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僅
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わづ
ふりがな文庫
“
僅
(
わづ
)” の例文
忘
(
わす
)
れてゐることはないかと
考
(
かんが
)
へて見るが、萬事手
筈
(
はづ
)
は
整
(
とゝの
)
つてゐる。そこで金太郎は、二時間といふ
僅
(
わづ
)
かな時間をもてあましてしまふ。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
申
述
(
のべ
)
ければ後藤は
否々
(
いや/\
)
其樣に禮を云ふには及ばず夫よりは
先
(
まづ
)
貴殿の
疵所
(
きずしよ
)
の
手當
(
てあて
)
致されよと申に後藤は某の疵は
僅
(
わづ
)
かばかりなりと云ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
這
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
で一
向
(
かう
)
に
要領
(
えうりやう
)
を
得
(
え
)
ず、
山頂
(
さんてう
)
の
方
(
はう
)
では、
僅
(
わづ
)
かに
埴輪
(
はにわ
)
の
破片
(
はへん
)
(
雲珠
(
うず
)
、
鞆等
(
ともなど
)
)を
見出
(
みいだ
)
したのみ、それで
大發掘
(
だいはつくつ
)
の
第
(
だい
)
一
回
(
くわい
)
を
終
(
をは
)
つた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「ウム、
其方
(
そち
)
の方が余程物が解わちよる、——アヽ、
僅
(
わづ
)
かの間でも旅と思へば、浜子、誰
憚
(
はば
)
からず、気が晴々としをるわイハヽヽヽヽ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
向ひの家の二階のはづれを
僅
(
わづ
)
かにもれ
出
(
いづ
)
る影したはしく、大路に
立
(
たち
)
て心ぼそく
打
(
うち
)
あふぐに、秋風たかく吹きて空にはいさゝかの雲もなし。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
「
伊吹
(
いぶき
)
」は全速力で救助に向つてゐることは明らかだ。もう
僅
(
わづ
)
かな間である。豊国丸はそれまでどうしても浮かんでゐなければならない。
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
今代
(
きんだい
)
の難波文学は
僅
(
わづ
)
かに吾妻の花に反応する仇なる面影に過ぎざれども、徳川氏の初代に於て大に気焔を吐きたるものは、彼にてありし。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
日本
(
にほん
)
の
麻雀
(
マアジヤン
)
も
近頃
(
ちかごろ
)
は
少々
(
せう/\
)
猫
(
ねこ
)
も
杓子
(
しやくし
)
もの
感
(
かん
)
じになつてしまつたが、
僅
(
わづ
)
か四五
年
(
ねん
)
ほどの
間
(
あひだ
)
にこれほど
隆盛
(
りうせい
)
を
見
(
み
)
た
勝負事
(
しようぶごと
)
はあるまいし
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
いか
程
(
ほど
)
機会を待つても
昼中
(
ひるなか
)
はどうしても不便である事を
僅
(
わづ
)
かに
悟
(
さと
)
り得たのであるが、すると、今度はもう学校へは
遅
(
おそ
)
くなつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
食物がなくなると、
日傭稼
(
ひやとひかせ
)
ぎに出たり、遠い町へ使ひに行つたりして、
僅
(
わづ
)
かの賃金を
貰
(
もら
)
つてきて、それで暮してゐました。
犬の八公
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
此の時の彼の顔は全く
蒲団
(
ふとん
)
の襟深く埋められてゐたけれど其の云ひやうのない表情は
僅
(
わづ
)
かに見えてゐる額にも読まれた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
この間
僅
(
わづ
)
かに何分時といふ程に過ぎずと覚ゆれど、
而
(
し
)
かもこの短時間に於ける、
謂
(
い
)
はば無限の深き寂しさの底ひより
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
