棒持を連れて見廻らんければなりません、槍持は
仲間部屋
(
ちゅうげんべや
)
から出ます、棒持の方は足軽部屋から
出
(
で
)
て、
甃石
(
いし
)
の処をとん/\とん/\
敲
(
たゝ
)
いて
歩
(
あ
)
るく
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
先生は熟睡してゐる。三四郎は静かで
好
(
い
)
い心持になつた。
爪
(
つめ
)
で
鉄瓶
(
てつびん
)
を
敲
(
たゝ
)
いて見た。
熱
(
あつ
)
い湯を茶碗に
注
(
つ
)
いでふう/\
吹
(
ふ
)
いて飲んだ。先生は
向
(
むかふ
)
をむいて寐てゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
うつゝ
責
(
ぜめ
)
とか
申
(
まを
)
すのに、どら、ねう
鉢
(
ばち
)
、
太鼓
(
たいこ
)
を
一齊
(
いちどき
)
に
敲
(
たゝ
)
くより、
鉦
(
かね
)
ばかりですから、
餘計
(
よけい
)
に
脈々
(
みやく/\
)
へ
響
(
ひゞ
)
いて、
貫
(
とほ
)
つて、
其
(
そ
)
の
苦
(
くる
)
しさつたら、
日
(
ひ
)
に三
度
(
ど
)
も
注射
(
ちうしや
)
の
針
(
はり
)
を
刺
(
さ
)
されます
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は斬られたなら
敵
(
かたき
)
があらう、其敵は私がかうして討つと云つて、庭に飛び降りて、木刀で
山梔
(
くちなし
)
の枝を
敲
(
たゝ
)
き折つた。母はそれに驚いて、其後は私の聴く所で父の噂をしなくなつたさうである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
敵の行方は八州へも頼んでえたから、今に関取が出て来れば
手分
(
てわけ
)
えして富五郎を押えて
敲
(
たゝ
)
いたら、
大概
(
たいがい
)
敵は一角に
違
(
ちげ
)
えねえと思ってるくらいだから、機嫌の悪い事が有るなら私にそういって
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夫
(
それ
)
で
能
(
よ
)
く
自分
(
じぶん
)
で
自分
(
じぶん
)
の
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
つてみて、二つのものを
混
(
ま
)
ぜやうと
力
(
つと
)
めたものである。
彼
(
かれ
)
は
今
(
いま
)
枕
(
まくら
)
の
上
(
うへ
)
へ
髪
(
かみ
)
を
着
(
つ
)
けたなり、
右
(
みぎ
)
の手を
固
(
かた
)
めて、
耳
(
みゝ
)
の
上
(
うへ
)
を二三度
敲
(
たゝ
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
棧
(
かけはし
)
の
亭
(
ちん
)
で、
遙
(
はるか
)
にポン/\とお
掌
(
て
)
が
鳴
(
な
)
る。へーい、と
母家
(
おもや
)
から
女中
(
ぢよちう
)
が
行
(
ゆ
)
くと、……
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
ない。
池
(
いけ
)
の
梅
(
うめ
)
の
小座敷
(
こざしき
)
で、トーンと
灰吹
(
はひふき
)
を
敲
(
たゝ
)
く
音
(
おと
)
がする、
娘
(
むすめ
)
が
行
(
ゆ
)
くと、……
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
えない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
予
(
かね
)
てお
名前
(
なめえ
)
は聞いて居りましたがあなたが業平の旦那様ですか、道理で腕に
応
(
こて
)
えがあると思った、仔細というは
外
(
ほか
)
でもない、少し訳があって此の島の取締り役人を
敲
(
たゝ
)
き殺し、一同死ぬ気でございます
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
人
(
ひと
)
のする
如
(
ごと
)
くに
鐘
(
かね
)
を
打
(
う
)
つた。しかも
打
(
う
)
ちながら、
自分
(
じぶん
)
は
人並
(
ひとなみ
)
に
此
(
この
)
鐘
(
かね
)
を
撞木
(
しゆもく
)
で
敲
(
たゝ
)
くべき
權能
(
けんのう
)
がないのを
知
(
し
)
つてゐた。それを
人並
(
ひとなみ
)
に
鳴
(
な
)
らして
見
(
み
)
る
猿
(
さる
)
の
如
(
ごと
)
き
己
(
おの
)
れを
深
(
ふか
)
く
嫌忌
(
けんき
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
驟雨
(
しうう
)
の
凄
(
すさま
)
じさは
少
(
すこ
)
しもない。すぐ、
廻
(
まは
)
り
縁
(
ゑん
)
の
座敷
(
ざしき
)
に、
畳屋
(
たゝみや
)
の
入
(
はい
)
つてゐたのも、
何
(
なん
)
となく
心
(
こゝろ
)
ゆく
都
(
みやこ
)
の
時雨
(
しぐれ
)
に
似
(
に
)
て、
折
(
をり
)
から
縁
(
ゑん
)
の
端
(
はし
)
にトントンと
敲
(
たゝ
)
いた
茣蓙
(
ござ
)
から、
幽
(
かすか
)
に
立
(
た
)
つた
埃
(
ほこり
)
も
青
(
あを
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
敲
漢検1級
部首:⽁
14画
“敲”を含む語句
打敲
推敲
敲込
羽敲
重敲
敲土
春敲門
御推敲
敲子
敲戸
敲立
敲音
枻敲
棒敲
舌敲
袋敲