その旅人と
云
(
い
)
っても、馬を扱ふ人の
外
(
ほか
)
は、薬屋か林務官、化石を探す学生、測量師など、ほんの
僅
(
わづ
)
かなものでした。
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しかし
墓
(
はか
)
の
他
(
ほか
)
には、
僅
(
わづ
)
かに
陶器
(
とうき
)
を
造
(
つく
)
つた
窯跡
(
かまあと
)
のようなものがあるくらゐで、ほとんどいふに
足
(
た
)
るものはありません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
トロリとした
間
(
ま
)
に
鶴見
(
つるみ
)
も
神奈川
(
かながは
)
も
過
(
す
)
ぎて
平沼
(
ひらぬま
)
で
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めた。
僅
(
わづ
)
かの
假寢
(
うたゝね
)
ではあるが、それでも
氣分
(
きぶん
)
がサツパリして
多少
(
いくら
)
か
元氣
(
げんき
)
が
附
(
つ
)
いたので
懲
(
こり
)
ずまに
義母
(
おつかさん
)
に
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼としては非常な
大骨折
(
おほゞねをり
)
で、
僅
(
わづ
)
か二三日の間に、げツソリ頬の肉が
剡
(
こ
)
けたと思はれるばかり體も
疲
(
つか
)
れ心も
勞
(
つか
)
れた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
すると
今度
(
こんど
)
は
蛙
(
かはづ
)
の
歩兵
(
ほへい
)
が、
同
(
おな
)
じ
嚴
(
おごそ
)
かな
口調
(
くてう
)
で
繰返
(
くりかへ
)
しました、
只
(
たゞ
)
僅
(
わづ
)
か
言葉
(
ことば
)
の
順
(
じゆん
)
を
變
(
か
)
へて、『
女王樣
(
ぢよわうさま
)
より。
球投
(
まりな
)
げのお
催
(
もよほ
)
しあるにつき
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
への
御招待状
(
ごせうたいじやう
)
』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
これを
解禁後
(
かいきんご
)
の
推定相場
(
すゐていさうば
)
四十九
弗
(
ドル
)
八
分
(
ぶん
)
の三と
比較
(
ひかく
)
すると
其
(
そ
)
の
差
(
さ
)
は
僅
(
わづ
)
かに一
弗
(
ドル
)
足
(
た
)
らずとなつて一
割
(
わり
)
一
分
(
ぶ
)
下
(
さが
)
つて
居
(
を
)
つた
爲替相場
(
かはせさうば
)
は九
分
(
ぶ
)
丈
(
だ
)
け
回復
(
くわいふく
)
した
譯
(
わけ
)
であつて
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
が、「越し人」等の抒情詩を作り、
僅
(
わづ
)
かにこの危機を脱出した。それは何か木の幹に凍つた、かがやかしい雪を落すやうに切ない心もちのするものだつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
多田院
(
ただのゐん
)
は
日光
(
につくわう
)
に
次
(
つ
)
ぐ
徳川家
(
とくがはけ
)
の
靈廟
(
れいべう
)
で、
源氏
(
げんじ
)
の
祖先
(
そせん
)
が
祀
(
まつ
)
つてあるから、
僅
(
わづ
)
か五
百石
(
ひやくこく
)
の
御朱印地
(
ごしゆいんち
)
でも、
大名
(
だいみやう
)
に
勝
(
まさ
)
る
威勢
(
ゐせい
)
があるから
天滿與力
(
てんまよりき
)
も
幅
(
はゞ
)
が
利
(
き
)
かなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
文科大学の異材なりしが年
僅
(
わづ
)
かに二十七にしてうせぬ。逍遙遺稿正外二篇、みな紅心の余唾にあらざるはなし。
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
人間は
僅
(
わづ
)
か六千年の短き間にいかにその自然の
面影
(
おもかげ
)
を失ひつゝあるかをつく/″\嘆ぜずには居られなかつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
安之助
(
やすのすけ
)
は
當分
(
たうぶん
)
の
間
(
あひだ
)
、
僅
(
わづ
)
かな
月給
(
げつきふ
)
と、
此
(
この
)
五千
圓
(
ゑん
)
に
對
(
たい
)
する
利益
(
りえき
)
配當
(
はいたう
)
とで
暮
(
く
)
らさなければならないのださうである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
発明後
僅
(
わづ
)
か二十年
経
(
た
)
つか経たぬ中に此通り弘まつたのは、一方から言へば人間の交通が益々頻繁になつて世界通用語の必要が切に感ぜられることを証拠立てると同時に
エスペラントの話
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だから
私
(
わたし
)
が
其時
(
そのとき
)
、
日本國民
(
にほんこくみん
)
として
所有
(
しよいう
)
する
物
(
もの
)
は、
只
(
た
)
だ
僅
(
わづ
)
かの
家具
(
かぐ
)
と、
僅
(
わづ
)
かの
本
(
ほん
)
と、
僅
(
わづ
)
かの
衣服類
(
いふくるゐ
)
とに
過
(
す
)
ぎなかつた。そして
僅
(
わづ
)
かに
文筆勞働
(
ぶんぴつらうどう
)
に
依
(
よ
)
つて
衣食
(
いしよく
)
するのであつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
青と赤の印の付いたお
神籤
(
みくじ
)
を交換して、
僅
(
わづ
)
かにお互の無事を知らせ合ひ、いろ/\しめし合せて來たのは、行屆き過ぎる惡人共の監視の眼をくゞり、その毒計に對抗して
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雀
(
すずめ
)
が米を食ふのは
僅
(
わづ
)
か
十粒
(
とつぶ
)
か二十粒だ、俵で置いてあつたつて、一度に一俵食へるものぢやない、僕は鴫沢の財産を譲つてもらはんでも、十粒か二十粒の米に事を欠いて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼
(
かれ
)
は
時
(
とき
)
としては
主人
(
しゆじん
)
のうつかりして
居
(
ゐ
)
る
間
(
ま
)
に
藏
(
くら
)
から
餘計
(
よけい
)
な
米
(
こめ
)
を
量
(
はか
)
り
出
(
だ
)
して、そつと
隱
(
かく
)
して
置
(
お
)
いて
夜
(
よる
)
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いへ
)
に
持
(
も
)
つて
來
(
く
)
ることがあつた。それも
僅
(
わづ
)
か二
升
(
しよう
)
か三
升
(
じよう
)
に
過
(
す
)
ぎない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして終ひに自分で金を払つて、
漸
(
やうや
)
く取り返すことができた。その金は
僅
(
わづ
)
かだつたけれど、人を
舐
(
な
)
めたやうな彼の態度が
憎
(
にく
)
かつた。彼はさく子にも当らずにはゐられなかつた。
風呂桶
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
さうした私を
僅
(
わづ
)
かに慰めてくれたのはその地下室の将棋倶楽部で、料金は一時間五銭、盤も駒も
手垢
(
てあか
)
と脂で
黝
(
くろず
)
んでゐて、落ちぶれた相場師だとか、歩きくたびれた外交員だとか
聴雨
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
門
(
もん
)
まで
僅
(
わづ
)
か三四
間
(
けん
)
、
左手
(
ゆんで
)
は
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
を
一坪
(
ひとつぼ
)
ばかり
花壇
(
くわだん
)
にして、
松葉牡丹
(
まつばぼたん
)
、
鬼百合
(
おにゆり
)
、
夏菊
(
なつぎく
)
など
雜植
(
まぜうゑ
)
の
繁
(
しげ
)
つた
中
(
なか
)
に、
向日葵
(
ひまはり
)
の
花
(
はな
)
は
高
(
たか
)
く
蓮
(
はす
)
の
葉
(
は
)
の
如
(
ごと
)
く
押被
(
おつかぶ
)
さつて、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
星
(
ほし
)
は
隱
(
かく
)
れた。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
風と雲との烈しい爭ひ、人は其中に包まれて岩角にすがり、岩陰にひそみ、
僅
(
わづ
)
かに呼吸をつないでゐるばかり、危く吹き飛ばされ、風に卷かれて千丈の谷底へまろびさうになる——。
山岳美観:02 山岳美観
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
僅
(
わづ
)
か十九歳の少年であつた、その事を
何
(
ど
)
うか
酌量
(
しやくりやう
)
して許して
貰
(
もら
)
ひたいのであるが
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
六歳
(
むツつ
)
か……
吾家
(
うち
)
の
子供
(
ばう
)
は、
袴着
(
はかまぎ
)
の
祝日
(
いはひ
)
で
今日
(
けふ
)
は
賓客
(
きやく
)
を
招
(
よ
)
んで、
八百膳
(
やほぜん
)
の
料理
(
れうり
)
で
御馳走
(
ごちそう
)
したが、ヤア
彼
(
あ
)
れが
忌嫌
(
いや
)
だの
是
(
これ
)
が
忌嫌
(
いや
)
だのと、
我意
(
だだ
)
ばかり
云
(
い
)
ふのに、
僅
(
わづ
)
か
六歳
(
むツつ
)
でありながら
親孝行
(
おやかうかう
)
に
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
牙
(
きば
)
を
鳴
(
な
)
らして
此方
(
こなた
)
を
睨
(
にら
)
んで
居
(
を
)
つたが、それも
僅
(
わづ
)
かの
間
(
あひだ
)
で、
獅子
(
しゝ
)
は
百獸
(
ひやくじう
)
の
王
(
わう
)
と
呼
(
よ
)
ばるゝ
程
(
ほど
)
あつて、
極
(
きわ
)
めて
猛勇
(
まうゆう
)
なる
動物
(
どうぶつ
)
で、
此時
(
このとき
)
一聲
(
いつせい
)
高
(
たか
)
く
叫
(
さけ
)
んで、
三頭
(
さんとう
)
四頭
(
しとう
)
鬣
(
たてがみ
)
を
鳴
(
な
)
らして
鐵車
(
てつしや
)
に
飛掛
(
とびかゝ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
町
(
まち
)
の
小學校
(
せうがつかう
)
の
校長
(
かうちやう
)
をしてゐた
彼女
(
かのぢよ
)
の
夫
(
をつと
)
は、一
年間
(
ねんかん
)
肺
(
はい
)
を
病
(
や
)
んで、そして
二人
(
ふたり
)
の
子供
(
こども
)
を
若
(
わか
)
い
妻
(
つま
)
の
手許
(
てもと
)
に
遺
(
のこ
)
したまゝ
死
(
し
)
んでいつた。
殘
(
のこ
)
つたものは
彼女
(
かのぢよ
)
の
重
(
おも
)
い
責任
(
せき
)
と、
極
(
ごく
)
僅
(
わづ
)
かな
貯
(
たくは
)
へとだけであつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ほんの慰み事ならば又別だが、金も乏しい癖して紙代、絵具代、大変なものだ。友達は皆陰で心配してゐるのです。一体この
齢
(
とし
)
に
僅
(
わづ
)
かづゝ上達したところで、それがどうなるといふのです。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
かうして
僅
(
わづ
)
かでも旅先の、
暫
(
しばら
)
くぶりで見る鏡では、身の衰へと云はうか、何時の間にか忍び込んだ
老
(
おい
)
——老と云ふのも気が早過ぎるが、ともかく青春は既に
昨日
(
きのふ
)
の花であることがありありと分つた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
屋内
酒樽
(
さけだる
)
のあるあらば
極
(
きは
)
めて
妙
(
めう
)
なれども、若し之なくんば
草臥
(
くたび
)
れ
損
(
ぞん
)
なりと、
遂
(
つひ
)
に帰路を
取
(
と
)
りて戸倉に
至
(
いた
)
るに
决
(
けつ
)
す、一帯の
白砂
(
はくさ
)
過
(
す
)
ぎ
了
(
おは
)
れば路は戸倉峠に
連
(
つら
)
なる、峠の
高
(
たか
)
さ凡そ六千呎、
路幅
(
みちはば
)
僅
(
わづ
)
かに一尺
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
それが
僅
(
わづ
)
かなおあしでありながら
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
然れども
僅
(
わづ
)
かに現在の「生」を
覗
(
うかゞ
)
ひ知ることを得るなり、現在の「生」は夢にして「生」の後が
寤
(
ご
)
なるべきや否や、吾人は之をも知る能はず。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
が、熟練した水雷士官でも、これはよほど難しい。それを
僅
(
わづ
)
か十七歳の少年が、見覚え、聞覚えでやるのだ。成功するか知ら? 危ないものだ!
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
其顏
(
そのかほ
)
を
不審
(
いぶかし
)
げに
仰
(
あふ
)
ぎて、
姉樣人形
(
ねえさまにんぎやう
)
は
下
(
くだ
)
さるか、
進
(
あ
)
げますると
僅
(
わづ
)
かに
諾
(
うなづ
)
く
令孃
(
ひめ
)
、
甚之助
(
じんのすけ
)
は
嬉
(
うれ
)
しく
立
(
たち
)
あがつて、
勝
(
か
)
つた
勝
(
か
)
つた。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(
貝塚土器
(
かひづかどき
)
の
破片
(
はへん
)
が、
僅
(
わづ
)
かに二三
片
(
ぺん
)
見出
(
みいだ
)
されたが、
貝
(
かひ
)
の
分量
(
ぶんりやう
)
から
比較
(
ひかく
)
して
見
(
み
)
ると、
何億萬分
(
なんおくまんぶん
)
の
一
(
いち
)
といふ
位
(
くらゐ
)
しかに
當
(
あた
)
らぬ)
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
能
(
よき
)
屋敷
(
やしき
)
方へ御奉公に差上るなりと
云
(
いひ
)
勸
(
すゝ
)
め
彼惡婆
(
かのあくば
)
のお定を三次が出入の御屋敷の老女と爲し御
取替
(
とりかへ
)
金などと僞りて
僅
(
わづ
)
かの金子をお安に與へ妹娘のお富を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
といふのは、
少
(
せう
)
年
時
(
じ
)
代に両
親
(
しん
)
に
死
(
し
)
に
別
(
わか
)
れた一人つ子の青木さんは、
僅
(
わづ
)
かなその
遺産
(
ゐさん
)
でどうにか
修学
(
しうがく
)
だけは
済
(
す
)
ましたものの、全く
無財産
(
むざいさん
)
の
身
(
み
)
の上だつた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
僅
(
わづ
)
かな乗客のなかに、まるまると
樽
(
たる
)
のやうに
肥
(
ふと
)
つた男がありました。二十頭ばかりの立派な羊をつれてゐました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
良寛さんが、長崎の街と湾を見おろす丘の上まで、
辿
(
たど
)
りついたときには、空に
僅
(
わづ
)
かに夕映が残つてゐて、海には黒く
夕闇
(
ゆふやみ
)
がしみこんで来る時分であつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
きのふまで
小
(
ちひ
)
さな
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
だと
思
(
おも
)
つたのが、
僅
(
わづ
)
か
一晩
(
ひとばん
)
ばかりで、びつくりするほど
大
(
おほ
)
きくなつたのがあります。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
東の国の博士たちはクリストの星の現はれたのを見、黄金や
乳香
(
にゆうかう
)
や
没薬
(
もつやく
)
を宝の
盒
(
はこ
)
に入れて捧げて行つた。が、彼等は博士たちの中でも
僅
(
わづ
)
かに二人か三人だつた。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僅
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
“僅”を含む語句
僅少
僅々
僅有
僅三時
僅僅
僅有絶無
僅計